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2009年10月10日

 オバマ大統領のノーベル平和賞をどう評価するか


 オバマ大統領のノーベル平和賞をどう評価するか、そのことはまたオバマ大統領の核廃絶演説をどう評価するか、ということでもある。

 ある機関誌に、考えさせられる投稿が載っていたので紹介したい。

 「遅まきながらオバマのプラハ演説を読んでみて」と題するその投稿は、あの演説は皆が絶賛するほど本当に素晴らしいものなのか、と問いかけている。

 「みなさんはその全文を読んだ事がありますか。私は読んだ事はありませんでした。ということで、遅まきながら、その全文を読んでみました」

 こんな言葉で始まるその投稿文は、「私の英語力では時間がかかり過ぎるので、在日米国大使館のホームページにある日本語訳で読みました、という但し書きつきである。

 まず指摘していることは、これは国連や米国での演説ではなく、チェコ国民に対して話した事だという指摘である。

 8400字あまりの文章の2割ほどの分量は、地元シカゴとチェコとの緊密さをアピールし、チェコの歴史、芸術、科学、文化などを賛美し、そして私たちが今日ここにいるのは1968年のプラハの春のおかげ、つまりチェコの人たちがソ連に抵抗したおかげでソ連は滅んだ、ありがとう、というメッセージだという。

 続いてチェコの北大西洋条約機構加盟10周年にふれつつ、米国のテロとの戦いであるアフガニスタン戦争にチェコ軍が協力している事に感謝し、チェコ人の犠牲者に哀悼の意を示しているという。

 そしてここからが注目されるところだとして、何千発もの核兵器の存在は冷戦が残した最も危険な遺産だと言って、米国が核問題を作り出した元凶だと暗に認めつつも、危険なのはあくまでもそれがテロリストに渡ることだと言っているのだ、と。

 つまり米国も少しは核兵器を減らすとは言っているが、演説全体をみると圧倒的に核拡散の危険を力説しているのだ、と。

 そして最後は、イランの脅威に言及しつつ、チェコが米国のミサイル防衛システムの配備に同意してくれた事への感謝を述べ、「より大きな繁栄と平和をもたらす責任を引き受けようではありませんか」とよびかけて終わるのだというのだ。

 このようにオバマ演説を要約した後で、この投稿者は次のように自らの評価を述べている。

 「どうですか。これが核廃絶演説ですか。私にはとてもそうは思えません。昔ソ連の弾圧に抵抗してくれたチェコの皆さん、ありがとう。しかし新しい敵はいまではテロリスト(やテロリストを支援する)イランなどです。
 テロとの戦いに血を流してくれたチェコ兵ありがとう。テロに核を渡してはいけません。そのために米国も核兵器を少しは削減しますが、新たに核兵器を持とうとするやつらを一緒にやっつけましょう。
イランは危険です。だから迎撃ミサイルは必要です。置いてくれてありがとう。これからもよろしく・・・」てなもんではないでしょうか、実際、これをブッシュが言ったと言われても、さして違和感のない内容ではありませんか、と。

 この投稿は鋭いものがある。 私もあらためてオバマ演説の全文を読み返して見た。

 その上でなお、私はオバマ大統領の演説を評価したい。この投稿者のように受け止めたくない。

 オバマ大統領は「核保有国として、核兵器を使用したことのある唯一の国として米国は行動する道義的責任がある」と言った。

 オバマ大統領は「今日、私ははっきりと宣言する。米国は平和で安全な『核兵器のない世界』の実現に全力で取り組むと」と言った。

 世界はその言葉に感動し、オバマ演説を評価したのだ。このような言葉を語った米国の大統領がかつていただろうか。

 我々はそのオバマ大統領の言葉を、お手並み拝見だ、と傍観者のつもりで批評する事は許されない。

 オバマ大統領を叱咤激励し、オバマ大統領とともにかつて誰もが出来なかった平和の偉業に挑戦するという態度が重要ではないのか。

 そのことはまたオバマ大統領のノーベル平和賞受賞をどう評価するかにつながっていく。

 率直に言って私の思いは複雑だ。

 アフガン戦争に勝利するためにはあらゆる軍事力の行使をためらわない、と言うようなオバマ大統領には、ノーベル平和賞など値しない、と切り捨てたい気持ちはある。

 しかし、彼が米国や世界に希望を与え、世界が困難の問題に立ち向かおうという気持ちを与えた事は確かだ。

 このノーベル平和賞は、オバマ大統領に覚悟を求めるとともに、世界中の人々にオバマ大統領とともに行動を起こせと呼びかけているのではないのか。そういうノーベル平和賞であると受け止めたい。  

                         

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