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2009年07月31日

アン・ライトさんの著書 DISSENT の日本語版出版を祝福する

 


  私は7月30日、大阪大学でアン・ライトさんと対談した。

  アン・ライトさんとは米国の元陸軍大佐であり国務省の上級外交官だった人である。

  モンゴル赴任中の2003年3月19日、つまり米国のイラク開戦前日に、コーリン・パウエル国務長官に辞表を提出し、以来在野の「平和外交官」として世界の平和運動の先頭に立っている女性である。

  英国の独立外交官カーン・ロスとNYであったばかりの私が、こうしてわずか一週間あまり後に、今度は米国の「平和外交官」と会うことになったのも、なにかの巡りあわせかもしれない。

 集まった120名ほどの聴衆とともに共有したアンさんとの対談は大変有意義なものであった。

  しかし、私がここで紹介したいのは、対談のことではない。その時に販売されたアンさんの著書、「DISSENTーVoices of Conscience」 の日本語版出版のことである。

  この本は、あのイラク戦争を目撃した米英の閣僚・上級官僚・軍人らが良心の声をあげ、投獄の犠牲を払ってまでも行動を起こした、その記録である。

 もしも後世において、米国のイラク攻撃が正しく検証される時がくるならば、この本に述べられている証言の一つ一つは間違いなく超一流の資料となる。

 これほどまで多くの英米人が勇気ある行動をとっていたのだ。その事に私はあらためて驚いた。もちろんカーン・ロス氏への言及もある。

 その中に述べられている情報の一つは、ブッシュ大統領とブレア首相が、自らが世界に語っていた事が事実無根と知った後も、攻撃を止めるどころか新たな嘘を作り上げてまでイラク攻撃を強行しようとした、その犯罪ぶりを教えてくれている。

 ブッシュとブレアは、国連の標識をつけたダミーの飛行機を撃ち落し、それをテロのせいにしてまでイラク攻撃を正当化しようとさえしていた、というから驚きだ。

 そのような指導者たちの犯罪はもとより重大であり、許しがたい。

 しかし、私がもっとも衝撃を受けたのは、第一線に駆り出された下級軍人たちが、イラク戦争の現実を知って良心的兵役拒否をせざるを得なかった、その苦悩を述べた証言の数々である。

 ある者は拷問の残酷さに耐えられず、ある者は、切断したイラク人の頭をボールがわりにサッカーする
同僚たちを見て、兵役を拒否した。

 ある者は、イルカが遊んでいるのをボートから見た時、「戦争をしないでも生きていける!」と気づく。

 しかし、ブッシュやチェイニーやラムズフェルドやブレアは免責のままだ。その一方で、「僕は不名誉なことなんかしていない。有罪なんてあんまりだ!」と叫ぶ良心的兵役拒否者たち。

 加害者も被害者も苦しめられるのは常に末端の人間たちだ。

 この著書を読むとつくづく思う。米国や英国の指導者、官僚、軍人たちは、邪悪な指導者も良心的な兵役拒否者も、その善悪は別にして文字通りイラク攻撃の当事者として、戦争犯罪にかかわり、決断し、悩んだ。

 それにひきかえ日本の場合はどうか。

 イラク攻撃の前日まで続いた一大争点は、国連安保理決議1441号が米国のイラク攻撃を容認したものかどうか、だった。

 その解釈について最後まで米英と露仏の間で対立は残った。

 その国連決議について、日本のある学者が外務省に解釈を照会したことがあった。ところが電話口に出てきた担当官は、まだ読んでいないと言って答えられなかったという。
と答えたという。

 担当官が読んでいないということは、幹部たちは読んでいないということだ。

 小泉首相に至っては関心すら示さなかったに違いない。

 何も知らないままに、何も知ろうとせずに、最初から米国のイラク攻撃支持を決めたのだ。

 英米の指導者たちよりも悪質である。無責任である。

 日本政府はどういう政策論議を経て米国の不当なイラク攻撃を支持することにしたのか。

 この事はいつの日か、彼らの断罪とともに必ず検証されなければならないと思う。


  アンさんの著書 DISSENTの日本語版は、「異議あり!-戦争に黙っていてはいけない」という題名でコード・ピンク大阪から7月1日か販売されています。

 書店での購入できない場合のために、以下のとおり連絡先をお知らせしておきます。

  発行人 尾川 寿江 06-6764-5103  携帯 090-4293-6465

              

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