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2009年02月26日

 天木直人のメールマガジン 要約 2月24日ー26日分

 
 天木直人のメールマガジン 要約 2月24日―26日分

 2009年2月24日発行 第0070号

 日本のイラク戦争加担を証明する報告書がついに出た!


 わが国を代表する防衛記者の一人に東京新聞の半田滋という編集委員がいる。その半田滋氏が、究極のイラク戦争検証報告書を国民の前に提示してくれた。岩波新書の最新刊である「『戦地』派遣 変わる自衛隊」という本がそれである。
 この著書は、嘘で塗り固められたわが国のイラク戦争支持の姿を見事にあぶりだしている。今の日本の政治の欺瞞を追及し、その政治に騙され続ける国民に、黙っていていいのか、と激を飛ばしている。
 唯一の救いは現場に派遣された自衛官たちのまともな判断である。彼らは、政治家や外務、防衛官僚、そして上司である制服幹部たちの、間違った判断に振回され、大義名分なき犠牲を求められてきた。
 「犠牲の覚悟は出来ている。しかしその犠牲に値する大義名分を知りたい」と訴える自衛官こそ、本当の犠牲者に違いない。そう結論づける半田氏の、自衛官に注ぐまなざしが優しい。


 2009年2月24日発行 第0071号

 中川飲酒騒動で計算が狂った外務省と小泉元首相 前編


 中川飲酒騒動の裏で、思惑が外れて悔しがっているのが外務省と小泉元首相である。 発売中の週刊現代3月7日の中に次の文章を見つけた。

  ・・・外務省幹部が、タメ息交じりに語る。「・・・麻生外相時代ほど、われわれが勝手に外交をやれた時代はない。だから省内には『麻生ファン』が多くて、『麻生首相を男にしてやろう』という気運が最近までありました。そこでヒラリー国務長官との会談で『オバマ大統領との電撃首脳会談を行なう』というビッグ・サプライズを用意したのです。麻生首相も『これで支持率が上がる』とニヤケていました。しかし偶然重なった中川財務相の辞任ニュースの陰にすっかり隠れてしまい、無理を通してもらったアメリカ側にも恥をかかせる結果となりました・・・もう24日のオバマ大統領との会談など、どうにでもなれ
という心境です・・・

 この文章ほど、今の外務官僚のやっている仕事を見事に表現したものはない。これが今の外務官僚がやっている仕事なのである。外交が行き詰まるのも無理はない。


 2009年2月24日発行 第0072号

 中川飲酒騒動で計算が狂った外務省と小泉元首相 後編


 小泉元首相の失敗は自らの人気を過信して動き出したところにある。しかしそれだけではない。麻生首相の郵政民営化発言批判にとどめておくべきところを定額給付金にまで言及しそれに反対だと明言した。 もちろんそれは考え抜いた上での発言だった。世論の圧倒的多数が定額給付金に反対していたからである。世論に乗じて麻生たたきを行なえば我に分があると考えたのだ。しかしそれは読み違いだったようだ。自民党から反発され、小泉チルドレンからの同調者もあらわれず、そして世論も思ったほどの支持を小泉発言に与えなかった。
 小泉元首相はもちろんそんな事であきらめるはずはない。麻生批判発言の直後に日本を離れてロシアに飛んだ。そこで何をしていたかと言えば、オペラを見ながら日本国内の動きを、目を凝らして見ていたのだ。そして、帰国間際のタイミングを狙って、ロシアの地でわざわざ記者会見まで開いて「採決には欠席する」と、ぶれないところを見せつけようとした。ところがこの周到な戦略もあてが外れた。 本来ならばこれが大きな政治ニュースになるはずだった。事態の流れ次第では麻生内閣総辞職や自民党分裂につながりかねない小泉劇場に発展するはずだった。 そこに降って湧いた中川辞任騒動だ。なにしろあの映像だ。世界を駆け巡った醜態ニュースだ。
 小泉発言は埋没してしまった。小泉元首相はツキにも見放されたようだ。。

2009年2月25日発行 第0073号

 村上春樹「エルサレム賞」受賞に思う


 私は村上春樹のファンの一人である。だから彼を批判する文章を書きたくなかった。しかし、週刊ポスト3月6日号が、「次はノーベル賞という声」と書いたので書くことにした。私が思っていた事にはじめて言及した記事を見つけたので書きたくなった。
 「エルサレム賞」を受賞したからといって「ノーベル文学賞」がもらえる保証はない。しかし「エルサレム賞」を拒否したら、「ノーベル文学賞」は確実に遠ざかる。その事を村上春樹は一番知っていたのではないか。「ノーベル文学賞」を手にするという野望の前に、受賞拒否を求める世界の声に耳をフタしたのだ。
 受賞する為にはエルサレムを訪れてスピーチしなければならない。しかしそのスピーチは難しい。イスラエルを正面から批判すると「エルサレム賞」を返せとなる。命を狙われることすらある。しかしあのガザ攻撃を認める訳にはいかない。そこで考えたのが壁と卵のスピーチだった。しかしあのスピーチは、評価する人はいても私は認めない。パレスチナ人にとっての壁とは、イスラエルが国際司法裁判所の違法判断を無視してつくり続けている壁の事でしかない。それにぶつけられる卵はパレスチナ人だ。壁が正しくて卵がは間違っている、などということはありえない。
 村上春樹はアラブ紙に載っていた次の言葉をよくかみしめる事だ。その言葉に報いるためにも今後はパレスチナの解放の為に誠意を持って行動することだ。
 ・・・我々アラブ文化人は、日本の小説家、村上春樹に今年のエルサレム賞を拒否してくれと切に願っていた。ガザでイスラエルによって流された子供たち女性たちの血に敬意を払う意味で、その賞を辞退せよと要請する声は日本にもあり、私達は、彼がそれに耳を傾けてくれると思っていた・・・しかしムラカミは、躊躇することなくエルサレムへ赴き、シモン・ペレスの手からその賞を受取った。罪無きパレスチナ人の血が未だ乾かぬその手から・・・既にノーベル文学賞候補でもあるその作家は、世界的文学賞への途上にイスラエルが存在する事をよく知っているのだ。言い換えればイスラエルは・・・その国際的な賞の一つを与えることにより、有名な日本人作家を釣ることに成功した・・・村上春樹がイスラエルの賞を無視してくれたらどんなに良かっただろう。この60年代を描く作家はアラブの書店に場を得ている。アラブ人読者も多く、優れた日本人作家の一人としてその名はアラビア語の文芸誌によく登場する・・・それでも、私達は村上春樹を愛し読み続けるだろう。そうでなかったとしても、私達は彼の犯した過失を許すだろう・・・
                         アブドゥ・ワージン、2月23日アル・ハヤート紙

       
  2009年2月25日発行 第0074号

 ニュース番組出演を拒否された城内実の告発


 発売中の週刊アサヒ芸能3月5日号に興味深い記事が出ていたので紹介したい。 前自民党衆議院議員の城内実は、郵政民営化に反対し、小泉郵政解散・総選挙の時に刺客片山さつきを立てられて落選した。その城内が週刊誌である事件を告発していた。その事件とはこうである。麻生批判発言や「かんぽの宿」疑惑問題で郵政民営化の見直し議論が起きている。そんな中で東京のさるキー局の報道番組に城内は出演依頼を受け、それを城内は受諾した。ところが放送日の前日に突然、一方的に出演をキャンセルされたというのだ。その不可解なキャンセル事件について城内は次のように述べている。

 「・・・公正中立のはずのメディアが郵政民営化推進派の主張だけを伝えるのはおかしい。郵政民営化に絡む疑惑を封印しようとしているとしか思えませんよ。私の調査によれば、この問題は戦後最大の疑獄事件とされたリクルート事件を凌ぐ疑獄に発展するはずです。良識あるマスコミ人はこの問題を是非
解明すべきですよ・・・私は(小泉元首相の麻生批判発言は)国民の目を疑惑からそらせる目的を持っていると思う。野中元幹事長も同じような見方をしています・・・マスコミは麻生首相の発言がぶれているなどと言わず、なぜ反対だったのか、という真相を追及すべきですよ」

 この城内の問いにマスコミはどう答えるというのか。


 2009年2月26日発行 第0075号

 田原総一朗の言葉の軽さ


 言論人としての田原総一朗の最大に問題点は、辛口評論家佐高信によれば、その言説の無節操さである。彼には定まった主義主張はない。時流に乗った人物や話題に飛びついて自分を売り込む、そういうメディア業界人に過ぎない。それがメディアを取り仕切っているところが問題だという。

 私もそう思う。実際のところ彼の発言の不誠実さを示す言動は枚挙にいとまがない。その中でも取っておきの記事を私はファイルに残している。それは自らの連載である週刊朝日の「田原総一朗のギロン堂」(昨年12月5日号)の中で述べられていた「残されたゆえに背負う『反戦』の使命」という記事である。
 ちょうど筑紫哲也がガンでなくなった直後だった。同じく共産党の上田耕一郎やテレビマンユニオンの村木良彦もあい前後して亡くなった頃だ。彼はこの三人をしのびながらこう言っていた。

 「取り残されたのだから、逆に使命感を覚えないわけにはいかない。戦争と敗戦を知っている人間として、戦争の残忍さ、バカバカしさは何といっても若い世代に伝えなければならない・・・」。そう言って、憲法9条は素晴らしい、あのような戦争は二度とやってはいけない、というこれら三人の遺志を、田原総一朗は引き継いでいくと宣言しているのである。

 その言やよし。今後の言動で彼がそれを実践していくのなら私は歓迎する。 しかし彼のこれまでの言動は反戦だったか。安保体制を基軸とした戦後の日本の政治を考えた時、反戦活動をすることはすなわち反体制を意味する。反体制を貫くことの厳しさと重さを、これまでの田原総一朗は理解し、共有していただろうか。反体制の立場に立って言動していたというのか。いとも簡単に「反戦の使命を背負っていく」と言ってしまうところが田原の軽さと厚かましさである。

 そして私は再び田原総一朗の言動のあまりに軽さを目撃した。週刊現代で連載されている「霞ヶ関大研究」の第4回目(3月7日号)は「日本の北朝鮮外交はなぜアメリカに裏切られたのか」であった。その中で彼はいとも簡単にこう言ってのけている。

 ・・・5年前、ブッシュ政権がはじめたイラク戦争に対して、私自身『北朝鮮から日本を守ってくれるのは、アメリカしかいない』という理由で、小泉首相の『イラク戦争支持表明』に賛成の論陣をはり、日米同盟の重要性を訴えてきた。イラク戦争のその後の経過に、率直にいうと、この間の言論人としての責任を痛感せざるを得ないとの思いを常に背負ってきたし、それについての論評を、自己検証を目的にいくつも書いてきた・・・
 
 驚くべき発言だ。こんな簡単に誤りを認めていいのか。日本の国論を真っ二つにしたあのイラク戦争について、週刊誌の中でさらりと述べて自らを免責しようとする無責任さ。そのあまりの軽さと節操のなさにはただあきれ返るほかはない。

 2009年2月26日発行 第0076号

 民主党はグアム移転協定にどう対応するか

 私は2月5日のメルマガ第39号で、この在沖縄米海兵隊のグアム移転協定の重大性と、急いでそれを進める外務省の思惑について書いた。しかしその後もこの協定の深刻性をメディアは取り上げる事なく、ヒラリー米国務長官の訪日の際にあっさり署名された。そして政府・外務省は時を置かずにそれを国会に提出したのだ。
 週刊アエラ3月2日号で、朝日ニューススターのコメンテイターである軍事評論家の田岡俊次氏が次のような指摘をしている。すなわち、この協定の内容はすべて2006年5月の日米外務、防衛大臣会議(2プラス2)で合意文書となっていたはず(いわゆる工程表―ロードマップ)なのに、今更同じ内容の協定を結ぶ必要があったのか、という。防衛省内では、「外務省は米国新政権を相手に初仕事をしたふりをしたかったのでは」との皮肉も聞こえるという。
 もちろんそれだけではない。外務省が協定締結を急いだ理由はある。政局が混迷している間に政府間合意を条約に引き上げ、米軍再編への協力を固定化、永久化する狙いがあったのだ。日米軍事同盟関係を、いかなる政権が日本に出来ても影響を受けないようにするためだ。米国が最近やたらに言い出しはじめた日米同盟の「制度化」である。米国の日本占領の永久化である。外務官僚はそれに加担したということだ。

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2009年02月23日

 天木直人のメールマガジン 要約 2月20日ー23日


 天木直人のメールマガジン 要約 2月20日―23日分

 2009年2月20日発行 第0064号

 アメリカ版憲法9条を提唱する大前研一


 大前研一氏の最近著「さらばアメリカ」(小学館)を読んだ。そして驚いた。この本は憲法9条を守ろうとする護憲派の人々を勇気づける必読の書である。いや改憲論者も含め日本国民に広く読まれるべき本だ。
 大前氏はオバマ大統領の誕生を歓迎する。しかしそれでも米国の再生は難しいだろうと断言する。そして米国が再生するためには次の三つの提言をオバマ大統領は取り入れろという。その一つは世界に向けてアフガン、イラク攻撃などで多大な犠牲者を出し世界を戦争に巻き込んでしまったこと謝罪することだ、金融詐欺で世界経済を崩壊させたことを謝罪することだという。
 その二つは、単独主義の傲慢さをあらため、米国は世界の一員として国際社会の合意を尊重する国になれという。国連にかわる新しい新世界構想をつくり、その一員としてその合意に従う国になれという。
 極めつけは三つ目である。米国は日本に押し付けた平和憲法9条をいまこそ米国自身に導入しろという。
 米国を理解し、米国資本主義を信じて活躍してきた大前氏がこのような事を書くようになったのだ。これは驚くべきことだ。私は、「さらばオバマ」に書かれている大前氏の米国の分析に賛同する。米国を救う提言に共鳴する。一読に値する本だ。

 2009年2月20日発行 第0065号

 千野境子産経新聞元取締役の人事官任命に異を唱えた民主党を評価する


 20日の各紙は、民主党が19日の役員会議で、政府が提示した千野境子産経新聞特別記者(元取締役)の人事院人事官任命に同意しない事を決めたと報じている。「人事官3人のうち一人がマスコミ(出身者)の指定ポストになっており、ふさわしくない」(安住淳国体委員長代理)という理由からだ。
 私はこの民主党の判断を高く評価する。メディアはこのニュースをもっと大きく報じるべきだ。そしてこの民主党の決定が示した大きな意味を国民に解説すべきだ。
 私が代わりにそれを述べる。権力者たちによる人事のたらいまわしがこれからはやりにくくなるということだ。国民がそれを知って怒り出せば、政党は動かざるを得ない。いつまでたっても結論のでない公務員制度改革を待つよりも、国民の怒りが権力者の人事を左右する、そういう時代がすぐそこまで来ている。

 2009年2月21日発行 第0066号

 大前研一のアメリカ版憲法9条提言ふたたび


 20日のメルマガ第64号で私は大前研一がその最近著「さらばアメリカ」で、アメリカ版憲法9条を提唱したことを高く評価した。これに対して読者からすかさず批判的反応があった。 「大前研一は新自由主義を唱える人物であり、そんな人物が憲法9条を提唱したからと言ってそれを称賛するのは納得できない」という批判である。それでも私は大前氏を評価する。その理由の背景には私の次のような現状認識がある。
 私は今の米国の経済危機は極めて深刻であると考えている。そしてそれは米国の戦争と不可分であり、米国は自らの経済危機を克服するには戦争をやめなければならないと考えている。1929年の大恐慌を米国が克服したのはルーズベルト大統領のニューディール政策のためではなく、第二次大戦に
参加したからだという説があるが、私は米国が今戦争を起こしてもその経済効果は少なく、むしろますます米国は経済破綻に追い込まれていくと考えている。
 米国がこれ以上戦争国家になることでそのしわ寄せを一番負担させられるのは日本である。ただでさえ国民生活が危機的状態になりつつあるときに、日本がこれ以上米国の負担を肩代わりさせられるなら日本は壊滅する。何があっても米国の戦争をやめさせなければならない。それが無理なら米国の戦争にこれ以上かかわってはならない。それが私の認識であり、私が憲法9条を世界に宣言し、日米軍事同盟から自立する事を主張する理由はそこにある。
 だから大前氏の提言のごとく米国が戦争国家から脱却する事こそ米国も日本も救われるという考えだ。問題は米国は大前氏の提言を受け入れない、受け入れられない国である、ということだ。そこにオバマ大統領の悲劇がある。それでも私はオバマ大統領を応援する。これも大前氏と同じ立場である。

 2009年2月22日発行 第0067号

 仲間内で褒め合っていては真実は語れない


 2月22日の新聞に気にかかる二つの書評を見つけたので書く。一つは毎日新聞書評欄に見られた五百旗頭 真 防衛大学校長(神戸大学名誉教授)の田中均著「外交の力」(日本経済新聞出版社)に関する書評であり、もう一つはもう一つは産経新聞書評欄の佐藤優が書いている「岡本行夫 現場主義を貫いた外交官」(朝日新聞)についての書評である。
 私はいずれの著書も読んでいる。二人を知っている。田中氏は私の同期だ。岡本氏は私の一年先輩だ。彼らの言動をすべて批判的に言うつもりはないが、これらの書評はあまりにも褒めすぎだ。何も知らない一般読者をごまかせても私を誤魔化すことは出来ない。仲間内で褒め合っている限り真実を語ることはできない。
 それにしても佐藤氏の最近の豹変振りには驚かされる。御用学者の五百旗頭氏が田中氏の著書を宣伝するのはわかる。しかし国策捜査の悪を暴き、外務省の犯罪的工作を批判して世にでた佐藤氏が、最近は一部の外務省OBに迎合するようになった。しかも彼らは決して反骨の外務省OBではない。世に受け入れられ、体制側に立つ者ばかりだ。
 佐藤氏の見事な転進である。それだけ彼の境遇が恵まれてきたということだ。世の中に堂々と出られるようになったということである。それに伴って体制側につくようになる。私はそれを危惧する。世の中を正しくない方向に洗脳する事をしてはいけない。佐藤氏は世の中のためになる正しい生き方をしなければならない。

2009年2月23日発行 第0068号

  中谷巌氏の評価がどこまでひろがるか注目したい


 私は昨年12月19日のブログで、「ついに小泉構造改革の誤りを認める人間が政府側から出るようになった」と題して、中谷巌氏のことを評価した。その後中谷氏の懺悔の書は新聞や週刊誌の書評で取り上げられ、中谷氏自身の寄稿文やインタビュー記事も新聞や雑誌に頻繁に出るようになった。しかし中谷氏は本当に評価されているのか。

 2月18日の産経新聞「正論」の中で中谷氏が述べている次の言葉に私は注目した。

  ・・・(私の著書に対しては)、多くの方々から「よく言った」、という
賛同と同時に、「時流におもねっている」、「いまさら何を」、「守旧派に
肩入れする裏切り者」といった多くのご批判もいただいた・・・

 この言葉のもつ意味は重い。体制側を批判する事がどれほど勇気がいることかを示している。正しく評価される事がいかに難しいかを示している。そして体制側に都合の悪いことはたくみに無視される事を示している。

 小泉構造改革の弊害が日本を苦しめたことがここまで明らかになったにもかかわらず、小泉・竹中への批判はいまだタブーの如くだ。それは体制側に、いまだに誤りを認めることを潔しとしない風潮があるからだ。その代表格が大手メディアである。だから大手メディアはいまだに小泉構造改革を批判しない、
できない。竹中平蔵が今でも大きな顔をして改革が不十分だからこうなったと言い続け、それをテレビが流し続ける。小泉が出てきて郵政解散で得た三分の二の重みを考えろと叫べば、それが大きく報道される。本来ならば彼らは国民から石をぶつけられ、二度と世間に顔向けできないはずではないのか。

 その一方で小泉構造改革を批判してきた者たちは、中谷巌氏がかつて小泉構造改革を唱えた一人であるという先入観で、彼の懺悔の書をろくに読むことなく、彼を正しく再評価しないでいるようだ。つまり中谷巌氏は、体制側からは「裏切り者」と呼ばれ、反体制側からは「今更なにを」と批判されているかのごとくだ。かくいう私もそういう思いを持った一人だ。少なくとも彼の「懺悔の書」を読むまでは。

 週末を使って中谷氏の「小泉改革の大罪と日本の不幸」を通読した。そしてあらためてこの書を再評価した。この書は私が知る限りでは、小泉構造改革を批判するこれまでのどの書よりも厳しい小泉批判の書である。そしてそれは単なる批判の為の批判の書ではなく、本物の小泉・竹中批判の書である。中谷氏は正しく評価されなければならない。その時はじめて小泉・竹中の構造改革路線が日本から消えていくことになる。日本が正しい方向へ軌道修正されていくことになる。

2009年2月23日発行 第0069号

 中川財務相泥酔報道が示すもう一つの問題点


 嵐のごとく報道された前代未聞の中川財務相泥酔事件もさすがに一段落した感がある。しかしこの問題のもう一つの隠された問題点を見落としてはならない。
 それは何か。権力者と報道関係者の間で暗黙の了解、もたれあいがあるということだ。あの事件は報道関係者の多くが知っていた。しかし中川氏を追い込むことになるから書かなかった。その暗黙の了解を破って2月18日の毎日新聞が検証ローマの2日」で暴露した。そこから一気にひろがった。いや、もっと正確に言えば外国のメディアが映像入りで大きく流したから毎日新聞も書いたのではないか。

 政治記者の書いたものを読んでいると、「もう時効だから(時間が立ってそろそろ書いてもいい頃だろうから)書くことにするが・・・」というきまり文句に出くわすことがある。これこそがまさに権力者と報道関係者の取引を物語っている。書かないことを前提に情報をもらう、あるいは今後も情報を
もらわなくてはならないので権力者に決定的な打撃を与えるような記事は抑える、
こういう現実があるのだ。

 偶然にもその好例を2月22日の毎日新聞にみつけた。潮田道夫論説委員の
「千波万波」の書き出しはこういう言葉から始まっている。

 ・・・ブッシュ前大統領は何度か、次のような趣旨の演説をした。
「米国は敵だった日本を打ち負かし(日本を)民主国家に再建した。今では
同盟国だ。イラクもそうなるだろう・・・」。彼は(ブッシュ前大統領は)
発言前に、当時首相だった小泉純一郎氏の了解を得ている・・・

 そしてその後潮田論説委員は、「米国の保護者意識が鼻につく。占領期に関しては日本人には愛憎こもごもの複雑な思いがある。それを知らないはずはない。礼を欠く」と怒っている。

 思い出してほしい。ブッシュ前大統領の発言はもっと日本を侮蔑したものもあった。なかには日本をナチやテロリスト国家のごとく表現していたものがあった。潮田氏ならずとも多くの日本人は不快感を持ってそれを読んでいたに違いない。

 しかしその発言をこの国の首相が了解していたとしたらどうだ。その事が当時の報道で国民に知らされていたらどうだったか。小泉・ブッシュの関係はここまで従属的であったのだ。

 ブッシュも小泉も引退した今になった、潮田氏はそれを書いたのだ。書きたくてしかたなかったが当時は書けなかった。書くべきではないと自粛した。しかしいつかは国民に知らせなければならない重要な情報である。だからこういう形でサラリと書いて、当時書かなかった事に対する免責を自らに与えているのだ。もっとはやく書いて置けよと言いたくなる。


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