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2009年02月23日

 天木直人のメールマガジン 要約 2月20日ー23日


 天木直人のメールマガジン 要約 2月20日―23日分

 2009年2月20日発行 第0064号

 アメリカ版憲法9条を提唱する大前研一


 大前研一氏の最近著「さらばアメリカ」(小学館)を読んだ。そして驚いた。この本は憲法9条を守ろうとする護憲派の人々を勇気づける必読の書である。いや改憲論者も含め日本国民に広く読まれるべき本だ。
 大前氏はオバマ大統領の誕生を歓迎する。しかしそれでも米国の再生は難しいだろうと断言する。そして米国が再生するためには次の三つの提言をオバマ大統領は取り入れろという。その一つは世界に向けてアフガン、イラク攻撃などで多大な犠牲者を出し世界を戦争に巻き込んでしまったこと謝罪することだ、金融詐欺で世界経済を崩壊させたことを謝罪することだという。
 その二つは、単独主義の傲慢さをあらため、米国は世界の一員として国際社会の合意を尊重する国になれという。国連にかわる新しい新世界構想をつくり、その一員としてその合意に従う国になれという。
 極めつけは三つ目である。米国は日本に押し付けた平和憲法9条をいまこそ米国自身に導入しろという。
 米国を理解し、米国資本主義を信じて活躍してきた大前氏がこのような事を書くようになったのだ。これは驚くべきことだ。私は、「さらばオバマ」に書かれている大前氏の米国の分析に賛同する。米国を救う提言に共鳴する。一読に値する本だ。

 2009年2月20日発行 第0065号

 千野境子産経新聞元取締役の人事官任命に異を唱えた民主党を評価する


 20日の各紙は、民主党が19日の役員会議で、政府が提示した千野境子産経新聞特別記者(元取締役)の人事院人事官任命に同意しない事を決めたと報じている。「人事官3人のうち一人がマスコミ(出身者)の指定ポストになっており、ふさわしくない」(安住淳国体委員長代理)という理由からだ。
 私はこの民主党の判断を高く評価する。メディアはこのニュースをもっと大きく報じるべきだ。そしてこの民主党の決定が示した大きな意味を国民に解説すべきだ。
 私が代わりにそれを述べる。権力者たちによる人事のたらいまわしがこれからはやりにくくなるということだ。国民がそれを知って怒り出せば、政党は動かざるを得ない。いつまでたっても結論のでない公務員制度改革を待つよりも、国民の怒りが権力者の人事を左右する、そういう時代がすぐそこまで来ている。

 2009年2月21日発行 第0066号

 大前研一のアメリカ版憲法9条提言ふたたび


 20日のメルマガ第64号で私は大前研一がその最近著「さらばアメリカ」で、アメリカ版憲法9条を提唱したことを高く評価した。これに対して読者からすかさず批判的反応があった。 「大前研一は新自由主義を唱える人物であり、そんな人物が憲法9条を提唱したからと言ってそれを称賛するのは納得できない」という批判である。それでも私は大前氏を評価する。その理由の背景には私の次のような現状認識がある。
 私は今の米国の経済危機は極めて深刻であると考えている。そしてそれは米国の戦争と不可分であり、米国は自らの経済危機を克服するには戦争をやめなければならないと考えている。1929年の大恐慌を米国が克服したのはルーズベルト大統領のニューディール政策のためではなく、第二次大戦に
参加したからだという説があるが、私は米国が今戦争を起こしてもその経済効果は少なく、むしろますます米国は経済破綻に追い込まれていくと考えている。
 米国がこれ以上戦争国家になることでそのしわ寄せを一番負担させられるのは日本である。ただでさえ国民生活が危機的状態になりつつあるときに、日本がこれ以上米国の負担を肩代わりさせられるなら日本は壊滅する。何があっても米国の戦争をやめさせなければならない。それが無理なら米国の戦争にこれ以上かかわってはならない。それが私の認識であり、私が憲法9条を世界に宣言し、日米軍事同盟から自立する事を主張する理由はそこにある。
 だから大前氏の提言のごとく米国が戦争国家から脱却する事こそ米国も日本も救われるという考えだ。問題は米国は大前氏の提言を受け入れない、受け入れられない国である、ということだ。そこにオバマ大統領の悲劇がある。それでも私はオバマ大統領を応援する。これも大前氏と同じ立場である。

 2009年2月22日発行 第0067号

 仲間内で褒め合っていては真実は語れない


 2月22日の新聞に気にかかる二つの書評を見つけたので書く。一つは毎日新聞書評欄に見られた五百旗頭 真 防衛大学校長(神戸大学名誉教授)の田中均著「外交の力」(日本経済新聞出版社)に関する書評であり、もう一つはもう一つは産経新聞書評欄の佐藤優が書いている「岡本行夫 現場主義を貫いた外交官」(朝日新聞)についての書評である。
 私はいずれの著書も読んでいる。二人を知っている。田中氏は私の同期だ。岡本氏は私の一年先輩だ。彼らの言動をすべて批判的に言うつもりはないが、これらの書評はあまりにも褒めすぎだ。何も知らない一般読者をごまかせても私を誤魔化すことは出来ない。仲間内で褒め合っている限り真実を語ることはできない。
 それにしても佐藤氏の最近の豹変振りには驚かされる。御用学者の五百旗頭氏が田中氏の著書を宣伝するのはわかる。しかし国策捜査の悪を暴き、外務省の犯罪的工作を批判して世にでた佐藤氏が、最近は一部の外務省OBに迎合するようになった。しかも彼らは決して反骨の外務省OBではない。世に受け入れられ、体制側に立つ者ばかりだ。
 佐藤氏の見事な転進である。それだけ彼の境遇が恵まれてきたということだ。世の中に堂々と出られるようになったということである。それに伴って体制側につくようになる。私はそれを危惧する。世の中を正しくない方向に洗脳する事をしてはいけない。佐藤氏は世の中のためになる正しい生き方をしなければならない。

2009年2月23日発行 第0068号

  中谷巌氏の評価がどこまでひろがるか注目したい


 私は昨年12月19日のブログで、「ついに小泉構造改革の誤りを認める人間が政府側から出るようになった」と題して、中谷巌氏のことを評価した。その後中谷氏の懺悔の書は新聞や週刊誌の書評で取り上げられ、中谷氏自身の寄稿文やインタビュー記事も新聞や雑誌に頻繁に出るようになった。しかし中谷氏は本当に評価されているのか。

 2月18日の産経新聞「正論」の中で中谷氏が述べている次の言葉に私は注目した。

  ・・・(私の著書に対しては)、多くの方々から「よく言った」、という
賛同と同時に、「時流におもねっている」、「いまさら何を」、「守旧派に
肩入れする裏切り者」といった多くのご批判もいただいた・・・

 この言葉のもつ意味は重い。体制側を批判する事がどれほど勇気がいることかを示している。正しく評価される事がいかに難しいかを示している。そして体制側に都合の悪いことはたくみに無視される事を示している。

 小泉構造改革の弊害が日本を苦しめたことがここまで明らかになったにもかかわらず、小泉・竹中への批判はいまだタブーの如くだ。それは体制側に、いまだに誤りを認めることを潔しとしない風潮があるからだ。その代表格が大手メディアである。だから大手メディアはいまだに小泉構造改革を批判しない、
できない。竹中平蔵が今でも大きな顔をして改革が不十分だからこうなったと言い続け、それをテレビが流し続ける。小泉が出てきて郵政解散で得た三分の二の重みを考えろと叫べば、それが大きく報道される。本来ならば彼らは国民から石をぶつけられ、二度と世間に顔向けできないはずではないのか。

 その一方で小泉構造改革を批判してきた者たちは、中谷巌氏がかつて小泉構造改革を唱えた一人であるという先入観で、彼の懺悔の書をろくに読むことなく、彼を正しく再評価しないでいるようだ。つまり中谷巌氏は、体制側からは「裏切り者」と呼ばれ、反体制側からは「今更なにを」と批判されているかのごとくだ。かくいう私もそういう思いを持った一人だ。少なくとも彼の「懺悔の書」を読むまでは。

 週末を使って中谷氏の「小泉改革の大罪と日本の不幸」を通読した。そしてあらためてこの書を再評価した。この書は私が知る限りでは、小泉構造改革を批判するこれまでのどの書よりも厳しい小泉批判の書である。そしてそれは単なる批判の為の批判の書ではなく、本物の小泉・竹中批判の書である。中谷氏は正しく評価されなければならない。その時はじめて小泉・竹中の構造改革路線が日本から消えていくことになる。日本が正しい方向へ軌道修正されていくことになる。

2009年2月23日発行 第0069号

 中川財務相泥酔報道が示すもう一つの問題点


 嵐のごとく報道された前代未聞の中川財務相泥酔事件もさすがに一段落した感がある。しかしこの問題のもう一つの隠された問題点を見落としてはならない。
 それは何か。権力者と報道関係者の間で暗黙の了解、もたれあいがあるということだ。あの事件は報道関係者の多くが知っていた。しかし中川氏を追い込むことになるから書かなかった。その暗黙の了解を破って2月18日の毎日新聞が検証ローマの2日」で暴露した。そこから一気にひろがった。いや、もっと正確に言えば外国のメディアが映像入りで大きく流したから毎日新聞も書いたのではないか。

 政治記者の書いたものを読んでいると、「もう時効だから(時間が立ってそろそろ書いてもいい頃だろうから)書くことにするが・・・」というきまり文句に出くわすことがある。これこそがまさに権力者と報道関係者の取引を物語っている。書かないことを前提に情報をもらう、あるいは今後も情報を
もらわなくてはならないので権力者に決定的な打撃を与えるような記事は抑える、
こういう現実があるのだ。

 偶然にもその好例を2月22日の毎日新聞にみつけた。潮田道夫論説委員の
「千波万波」の書き出しはこういう言葉から始まっている。

 ・・・ブッシュ前大統領は何度か、次のような趣旨の演説をした。
「米国は敵だった日本を打ち負かし(日本を)民主国家に再建した。今では
同盟国だ。イラクもそうなるだろう・・・」。彼は(ブッシュ前大統領は)
発言前に、当時首相だった小泉純一郎氏の了解を得ている・・・

 そしてその後潮田論説委員は、「米国の保護者意識が鼻につく。占領期に関しては日本人には愛憎こもごもの複雑な思いがある。それを知らないはずはない。礼を欠く」と怒っている。

 思い出してほしい。ブッシュ前大統領の発言はもっと日本を侮蔑したものもあった。なかには日本をナチやテロリスト国家のごとく表現していたものがあった。潮田氏ならずとも多くの日本人は不快感を持ってそれを読んでいたに違いない。

 しかしその発言をこの国の首相が了解していたとしたらどうだ。その事が当時の報道で国民に知らされていたらどうだったか。小泉・ブッシュの関係はここまで従属的であったのだ。

 ブッシュも小泉も引退した今になった、潮田氏はそれを書いたのだ。書きたくてしかたなかったが当時は書けなかった。書くべきではないと自粛した。しかしいつかは国民に知らせなければならない重要な情報である。だからこういう形でサラリと書いて、当時書かなかった事に対する免責を自らに与えているのだ。もっとはやく書いて置けよと言いたくなる。


 読者のみなさんへ

 メルマガの購読者になりたいがクレジットカード以外の支払い方法を受け付けてくれと言う問い合わせが寄せられます。残念ながらまぐまぐ社においてその対応が出来ないようです。その代わりに要約をお届けしています。少し日にちがずれますが、問題点の指摘は鋭く続けていきますのでご了解ください。このブログ読み続ける限り新聞を読まなくても世の中の主要な動きはわかる、そういう自負を持って書き続けていきます。

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2009年02月19日

天木直人のメールマガジン 要約 2月17日ー19日分

天木直人のメールマガジン 要約 2月17日―19日分

 2009年2月17日発行 第0060号

 奥谷禮子が強気発言を続けられる理由

 奥谷禮子はかつて派遣社員を切り捨てるような発言をして世間の反発を買った。その後しばらく静かだった。しかし、派遣社員問題が大きな社会問題となり、政治問題になってからメディアに露出する機会が増えた。しかも強者の論理を臆面もなくかざすようになった。あたかも開き直ったごとくだ。ヒール役を買って出ているようだ。
 この現象について週刊現代2月28日号で保守評論家の福田和也が見事に次のように語っている。

  「・・・ザ・アールの従業員は、90人足らずであり、売上高は、35億円であって、いわゆる中小企業の域に納まるものだ。その社会的な輝きの大きさと、本業のつつましさのコントラストについては、こもごも考えざるを得ない・・・小企業の社長ながら、財界人なみの存在感を奥谷が有しているのは、大企業の経営者たちの本音を、自らの言葉であけすけに語ってみせるからだろう」

 なるほど、納得できた。奥谷の強気の発言の裏には財界重鎮の庇護があるのだ。いや、財界だけではない。おそらく今の日本の勝ち組はみな、内心では奥谷のような考えを心の底に秘めているに違いない。奥谷の発言を内心歓迎しているのだ。
 日本社会はその意識においても格差社会になってしまった。世論が分断されているのだ。政治が大きく変わらない、変われない理由がそこにある。

 2009年2月17日発行 第0061号

 小沢民主党代表の外交に苦言を呈する

 今回のヒラリー米国務長官の訪日は戦後の日米外交史に残るあわれな訪日となるだろう。その理由はカウンターパートである中曽根外相の存在感のなさである。これほど顔の見えない外相はかつていなかった。外務官僚の振り付けどおり口を動かして終わるだろう。 それに何といっても麻生首相だ。もはや会談どころではない。
 しかし今日のメールマガジンはそのような自民党政権の無能さを書く事が目的ではない。これほどの外交チャンスが到来しているというのに、そのチャンスを活かせない政治家小沢一郎に対する苦言と、その小沢党首に正しい外交を助言できない民主党幹部の非力について書く。
 私が驚き、失望したのは、17日の朝日新聞の記事を読んだ時だ。小沢代表は16日放送のラジオ番組で、オバマ新政権がアフガンへ米軍を増派する方針について、「いくら増派したって絶対勝てない」と話したという。 日米同盟関係の根幹に関わるこのような重大発言を、オバマ大統領やヒラリー国務長官という責任者のいないところで、しかもメディア通じて国民に知らせる形で、口にする事は、外交的には最もやってはいけない事なのである。
 こうなった以上小沢民主党代表は今晩のヒラリー国務長官との会談で、この事をはっきりと伝えなければならない。おそらくヒラリー国務長官のほうから確認してくるに違いない。あの発言の趣旨はどういう事かと。そう聞かれる前に、小沢党首のほうから先に言い出さなければならない。そしてその時にあれは本心ではなかったと釈明するのか、アフガン増派はやめたほうがいい、と直言するのか、どちらの方向であるにせよ、もう一度慎重に考え、覚悟を決めて、それをはっきり伝えるべきだ。
 17日の朝日新聞の記事は最後にこう書いている。
「・・・(小沢氏は)顔合わせと位置づけており、日米同盟重視の姿勢を示しつつ各論には踏み込まない見通しだ」、と。 もしこれが事実であれば政治家小沢一郎は外交力が欠如した政治家ということになる。かげで強がりを言い、本人を目の前にして何も言わない、最悪の外交をおかすことになる。

  2009年2月18日発行 第0062号

  事実がすべてを語る(中川財務相辞任騒動に思う)

 中川財務相ヘロへロ発言大騒動についてどうしても一言書いておかねばならない。そう思わせる新聞記事を今朝18日の毎日新聞に見つけた。中川昭一財務大臣の「検証 ローマの2日」という記事である。そこには次のように書かれていた。

 ・・・中川氏は午後1時50分まで予定されていた昼食会を1時ごろに途中退席し、宿泊先のホテルにもどった。予想外の行動に財務省同行筋は対応に追われた。中川氏はホテルの1階のイタリアレストラン「ドニー」に移動、財務省の玉木林太郎国際局長や日本から同行した女性記者など数人で会食した。
レストランの支配人によると赤のグラスワインを注文・・・中川氏が昨年9月の財務相就任以降、G7などの海外出張では同行の女性記者を集めて飲食を行なう事が恒例化していた。今回も、中川氏と麻布高校の同期で東大法学部の同窓でもある玉木局長が一部の女性記者を招いたという・・・(飲食後の)
午後2時50分から同ホテル内でロシアのクドリン財務省と会談、(その際)言動に不安定さも見られた・・・午後3時45分からの内外記者会見の前にはすでにロレツがまわらない状態だった・・・

 私はかねてより、「凡庸な百の解説よりも一つの事実のほうが物事を雄弁に語ってくれる」と強調してきた。もしこの新聞記事が、中川財務省の記者会見の映像が流された直後に、一斉に大手新聞の報じるところとなり、国民の前に示されていたら、中川財務相の無用な弁解など吹っ飛んで、即刻辞任に追い込まれていただろう。そうすればこんな馬鹿騒ぎも続かなかったに違いない。かんぼの宿疑惑問題とか、日米首脳会談で飲まされた日本の膨大な負担とか、国民がもっと知るべき重要な事が報じられていたはずである。

 2009年2月19日発行 第0063号
 
 小沢氏の対米政策は間違いだ

 小沢・ヒラリー会談で小沢氏は何を語ったのか。報道されている事が正しければ、それはこういう事だ。
 「私は日米同盟が何よりも大事だとずっと以前から唱えていた。ただ、
同盟は従属の関係であってはならない。対等なパートナーシップでもって
初めて同盟だ」(18日朝日新聞)
 「まず、両国で、本当に同盟国として、世界政策を、世界戦略をきちんと話し合って、その合意を得た上で、個別の問題について対応していくことが大事じゃないかと。今までのわが国政府は、自らの主張をきちんと主張し得ないところに問題があったのではないかと」(18日産経ネットニュース)

 小沢氏のこの発言は、一見すると自民党政権の対米従属政策と一線を画す立派な対米外交のような印象を与える。しかし、米国という国の実体を知っている者なら、この発言がいかに間違っているかがわかる。

 まず第一に米国の重視する日米同盟とは日米軍事同盟であるという事だ。そして日米軍事同盟関係において対等はありえない。米国はそれを認めない。日米軍事同盟関係とは、本質的に不平等、従属的なものである。

 二つ目に、小沢氏は米軍の再編問題については日米間で世界政策、世界戦略を話し合い、合意した上で対応していく、と言っているが、米国が自らの世界戦略、安全保障政策を他国と話し合って決めるなどということはあり得ない。ましてや日本の考えなど聞くはずはない。

 重要な事は、対等ではなく自主、自立なのである。日米関係は対等ではない。日本は米国より弱小である。しかし弱小と従属とはまったく異なる。重要な事は弱小でも従属にならないことである。自主、自立した外交を行うという事なのである。

 そして対米関係において自主、自立ができる唯一の道は、憲法9条を掲げた平和外交を貫く事である。
 戦争国家米国から自主、自立し、日本は平和国家を目指すと宣言したとたん米国は日本を見捨てると日本人の皆がそう思いこまされている。しかしそれは大きな誤りだ。根拠なき思い込みだ。確かに米国は失望するだろう。不快感を示すだろう。だからと言って米国が日本を見捨てて中国と手を結べるか。 外交戦略として米国はそう脅かすかもしれないが、その時こそ日本は世界に向かって宣言すればよい。平和国家を目指すと言ったとたん、米国は日本をもはや同盟国と見なさなくなった。それは残念だ。しかし米国が日本を見捨てるなら仕方がない。その代わり日本は世界を同盟国として平和国家日本を目指す、と。

 日本はもっと自らに自信を持つべきだ。自主、自立の胆力を持つべきだ。その重要性に気づいた時、日本は初めて正しい日米関係を築くことができる。小沢民主党代表は、いたずらに米国を刺激して反発を買うような真似をやめて、世界が納得する対米外交を唱えるべきである。


  お願い

  一人でも多くの読者に「天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説」(http://premium.mag2.com/lineup/P0007564/)の仲間に入っていただきたいと思っています。どうすれば日本が強く、正しくなれるか、一緒に考えていきたいと考えます。
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2009年02月16日

天木直人のメールマガジン 要約 2月13日ー16日分

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 2009年2月12日発行 第50号 役にたたない人間などいない

 こころがなごむ記事を見つけた。2月11日の読売新聞一面に「はたらく」という連載が始まった。その第一回「いきがい」という見出しの記事は、次のような言葉ではじまっていた。「東京タワーが開業50周年を迎えた2008年12月23日、多摩川に近い川崎市高津区の工場で、もう一つの50年を祝う拍手が響いた。社員らの笑顔の輪の中心で涙ぐんでいるのは林緋紗子さん(64)。チョーク製大手の日本理化学工業が半世紀前、初めて採用した知的障害者2人のうちの1人だ・・・」
 その読売新聞の記事は、15歳の時に養護学校から職業体験に来た林さんと、その林さんを取り囲む工場の人たちの情景を次のように活写する。・・・休憩のチャイムに気づかないほど夢中に働いた。そのいちずさが同世代の子を持つ社員の胸を打った。2週間たった最終日、採用を考えていなかった人事担当者を社員たちが囲んだ。「私たちが面倒をみますから、一緒に働かせてあげて」
 私が感動したのは、その後に続く次の文章である。「知的障害者は、人の幸せとは働くことなのだと私に気づかせてくれた。企業はもうけることも大事だが、人に働く喜びを与えられることが大きい」、と日本理化学工業の大山泰弘会長(76)は話す。 障害者の雇用拡大に迷いがあった頃、禅寺の僧侶に教えられた。「人の幸せは四つ。愛され、褒められ、役に立ち、必要とされること。働くことで少なくとも三つ手に入るんだよ」と・・・極めつけは大山会長の次の言葉だ。「役に立たない人間なんているものか」。 見事な言葉ではないか。そしてその言葉に、同じように見事に答えたのが冒頭の林緋紗子さんだったのだ。大山会長と林さん、そして林さんを支えた社員の皆さんへ、心からの拍手を送りたい。
 
2009年2月12日発行 第0051号

 新聞は本当の事を書かない

 新聞に流される記事が嘘だとは言わない。報道記事は最小限のニュース源として意味はある。しかしそれを無批判に読み流して信じると危険である。時として新聞は間違った事を平気で書く。その例を今日12日の新聞で説明してみる。
 各紙はイスラエルの総選挙の事を報じている。どの記事も右派勢力が躍進してパレスチナ問題の和平が遠のいたという記事ばかりだ。和平を進めようとするオバマ政権に痛手と書き、パレスチナ人の間で悲観論が広がったと書く。しかしそれは不正確だ。イスラエルという国は例外を除いてすべての政党が対パレスチナ強硬派である。9割もの国民がイスラエルのガザ攻撃を支持している。そのような国にあっては、どの政党が政権を取ったところで基本的な対パレスチナ政策は変わらない。むしろ和平派といわれる政党が政権を取った時ほど強硬策をとる傾向がある。なぜならば宥和政策を取ると国民の支持を失うので、いきおい強硬策をとらざるを得ないからである。そもそも今度の選挙では、強硬派が伸張することは想定されていた。選挙結果には何のサプライズもない。むしろオバマ政権がアフガン攻撃を本格化すればパレスチナ情勢も悪化する。イスラエルの選挙結果いかんにかかわらず、中東和平が好転する兆しはない。メディアはその事を書くべきなのだ。
 「あの時多くの国民は知らなかった」という麻生発言のどこが間違っているというのか。
間違っているとすれば小泉元首相すら中味を知らなかった、関心がなかった」と付け加えなかった事ぐらいだ。2月11日の産経新聞「単刀直言」の中で亀井静香国民新党代表代行が次のように述べていた。その言葉こそもっと報道されるべきだ。国民は皆そう思っている。
「・・・太郎ちゃんが首相として生き延びるには、小泉政治の罪状をざんげすればよかった。米国のサブプライム・ショックが象徴しているけれど、ネオコンや強欲資本主義は破綻した。小泉政治はネオコン政治のコピーでしょ。小泉に降伏し、チェンジできなかったのが麻生宰相の悲劇だ。郵政民営化も間違いだったのだから、グズグズ言っていないで見直すしかないんだよ」

 2009年2月13日発行 第0052号

  独立外交官に未来の夢を託したい

  13日のブログで既報

2009年2月13日 第0053号

 小泉元首相は最後に大失敗をおかした
 
  13日のブログで既報

2009年2月14日 第0054号

 小沢・ヒラリー会談に注目せよ

 ヒラリー・クリントンの訪日をあさってに控えているというのにそれに関する事前の報道がまったくない。そう思っていたら、2月13日の日経新聞社説が小沢・ヒラリー会談について書いていた。この日経の着眼点は鋭い。実は今回のヒラリー国務長官訪日の隠された目玉は小沢・ヒラリー会談なのである。米国はすでに政権交代を視野に入れている。だから麻生首相との間でどのような約束をしようとも、それが小沢民主党政権に引き継がれなければならない。ヒラリー国務長官が小沢代表との会談を申し入れた理由はそこにある。ヒラリーは小沢一郎に念を押すのだ。凄んで見せるのだ。日米同盟の重要性についてはわかっているだろうな、と。麻生自民党の約束を間違いなく引き継ぐだろうな、と。駐留米軍経費の負担や普天間基地の受け入れに変更はないだろうなと。アフガンでの対テロ戦争に協力するだろうな、と。
 果たして小沢民主党はどう答えるつもりか。そもそも小沢一郎はヒラリー国務長官との会談に応じるのか。いまだに小沢一郎がヒラリーからの会談要請を受け入れたという話は聞かない。小沢一郎は会談に応じるべきである。そして前シーファー駐日大使との会談の時のように国民に見える形で堂々と会談すべきである。対米外交はとても重要であるから、国民の声を背にして、国民外交で行なう、といえばいいのだ。小沢代表にはそこまでの覚悟を持ってもらいたい。そんな小沢代表に、2月13日の毎日新聞にでていた米カリフォルニア大学サンディエゴ校名誉教授であるチャルマーズ・ジョンソン氏の次の言葉を贈りたい。小沢代表はよく読んでおくことだ。
 「・・・日本に容易ならない仕事をさせる圧力がきっとかかってくるだろう。日本は強く抵抗すべきだ。憲法9条を捨ててはいけない。それが理想主義を呼び起こし、日本に役立つ最善の方策だ・・・ 」

 2009年2月15日発行 第0055号

 小泉・竹中売国奴構造改革を追及したTBS時事放談

2月15日のブログで既報

2009年2月15日発行 第0056号

  谷公士人事院総裁が超強気な理由

 何故谷公士人事院総裁はあれほど強気でいられるのか。あたかも公務員改革など出来はしないと高をくくっているかのようだ。そしてそれをメディアも叩かない。その答の一つを矢野絢也元公明党委員長が週刊新潮の自らの連載「永田町を斬る!」(2月19日号)の中で次のように明らかにしていた。
・・・谷総裁が超強気な理由は・・・総裁を含む人事官3人のうち一人は報道機関の幹部経験者の指定ポストで、毎日、朝日、読売、NHK,日経の退職幹部が歴任してきたという経緯がある。だから、閣僚経験者は「報道機関が人事院を批判できるわけがない」と言い、自民党元幹部は「谷氏はそこも
充分読みきっている」と言う・・・
 これは鋭い指摘だ。一言で言うとこの国の支配者たちの人事が、仲間内でたらいまわしにされているという現実である。国民には分からないところで、支配層の敵も味方も、人事の貸し、借りで、完全につながっているという事である。みながお友達なのだ。誰も恨みを買いたくない。この国で本当の正義を実現する事は容易ではない。国民運動が盛り上がる時しかない。

2009年2月16日発行 第0057号

 嘉手納基地に米国がテポドン2号監視装備を配備した事の意味

 2月15日の産経新聞は一面トップで米国が嘉手納基地に北朝鮮の「テポドン2号」監視機コブラボールを緊急配置したとスクープした。この事がなぜ大きな問題なのか。それは日米安保体制がもはや完全に米国の防衛政策の為にある事を端的に示しているからだ。安保体制はもはや共産主義の脅威から日本を守るものではない。そもそも今の安保体制はとうの昔に日本を守るものではなくなっているのだ。もちろん憲法9条は否定されている。
 北朝鮮が発射準備を進めているとされるテポドン2号改良型は、米国西海岸まで届く射程1万キロ以上とされている。それは決して日本を攻撃するためのミサイルではない。明らかに米国を牽制するものだ。だからこそ米国はそれを監視するのだ。米国が保有している3機のうち2機までもが、日本に向けて相次いで飛来してきたのだ(2月15日読売)。
 このような重大な作戦が行なわれているという事を、なぜ大手新聞は国民に教えないのか。テレビは報道しないのか。なぜ護憲政治家は憲法9条違反のこのような米軍の行動を国会で取り上げようとしないのか。

 2009年2月16日発行 第0058号

 小泉元首相はロシアで何をしているのか

 麻生批判発言をした直後にロシアに飛び立った小泉元首相。言いだしっぺ不在の間にその発言をめぐって盛り上がっているメディアの滑稽さは耐え難い。しかしそれよりも何よりも、どの報道も小泉元首相がロシアに何をしにいくのかを一切流さない。
 そう思っていたら2月15日の産経新聞が、今回のロシア訪問は自ら顧問を務めるシンクタンク「国際公共政策研究センター」(田中直毅理事長)の派遣によるものだと伝えた。それでガテンが言った。ろくな訪問ではない。恥ずかしくて報道できないのだ。
 そもそもこの国際公共政策研究センターなるものは小泉元首相が総理を辞めた直後の06年10月につくられている。当時の報道の中には、当時の奥田日本経団連会長が音頭をとり、キャノンであるとか東京電力であるとか新日鉄であるとか、主要大企業80社くらいから合計20億円を集めてつくられるものだと教えてくれているものもある。 その後、国際公共政策センターがどのような形でスタートし、今日までどのような実績を重ねてきたかはまったく報道されていない。そのHPをのぞいて見て驚いた。理事長である田中直毅という御用学者一人が断片的なブログを配信している程度でまったく実績がない。実体がない。文字通り小泉元首相のためにつくっただけの組織だ。世界に誇れるシンクタンクを目指すという謳い文句が虚しく聞こえる。 大企業の派遣切りが社会問題となり、企業の膨大な内部留保が雇用確保に使われるべきではないかといった論争がなされている。その一方で企業はこんな愚にもつかない組織に一社数百万円から一千万円もの捨て金を寄付させられている。しかもその寄付金はカネに困らない連中の報酬や外遊に浪費されているのだ。壮大な天下りだ。

2009年2月16日発行 第0059号

 米国の戦争にどこまで国民の血税を差しだせば気が済むのか

 2月16日の二つの新聞記事は国民必読の記事である。「この国の指導者たちは米国の戦争にどこまで国民の血税を差しだせば気が済むのだろうか」という思いで私はこれを読んだ。おりしもクリントン米国務長官の訪日のタイミングに書かれた記事である。日米同盟重視の大合唱の裏で、日米関係の本当の姿がこの二つの新聞記事に表れている。
 2月16日の朝日新聞は一面トップに大スクープを掲載した。政府が09年度予算案に計上している在沖縄米海兵隊グアム移転経費346億円のうち、海兵隊の移転とは全く関係のない米軍基地関連事業経費174億円が含まれている、というスクープである。
 もう一つは同じく2月16日の毎日新聞である。そこに米ライシャワー東アジア研究所長ケント・カルダー氏のインタビュー記事が出ていた。彼は、「安保面で日本に期待されるものは」という問いに答えて次のように述べていた。
 「・・・例えばキルギスが閉鎖を発表した米軍基地の問題だ。アフガニスタン
の補給拠点で、非常に重要な基地だ。この問題は(キルギスに支払う賃貸料を巡り)
まだ交渉の余地がある。金融危機に喘ぐキルギスにとって日本は重要な援助国。
問題解決のため水面下で働きかけることができる。軍事的ではないが感謝される
貢献だ・・・」
 奇しくも2月16日の東京新聞に次のような記事を見つけた。
 「・・・米国はキルギスとの交渉を継続するとしており、(基地閉鎖の決議
にもかかわらずその手続きが遅れているのは)、水面下で米国との交渉が始まった
との見方がある。ただ、その場合もキルギス側が基地使用料の大幅値上げなど
を要求するのは必死で米国は難しい対応が迫られることになる。」
 毎日新聞と東京新聞の見事な一致である。米国は日本にこの経費負担の肩代わりを迫っているのである。
 朝日のスクープといい、カルダー氏の発言といい、一体どこまで日本国民の血税を米国の戦争に貢げばいいというのか。

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