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2009年02月12日

 天木直人のメールマガジン 要約 2月11日ー12日分

 天木直人のメールマガジン 要約 2月11日―12日分

 2009年2月11日発行 第0049号

 麻生叩きの裏で隠される「かんぽの宿」疑惑


 賢明な読者なら気づいているだろう。メディアの麻生叩きの裏で「かんぽの宿」疑惑が隠されようとしているのではないか、と。

 私の、見立てはこうだ。もし麻生発言がなければ、今ごろメディアは「かんぽの宿」疑惑一色の報道になっていただろう。そしてそれに伴い「かんぽの宿」疑惑は平成の大疑獄につながっていったかも知れない。サンデー毎日最新号(2月22日号)はついに、郵政民営化に反対し更迭された当時の郵政官僚の証言を掲載し、「かんぽの宿」一括オリックス譲渡は、平成の「官有物払い下げ事件」だ、とまで言わしめている。「こんなに早く民営化のほころびが出るとは思わなかった」とまで言わしめている。

 「かんぽの宿」疑惑の真相が国民の前に明らかになれば、それは単に郵政民営化問題の是非などという瑣末なことではなく、その根本にある小泉・竹中構造改革の不正が明らかになる。それを支え続けた大手メディアの罪が糾弾される事になる。

 そこに降って湧いた麻生首相の郵政民営化否定発言だ。構造改革派は一斉にこれに飛びついて麻生批判を始めた。メディアも一斉に麻生発言を批判する。テレビのコメンテイターもすべて麻生批判をする。それにつられて、何も分からない国民までもが麻生たたきに加担する。小泉・竹中の構造改革こそ格差をつくった元凶であると批判してきた野党まで、麻生政権打倒を優先して麻生叩きに加担する。かくして麻生たたきの影に隠れる形で「かんぽの宿」疑惑が矮小化されていく。

 果たして「かんぽの宿」疑惑はこのまま終わってしまうのか。それとも小泉・竹中構造改革の罪が国民の前に暴かれていくのか。それをメディアはどう報道していくのか。みどころは満載である。


  2009年2月12日発行 第50号
 
  役にたたない人間などいない

 こころがなごむ記事を見つけた。腹立たしい記事が多い中で、一筋の希望が差し込むような記事だった。2月11日の読売新聞一面に「はたらく」という連載が始まった。その第一回「いきがい」という見出しの記事は、身体障害者を雇う町工場の次のような心温まる話だ。

 「東京タワーが開業50周年を迎えた2008年12月23日、多摩川に近い川崎市高津区の工場で、もう一つの50年を祝う拍手が響いた。社員らの笑顔の輪の中心で涙ぐんでいるのは林緋紗子さん(64)・・・50年前、15歳の時に養護学校から職業体験に来た林さん・・・休憩のチャイムに気づかないほど夢中に働いた。そのいちずさが同世代の子を持つ社員の胸を打った。2週間たった最終日、採用を考えていなかった人事担当者を社員たちが囲んだ。「私たちが面倒をみますから、一緒に働かせてあげて・・・健常者に比べれば、作業を覚えるまで時間はかかる。記憶したり数えたりすることも苦手だ。でも、明るい笑顔が職場を照らす。ハンディのある人を支えようと社内に一体感も生まれた・・・それから50年たって林さんはもうすぐ定年を迎える。

 林さんを雇った日本理化学工業は、川崎と北海道美唄市に工場を持ち、チョーク製造では全国シェア(市場占有率)30%を誇るトップ企業だ。全社員71人のうち知的障害者は7割超の54人に上る。「知的障害者は、人の幸せとは働くことなのだと私に気づかせてくれた。企業はもうけることも大事だが、人に働く喜びを与えられることが大きい」、と大山泰弘会長(76)は話す。「人の幸せは四つ。愛され、褒められ、役に立ち、必要とされること。働くことで少なくとも三つ手に入るんだよ」と話す。

 極めつけは大山さんの次の言葉だ。「役に立たない人間なんているものか」 見事な言葉ではないか。その言葉に林緋紗子さんは見事に答えた。大山会長と林さん、そして林さんを支えた社員の皆さんへ、心からの拍手を送りたい。

 
 2009年2月12日発行 第0051号

 新聞は本当の事を書かない

 新聞の記事が無意味だとは言わない。しかし、そこに流される報道記事は最小限のニュースでしかない。それどころか、新聞記事を無批判に読み流して信じると危険ですらある。間違っていることもあるからだ。その例を今日12日の新聞で説明してみる。

 各紙はイスラエルの総選挙の事を報じている。どの記事も右派勢力が躍進してパレスチナ問題の和平が遠のいたという記事ばかりだ。和平を進めようとするオバマ政権に痛手と書き、パレスチナ人の間で悲観論が広がったと書く。

 しかしそれは不正確だ。イスラエルという国は例外を除いてすべての政党が対パレスチナ強硬派である。9割もの国民がイスラエルのガザ攻撃を支持している。そのような国にあっては、どの政党が政権を取ったところで基本的な対パレスチナ政策は変わらない。むしろ和平派といわれる政党が政権を取った時ほど強硬策をとる傾向がある。なぜならば宥和政策を取ると国民の支持を失うので、いきおい強硬策をとらざるを得ないからである。そもそも今度の選挙では、強硬派が伸張することは想定されていた。むしろオバマ政権がアフガン攻撃を本格化すればパレスチナ情勢も悪化する。イスラエルの選挙結果いかんにかかわらず、中東和平が好転する兆しはない。メディアはその事を書くべきなのだ。

 相変わらず、郵政民営化否定発言をした麻生首相への批判が続いている。しかし「あの時多くの国民は知らなかった」という麻生首相の発言は正しい。読者のあなたは正しく理解していたか。今正しく理解しているか。そんな中で森喜朗元首相が「民営化が正しいと思った議員は、小泉純一郎元首相だけだった」と発言した。これも正しい。間違っているとすれば「小泉元首相すら中味を知らなかった、関心がなかった」と付け加えなかった事ぐらいだ。
 
 2月11日の産経新聞「単刀直言」の中で亀井静香国民新党代表代行が次のように述べていた。その言葉こそ大きく報道されるべきだ。皆が内心そう思っている事だからだ。

 「・・・太郎ちゃんが首相として生き延びるには、小泉政治の罪状をざんげすればよかった。米国のサブプライム・ショックが象徴しているけれど、ネオコンや強欲資本主義は破綻した。小泉政治はネオコン政治のコピーでしょ。小泉に降伏し、チェンジできなかったのが麻生宰相の悲劇だ。郵政民営化も間違いだったのだから、グズグズ言っていないで見直すしかないんだよ」

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2009年02月09日

天木直人のメールマガジン 要約 2月7日ー9日分

天木直人のメールマガジン 要約 2月7日―9日分

 2月7日発行 第0043号

 もはや私は朝日新聞に期待しない


 最近の朝日新聞の社説の体制化は目に余る。2月5日の日刊ゲンダイは、「赤っ恥!朝日新聞の迷走社説」と題して、「かんぽの宿」疑惑に関する朝日の社説の変節ぶりを糾弾していた。オリックスへの一括譲渡に「待った」をかけた鳩山総務相を「不当な政治介入だ」と徹底的に批判した(1月18日社説)のに、その後疑惑報道が相次いだとたん、1月31日の社説で「談合のような不正や不適切があれば話は別だ」と軌道修正した。
 朝日の社説の劣化はこれだけではない。甘利総務相と谷人事院総裁のバトルに見られる公務員改革についての2月4日の社説は「拙速では改革がゆがむ」という見出しの下に、麻生首相のわたり禁止の発言を批判し、「世間受けを狙った公務員たたき」だとか、「優秀な人材が集まらなくなる」だとか、まるで官僚が聞いたら泣いて喜ぶ公務員改革反対ぶりだ。
 1月28日の社説では、オバマ大統領のグアンタナモ収容所閉鎖発言を歓迎する一方で、
「釈放された拘束者がアルカイダ幹部となり爆弾テロにかかわるようになれば危険だ」、「この機会に反テロで国際的な連携を再構築していこう」、などと書いている。これは米国の言い分と同じだ。その米国に従属する外務官僚と同じ立場だ。 
 朝日新聞はもはやリベラル紙の雄ではない。エリート意識に固まった記者たちが幹部を占める、権力側に立つ新聞だ。

  2009年2月8日発行 第0044号

 質問主意書を正しく使って政治を変える

 2月7日の毎日新聞を読んで驚いた。政府はソマリア沖の海賊について実態を把握していないというのだ。これでどうして海上自衛隊の派遣を決定できたのか。この事は民主党の平岡秀夫衆院議員の質問主意書に対する政府答弁書で明らかになった。

 私は、もうずいぶん前のブログで、質問主意書は、使い方によっては野党議員の最強の武器となる、と書いた。そのメッセージが伝わったと見えて、それ以来質問主意書を使って政府の答弁を引き出す国会議員がてきめんに増えた。

 問題は政府の答えが不十分であることだ。そしてそれを質問した野党議員も、そんな不完全な政府答弁に怒る事なく、更に質問を繰り返すこともなく、終わってしまっている事だ。野党議員は厳しく追及すべきである。満足のいく答えを引き出すまで、何度も何度も、質問主意書を続けるべきだ。そしてそれを国民に知らせるべきだ。

 無所属議員よ。いっそのこと新党「質問主意書」党を立ち上げたらどうか。不勉強な議員のつまらない国会質問より、正しい質問主意書のほうがはるかに効果的であり、政府・官僚を震撼させる事となる。 国会議員一人でも、その意思と能力があれば、質問主意書を正しく使って政治を変えることができると思う。

 2009年2月8日発行 第0045号

 郵政民営化を否定した麻生発言の衝撃度

  麻生首相が5日の衆院予算委員会で郵政民営化を否定する発言をした。麻生首相の事だから軽率に発言したのだろう。また発言を修正して、腰砕けに終わる事になるだろう。

 しかし、今度ばかりは麻生首相に頑張ってもらいたい。小泉改革は間違いだ。郵政民営化は間違いだと、突っ張ってもらいたい。そうすれば今の政局に激震が走る。小泉改革を支持してきた大手メディアの横面をひっぱたく事になる。

 私は政権交代を望む。そしてこのままいけば民主党中心の政権交代が起きる。しかし民主党単独政権であれ、野党連立政権であれ、どのような政権が出来てもすぐに行き詰る。それは安全保障政策で小沢民主党が分裂するからだ。小沢民主党と福島社民党との矛盾も表面化するからだ。

 そして自民党だ。自民党は郵政民営化問題で間違いなく分裂する。小泉一派が怒り出す。

 このような政治状況であるからこそ、来年は再び総選挙があると言われている。衆参同日選挙だと言われている。政界再編が落ち着くまでには、さらに何度も総選挙を繰り返さなければならないとまで
言われている。そうであれば早く政界混乱が起きたほうがいい。もはや今のような混迷政局で何年も日数を費やしている余裕は今の日本にはない。

 麻生首相には小泉改革のシンボルである郵政民営化の是非を国民に問う形で解散・総選挙してもらいたい。そうすれば政局は一気に混乱する。政界再編が早まる。それでいいのだ。

  2009年2月9日発行 第0046号

 ヒラリークリントン国務長官の訪日がそんなにめでたい事か

  2月6日の東京新聞「本音のコラム」でノンフィクション作家吉田司が書いていた。 「・・・ブーツ・オン・ザ・グラウンドとか言われ自衛隊がイラクへ出兵したが、そのイラク戦争は間違っていた。ヒラリーは日本を間違った戦争に導いた同盟責任を謝罪してから入国すべきだろう。彼女の目的がアフガンへの
自衛隊再出兵命令なら、くそくらえだ・・・」

 そのとおりだ。

 しかし日本政府と外務官僚は在沖縄海兵隊のグアム移転に関する協定に署名し資金援助を約束する。パキスタン支援国際会議を日本で開催しますといって米国のテロとの戦いを助ける。ヒラリー国務長官は日本で真っ先に米軍横田基地にいく。日本の航空自衛隊を指令する場所だ。

 ヒラリー国務長官の訪日は何から何まで戦争がらみの訪日だ。日本がそのご機嫌をとって一方に負担するお土産ばかりだ。そんな訪日がめでたい事か。

 2009年2月9日発行 第0047号

 もう一歩踏み出す事の重要性

  2月9日の早朝のNHKニュース「おはよう日本」で日本のNGOグループが、イラクで癌におかされた女の子たちが書いた絵をあしらった包装紙でバレンタインチョコレートを販売しているというニュースを放映していた。

 それを見て衝撃を受けた。怒りを覚えた。癌で足を失った女の子が自分の姿を描いた絵が映し出された。笑顔のかわいい女の子だった。日本から贈られた義足をつけて歩けるようになったと喜んでいた。しかしやがてその子は癌で死んでいった。これは重大な事だ。これはとんでもなく悲惨なことだ。 このようなこどもたちがイラクに大勢いるという。それが米軍の使った劣化ウラン弾の犠牲者である事は明らかだ。

 チョコレートを販売するNGOはかわいそうなイラクの子供たちを助けようと善意の活動を行っているに違いない。そのことを報じたNHKのディレクターはきっとそのような活動をするNGOを評価し、その活動を全国の国民に知ってもらおうと番組で流したに違いない。そしてNGOもNHKのディレクターも劣化ウラン弾を使った米国を批判しているに違いない。

 しかし、今一歩の踏み込みがない。米国は劣化ウラン弾の使用を即時中断せよ、という言葉はない。罪もないイラクの子供たちにこのような苦しみを与えた米国に対する、ほとばしる怒りは感じられない。

 それを観た視聴者は、皆私のように驚きと悲しみと怒りをおぼえたはずだ。しかし皆私のように、それを見た後何も行動を取らないに違いない。それは決して何もしなくてよいと思っているからではない。何かしたほうがいいと思っても面倒なだけなのだ。他の誰かがやってくれるからいいと思って自分を納得させているのだ。あるいは何をしていいかわからないのだ。そうしてまた何事もなかったかのように日が過ぎていく。このテレビが流したニュースのことも忘れ去ってしまう。その間にも劣化ウラン弾は使われ続けていく。罪もない人々が犠牲になり、泣きながら、苦しみながら、死んでいく。

 
 2009年2月10日発行 第0048号

 拉致問題を解決困難にした政府と外務官僚の罪


  アジア記者クラブという有志の組織がある。本物の情報を得たい、真実を知りたいと思うフリーランスのジャーナリストやそれを支持する有志数名が集まって1992年にはじまった組織である。今では177名の会員を擁するまでになったという。
   その「アジア記者クラブ通信」の最新号(09年2月5日号)が私の手元に送られてきた。そこに元拉致被害者家族連絡会の副代表であった蓮池透氏の本年1月の講演録が掲載されていた。読み始めてすぐに引き込まれていった。一気に読了した。

 この蓮池透氏の証言こそ、拉致問題の真実を語る、日本で存在する唯一の、超一級の外交資料である。拉致問題についてはこれまでに、様々な立場から、様々な思惑で、語られ、書かれてきた。それらすべての正しさと誤りを、蓮池氏の講演は指摘してくれている。

 このメールマガジンでそのすべてを紹介する余裕はない。(興味のある方はアジア記者クラブに連絡し入手してもらいたい。連絡先は 電話兼ファックス03-6423-2452 メール apc@cup.comである)。

 一言で言えば拉致問題を解決困難にしてしまったのは日本政府と外務省の対応の間違いにあったという事である。すべての始まりであった小泉訪朝とその結果発表された「5人生存、8人死亡」のシナリオが北朝鮮と日本が事前に結託してつくりあげたもので、平壌宣言に署名した上で国交正常化に突っ走ろうとした。そのシナリオを世論の声に押されて政府・外務官僚が変更した時点で拉致問題は解決困難になってしまったのだ。政府・外務省の罪は深い。政府・外務省のいう事を垂れ流してきたメディアの責任は大きい。


 
筆者からのお知らせ。

私は「天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説」(http://premium.mag2.com/lineup/P0007564/)(日刊配信)の要約を、少し遅れて、ブログで配信することにしています。リアルタイムで詳細を読みたい方はご購読ください。登録初月は無料でご購読いただけます。購読の開始、中止はいつでも自由に、随時可能です。

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2009年02月06日

天木直人のメールマガジン 要約 2月3日ー6日分

天木直人のメールマガジン 要約 2月3-6日分

2009年2月3日発行
 
甘利行革相と谷人事院総裁の対立が意味するもの

 公務員改革をめぐって繰り広げられている甘利明行革相と谷公士
人事院総裁の対立は、大袈裟に言えば日本の将来を左右する問題である。
 政治がこの問題を正しく解決できなければ、この国の官僚支配は永久に続くだろう。そしてこの国の将来に明るい希望はもたらされない。
しかしこの騒動の結末は、多くの国民にとって失望なものに終わるだろう。
谷人事院総裁は官僚組織を代表し、官僚特権を守るために必死で闘っている。いまの政治家に、それに勝てる能力と覚悟を持つものはいない。朝日などの大手メディアも官僚に味方している。
官僚支配を打ち砕けるのは、官僚に踏みにじられた弱い国民たちの目覚めしかない。その怒りが爆発して政治家を動かす時だけである。

 2009年2月4日発行 

 ドミニク・ドビルパン前仏首相の言葉


 なつかしい人を見つけた。2月3日の朝日新聞がドミニク・ドビルパン前仏首相のインタビューを掲載していた。私にとってのドビルパンはやはり米国のイラク戦争に反対した仏の外務大臣としてのドビルパンである。ラムズフェルド米国防長官から古いヨーロッパと皮肉られた時、「そうだ、フランスは古い国だから、あえて米国の戦争に反対する」と切り返したあのドビルパンである。
 その彼が朝日新聞のインタビューで彼らしい言葉を発していた。
 「・・・戦争が避けられないとはっきり悟ったのは、国連安保理の外相級会合を翌日に控えた03年1月19日だった。その日私はパウエル米国務長官と会い、彼自身が戦争は避けられないと考えていると知った。私が米国に警告を発しようと考えたのは、この日からだった・・・私は米国で育ち、米国に親愛と尊敬の念を抱いてきた。ただ、人生と歴史の中では『ノン』と言える時がなくてはならない。あの時フランスはその使命を担っていた・・・」
 「・・・今は前例のない規模の危機だ。文明の転換期だ。新しい世界秩序には、新しい理念が必要だ。 新たな理念とは何か。私は『正義』であるべきと考える。不正義は暴力の源、テロの背景となる。不安定を助長し、ストレスを高め、屈辱心を植えつける。苦しむ人々について知り、不正義の存在に気づくことが、変化につながる。不正義をただすことで、『身勝手な力が世界を支配する時代は終わった』と内外に示すことができる・・・」
 
見事な言葉だ。このような言葉を吐ける政治家が一人でもこの国にいるだろうか。

 2009年2月4日発行 

  イスラエルを公然と擁護する佐藤優

 どうやら佐藤氏は自らをイスラエルの代理人である事についてそれを公開する事に踏み切ったようだ。開き直ったな。
  週刊プレイボーイ2月16日号の自らの連載「セカイを見破る読書術」の中で
彼はこう書いている。
 1.ハマスは9・11を引き起こしたアルカイダとつながっているテロ組織だ。
 2.ガザ攻撃の発端はハマスがイスラエルとの停戦協定を破ってロケット弾による先制攻撃をした事が原因だ。
 3.死に体であるブッシュ政権がイスラエルを支援できないと見越して、ハマスはイスラエル国家を破壊しようとした。
 4・イスラエルは、「全世界に同情されながら滅亡するよりも、全世界を敵にまわしてでも戦い、生き残る」という事を国是とする国家である。問題の根源はイスラエル国家の消滅を画策するハマスである。

いずれも大きな嘘だ。イスラエルが繰り返している情報操作だ。週刊プレイボーイの読者が無知な若者だとたかをくくってこのような事を書いているとしたら許せない。

その佐藤氏はご丁寧にも、パレスチナ問題を理解する為の本としてモサド前長官の証言「暗闇に身を置いて」(光文社)を推薦している。何から何までイスラエルの代理人になりきっている。

 2009年2月5日発行 第0039号

 在沖縄海兵隊グアム移転協定の締結を急ぐ外務官僚


 私は1月28日のブログで、外務省が米政府との間で「在沖縄海兵隊のグアム移転協定」を締結し、今の通常国会で承認を求める方針を決定した、という新聞報道について書いた。
その報道の裏に隠された深刻な問題を見逃すな、と警鐘をならした。
これは事実上の新日米安保条約の締結であり、対米従属を永久に固定化してしまう条約づくりである、と。それを急ぐ外務官僚の悪知恵、暴走である、と。
 その後この協定の事は2月2日の各紙で一斉に取り上げられた。しかし、
それは中曽根外相が沖縄の普天間基地を訪問し、仲井真沖縄県知事と普天間基地の移転問題について話し合ったという文脈で言及されているだけである。
これでは国民は何もわからない。記者の不勉強なのか、意図的な情報操作なのか、いずれにしても不十分な記事だ。
はっきりしている事は、混迷する政局のドサクサにまぎれてこの重要な条約がつくられようとしている事だ。
民主党は政権交代に忙しい。政権交代のために意見の分かれる安全保障政策がらみの問題はすべて先送りだ。
 本来ならば日米軍事同盟関係に批判的な護憲政党は沈黙したままだ。日本共産党は
「蟹工船」ブームに便乗して国会質問では派遣切り問題ばかりを論じている。生き残りをかけて民主党に擦り寄る社民党は、安保政策にはもはや触れなくなってしまった。

事態は深刻である。

 2009年2月5日発行 

  鳩山由紀夫外相を待望する外務省


 「3万人の為の情報誌」と銘打って日本の政治・経済・社会情報を提供
する「選択」という月刊誌がある。その2月号に「鳩山由紀夫外相待望論
が外務省内で浮上」と題する、次のような記事があった。

 ・・・民主党政権に備えて人事をシフトしている外務省だが、民主党の
鳩山由紀夫幹事長を外相に望む声が省内に浮上している・・・
鳩山氏について外務省関係者は「民主党の大物のなかでは比較的外交全般
に明るいうえ、無茶なことは言わない。お坊ちゃんだけに御しやすいのも
ポイントだ」と語る・・・寺島実郎日本総合研究所会長や、自民党離党
がらみで加藤紘一元幹事長の名も囁かれるが、「民間の寺島氏には
知られたくない役所の暗部がある。外務省出身の加藤氏は外務官僚の
手の内を知り尽くしているからやりにくい」民主党関係者)・・・

 大いにありうる話だ。安倍晋太郎元外相などはもっとも歓迎された一人だ。最近では高村正彦などがそれにあたる。今の中曽根外相は外務省史上最も御しやすい外務大臣に違いない。100%振り付け通りに動いている。

日本の外交がここまで行き詰ったのは、もちろん外務官僚の無能さのためである。しかし、その外務官僚にまかせっきりにしている日本の政治家の無能、非力さに、より大きな責任がある。
      
2009年2月6日発行 

 フリーランスジャーナリストを分断させてはいけない


 読者の皆さんは、フリーランスジャーナリストたちが集まる
メディア研究会が、「田原総一郎ノンフクション賞」を創設した、
という新聞記事を読んだ事があるだろうか。1月16日の東京新聞と、
1月28日の朝日新聞がその事を報じていた。普通の国民にはおよそ関心のないその記事は、私にとっては驚きの記事であった。これから書く事は、私でしか書けない、メディア論にもつながるエピソードである。
あれはたしか昨年の暮れか今年の初めのことだったと記憶している。私のもとに見知らぬ人からメールが入った。その趣旨はこうだ。月刊現代の休刊に象徴されるように、最近はフリーランスのノンフィクション作家の発表の場である論壇雑誌が次々となくなりつつある。その事に危機感を抱いたフリーランスジャーナリストの有志が集まって、月刊現代を復活させたい、月刊現代と同じような雑誌を創設したい、ついてはその創刊号に、フリーランスのジャーナリストを応援する記事を寄稿して欲しいという依頼が私に届いた。発起人は佐藤優と魚住昭となっていた。

 私はフリーランスのジャーナリストを応援している。だからの寄稿依頼がメールで送られてきた時、私はそれを快諾し、「ジャーナリズムの未来はフリージャーナリストにかかっている」、という熱いメッセージを急いで書きあげて、1月7日にメールで
その原稿を送付した。

 その後で、新聞記事で、ノンフィクションライターの魚住昭氏、佐藤優氏、
宮崎学氏らが発起人となって、田原総一朗氏の名前を冠した、「田原総一朗ノンフィクション賞」を創設し、ノンフィクション界に新風を吹き込むという動きを知ったのである。その発起人は、私に寄稿依頼をしてきた時の発起人と同じである。
驚き、失望した。田原氏は私の言うフリージャーナリストの対極にいる人物だ。フリーランスよ、お前もか、という思いである。
フリーランスのジャーナリストたちは二つに大きく分断されようとしている。大手
メディアの記者と同じように、いやそれ以上に、権力にへつらい、メディア業界に迎合しようとする者たちと、その仲間入りを拒否し、経済的には苦しくても、世の中にちやほやされなくても、権力の悪を監視し、対決するという反骨のジャーナリストたちとに。
私が応援するのは後者であることはいうまでもない。

2009年2月6日発行

 西松建設と鹿島・キャノンの裏金疑惑

想定したとおり二つの疑惑は腰砕けで終わりそうだ。2月4日の東京新聞が、「裏金プールの西松子会社、小沢側に800万円献金」という大きな見出しの記事を一面トップに掲げたのには驚いた。しかしこの記事は完全に無視され、その後他者の後追い記事は続かない。
もっと失望したのは週刊現代2月7日号が、「キャノン御手洗会長、脱税コンサルタント社長とのただならぬ関係」と題すて掲載していた藤岡雅記者の記事が、次のような文章で締めくくられていたことだ。
 ・・・今回の捜査は単なる脱税事件として終わりそうなのだ。「特捜部
が力を入れていたにもかかわらず、事件が脱税だけで小さくまとまった
原因の一つは、鹿島が裏金の使途を決して明かさなかったことです。
鹿島は使途秘匿金として処理し、国税局からの制裁課税を受け入れた為、
その行方を(それ以上)追いかけにくかったのです。」(全国紙司法担当記者)。
  さらに気になるのは、検察側と御手洗会長との関係だ。樋渡利秋検事総長は、
昨年9月29日に日本経団連を訪ねて、御手洗会長に面会している。
企業の従業員が5月から始まる裁判員制度に参加しやすくするため、あらたに
有給休暇の創設などを訴えたのである。「検察側には、裁判員制度が無事
スタートできるように、経団連会長である御手洗会長を味方にしておきたかった
との計算が働いたのでしょう」(前出・司法記者)・・・

  私は司法官僚が躍起になって導入しようとしている裁判員制度に反対している。矛盾が露呈してきた裁判員制度の導入を、自分たちの面子のために強行しようとする検察・司法が、この週刊現代の記事のように、権力者の疑惑と裁判員制度を取引したとすれば、二重の意味で私には許せない不正義ということになる。


筆者からのお知らせ。

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