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2009年02月04日

 あたらしいメディアづくりへの期待

あたらしいメディアづくりへの期待

  メールマガジンを始めて一つの目標ができた。それは購読者から寄せられる情報を加えて新たな発信を行い、それがまた購読者からの新たな情報を呼ぶ、それらをメールマガジンの読者の間で公開し、共有する、という活動の繰り返しである。
 これを発展させていけば、私と購読者の間で、新しいメディアをつくれるのではないか、という期待である。
 メールマガジンを始めて一ヶ月が経った。購読者も900名近くになった。とりあえず1000名の購読者を目標に、その1000名が、一つの方向に向かって新しいメディアづくりの担い手になる。既存のメディアが決して伝えない真実を、力をあわせて追求していく、それがメールマガジンを始めた事がもたらしてくれた思わぬ成果であった。

 購読者からの声を、参考までにブログの読者にお届けしたい。

 読者1.

 当方が所属する会社は色々な産業分野の事業をやっております(基本はメーカーです)。        一言で申し上げれば現下の状況は「大変な事態」になっているという事です。未だ静かですが、パニックと言っても良い状況です(マスコミや政治家の暢気な分析、認識とは全く違います)
 しかもこの事態は未だ最悪の事態に至っていないような気がしています。                  この時期は今年度の落着き見込みを出し、次年度(21年度)の予算を策定するタイミングですが2月、3月が見通せない。 というか、余りにも恐ろしい事態が見込まれ、先行き不透明ということで数字を出せないでいるというのが実態ではないでしょうか。
  トヨタがバーンと悪いぞ!と言ってくれた為、大企業の経営幹部はホットして自社の悪化を恐々としながらも、それぞれ口にし始めたのですが、一社内ですと、それぞれの事業部門が先にばれるのを恐れて手の内を明かさない状況です。
  という事は極めて始末が悪いということです。今年度の落ち着き見込み作成がこんな事態ですから4月以降から始まる21年度の状況はまるで見えません。                              こうした中で、大企業よりも、中小、三ちゃん企業は、ここまで来ると却って強いのではないかという事態です。中小、三ちゃんは大企業が繁栄を謳歌している時も事業採算は苦しく、低賃金に堪えて生活する術を身に着けてきています。大企業に勤務する従業員はその辺の準備が全くなされていません。それなりの学校を出て英語能力があり、パソコンのスキルもあるということでエリートと称されている人達。会社の中枢といわれる経営企画だとか、法務、総務といった管理部門で社長直結という自負を持って 会社を動かしているんだという人たちが今回は危ない。
 船長は、難破沈没の危機にあって 乗客、部下の船員が生き残ることを最優先に取り組むという事を基本にしているはずです。しかし、いつの時からか責任ある幹部としての心構えが消えて行ってしまった。今の幹部に一人として部下、従業員の職場の確保を自己の責任であるということを思っている連中はいません。幹部という人たちは如何にも強大な権限を持ち、責任を持っているようですが、強大な権限だけを持ち、責任を持たない つまり無責任な状態になっています。  
この事を許してきている背景は何か。それは日本全体にはびこっているアメリカ流だと思います。元々アメリカは企業の幹部が従業員の職場の確保、生活の確保に責任を持つという考えが基本的にありません。此れは、良い悪いではなく アメリカの風土です。つまりある時からアメリカの風土を殆ど何も考えずに受け入れてしまったのでしょう。日本の風土には合いません。
 今回の事態は前回の日本の金融不況とは大きさが違います。今回の不況に耐えられない企業が多く出てきて、国家全体の力が相当弱まるだろうという懸念です。

読者2.

 私は山形県鶴岡市で中学校の社会科教師をしています。いつも天木さんの政治を見る視点に学ばせていただいておりますが、とくに「官僚」に関する記事で気づく事があります。それは、今の学校現場、とくに教師たちが極めて官僚的であり、保守的であるということです。天木さんのブログの「官僚」を教師に置き換えると、ほとんど学校で子どもたちに行われている事と同じだということです。「官僚」の方々はおそらく学校時代の優等生だと思うのですが、学校の教師たちもかつての優等生であり、その価値観で子どもたちに接している場合が多いようです。したがってどんなに問題があろうと旧態依然であり、変革するのは難しいという社会です。そしてそれを踏襲した優等生が「官僚」や「教師」として再生産されているという気がします。最近では保護者の意識も多様化し、かつてのように教師が殿様のように振舞うことはなくなってきましたが、「管理的」で「官僚的」であることはなかなか変わらないようです。
 私は、日本の政治が変わるには教育が変わらなければならないと思いますが、今の教育界は完全に逆コースに向かっています。教育現場にいるものの一人として、この流れにストップをかけていかなければならないと思っています。
 
 読者3.

 天木さんの情報発信により、日本の政治家及び官僚は「本当に日本のこと、国民のことを毎日考えているか、国民生活を重要視した上で国際貢献が出来るように考えているか?」と疑問が膨らんでしまいました。と言いますか、「疑問ではなく考えていない。」と思います。
 何故、政治家や官僚がこうなったのでしょうか?その原因を解明し、再発防止策を検討し実行に移す必要があると思います。 
 私は今まで、技術の仕事をしていましたので、何かトラブルが発生した場合は「生活を犠牲にして、原因究明、再発防止策検討、そして、その実行」を実現してきました。何故、今の日本の政治家、官僚は、口ばかりで、いろいろな問題の解決が出来ないのでしょうか?まずは、ここらあたりの原因分析が必要だと思います。

読者4.

 私は日頃から既存のマスメディア、特に全国紙の新聞記事に不満を持っておりました。
すでにインターネットであらかた目を通した記事を、翌日また読まされる・・・
 既視感を覚える新聞記事ってなに?という不満があります。
 だからなんなの?どういうことなの? これらの事実の意味は?
 という欲求不満です。
 すでにブログなど、インターネット上の数か所で見た記憶のある内容を、新しい視点もなく無難にまとめたような社説を読まされたり、腹が立つこともありました。 FACTAなどの情報誌を購入したりもしましたが、月一回の発行というタイムラグがあります。
 私は50代の女性です。子育てもほぼ終わり、母の介護をしながら、ゴルフを趣味とし、平凡な生活を営んでいる人間です。それでも、激変する世界の諸事情が、自分の日常にさまざまな影響を与えているのを肌で感じます。私のような人間でも、新聞やTVのニュースを胡散臭く感じるのです。庶民はマスメディアに携わっている人たちが考えているよりも、というかその人たちよりも、賢いかもしれませんよ、と言いたい気分です。
 
 読者5.

 自分に取って必要な情報は、自分に出来る範囲の負担をして得たいと思います。昔、石川啄木は貧乏しながらも新聞だけは全紙購入していたという話を聞いたことがあります。
 私の尊敬する北御門二郎という人(5年前に亡くなった方で、徴兵忌避者でした。晴耕雨読の生活をしながらトルストイの翻訳に生涯を捧げた方です。)は「損を承知で正しいことを言う人が増えると世の中は良くなる。」とよく言っておられました。
 
 読者6.


 20世紀を代表する政治哲学者、ハンナ・アーレントは、「暴力につい
て」(みすずライブラリー)所収のエッセイ「政治における嘘」で、ベ
トナム戦争におけるアメリカ政府の内幕を暴露した国防総省秘密報告書
(ペンタゴン・ペーパーズ)に描かれている政府、およびそのお抱えの
スペシャリストたちについてこう述べている。
-----
「・・・肝心なことは、かれらが嘘をついたのは自国のためではなく・・・自国の「イメージ」のためであったという点である・・・かれらもまた政治を広報の一種にすぎないと信じていた・・・国防総省秘密報告書をめぐる争点の中心が、錯覚、過失、誤算といった類のものではなく、隠匿、虚偽、意図的な嘘の役割といったもの になった主な原因は・・・諜報機関の驚くべき正確な事実の報告を一貫して無視して行われたという事実にある。
ここで決定的に重要なのは、嘘をつく政策が、敵ではなく・・主として国内向け、国内での宣伝のため・・・という点である・・・」

 オバマが平和主義者のイメージの下にイラクやアフガニスタンを抑え、なおかつイスラエルの意向にしたがい、軍事産業には手をつけず経済を立て直す(ほとんど曲芸だ)とす れば、ケネディと同じかそれ以上の、偽善と陰険さを発揮せざるを得ないのではないか。アメリカ国内でのイメージを守るために、日本経済を食い物にする可能性があることは言を待たない。

読者7.
 
 『ジェラルド・カーティス氏の投稿をどう解釈するか』について、私見を述べ
させていただきます。実は昨年の5月か6月に友人の勧めでカーティス氏のセミナーに参加した折、氏は「わたしはオバマ氏(当時は大統領候補)が当選すればアジア担当の責任者になる」と言っていました。
 今回の米政府の組閣名簿には氏の名前がなかったのでおそらくカーティス氏の
先走りだったのかもしれませんが、それはさておき今回の東京新聞の投稿記事は
米政府あるいはその周辺の人間による巧妙な世論誘導だと思います。洗脳と言ってもいいかもしれません。
 オバマ大統領は「イラクからの撤退→アフガン派兵増強」を明言していますが、
カーティス氏の投稿は正にこの路線を踏襲したものになっているからです。カーティス氏はそのセミナーにおいて福田首相(当時)や安倍元首相との良好な関係を匂わせるような発言もしており、天木さんの言われる『日米同盟関係の重要性を日本国民の頭に植え付ける、そういう使命を帯びた、日本政府、官僚のお雇い学者』であることは間違いないと確信を持った次第です。
 
 読者8.

テレビ局の地方分権化が重要なのではないかと思いつきましたので下記に述べます。
 2005年の衆議院選挙における世論形成にテレビは大きな貢献をしたと
多くの分析がされていますが、その要因の一つとして小泉政権が地デジを
認可したことが考えられます。
 テレビの民放キー局は、番組制作の多くを占有したり、系列ローカル局へ
制作した番組を小売することでスポンサーやローカル局から巨額の収入を
得ているとのことです。キー局が通信衛星CSを拒み、地デジを推進したのは、
このビジネスモデルを維持するためのようです。テレビの世界でも地方
分権が阻害されてきたと言って良いのかも知れません。そしてこの力関係
から、キー局統制によりローカル局も間接的に統制されてきたようです。
ちょうど、アメリカでも戦争への突入に伴ってテレビ局が寡占化されたの
にも通じます。
 新聞のローカル紙では、政権や小泉改革に疑問を呈す社説が
目立ってきたようですがテレビのローカル局もキー局依存を少なく
することにより自由な発想、権力批判等が活発になると考えます。
そしてテレビを見る側も、規模が大きくはないローカル局主体の番組が増えれば、能動的に見るようになると考えます。
 幸か不幸か、今、キー局は収益減です。国民経済も悪いです。
地デジ化を阻止し、テレビ局の地方分権化が進められればと思います。

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2009年02月03日

天木直人のメールマガジン 要約 2月1日ー3日分

天木直人のメールマガジン 要約 2月1日―3日分


 2月1日メルマガ

 ジェラルド・カーティスの投稿にだまされるな

 2月1日の東京新聞(中日新聞)は、「時代を読む」というコラム
において、米コロンビア大学教授で日本の政治に詳しいジェラルド・
カーティス氏の「日本は人道的支援を」という投稿文を掲載していた。

 その趣旨はこうだ。

 彼の娘さんが1月14日のニューヨークタイムズ紙の記事をメールで
送ってきた。その記事は、少女らに読み書きを教えることに反対する
旧政権タリバンのメンバーが少女らの学校を攻撃したが、その危険に
屈することなく少女たちは通学を続けている。その中には日本政府の
援助でできた女学校もあった、という記事であった。

 そしてカーティスさんの娘さんは、「なぜ日本政府がこうした分野
で立派な貢献をしている事が報道されないのか。日本の安全保障政策
など(に関する)の月並みな記事よりずっと大切なのに」とメールに
書いてきた。私も同感だ、とカーティス氏は書く。

 その後で、カーティス氏は、「オバマ米大統領や北大西洋条約機構
(NATO)はアフガンてこ入れ強化を求めている。国際テロ組織アルカイダ
を粉砕し、アフガンを国際テロの温床とさせないための闘争で
日本は傍観者たりえない」、と日本の参加を求める。

 そしてここからがこの投稿の味噌であるのだが、だからといって、
日本の関与が軍事的なものである必要はない、と言って次のように
日本の更なる協力を訴えている。

 「・・・日本の国際協力機構(JICA)はアフガンで重要な役割を果たして
きたし、今後一層大きな役割を担う事が可能である。経済大国で、自衛以外
の武力行使をしないとする民主主義国家の日本にふさわしい貢献ができる
ように、日本政府は資金と人材を提供する事である・・・」

 このカーティス氏の投稿に騙されてはいけない。

人道支援を否定するものは誰もいない。憲法9条の下で日本の援助が
人道援助に限られるべきという意見は、護憲論者にも受け入れられやすい。
その事を、アフガンの現状と切り離して論ずる限りでは、まったくその通りだ。

 しかし、およそ援助の前提となるのは平和の回復である。国際社会が真っ先
になすべきは、平和の回復を一日も早く実現することである。まずその事に
国際社会の一致点を求めるべきである。

 カーティス氏の投稿の中で見逃せない箇所がある。それはタリバン政権
を絶対悪ととらえ、それと連携するアルカイダを国際テロ組織と断定し、
アフガンをその国際テロ組織の温床とさせない闘争は国際社会の一致した
闘争であると断言している事だ。だから日本もその責任から逃れられない
と日本を脅かしているところである。そこにはパレスチナの不正義が
反米テロの根底にあるという言及は微塵もない。

 もう一つこの投稿で見逃せないところは、イラクでの失敗を繰り返さない
ために、「オバマ大統領はアフガンにおける米国の軍事目標を『テロ攻撃
を企てる組織を軍事力で排除する』ことに限定し、軍事力でアフガンを
民主化したり、アフガンを米国の勢力下に置くような過ちを繰り返しては
いけない」、と言っているところである。

 実に巧妙な米国新政権の代弁である。軍事力で市民も巻き添えにして、
その国を破壊しておいて、あとはその国の政治にまかせる、破壊された
復興は日本など国際社会の援助で行なう、こんな虫のいい話があるだろうか。

 私はジェラルド・カーティス氏を一貫して懐疑的な目で見る一人である。
日本の政治に詳しい米人政治学者としてメディアに重宝され、まさしく日米同盟関係
の重要性を日本国民の頭に植え付ける、そういう使命を帯びた、日本政府、官僚の
お雇い学者に違いない。

 2月2日メルマガ

  尾辻秀久参院議員の代表質問を聞いて考えたこと


  私は勿論政権交代を望む。しかし、もはや政権交代が現実的に
なってきた今となっては、それ以外の事に関心が向く。政権を取った
後の民主党の直面する問題や、連立政権の姿、政界再編の姿などが
主たる関心事となりつつある。

  それよりも、何よりも、どのような新しい政権が出来ようとも、
今の日本の政治家に、日本を託す事のできるまともな政治家が何人いるのか。

  そういう思いのなかで、自民党参院議員尾辻秀久氏の1月30日
午前の参院代表質問を私はたまたまTVで聞いた。そして驚き、感動した。

  それは、彼が自民党の議員であるにもかかわらず、麻生首相に向かって、
「野に下るのは恥かしくない。恥ずべきは政権にあらんとして、いたずらに
迎合すること」と発言した事だけではない。

  その代表質問全体に、政治家としての質問のあるべき姿を感じたからだ。
そこに私は、麻生首相たたきに終始して、ただ解散・総選挙を迫るだけの
野党の代表質問には決して見られない、国会質問のあるべき姿を見つけた。

  それを詳しくここで紹介する余裕はない。ユーチューブなどで賛辞を
もって流されているから読者にはそれを参照することをお勧めする。

  ここでは「永田町異聞」という政治ブログの2月1日の中に見つけた
次のような文章を引用する事で、私の思いを読者に伝えたい。


・・・自民党の参院議員会長、尾辻秀久が代表質問で麻生首相に投げかけた
言葉は、ほぼ1年前、尾辻が同じ本会議場でおこなった真情あふれる追悼演説
を憶えている人には、ズシリと重い響きがあっただろう。

 「癌対策基本法」「自殺対策基本法」の成立を訴えて実現させ、一昨年、
胸腺ガンで亡くなった民主党の山本孝史議員へ捧げる文章は、長文ながら
間延びせず、端正でありながら行間に情がうねる。

 遺族が直立して見守るなか、尾辻は山本議員の演説を紹介した。山本議員
は2006年5月22日の参院本会議で、自ら「がん患者」であることを告白した
うえ、こう語っていた。

 「ガン患者は進行や再発の不安、先のことが考えられない辛さなどと
向き合あって一日一日を生きています。私は命を守るのが政治家の仕事だと
思ってきました。ガンも自殺もともに救える命がいっぱいあるのに次々と
失われているのは政治や行政の対策が遅れているからです。なにとぞ議場
の皆様のご協力とご理解をお願いいたします」

  尾辻は、山本のことを「最も手ごわい政策論争の相手であった」という。
厚労相時代、山本は「助太刀無用、一対一の真剣勝負」と質問通告して、
尾辻に挑んだ。このときのことを、尾辻は追悼演説で振り返った。

 「私が明らかに役所の用意した答弁を読みますと、先生は激しく反発
されました。私が思いを率直に述べますと、相槌を打ってくださいました。
自分の言葉で自分の考えを誠実に説明する大切さを教えていただきました」

 この日の追悼演説は、生前の山本が指名して尾辻がおこなった。与野党の
立場の違いから政治的に対立することもあったが、「癌対策基本法」
「自殺対策基本法」などの成立に向け、たがいに心が通い合う、党派を
超えた“戦友”だったのだろう。

 「先生は抗がん剤の副作用に耐えながら渾身の力をふりしぼられ、全ての
人の魂を揺さぶりました。議場は温かい拍手で包まれました。今、同じ議場
でその光景を思い浮かべながら一言一句を振り返るとき万感胸に迫るものが
あります」。

 尾辻はあふれる涙をハンカチでぬぐいながら、演説を続けた。
「先生、きょうは外は雪です。痩せておられましたから、寒くありませんか」。

 議場の席は半数ほどしか満たしていなかったが、その言葉にこもる、
切々として透明な魂の叫びと祈りは、故人を偲んで党派を超え、議場に
集まった議員の胸を打ち鳴らしたに違いない・・・

 果たして国会議員の中でこの尾辻秀久という自民党議員のような国会質問ができる
議員が何人いるのだろうか。

 
 2月3日

 ブッシュに無視された小泉純一郎


 私は1月のブログで3回にわけて「ブッシュと小泉の仲」と題して、
さんざんメディアが喧伝していたブッシュ・小泉の歴史的な緊密関係が、
実はつくりあげられた虚像であったことが証明された事を書いた。

 そのブログで私が強調したことは二つあった。

 一つは、私の問題提起がきっかけで読者から多くの関連情報が集まり、
それによって事実関係が明らかになり、私の推測の正しさが証明されたという
事である。

 もう一つは、私のブログの読者の中にジャーナリストがいるならば、
是非この事を調べて記事にして欲しいと呼びかけた事である。

 残念ながらジャーナリストへの呼びかけについては空振りに終わった。
どこのメディアも動かなかった。

 そう思っていたら、大橋巨泉が先週の週刊現代(2月7日号)のみずからの
連載「今週の遺言」の中で取り上げている事を知った。そのさわりの部分を以下のとおり、
そのまま引用する。

 「・・・やはり彼(ブッシュ大統領)は史上最低の大統領という烙印を
甘受しなければならないと思う。しかしここに一人、ブッシュ以上の惨めな
思いをしている政治家が居る。それは小泉純一郎日本国元首相である。
去る1月13日、ブッシュはホワイトハウスを去るに当たって、3人の
外国人政治家に、アメリカが文民に与える最高の勲章である「自由勲章」
を与えた。その3人とはコロンビアのアルバロ・ウリーベ大統領、
イギリスのトニー・ブレア前首相、そしてオーストラリアのジョン・ハワード
前首相である。3人とも強力なブッシュの協力者として知られ、当然の授章
と受けとめられている。
 だが待てよ。その中でもハワードと小泉は「ブッシュのポチ」と言われて
まで協力した首相ではなかったか。しかも小泉は、ハワードですら
やらなかったプレスリーの真似までしてブッシュに取り入っていた。
それなのに最後になって完全に無視されてしまった。
 ある時は憲法の理念を曲げ、またある時は『私に戦場がどこかと聞かれて
も解らない』とか、散々詭弁を使ってまでブッシュの後押しをした小泉さん、
その結果が今回の『無視』ですよ・・・もう二度と『国を売り兼ねない』
人には、首相の座について欲しくないと思うばかりである」

 大橋巨泉が私のブログを知らずにこれを書いたとしたら、私は彼の
ジャーナリスト感覚に敬意を表したい。もし私のブログが大橋巨泉のヒントに
なったとしたら、それはそれで嬉しい。

 2月3日分 その②

 日米関係重視に急傾斜する主要紙

 ここにきて、主要紙の論調が急速に日米関係重視に傾斜していると
感じるのは私だけだろうか。最近の新聞記事を紹介しながら、その事を
説明する。

 1月31日の産経新聞において中静敬一郎という論説副委員長が
「日米同盟と小沢プロブレム」という論説を書いていた。「日米両政府の責任者が、
まるでエールを交換しているかのように『日米同盟の強化』を謳いあげている、
という書き出しで始まるその論説は、日米双方ともその具体的な中味を説明しないまま
「日米同盟の強化」という言葉だけが踊っている、と書いている。

 その限りでは私もまったく同感だ。いや、もっと正確に言えば、
その内容は米国と日本では正反対である。つまり米国は日本から
取れるものはすべて取っておこうという意味で日本の重要性を強調し、
日本は米国から見捨てられてはいけないからといたずらに日米同盟の
重要性を強調する。そのためには対米協力は止むを得ないと国民に思い
込ませようとするのだ。 

 産経新聞のこの論説もまさしくその立場に立っている。昨秋実施された政府の
世論調査の数字(73%もの国民が米国に親しみを感じると答えた)を
持ち出し、多くの日本人が同盟関係をゆるがせにしてはいけないと
思っている証左だ、と言い、そのためにリスクとコストを共有してこそ
日米同盟が機能する、と主張する。

 産経新聞がそのような論説を書く事は想定内であるが、驚いたのは
朝日新聞だ。2月1日の一面でヒラリークリントン国務長官が最初の
訪問国に日本を選んだ事を大きく報道していた。これは米国の日本重視の
あらわれだ、と、まるで外務省広報誌のような報道をしていた。 そしてその
記事を詳しく読めば、さらに滑稽であることがわかる。極東を訪れる順番として
日本が先であったというだけなのに、「オバマ政権は中国重視との懸念が
出ていたが、初外遊先が日本となれば、こうした見方は覆りそうだ」と、
まるで子供だましのような論理を展開する。読者もなめられたものだ。

 その朝日新聞と対照的だったのは同じ2月1日の読売新聞である。やはり一面で、
しかもトップで、米中が首脳級で定期協議をするという記事をスクープしていた。
その記事の最大のポイントは、首脳レベルの米中定期協議の中味が、
経済と並んで安全保障を含めているというところだ。

 このニュースを報じた「朝ズバッ」で、みのもんたが「日本抜きで
安全保障政策を協議するという事は、これでいいんですか」と驚いた
のに対し、解説者が、「いや、日本も中国抜きで米国と安保政策を
話し合ってきたから、驚くほどのことではない」などと言っていた。

 しかし、これはみのもんたが正しい。中国より先に日本を訪問して
くれて安心した、などと朝日がノーテンキで報じている裏で、ついに
米中が日本抜きの首脳レベルで極東の安全保障政策を話し合う時代が
到来したのである。この意味は計り知れないほど大きい。
 その米国の変化に目をつむり、このまま対米従属を続けると日本は
限りなく主権国家としての矜持を失う事になる。

  

 

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2009年01月31日

 検察の正義が試されているー西松建設とキャノン。鹿島の裏金疑惑

 1月31日の毎日新聞は一面トップで東京地検が鹿島社員から事情聴取を始めた事をスクープしていた。

 大分県のキャノン工場建設をめぐるコンサルタント会社「大光」グループの脱税疑惑に関連し、発注元のキャノンと工事を受注した鹿島建設が絡んだ裏金疑惑事件である。

 似たような裏金疑惑ですでに大きく報道されていたのが西松建設である。

 実はこの二つの裏金作りは、新年早々、朝日新聞が1月1日の紙面で西松疑惑を、そして産経新聞が1月3日の紙面で鹿島疑惑をスクープ報道していた。

 その時点でその帰趨が注目されていた。なぜならば西松建設の裏金先が自民、民主の大物政治家への政治献金に使われていたとの報道がなされ、鹿島疑惑の関係企業の一つが御手洗日本経団連会長のキャノンであるからだ。おまけにコンサルタント会社の社長が御手洗会長と懇意の仲であるという。

 一つは政局に直結する話であり、もう一つは財界総理と言われる日本経団連会長の醜聞に直結する話である。

 正義を追及するはずの検察が、はたしてどこまでこれら二つの事件の真実に迫ることができるか。

 その政治的インパクトの大きさにより、おそらく検察は、単なる脱税事件として企業関係者を罰するだけで終わらせてしまうのだろう。メディアもそれ以上の報道を行わないに違いない。

 しかしそれで終わらせていいのか。それは巨悪を許さないという国民世論の関心の大きさにかかっている。私は注視して見守っていく。
                                                        (完)

 本日をもって毎日のブログの配信は終わることにします。2月からは激動する世界と日本の真実をメールマガジンでリアルタイム解説し、その要約をブログで配信します。世の中の動きを正しく監視していく必要がますます求められています。

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2009年01月30日

 日本外交は、いま「あひるの水かき」中なのか

 その昔、私がまだ外務省に入ったばかりの頃、「外交はアヒルの水かきのようなものだ。外からは見えないけれど一生懸命水面下で脚を動かしている」という迷言をはいた幹部がいた。「外務省は何をやっているんだ」という批判に答えた言葉である。

 もちろんそれは嘘で、実際は何もやっていなかった。外交が行き詰まって、する仕事がなかった。暇をもてあましていた。とうの昔に亡くなったしまったその幹部が、どうだ、われながらいいごまかしのセリフを考えついただろう、と笑っていたことを懐かしく思い出す。

 なぜ私がいきなりこんな事を書いたかといえば、今の外務省があまりにも影が薄いからだ。戦後の日本外交でこれほど仕事をしていない時期があっただろうかと思う。

 たとえば日中関係だ。今日1月30日はあの中国毒入りギョーザ事件から丸一年がたったという。それを報じる記事は、どれも中国側の捜査が行き詰っている事を報じている。日本側に打つ手はないと報じている。そういえば東シナ海油田開発問題も打つ手はないままだ。

 ロシアとの関係は滞っているばかりか後退している。ロシア側が一方的にビザなし渡航の中断を求めてきた。ただでさえ凍結されている北方領土問題がさらに難しくなった。驚いたのは外務省幹部の無力感である。「ロシアの態度は硬く、見通しは非常に厳しい」と、茫然自失するばかりだという(30日毎日)。漁船拿捕についてはロシア側のなすがままだ。

 毎日のように報道されていた北朝鮮の拉致問題は、もはや忘れ去られたかのようだ。まったく動かなくなってしまった。北朝鮮の核問題など、はじめから日本の出る幕はない。

 国連外交はどうなっているのか。一月から安保理非常任理事国に選ばれたというのにイスラエルのガザ攻撃問題でまったく姿が見えなかった。それでもなお常任理事国入りを求めて国連改革を続けていくという。まともな思考ではない。

 財政困難な時期にもかかわらず経済援助予算の増額だけは外務省は毎年要求し続ける。しかし日本の支援で建設された建物や道路がイスラエルの攻撃で破壊されても、文句一つ言わない(1月27日産経)。日本の援助で建てた病院も、イスラエルの経済封鎖で医療器材を搬入できずに空のまま新築建物が雨ざらしになっている。日本の援助まで経済封鎖されてイスラエル政府に文句のひとつも言わないのだ。。

 結局日本外交は対米外交だけをやってればいいのか。ところがその対米外交がもっとも空洞化している。肝心の対米外交が、オバマ政権との人脈づくりに慌てふためいている。

 なぜこの体たらくなのか。それは政治の混迷のせいである。ただでさえ無能な政治家が、政局に追われて官僚を正しく使う余裕がないのだ。それでも官僚が有能ならばいい。有能な官僚が無能な政治家を動かしていればいい。しかし実はその官僚もまた無能なのである。利権確保ばかりは熱心でも、国民のための正しい政策がつくれない、実施できないのだ。

 無能な官僚たちを正しく使いこなせない無能な政治家たち。割を食わせられるのは国民である。

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2009年01月29日

 イラク情勢が混乱するのはこれからだ

 オバマ政権の誕生によって,日本のメディアの関心はイラクからアフガンへ移りつつある。あたかも米国のイラク攻撃は過去のものとなったかのように。

 しかし、それは大きな認識不足だ。イラク情勢は米軍が占領をやめたとたんに、待ってました、とばかり混乱する。だから米軍もそう簡単には撤兵できない。

 その事を象徴するような記事が1月29日の読売新聞にのっていた。1月31日に行なわれるイラク地方選挙は混乱が必至であるという。その理由はイラクの宿命ともいうべきシーア派、スンニ派、クルドの分裂、対立が今後ますます表面化するからだ。おまけに彼らはそれぞれ民兵組織を有している。

 「イラクを壊す事は米国にとっては朝飯前だが、イラクを安定化させる事は米国には絶対出来ない」
これは米国がイラクを攻撃しようとしていた2003年当時に、レバノンの国民が口を揃えて言い合っていた言葉である。それはまたアラブの人たちの共通の認識であった。

 見ているがいい。その言葉がこれから証明されることになる。オバマ政権はアフガンとイラクの双方で「テロとの戦い」を続けなければならなくなる。そしてアフガンにおける「テロとの戦い」は当然のことながらパキスタンを巻き込むことになる。

 おまけに、それらの戦いの元凶であるパレスチナ問題はますます混迷の度を深めていくだろう。

 中東情勢はオバマ大統領の登場によってもたらされた「チェンジ」の期待とは裏腹にこれから深刻になっていく。それを示す言葉が、米国傀儡政権の指導者から発せられるようになった。

 アフガンの米国傀儡であるカルザイ大統領は、誤爆という名のアフガン市民の殺戮に対し、「米軍機を叩き落したい」と語ったという(1月26日毎日新聞社説)。
 パレスチナ自治政府ファタハの米国傀儡であるアッバス議長は、「イスラエルは平和をほしがってはいない。そうでなければガザ攻撃などしなかったはずだ」と27日の記者会見で本音を漏らしたという(1月29日朝日新聞)。パレスチナ問題がいつまでたっても解決しないのは、イスラエルが、自分たちの存在を示すために常に戦争状態を保っているからだ、というのはアラブ大衆の共通の認識である。

  傀儡政権の指導者からこのような言葉が出るようではおしまいだ。何もわかっていない日本の落第政治家安倍晋三氏は、イラクを訪問しタラバニ大統領と会談したという報道が29日の各紙に出ていた。その会談で安倍氏は「今後はビジネス関係、とりわけ石油などエネルギーの分野で関係を強化したい」などと述べたと言う。

  とんだピントはずれだ。もっとも、そういう日が一日もはやく来る事を私はこころから願う。
  

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