Font-size: small medium big

Blog Calendar

サイト内 検索

 


 人気blogランキング(政治)に参加しました、応援お願いします。 人気blogランキング

2009年02月26日

 天木直人のメールマガジン 要約 2月24日ー26日分

 
 天木直人のメールマガジン 要約 2月24日―26日分

 2009年2月24日発行 第0070号

 日本のイラク戦争加担を証明する報告書がついに出た!


 わが国を代表する防衛記者の一人に東京新聞の半田滋という編集委員がいる。その半田滋氏が、究極のイラク戦争検証報告書を国民の前に提示してくれた。岩波新書の最新刊である「『戦地』派遣 変わる自衛隊」という本がそれである。
 この著書は、嘘で塗り固められたわが国のイラク戦争支持の姿を見事にあぶりだしている。今の日本の政治の欺瞞を追及し、その政治に騙され続ける国民に、黙っていていいのか、と激を飛ばしている。
 唯一の救いは現場に派遣された自衛官たちのまともな判断である。彼らは、政治家や外務、防衛官僚、そして上司である制服幹部たちの、間違った判断に振回され、大義名分なき犠牲を求められてきた。
 「犠牲の覚悟は出来ている。しかしその犠牲に値する大義名分を知りたい」と訴える自衛官こそ、本当の犠牲者に違いない。そう結論づける半田氏の、自衛官に注ぐまなざしが優しい。


 2009年2月24日発行 第0071号

 中川飲酒騒動で計算が狂った外務省と小泉元首相 前編


 中川飲酒騒動の裏で、思惑が外れて悔しがっているのが外務省と小泉元首相である。 発売中の週刊現代3月7日の中に次の文章を見つけた。

  ・・・外務省幹部が、タメ息交じりに語る。「・・・麻生外相時代ほど、われわれが勝手に外交をやれた時代はない。だから省内には『麻生ファン』が多くて、『麻生首相を男にしてやろう』という気運が最近までありました。そこでヒラリー国務長官との会談で『オバマ大統領との電撃首脳会談を行なう』というビッグ・サプライズを用意したのです。麻生首相も『これで支持率が上がる』とニヤケていました。しかし偶然重なった中川財務相の辞任ニュースの陰にすっかり隠れてしまい、無理を通してもらったアメリカ側にも恥をかかせる結果となりました・・・もう24日のオバマ大統領との会談など、どうにでもなれ
という心境です・・・

 この文章ほど、今の外務官僚のやっている仕事を見事に表現したものはない。これが今の外務官僚がやっている仕事なのである。外交が行き詰まるのも無理はない。


 2009年2月24日発行 第0072号

 中川飲酒騒動で計算が狂った外務省と小泉元首相 後編


 小泉元首相の失敗は自らの人気を過信して動き出したところにある。しかしそれだけではない。麻生首相の郵政民営化発言批判にとどめておくべきところを定額給付金にまで言及しそれに反対だと明言した。 もちろんそれは考え抜いた上での発言だった。世論の圧倒的多数が定額給付金に反対していたからである。世論に乗じて麻生たたきを行なえば我に分があると考えたのだ。しかしそれは読み違いだったようだ。自民党から反発され、小泉チルドレンからの同調者もあらわれず、そして世論も思ったほどの支持を小泉発言に与えなかった。
 小泉元首相はもちろんそんな事であきらめるはずはない。麻生批判発言の直後に日本を離れてロシアに飛んだ。そこで何をしていたかと言えば、オペラを見ながら日本国内の動きを、目を凝らして見ていたのだ。そして、帰国間際のタイミングを狙って、ロシアの地でわざわざ記者会見まで開いて「採決には欠席する」と、ぶれないところを見せつけようとした。ところがこの周到な戦略もあてが外れた。 本来ならばこれが大きな政治ニュースになるはずだった。事態の流れ次第では麻生内閣総辞職や自民党分裂につながりかねない小泉劇場に発展するはずだった。 そこに降って湧いた中川辞任騒動だ。なにしろあの映像だ。世界を駆け巡った醜態ニュースだ。
 小泉発言は埋没してしまった。小泉元首相はツキにも見放されたようだ。。

2009年2月25日発行 第0073号

 村上春樹「エルサレム賞」受賞に思う


 私は村上春樹のファンの一人である。だから彼を批判する文章を書きたくなかった。しかし、週刊ポスト3月6日号が、「次はノーベル賞という声」と書いたので書くことにした。私が思っていた事にはじめて言及した記事を見つけたので書きたくなった。
 「エルサレム賞」を受賞したからといって「ノーベル文学賞」がもらえる保証はない。しかし「エルサレム賞」を拒否したら、「ノーベル文学賞」は確実に遠ざかる。その事を村上春樹は一番知っていたのではないか。「ノーベル文学賞」を手にするという野望の前に、受賞拒否を求める世界の声に耳をフタしたのだ。
 受賞する為にはエルサレムを訪れてスピーチしなければならない。しかしそのスピーチは難しい。イスラエルを正面から批判すると「エルサレム賞」を返せとなる。命を狙われることすらある。しかしあのガザ攻撃を認める訳にはいかない。そこで考えたのが壁と卵のスピーチだった。しかしあのスピーチは、評価する人はいても私は認めない。パレスチナ人にとっての壁とは、イスラエルが国際司法裁判所の違法判断を無視してつくり続けている壁の事でしかない。それにぶつけられる卵はパレスチナ人だ。壁が正しくて卵がは間違っている、などということはありえない。
 村上春樹はアラブ紙に載っていた次の言葉をよくかみしめる事だ。その言葉に報いるためにも今後はパレスチナの解放の為に誠意を持って行動することだ。
 ・・・我々アラブ文化人は、日本の小説家、村上春樹に今年のエルサレム賞を拒否してくれと切に願っていた。ガザでイスラエルによって流された子供たち女性たちの血に敬意を払う意味で、その賞を辞退せよと要請する声は日本にもあり、私達は、彼がそれに耳を傾けてくれると思っていた・・・しかしムラカミは、躊躇することなくエルサレムへ赴き、シモン・ペレスの手からその賞を受取った。罪無きパレスチナ人の血が未だ乾かぬその手から・・・既にノーベル文学賞候補でもあるその作家は、世界的文学賞への途上にイスラエルが存在する事をよく知っているのだ。言い換えればイスラエルは・・・その国際的な賞の一つを与えることにより、有名な日本人作家を釣ることに成功した・・・村上春樹がイスラエルの賞を無視してくれたらどんなに良かっただろう。この60年代を描く作家はアラブの書店に場を得ている。アラブ人読者も多く、優れた日本人作家の一人としてその名はアラビア語の文芸誌によく登場する・・・それでも、私達は村上春樹を愛し読み続けるだろう。そうでなかったとしても、私達は彼の犯した過失を許すだろう・・・
                         アブドゥ・ワージン、2月23日アル・ハヤート紙

       
  2009年2月25日発行 第0074号

 ニュース番組出演を拒否された城内実の告発


 発売中の週刊アサヒ芸能3月5日号に興味深い記事が出ていたので紹介したい。 前自民党衆議院議員の城内実は、郵政民営化に反対し、小泉郵政解散・総選挙の時に刺客片山さつきを立てられて落選した。その城内が週刊誌である事件を告発していた。その事件とはこうである。麻生批判発言や「かんぽの宿」疑惑問題で郵政民営化の見直し議論が起きている。そんな中で東京のさるキー局の報道番組に城内は出演依頼を受け、それを城内は受諾した。ところが放送日の前日に突然、一方的に出演をキャンセルされたというのだ。その不可解なキャンセル事件について城内は次のように述べている。

 「・・・公正中立のはずのメディアが郵政民営化推進派の主張だけを伝えるのはおかしい。郵政民営化に絡む疑惑を封印しようとしているとしか思えませんよ。私の調査によれば、この問題は戦後最大の疑獄事件とされたリクルート事件を凌ぐ疑獄に発展するはずです。良識あるマスコミ人はこの問題を是非
解明すべきですよ・・・私は(小泉元首相の麻生批判発言は)国民の目を疑惑からそらせる目的を持っていると思う。野中元幹事長も同じような見方をしています・・・マスコミは麻生首相の発言がぶれているなどと言わず、なぜ反対だったのか、という真相を追及すべきですよ」

 この城内の問いにマスコミはどう答えるというのか。


 2009年2月26日発行 第0075号

 田原総一朗の言葉の軽さ


 言論人としての田原総一朗の最大に問題点は、辛口評論家佐高信によれば、その言説の無節操さである。彼には定まった主義主張はない。時流に乗った人物や話題に飛びついて自分を売り込む、そういうメディア業界人に過ぎない。それがメディアを取り仕切っているところが問題だという。

 私もそう思う。実際のところ彼の発言の不誠実さを示す言動は枚挙にいとまがない。その中でも取っておきの記事を私はファイルに残している。それは自らの連載である週刊朝日の「田原総一朗のギロン堂」(昨年12月5日号)の中で述べられていた「残されたゆえに背負う『反戦』の使命」という記事である。
 ちょうど筑紫哲也がガンでなくなった直後だった。同じく共産党の上田耕一郎やテレビマンユニオンの村木良彦もあい前後して亡くなった頃だ。彼はこの三人をしのびながらこう言っていた。

 「取り残されたのだから、逆に使命感を覚えないわけにはいかない。戦争と敗戦を知っている人間として、戦争の残忍さ、バカバカしさは何といっても若い世代に伝えなければならない・・・」。そう言って、憲法9条は素晴らしい、あのような戦争は二度とやってはいけない、というこれら三人の遺志を、田原総一朗は引き継いでいくと宣言しているのである。

 その言やよし。今後の言動で彼がそれを実践していくのなら私は歓迎する。 しかし彼のこれまでの言動は反戦だったか。安保体制を基軸とした戦後の日本の政治を考えた時、反戦活動をすることはすなわち反体制を意味する。反体制を貫くことの厳しさと重さを、これまでの田原総一朗は理解し、共有していただろうか。反体制の立場に立って言動していたというのか。いとも簡単に「反戦の使命を背負っていく」と言ってしまうところが田原の軽さと厚かましさである。

 そして私は再び田原総一朗の言動のあまりに軽さを目撃した。週刊現代で連載されている「霞ヶ関大研究」の第4回目(3月7日号)は「日本の北朝鮮外交はなぜアメリカに裏切られたのか」であった。その中で彼はいとも簡単にこう言ってのけている。

 ・・・5年前、ブッシュ政権がはじめたイラク戦争に対して、私自身『北朝鮮から日本を守ってくれるのは、アメリカしかいない』という理由で、小泉首相の『イラク戦争支持表明』に賛成の論陣をはり、日米同盟の重要性を訴えてきた。イラク戦争のその後の経過に、率直にいうと、この間の言論人としての責任を痛感せざるを得ないとの思いを常に背負ってきたし、それについての論評を、自己検証を目的にいくつも書いてきた・・・
 
 驚くべき発言だ。こんな簡単に誤りを認めていいのか。日本の国論を真っ二つにしたあのイラク戦争について、週刊誌の中でさらりと述べて自らを免責しようとする無責任さ。そのあまりの軽さと節操のなさにはただあきれ返るほかはない。

 2009年2月26日発行 第0076号

 民主党はグアム移転協定にどう対応するか

 私は2月5日のメルマガ第39号で、この在沖縄米海兵隊のグアム移転協定の重大性と、急いでそれを進める外務省の思惑について書いた。しかしその後もこの協定の深刻性をメディアは取り上げる事なく、ヒラリー米国務長官の訪日の際にあっさり署名された。そして政府・外務省は時を置かずにそれを国会に提出したのだ。
 週刊アエラ3月2日号で、朝日ニューススターのコメンテイターである軍事評論家の田岡俊次氏が次のような指摘をしている。すなわち、この協定の内容はすべて2006年5月の日米外務、防衛大臣会議(2プラス2)で合意文書となっていたはず(いわゆる工程表―ロードマップ)なのに、今更同じ内容の協定を結ぶ必要があったのか、という。防衛省内では、「外務省は米国新政権を相手に初仕事をしたふりをしたかったのでは」との皮肉も聞こえるという。
 もちろんそれだけではない。外務省が協定締結を急いだ理由はある。政局が混迷している間に政府間合意を条約に引き上げ、米軍再編への協力を固定化、永久化する狙いがあったのだ。日米軍事同盟関係を、いかなる政権が日本に出来ても影響を受けないようにするためだ。米国が最近やたらに言い出しはじめた日米同盟の「制度化」である。米国の日本占領の永久化である。外務官僚はそれに加担したということだ。

Copyright ©2005-2010 www.amakiblog.com
人気blogランキング

2009年02月23日

 天木直人のメールマガジン 要約 2月20日ー23日


 天木直人のメールマガジン 要約 2月20日―23日分

 2009年2月20日発行 第0064号

 アメリカ版憲法9条を提唱する大前研一


 大前研一氏の最近著「さらばアメリカ」(小学館)を読んだ。そして驚いた。この本は憲法9条を守ろうとする護憲派の人々を勇気づける必読の書である。いや改憲論者も含め日本国民に広く読まれるべき本だ。
 大前氏はオバマ大統領の誕生を歓迎する。しかしそれでも米国の再生は難しいだろうと断言する。そして米国が再生するためには次の三つの提言をオバマ大統領は取り入れろという。その一つは世界に向けてアフガン、イラク攻撃などで多大な犠牲者を出し世界を戦争に巻き込んでしまったこと謝罪することだ、金融詐欺で世界経済を崩壊させたことを謝罪することだという。
 その二つは、単独主義の傲慢さをあらため、米国は世界の一員として国際社会の合意を尊重する国になれという。国連にかわる新しい新世界構想をつくり、その一員としてその合意に従う国になれという。
 極めつけは三つ目である。米国は日本に押し付けた平和憲法9条をいまこそ米国自身に導入しろという。
 米国を理解し、米国資本主義を信じて活躍してきた大前氏がこのような事を書くようになったのだ。これは驚くべきことだ。私は、「さらばオバマ」に書かれている大前氏の米国の分析に賛同する。米国を救う提言に共鳴する。一読に値する本だ。

 2009年2月20日発行 第0065号

 千野境子産経新聞元取締役の人事官任命に異を唱えた民主党を評価する


 20日の各紙は、民主党が19日の役員会議で、政府が提示した千野境子産経新聞特別記者(元取締役)の人事院人事官任命に同意しない事を決めたと報じている。「人事官3人のうち一人がマスコミ(出身者)の指定ポストになっており、ふさわしくない」(安住淳国体委員長代理)という理由からだ。
 私はこの民主党の判断を高く評価する。メディアはこのニュースをもっと大きく報じるべきだ。そしてこの民主党の決定が示した大きな意味を国民に解説すべきだ。
 私が代わりにそれを述べる。権力者たちによる人事のたらいまわしがこれからはやりにくくなるということだ。国民がそれを知って怒り出せば、政党は動かざるを得ない。いつまでたっても結論のでない公務員制度改革を待つよりも、国民の怒りが権力者の人事を左右する、そういう時代がすぐそこまで来ている。

 2009年2月21日発行 第0066号

 大前研一のアメリカ版憲法9条提言ふたたび


 20日のメルマガ第64号で私は大前研一がその最近著「さらばアメリカ」で、アメリカ版憲法9条を提唱したことを高く評価した。これに対して読者からすかさず批判的反応があった。 「大前研一は新自由主義を唱える人物であり、そんな人物が憲法9条を提唱したからと言ってそれを称賛するのは納得できない」という批判である。それでも私は大前氏を評価する。その理由の背景には私の次のような現状認識がある。
 私は今の米国の経済危機は極めて深刻であると考えている。そしてそれは米国の戦争と不可分であり、米国は自らの経済危機を克服するには戦争をやめなければならないと考えている。1929年の大恐慌を米国が克服したのはルーズベルト大統領のニューディール政策のためではなく、第二次大戦に
参加したからだという説があるが、私は米国が今戦争を起こしてもその経済効果は少なく、むしろますます米国は経済破綻に追い込まれていくと考えている。
 米国がこれ以上戦争国家になることでそのしわ寄せを一番負担させられるのは日本である。ただでさえ国民生活が危機的状態になりつつあるときに、日本がこれ以上米国の負担を肩代わりさせられるなら日本は壊滅する。何があっても米国の戦争をやめさせなければならない。それが無理なら米国の戦争にこれ以上かかわってはならない。それが私の認識であり、私が憲法9条を世界に宣言し、日米軍事同盟から自立する事を主張する理由はそこにある。
 だから大前氏の提言のごとく米国が戦争国家から脱却する事こそ米国も日本も救われるという考えだ。問題は米国は大前氏の提言を受け入れない、受け入れられない国である、ということだ。そこにオバマ大統領の悲劇がある。それでも私はオバマ大統領を応援する。これも大前氏と同じ立場である。

 2009年2月22日発行 第0067号

 仲間内で褒め合っていては真実は語れない


 2月22日の新聞に気にかかる二つの書評を見つけたので書く。一つは毎日新聞書評欄に見られた五百旗頭 真 防衛大学校長(神戸大学名誉教授)の田中均著「外交の力」(日本経済新聞出版社)に関する書評であり、もう一つはもう一つは産経新聞書評欄の佐藤優が書いている「岡本行夫 現場主義を貫いた外交官」(朝日新聞)についての書評である。
 私はいずれの著書も読んでいる。二人を知っている。田中氏は私の同期だ。岡本氏は私の一年先輩だ。彼らの言動をすべて批判的に言うつもりはないが、これらの書評はあまりにも褒めすぎだ。何も知らない一般読者をごまかせても私を誤魔化すことは出来ない。仲間内で褒め合っている限り真実を語ることはできない。
 それにしても佐藤氏の最近の豹変振りには驚かされる。御用学者の五百旗頭氏が田中氏の著書を宣伝するのはわかる。しかし国策捜査の悪を暴き、外務省の犯罪的工作を批判して世にでた佐藤氏が、最近は一部の外務省OBに迎合するようになった。しかも彼らは決して反骨の外務省OBではない。世に受け入れられ、体制側に立つ者ばかりだ。
 佐藤氏の見事な転進である。それだけ彼の境遇が恵まれてきたということだ。世の中に堂々と出られるようになったということである。それに伴って体制側につくようになる。私はそれを危惧する。世の中を正しくない方向に洗脳する事をしてはいけない。佐藤氏は世の中のためになる正しい生き方をしなければならない。

2009年2月23日発行 第0068号

  中谷巌氏の評価がどこまでひろがるか注目したい


 私は昨年12月19日のブログで、「ついに小泉構造改革の誤りを認める人間が政府側から出るようになった」と題して、中谷巌氏のことを評価した。その後中谷氏の懺悔の書は新聞や週刊誌の書評で取り上げられ、中谷氏自身の寄稿文やインタビュー記事も新聞や雑誌に頻繁に出るようになった。しかし中谷氏は本当に評価されているのか。

 2月18日の産経新聞「正論」の中で中谷氏が述べている次の言葉に私は注目した。

  ・・・(私の著書に対しては)、多くの方々から「よく言った」、という
賛同と同時に、「時流におもねっている」、「いまさら何を」、「守旧派に
肩入れする裏切り者」といった多くのご批判もいただいた・・・

 この言葉のもつ意味は重い。体制側を批判する事がどれほど勇気がいることかを示している。正しく評価される事がいかに難しいかを示している。そして体制側に都合の悪いことはたくみに無視される事を示している。

 小泉構造改革の弊害が日本を苦しめたことがここまで明らかになったにもかかわらず、小泉・竹中への批判はいまだタブーの如くだ。それは体制側に、いまだに誤りを認めることを潔しとしない風潮があるからだ。その代表格が大手メディアである。だから大手メディアはいまだに小泉構造改革を批判しない、
できない。竹中平蔵が今でも大きな顔をして改革が不十分だからこうなったと言い続け、それをテレビが流し続ける。小泉が出てきて郵政解散で得た三分の二の重みを考えろと叫べば、それが大きく報道される。本来ならば彼らは国民から石をぶつけられ、二度と世間に顔向けできないはずではないのか。

 その一方で小泉構造改革を批判してきた者たちは、中谷巌氏がかつて小泉構造改革を唱えた一人であるという先入観で、彼の懺悔の書をろくに読むことなく、彼を正しく再評価しないでいるようだ。つまり中谷巌氏は、体制側からは「裏切り者」と呼ばれ、反体制側からは「今更なにを」と批判されているかのごとくだ。かくいう私もそういう思いを持った一人だ。少なくとも彼の「懺悔の書」を読むまでは。

 週末を使って中谷氏の「小泉改革の大罪と日本の不幸」を通読した。そしてあらためてこの書を再評価した。この書は私が知る限りでは、小泉構造改革を批判するこれまでのどの書よりも厳しい小泉批判の書である。そしてそれは単なる批判の為の批判の書ではなく、本物の小泉・竹中批判の書である。中谷氏は正しく評価されなければならない。その時はじめて小泉・竹中の構造改革路線が日本から消えていくことになる。日本が正しい方向へ軌道修正されていくことになる。

2009年2月23日発行 第0069号

 中川財務相泥酔報道が示すもう一つの問題点


 嵐のごとく報道された前代未聞の中川財務相泥酔事件もさすがに一段落した感がある。しかしこの問題のもう一つの隠された問題点を見落としてはならない。
 それは何か。権力者と報道関係者の間で暗黙の了解、もたれあいがあるということだ。あの事件は報道関係者の多くが知っていた。しかし中川氏を追い込むことになるから書かなかった。その暗黙の了解を破って2月18日の毎日新聞が検証ローマの2日」で暴露した。そこから一気にひろがった。いや、もっと正確に言えば外国のメディアが映像入りで大きく流したから毎日新聞も書いたのではないか。

 政治記者の書いたものを読んでいると、「もう時効だから(時間が立ってそろそろ書いてもいい頃だろうから)書くことにするが・・・」というきまり文句に出くわすことがある。これこそがまさに権力者と報道関係者の取引を物語っている。書かないことを前提に情報をもらう、あるいは今後も情報を
もらわなくてはならないので権力者に決定的な打撃を与えるような記事は抑える、
こういう現実があるのだ。

 偶然にもその好例を2月22日の毎日新聞にみつけた。潮田道夫論説委員の
「千波万波」の書き出しはこういう言葉から始まっている。

 ・・・ブッシュ前大統領は何度か、次のような趣旨の演説をした。
「米国は敵だった日本を打ち負かし(日本を)民主国家に再建した。今では
同盟国だ。イラクもそうなるだろう・・・」。彼は(ブッシュ前大統領は)
発言前に、当時首相だった小泉純一郎氏の了解を得ている・・・

 そしてその後潮田論説委員は、「米国の保護者意識が鼻につく。占領期に関しては日本人には愛憎こもごもの複雑な思いがある。それを知らないはずはない。礼を欠く」と怒っている。

 思い出してほしい。ブッシュ前大統領の発言はもっと日本を侮蔑したものもあった。なかには日本をナチやテロリスト国家のごとく表現していたものがあった。潮田氏ならずとも多くの日本人は不快感を持ってそれを読んでいたに違いない。

 しかしその発言をこの国の首相が了解していたとしたらどうだ。その事が当時の報道で国民に知らされていたらどうだったか。小泉・ブッシュの関係はここまで従属的であったのだ。

 ブッシュも小泉も引退した今になった、潮田氏はそれを書いたのだ。書きたくてしかたなかったが当時は書けなかった。書くべきではないと自粛した。しかしいつかは国民に知らせなければならない重要な情報である。だからこういう形でサラリと書いて、当時書かなかった事に対する免責を自らに与えているのだ。もっとはやく書いて置けよと言いたくなる。


 読者のみなさんへ

 メルマガの購読者になりたいがクレジットカード以外の支払い方法を受け付けてくれと言う問い合わせが寄せられます。残念ながらまぐまぐ社においてその対応が出来ないようです。その代わりに要約をお届けしています。少し日にちがずれますが、問題点の指摘は鋭く続けていきますのでご了解ください。このブログ読み続ける限り新聞を読まなくても世の中の主要な動きはわかる、そういう自負を持って書き続けていきます。

Copyright ©2005-2010 www.amakiblog.com
人気blogランキング

2009年02月19日

天木直人のメールマガジン 要約 2月17日ー19日分

天木直人のメールマガジン 要約 2月17日―19日分

 2009年2月17日発行 第0060号

 奥谷禮子が強気発言を続けられる理由

 奥谷禮子はかつて派遣社員を切り捨てるような発言をして世間の反発を買った。その後しばらく静かだった。しかし、派遣社員問題が大きな社会問題となり、政治問題になってからメディアに露出する機会が増えた。しかも強者の論理を臆面もなくかざすようになった。あたかも開き直ったごとくだ。ヒール役を買って出ているようだ。
 この現象について週刊現代2月28日号で保守評論家の福田和也が見事に次のように語っている。

  「・・・ザ・アールの従業員は、90人足らずであり、売上高は、35億円であって、いわゆる中小企業の域に納まるものだ。その社会的な輝きの大きさと、本業のつつましさのコントラストについては、こもごも考えざるを得ない・・・小企業の社長ながら、財界人なみの存在感を奥谷が有しているのは、大企業の経営者たちの本音を、自らの言葉であけすけに語ってみせるからだろう」

 なるほど、納得できた。奥谷の強気の発言の裏には財界重鎮の庇護があるのだ。いや、財界だけではない。おそらく今の日本の勝ち組はみな、内心では奥谷のような考えを心の底に秘めているに違いない。奥谷の発言を内心歓迎しているのだ。
 日本社会はその意識においても格差社会になってしまった。世論が分断されているのだ。政治が大きく変わらない、変われない理由がそこにある。

 2009年2月17日発行 第0061号

 小沢民主党代表の外交に苦言を呈する

 今回のヒラリー米国務長官の訪日は戦後の日米外交史に残るあわれな訪日となるだろう。その理由はカウンターパートである中曽根外相の存在感のなさである。これほど顔の見えない外相はかつていなかった。外務官僚の振り付けどおり口を動かして終わるだろう。 それに何といっても麻生首相だ。もはや会談どころではない。
 しかし今日のメールマガジンはそのような自民党政権の無能さを書く事が目的ではない。これほどの外交チャンスが到来しているというのに、そのチャンスを活かせない政治家小沢一郎に対する苦言と、その小沢党首に正しい外交を助言できない民主党幹部の非力について書く。
 私が驚き、失望したのは、17日の朝日新聞の記事を読んだ時だ。小沢代表は16日放送のラジオ番組で、オバマ新政権がアフガンへ米軍を増派する方針について、「いくら増派したって絶対勝てない」と話したという。 日米同盟関係の根幹に関わるこのような重大発言を、オバマ大統領やヒラリー国務長官という責任者のいないところで、しかもメディア通じて国民に知らせる形で、口にする事は、外交的には最もやってはいけない事なのである。
 こうなった以上小沢民主党代表は今晩のヒラリー国務長官との会談で、この事をはっきりと伝えなければならない。おそらくヒラリー国務長官のほうから確認してくるに違いない。あの発言の趣旨はどういう事かと。そう聞かれる前に、小沢党首のほうから先に言い出さなければならない。そしてその時にあれは本心ではなかったと釈明するのか、アフガン増派はやめたほうがいい、と直言するのか、どちらの方向であるにせよ、もう一度慎重に考え、覚悟を決めて、それをはっきり伝えるべきだ。
 17日の朝日新聞の記事は最後にこう書いている。
「・・・(小沢氏は)顔合わせと位置づけており、日米同盟重視の姿勢を示しつつ各論には踏み込まない見通しだ」、と。 もしこれが事実であれば政治家小沢一郎は外交力が欠如した政治家ということになる。かげで強がりを言い、本人を目の前にして何も言わない、最悪の外交をおかすことになる。

  2009年2月18日発行 第0062号

  事実がすべてを語る(中川財務相辞任騒動に思う)

 中川財務相ヘロへロ発言大騒動についてどうしても一言書いておかねばならない。そう思わせる新聞記事を今朝18日の毎日新聞に見つけた。中川昭一財務大臣の「検証 ローマの2日」という記事である。そこには次のように書かれていた。

 ・・・中川氏は午後1時50分まで予定されていた昼食会を1時ごろに途中退席し、宿泊先のホテルにもどった。予想外の行動に財務省同行筋は対応に追われた。中川氏はホテルの1階のイタリアレストラン「ドニー」に移動、財務省の玉木林太郎国際局長や日本から同行した女性記者など数人で会食した。
レストランの支配人によると赤のグラスワインを注文・・・中川氏が昨年9月の財務相就任以降、G7などの海外出張では同行の女性記者を集めて飲食を行なう事が恒例化していた。今回も、中川氏と麻布高校の同期で東大法学部の同窓でもある玉木局長が一部の女性記者を招いたという・・・(飲食後の)
午後2時50分から同ホテル内でロシアのクドリン財務省と会談、(その際)言動に不安定さも見られた・・・午後3時45分からの内外記者会見の前にはすでにロレツがまわらない状態だった・・・

 私はかねてより、「凡庸な百の解説よりも一つの事実のほうが物事を雄弁に語ってくれる」と強調してきた。もしこの新聞記事が、中川財務省の記者会見の映像が流された直後に、一斉に大手新聞の報じるところとなり、国民の前に示されていたら、中川財務相の無用な弁解など吹っ飛んで、即刻辞任に追い込まれていただろう。そうすればこんな馬鹿騒ぎも続かなかったに違いない。かんぼの宿疑惑問題とか、日米首脳会談で飲まされた日本の膨大な負担とか、国民がもっと知るべき重要な事が報じられていたはずである。

 2009年2月19日発行 第0063号
 
 小沢氏の対米政策は間違いだ

 小沢・ヒラリー会談で小沢氏は何を語ったのか。報道されている事が正しければ、それはこういう事だ。
 「私は日米同盟が何よりも大事だとずっと以前から唱えていた。ただ、
同盟は従属の関係であってはならない。対等なパートナーシップでもって
初めて同盟だ」(18日朝日新聞)
 「まず、両国で、本当に同盟国として、世界政策を、世界戦略をきちんと話し合って、その合意を得た上で、個別の問題について対応していくことが大事じゃないかと。今までのわが国政府は、自らの主張をきちんと主張し得ないところに問題があったのではないかと」(18日産経ネットニュース)

 小沢氏のこの発言は、一見すると自民党政権の対米従属政策と一線を画す立派な対米外交のような印象を与える。しかし、米国という国の実体を知っている者なら、この発言がいかに間違っているかがわかる。

 まず第一に米国の重視する日米同盟とは日米軍事同盟であるという事だ。そして日米軍事同盟関係において対等はありえない。米国はそれを認めない。日米軍事同盟関係とは、本質的に不平等、従属的なものである。

 二つ目に、小沢氏は米軍の再編問題については日米間で世界政策、世界戦略を話し合い、合意した上で対応していく、と言っているが、米国が自らの世界戦略、安全保障政策を他国と話し合って決めるなどということはあり得ない。ましてや日本の考えなど聞くはずはない。

 重要な事は、対等ではなく自主、自立なのである。日米関係は対等ではない。日本は米国より弱小である。しかし弱小と従属とはまったく異なる。重要な事は弱小でも従属にならないことである。自主、自立した外交を行うという事なのである。

 そして対米関係において自主、自立ができる唯一の道は、憲法9条を掲げた平和外交を貫く事である。
 戦争国家米国から自主、自立し、日本は平和国家を目指すと宣言したとたん米国は日本を見捨てると日本人の皆がそう思いこまされている。しかしそれは大きな誤りだ。根拠なき思い込みだ。確かに米国は失望するだろう。不快感を示すだろう。だからと言って米国が日本を見捨てて中国と手を結べるか。 外交戦略として米国はそう脅かすかもしれないが、その時こそ日本は世界に向かって宣言すればよい。平和国家を目指すと言ったとたん、米国は日本をもはや同盟国と見なさなくなった。それは残念だ。しかし米国が日本を見捨てるなら仕方がない。その代わり日本は世界を同盟国として平和国家日本を目指す、と。

 日本はもっと自らに自信を持つべきだ。自主、自立の胆力を持つべきだ。その重要性に気づいた時、日本は初めて正しい日米関係を築くことができる。小沢民主党代表は、いたずらに米国を刺激して反発を買うような真似をやめて、世界が納得する対米外交を唱えるべきである。


  お願い

  一人でも多くの読者に「天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説」(http://premium.mag2.com/lineup/P0007564/)の仲間に入っていただきたいと思っています。どうすれば日本が強く、正しくなれるか、一緒に考えていきたいと考えます。
  登録初月は無料でご購読いただけます。購読の開始、中止はいつでも自由に、随時可能です。世界と日本の真実を私と一緒に毎日見つけ出していきましょう。自主、自立した強い人生を送るために。
Copyright ©2005-2009 www.amakiblog.com

Copyright ©2005-2010 www.amakiblog.com
人気blogランキング

2009年02月16日

天木直人のメールマガジン 要約 2月13日ー16日分

天木直人のメールマガジン 要約 2月13日―16日分

 2009年2月12日発行 第50号 役にたたない人間などいない

 こころがなごむ記事を見つけた。2月11日の読売新聞一面に「はたらく」という連載が始まった。その第一回「いきがい」という見出しの記事は、次のような言葉ではじまっていた。「東京タワーが開業50周年を迎えた2008年12月23日、多摩川に近い川崎市高津区の工場で、もう一つの50年を祝う拍手が響いた。社員らの笑顔の輪の中心で涙ぐんでいるのは林緋紗子さん(64)。チョーク製大手の日本理化学工業が半世紀前、初めて採用した知的障害者2人のうちの1人だ・・・」
 その読売新聞の記事は、15歳の時に養護学校から職業体験に来た林さんと、その林さんを取り囲む工場の人たちの情景を次のように活写する。・・・休憩のチャイムに気づかないほど夢中に働いた。そのいちずさが同世代の子を持つ社員の胸を打った。2週間たった最終日、採用を考えていなかった人事担当者を社員たちが囲んだ。「私たちが面倒をみますから、一緒に働かせてあげて」
 私が感動したのは、その後に続く次の文章である。「知的障害者は、人の幸せとは働くことなのだと私に気づかせてくれた。企業はもうけることも大事だが、人に働く喜びを与えられることが大きい」、と日本理化学工業の大山泰弘会長(76)は話す。 障害者の雇用拡大に迷いがあった頃、禅寺の僧侶に教えられた。「人の幸せは四つ。愛され、褒められ、役に立ち、必要とされること。働くことで少なくとも三つ手に入るんだよ」と・・・極めつけは大山会長の次の言葉だ。「役に立たない人間なんているものか」。 見事な言葉ではないか。そしてその言葉に、同じように見事に答えたのが冒頭の林緋紗子さんだったのだ。大山会長と林さん、そして林さんを支えた社員の皆さんへ、心からの拍手を送りたい。
 
2009年2月12日発行 第0051号

 新聞は本当の事を書かない

 新聞に流される記事が嘘だとは言わない。報道記事は最小限のニュース源として意味はある。しかしそれを無批判に読み流して信じると危険である。時として新聞は間違った事を平気で書く。その例を今日12日の新聞で説明してみる。
 各紙はイスラエルの総選挙の事を報じている。どの記事も右派勢力が躍進してパレスチナ問題の和平が遠のいたという記事ばかりだ。和平を進めようとするオバマ政権に痛手と書き、パレスチナ人の間で悲観論が広がったと書く。しかしそれは不正確だ。イスラエルという国は例外を除いてすべての政党が対パレスチナ強硬派である。9割もの国民がイスラエルのガザ攻撃を支持している。そのような国にあっては、どの政党が政権を取ったところで基本的な対パレスチナ政策は変わらない。むしろ和平派といわれる政党が政権を取った時ほど強硬策をとる傾向がある。なぜならば宥和政策を取ると国民の支持を失うので、いきおい強硬策をとらざるを得ないからである。そもそも今度の選挙では、強硬派が伸張することは想定されていた。選挙結果には何のサプライズもない。むしろオバマ政権がアフガン攻撃を本格化すればパレスチナ情勢も悪化する。イスラエルの選挙結果いかんにかかわらず、中東和平が好転する兆しはない。メディアはその事を書くべきなのだ。
 「あの時多くの国民は知らなかった」という麻生発言のどこが間違っているというのか。
間違っているとすれば小泉元首相すら中味を知らなかった、関心がなかった」と付け加えなかった事ぐらいだ。2月11日の産経新聞「単刀直言」の中で亀井静香国民新党代表代行が次のように述べていた。その言葉こそもっと報道されるべきだ。国民は皆そう思っている。
「・・・太郎ちゃんが首相として生き延びるには、小泉政治の罪状をざんげすればよかった。米国のサブプライム・ショックが象徴しているけれど、ネオコンや強欲資本主義は破綻した。小泉政治はネオコン政治のコピーでしょ。小泉に降伏し、チェンジできなかったのが麻生宰相の悲劇だ。郵政民営化も間違いだったのだから、グズグズ言っていないで見直すしかないんだよ」

 2009年2月13日発行 第0052号

  独立外交官に未来の夢を託したい

  13日のブログで既報

2009年2月13日 第0053号

 小泉元首相は最後に大失敗をおかした
 
  13日のブログで既報

2009年2月14日 第0054号

 小沢・ヒラリー会談に注目せよ

 ヒラリー・クリントンの訪日をあさってに控えているというのにそれに関する事前の報道がまったくない。そう思っていたら、2月13日の日経新聞社説が小沢・ヒラリー会談について書いていた。この日経の着眼点は鋭い。実は今回のヒラリー国務長官訪日の隠された目玉は小沢・ヒラリー会談なのである。米国はすでに政権交代を視野に入れている。だから麻生首相との間でどのような約束をしようとも、それが小沢民主党政権に引き継がれなければならない。ヒラリー国務長官が小沢代表との会談を申し入れた理由はそこにある。ヒラリーは小沢一郎に念を押すのだ。凄んで見せるのだ。日米同盟の重要性についてはわかっているだろうな、と。麻生自民党の約束を間違いなく引き継ぐだろうな、と。駐留米軍経費の負担や普天間基地の受け入れに変更はないだろうなと。アフガンでの対テロ戦争に協力するだろうな、と。
 果たして小沢民主党はどう答えるつもりか。そもそも小沢一郎はヒラリー国務長官との会談に応じるのか。いまだに小沢一郎がヒラリーからの会談要請を受け入れたという話は聞かない。小沢一郎は会談に応じるべきである。そして前シーファー駐日大使との会談の時のように国民に見える形で堂々と会談すべきである。対米外交はとても重要であるから、国民の声を背にして、国民外交で行なう、といえばいいのだ。小沢代表にはそこまでの覚悟を持ってもらいたい。そんな小沢代表に、2月13日の毎日新聞にでていた米カリフォルニア大学サンディエゴ校名誉教授であるチャルマーズ・ジョンソン氏の次の言葉を贈りたい。小沢代表はよく読んでおくことだ。
 「・・・日本に容易ならない仕事をさせる圧力がきっとかかってくるだろう。日本は強く抵抗すべきだ。憲法9条を捨ててはいけない。それが理想主義を呼び起こし、日本に役立つ最善の方策だ・・・ 」

 2009年2月15日発行 第0055号

 小泉・竹中売国奴構造改革を追及したTBS時事放談

2月15日のブログで既報

2009年2月15日発行 第0056号

  谷公士人事院総裁が超強気な理由

 何故谷公士人事院総裁はあれほど強気でいられるのか。あたかも公務員改革など出来はしないと高をくくっているかのようだ。そしてそれをメディアも叩かない。その答の一つを矢野絢也元公明党委員長が週刊新潮の自らの連載「永田町を斬る!」(2月19日号)の中で次のように明らかにしていた。
・・・谷総裁が超強気な理由は・・・総裁を含む人事官3人のうち一人は報道機関の幹部経験者の指定ポストで、毎日、朝日、読売、NHK,日経の退職幹部が歴任してきたという経緯がある。だから、閣僚経験者は「報道機関が人事院を批判できるわけがない」と言い、自民党元幹部は「谷氏はそこも
充分読みきっている」と言う・・・
 これは鋭い指摘だ。一言で言うとこの国の支配者たちの人事が、仲間内でたらいまわしにされているという現実である。国民には分からないところで、支配層の敵も味方も、人事の貸し、借りで、完全につながっているという事である。みながお友達なのだ。誰も恨みを買いたくない。この国で本当の正義を実現する事は容易ではない。国民運動が盛り上がる時しかない。

2009年2月16日発行 第0057号

 嘉手納基地に米国がテポドン2号監視装備を配備した事の意味

 2月15日の産経新聞は一面トップで米国が嘉手納基地に北朝鮮の「テポドン2号」監視機コブラボールを緊急配置したとスクープした。この事がなぜ大きな問題なのか。それは日米安保体制がもはや完全に米国の防衛政策の為にある事を端的に示しているからだ。安保体制はもはや共産主義の脅威から日本を守るものではない。そもそも今の安保体制はとうの昔に日本を守るものではなくなっているのだ。もちろん憲法9条は否定されている。
 北朝鮮が発射準備を進めているとされるテポドン2号改良型は、米国西海岸まで届く射程1万キロ以上とされている。それは決して日本を攻撃するためのミサイルではない。明らかに米国を牽制するものだ。だからこそ米国はそれを監視するのだ。米国が保有している3機のうち2機までもが、日本に向けて相次いで飛来してきたのだ(2月15日読売)。
 このような重大な作戦が行なわれているという事を、なぜ大手新聞は国民に教えないのか。テレビは報道しないのか。なぜ護憲政治家は憲法9条違反のこのような米軍の行動を国会で取り上げようとしないのか。

 2009年2月16日発行 第0058号

 小泉元首相はロシアで何をしているのか

 麻生批判発言をした直後にロシアに飛び立った小泉元首相。言いだしっぺ不在の間にその発言をめぐって盛り上がっているメディアの滑稽さは耐え難い。しかしそれよりも何よりも、どの報道も小泉元首相がロシアに何をしにいくのかを一切流さない。
 そう思っていたら2月15日の産経新聞が、今回のロシア訪問は自ら顧問を務めるシンクタンク「国際公共政策研究センター」(田中直毅理事長)の派遣によるものだと伝えた。それでガテンが言った。ろくな訪問ではない。恥ずかしくて報道できないのだ。
 そもそもこの国際公共政策研究センターなるものは小泉元首相が総理を辞めた直後の06年10月につくられている。当時の報道の中には、当時の奥田日本経団連会長が音頭をとり、キャノンであるとか東京電力であるとか新日鉄であるとか、主要大企業80社くらいから合計20億円を集めてつくられるものだと教えてくれているものもある。 その後、国際公共政策センターがどのような形でスタートし、今日までどのような実績を重ねてきたかはまったく報道されていない。そのHPをのぞいて見て驚いた。理事長である田中直毅という御用学者一人が断片的なブログを配信している程度でまったく実績がない。実体がない。文字通り小泉元首相のためにつくっただけの組織だ。世界に誇れるシンクタンクを目指すという謳い文句が虚しく聞こえる。 大企業の派遣切りが社会問題となり、企業の膨大な内部留保が雇用確保に使われるべきではないかといった論争がなされている。その一方で企業はこんな愚にもつかない組織に一社数百万円から一千万円もの捨て金を寄付させられている。しかもその寄付金はカネに困らない連中の報酬や外遊に浪費されているのだ。壮大な天下りだ。

2009年2月16日発行 第0059号

 米国の戦争にどこまで国民の血税を差しだせば気が済むのか

 2月16日の二つの新聞記事は国民必読の記事である。「この国の指導者たちは米国の戦争にどこまで国民の血税を差しだせば気が済むのだろうか」という思いで私はこれを読んだ。おりしもクリントン米国務長官の訪日のタイミングに書かれた記事である。日米同盟重視の大合唱の裏で、日米関係の本当の姿がこの二つの新聞記事に表れている。
 2月16日の朝日新聞は一面トップに大スクープを掲載した。政府が09年度予算案に計上している在沖縄米海兵隊グアム移転経費346億円のうち、海兵隊の移転とは全く関係のない米軍基地関連事業経費174億円が含まれている、というスクープである。
 もう一つは同じく2月16日の毎日新聞である。そこに米ライシャワー東アジア研究所長ケント・カルダー氏のインタビュー記事が出ていた。彼は、「安保面で日本に期待されるものは」という問いに答えて次のように述べていた。
 「・・・例えばキルギスが閉鎖を発表した米軍基地の問題だ。アフガニスタン
の補給拠点で、非常に重要な基地だ。この問題は(キルギスに支払う賃貸料を巡り)
まだ交渉の余地がある。金融危機に喘ぐキルギスにとって日本は重要な援助国。
問題解決のため水面下で働きかけることができる。軍事的ではないが感謝される
貢献だ・・・」
 奇しくも2月16日の東京新聞に次のような記事を見つけた。
 「・・・米国はキルギスとの交渉を継続するとしており、(基地閉鎖の決議
にもかかわらずその手続きが遅れているのは)、水面下で米国との交渉が始まった
との見方がある。ただ、その場合もキルギス側が基地使用料の大幅値上げなど
を要求するのは必死で米国は難しい対応が迫られることになる。」
 毎日新聞と東京新聞の見事な一致である。米国は日本にこの経費負担の肩代わりを迫っているのである。
 朝日のスクープといい、カルダー氏の発言といい、一体どこまで日本国民の血税を米国の戦争に貢げばいいというのか。

筆者からのお知らせ。
一人でも多くの読者に「天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説」(http://premium.mag2.com/lineup/P0007564/)をご購読いただきたいと思っています。登録初月は無料でご購読いただけます。購読の開始、中止はいつでも自由に、随時可能です。世界と日本の真実を私と一緒に毎日見つけ出していきましょう。自主、自立した強い人生を送るために。
Copyright ©2005-2009 www.amakiblog.com

Copyright ©2005-2010 www.amakiblog.com
人気blogランキング

2009年02月15日

小泉・竹中売国奴構造改革を追及したTBS時事放談


 
  詳しくは今日のメルマガで書いたが、このブログの読者にも是非伝えておきたい。

  今朝早朝に流されたTBS系時事放談は野中広務と鳩山邦夫がゲストだった。その中で両者は驚くべき率直さで次の三点を国民の前で明言した。

  1.小泉発言は「かんぽの宿」疑惑の追及が自分に向かってくる事を恐れた目くらまし発言だ。

  2.「かんぽの宿」疑惑を追及している内に、小泉・竹中構造改革は米国金融資本に日本を売り渡し
    た事がわかった。

  3.日本のメディアは小泉・竹中売国奴構造改革に加担し、疑惑を必死に隠そうとしている。政局報    道に矮小化しようとしている。

  この三点セットこそ、これまで様々な人々がネット上で指摘してきたことだ。素人が何を言っても
  国民はそれを信じない。しかし裏を知り尽くした元自民党政治家と、現職の政権政党閣僚の口から  このいかさまが発せられ、全国の国民に流されたのだ。

   この番組はユーチューブで繰り返し、繰り返し流され、何も気づかない多くの国民が知るようになればいい。

   国民の覚醒によって、日本は崩壊のがけっぷちから、まだ救われる可能性が残っている。

Copyright ©2005-2010 www.amakiblog.com
人気blogランキング

2009年02月13日

 小泉元首相は最後に大失敗をおかした

小泉元首相は最後に大失敗をおかした

 私は2月13日のメールマガジンで、小泉元首相は最後に大失敗をおかしたと書いた。その内容はいつものように要約してこのブログでお伝えするつもりであったが、メディアがあまりにもピントはずれの騒ぎ方をしているので、急いで以下の通り私の見立てをブログで書く事にした。要するに小泉撃沈ということだ。
         小泉元首相は最後に大失敗をおかした

 小泉さんは息子に世襲して晩節を汚したのだから、「親ばかですみませんでした」と頭を下げてこのまま静かに政界から引退すればよかった。そしてそのような動きを彼はたしかに見せていた。

 ところが、麻生首相の小泉改革否定、そしてその一丁目一番地である郵政民営化否定に、切れてしまった。ここに小泉元首相の愚かさがある。彼は政治人生最後のところで大きな失敗を犯したのだ。

 このニュースは今朝のメディアで一斉に取り上げられた。政治記者たちにとっては格好のネタであり、この話題は週末のテレビ番組や週明けの週刊誌でも花盛りであろう。馬鹿馬鹿しくて聞くにたえない。そんなおためごかしの解説に先駆けて本当の事を書く。その結末は、政治記者や評論家の話を聞くまでもなく明らかだ。これは政局にはならない。不成功に終わる。そして小泉神通力が急速に色あせていく。小泉元首相はその政治人生の最後のところで大きな失敗をしたと私が断言するゆえんである。

 なぜ小泉発言が政局につながらないのか。その最大の理由は大義がないからだ。「郵政民営化を後戻りさせてはいけない」という動きは、国民生活のためを思っての動きではない。郵政民営化を掲げて国会議員になった小泉チルドレンの生き残りでしかない。自民党内の勢力争いでしかない。そして小泉元首相にとっては面子を汚されたという怒りだけである。

 郵政民営化の問題点を理解していない国民をだます事はできても、物事を少しでも分かっている国民にとっては「いい加減にしろよ」という話なのである。

 二つ目に、この動きは、ただでさえ選挙に負けそうな自民党にとって決してプラスにならない動きであるからだ。公明党はもとより、不利な状況でも最後まで民主党と政策で戦おう、と歯を食いしばって頑張ろうとしているまともな自民党議員の支持を得られない。だから自民党の中で広がらない。もし、これが広がるようでは、自民党は選挙前に分裂、消滅する、ということだ。そんな事にはならない。もしそうなったら、それこそ自民党はお終いだ。

 三つ目に、小泉元首相のまわりに集まっている議員の顔ぶれが悪すぎる。中川秀直、武部勤、小池百合子、石原伸晃、塩崎恭久、山本一太、片山さつき、佐藤ゆかり・・・とても国民の為に働く政治家とは思えない。それに、なによりも親分の小泉元首相が老醜となっていることだ。もはや総理であった時の勢いはない。なによりも政策について何一つ語ることの出来ない無能者だ。掛け声だけで国民を騙せる時代はとっくに終わっている。それが分からないのだ。自分の今の力量を判別できないのだ。

 おまけに今の国民生活の苦しさはただ事ではない。一日もはやい政治の安定、日本を立て直す強力な政治の実現を国民は望んでいる。小泉一派に日本が救えるか。誰がこんな日本にしたんだ、という批判が常につきまとうだろう。

 見ているがいい。小泉元首相は、この発言でかき回した後は再び沈黙するに違いない。現に発言した後でロシアに逃げている。その間に自分の発言の反応を必死になって見極めようとするだろう。そして世論が盛り上がらないと見るや、後は皆に任せたと言って表舞台から去っていくだろう。後に残された小泉チルドレンははしごを外される事になる。いかにも小泉元首相のやりそうなことだ。要するに卑怯で小ざかしいのだ。

 私の予想が外れて、もし小泉元首相が頑張るとすれば、それは息子の将来を思ってのことだ。政治家になった息子が野党議員では話にならない。息子のために連立政権の一角を担う政界再編を起さなければならない。しかし、もしその為に小泉元首相が動くとすれば、こんどこそ小泉元首相はお終いだ。

 どう考えてもこの動きは広がらない。こんな馬鹿騒ぎはとっととしまいにして、自民党と民主党の政権をかけたガチンコ勝負に国民は集中したほうがいい。

 

Copyright ©2005-2010 www.amakiblog.com
人気blogランキング

2009年02月13日

 独立外交官


 以下は私のメールマガジン2月13日号に掲載した文章である。その反応のあまりの大きさに、ブログの読者にも読んでもらおうと思って配信する。

 何かが動き出す予感がする。

 天木直人のメールマガジン
 ―反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

  2009年2月13日発行 第0052号

  独立外交官に未来の夢を託したい


 英治出版というところから「独立外交官」という著書が贈られてきた。
米国のイラク攻撃に反対して外務省を追われた私に是非それを読んでもらい
たいという。その本の著者もまた、米国の戦争に加担した英国の外交に幻滅
して、04年9月に外務省を辞したカーン・ロスという英国の元外交官である。

 私は早速それを読んだ。そして、大袈裟に言えば、わが人生で最も感動
しながらこの本を読み終えた。これほど勇気づけられた本はなかった。
こんな外交官が世の中にいたのだ。私など足元にも及ばない立派な
独立外交官である。

 カーン・ロスは、米国がイラク攻撃の根拠と強弁したあの有名な安保理決議
1441号成立時(02年11月8日)に、英国国連代表部の安保理担当の
外交官だった。つまりイラク攻撃の裏で繰り広げられた開戦前夜の主要国外交を
知り尽くした当事者の一人だ。

 そのカーン・ロスが、「国益」に縛られた外交に正義は実現できない、と
見限って外務省を辞職する。そして2007年にINDEPENDENT 
DIPLOMATという本を出版して自らの理想の外交を語る。その邦訳が
今年の2月20日付で英治出版から日本国民の前に提供されることになった。

 すばらしい事だ。日本の若い外交官にとって必読の書である。いや、
これから外交官を志そうとする日本の若者の一人でも多くに、この本を
読んでもらいたい。そう願いながらこのメールマガジンを書いている。

 この本「独立外交官」は、あの米国のイラク攻撃がいかに間違っていたか
を証明する歴史的記録である。あの米国のイラク攻撃が嘘の情報に基づいて
行なわれた戦争であった事は、すでに様々な関係者の証言で明らかになっている。
しかしこの本は、それに加え、「はじめに攻撃ありき」の戦争であった事を
あらためて我々に教えてくれる本である。あの時サダムフセインがあらゆる
査察に応じたとしても、米国に攻撃を止める意思はなかった、と証言する
カーン・ロスの言葉は重い。

 しかしこの「独立外交官」という言葉は、米国のイラク攻撃の不当さを教えて
くれる彼の本を意味するだけではない。「独立外交官」という言葉は、
カーン・ロス自身を示す言葉でもあるのだ。

 彼は、15年間の英国の輝かしいキャリア外交官の経験を通して、国家が
行なう外交の限界を悟った。彼は言う。国家が繰り広げる外交では、人類に
普遍的な道徳外交、倫理外交は出来ない、と。平和とか地球環境とか人権と
いった普遍的価値は守れない、だからそのような「国益」に縛られた外交から
独立した外交官にならなければならない、と。それを信じて、カーン・ロスは
エリート外交官の地位を捨てた。

 彼はイラク攻撃を批判したあのロビン・クック元外相のスピーチライターを
つとめたほどの男である。文字通りエリート外交官であった。その彼が、
「イギリス外務省で実践した従来の外交で、僕は道徳観を失い、信条も意義も
見失った。僕が手を貸したシステムは、世界の現実からも、僕が大切にしている
ものからも、外れていた。つくりごとに過ぎなかった仕事に、意味も価値も
見出せなかった」と言って外務省を辞したのである。

 「国家を代弁する外交官は自分自身の道徳観の放棄を迫られる。ながく外交官
をしているうちに、国家の論理が個人としての倫理感を覆い隠してしまいがち
になる」と言って外務省を辞したのである。

 「ガンジーからマンデラまで、根本的な変化を実現した政治指導者はみんな、
(万人の心を揺さぶる)道徳的な力に注意を払っていた」と言って外務省を
辞したのである。

 正義と道徳を唯一の指針とし、自立した外交を目指した見事な「独立外交官」
ではないか。

 しかし、私がカール・ロスに最も圧倒されたのは、自らの独立外交を実現する
ために、英国外務省を辞した04年に直ちに「独立外交官」という
外交コンサルティングの非営利組織を立ち上げたことだ。

 「一握りの有力国と、そのほかの国には圧倒的な格差がある。
(大国の横暴によって)苦しんでいる人たちがいるのに、なぜ僕は、
一国の国益のために人生を捧げようとしているのか・・・」。この疑問に
自ら答えを出して、コソボ、ソマリランド、西サハラのポリサリオ運動など、
国際政治の場で虐げられている政治集団に外交上の支援を提供しようと
決意したのだ。その熱意は多くの賛同と支持を得た。あのジョージ・ソロス
財団からも支援を得ることができた。2009年1月現在、ロンドン、
ニューヨーク、ワシントン、ブリュッセル、アジスアベバの5拠点で
活動をするに至っているという。

 支援の対象基準が、「民主的で、国際法と人権を尊重していること」という
ところがまた素晴らしい。世界の多くの外交官がその活動に賛同し、
「必要性はこんなに明白なのに、なぜこうした組織がもっと前にできなかった
のだろう」と言っているという事実にも驚かされる。

 こう書いてきた私は、ある衝動に駆られた。カール・ロスと直ちに連絡をとり、
「独立外交官」のアジアの拠点を日本につくるべきではないか。アジアの
民主化のため、独立外交官の一員としてその活動に参加させてもらうべきでは
ないのか。

 ミャンマーの民主化やチベット問題など、アジアで独立外交官に期待される
外交は多い。
 何よりも私は沖縄を日本から独立させて見たい。沖縄を世界に誇る永世中立の
平和国家にしてみたい。それが私の夢である。
 独立外交官に賛同する日本の若者と一緒になってこの見果てぬ夢を実現する。
なんと素晴らしいことではないか。

 最後にカーン・ロスの次の言葉を紹介してこのメール・マガジンを終える
事にする。その言葉に私が100%共鳴する事はいうまでもない。

「・・・私が見出した問題点や欠陥はイギリス外交に特有のものというより、
世界中の外交につきものだ・・・どうしたらいいのか。職業外交官というものは
もはや不要なものであって、近い将来、絶滅するだろう。これからわれわれが
直面するもっとも重要な課題や問題、つまり戦争、テロ、気候変動といった
問題を、政府と外交官にだけ任せるのは無責任である。我々の手に外交を
取り戻し、われわれ市民が外交を担うべきである。誰もが外交官なのだ・・・」。
 独立外交官万歳!


Copyright ©2005-2010 www.amakiblog.com
人気blogランキング

2009年02月12日

 天木直人のメールマガジン 要約 2月11日ー12日分

 天木直人のメールマガジン 要約 2月11日―12日分

 2009年2月11日発行 第0049号

 麻生叩きの裏で隠される「かんぽの宿」疑惑


 賢明な読者なら気づいているだろう。メディアの麻生叩きの裏で「かんぽの宿」疑惑が隠されようとしているのではないか、と。

 私の、見立てはこうだ。もし麻生発言がなければ、今ごろメディアは「かんぽの宿」疑惑一色の報道になっていただろう。そしてそれに伴い「かんぽの宿」疑惑は平成の大疑獄につながっていったかも知れない。サンデー毎日最新号(2月22日号)はついに、郵政民営化に反対し更迭された当時の郵政官僚の証言を掲載し、「かんぽの宿」一括オリックス譲渡は、平成の「官有物払い下げ事件」だ、とまで言わしめている。「こんなに早く民営化のほころびが出るとは思わなかった」とまで言わしめている。

 「かんぽの宿」疑惑の真相が国民の前に明らかになれば、それは単に郵政民営化問題の是非などという瑣末なことではなく、その根本にある小泉・竹中構造改革の不正が明らかになる。それを支え続けた大手メディアの罪が糾弾される事になる。

 そこに降って湧いた麻生首相の郵政民営化否定発言だ。構造改革派は一斉にこれに飛びついて麻生批判を始めた。メディアも一斉に麻生発言を批判する。テレビのコメンテイターもすべて麻生批判をする。それにつられて、何も分からない国民までもが麻生たたきに加担する。小泉・竹中の構造改革こそ格差をつくった元凶であると批判してきた野党まで、麻生政権打倒を優先して麻生叩きに加担する。かくして麻生たたきの影に隠れる形で「かんぽの宿」疑惑が矮小化されていく。

 果たして「かんぽの宿」疑惑はこのまま終わってしまうのか。それとも小泉・竹中構造改革の罪が国民の前に暴かれていくのか。それをメディアはどう報道していくのか。みどころは満載である。


  2009年2月12日発行 第50号
 
  役にたたない人間などいない

 こころがなごむ記事を見つけた。腹立たしい記事が多い中で、一筋の希望が差し込むような記事だった。2月11日の読売新聞一面に「はたらく」という連載が始まった。その第一回「いきがい」という見出しの記事は、身体障害者を雇う町工場の次のような心温まる話だ。

 「東京タワーが開業50周年を迎えた2008年12月23日、多摩川に近い川崎市高津区の工場で、もう一つの50年を祝う拍手が響いた。社員らの笑顔の輪の中心で涙ぐんでいるのは林緋紗子さん(64)・・・50年前、15歳の時に養護学校から職業体験に来た林さん・・・休憩のチャイムに気づかないほど夢中に働いた。そのいちずさが同世代の子を持つ社員の胸を打った。2週間たった最終日、採用を考えていなかった人事担当者を社員たちが囲んだ。「私たちが面倒をみますから、一緒に働かせてあげて・・・健常者に比べれば、作業を覚えるまで時間はかかる。記憶したり数えたりすることも苦手だ。でも、明るい笑顔が職場を照らす。ハンディのある人を支えようと社内に一体感も生まれた・・・それから50年たって林さんはもうすぐ定年を迎える。

 林さんを雇った日本理化学工業は、川崎と北海道美唄市に工場を持ち、チョーク製造では全国シェア(市場占有率)30%を誇るトップ企業だ。全社員71人のうち知的障害者は7割超の54人に上る。「知的障害者は、人の幸せとは働くことなのだと私に気づかせてくれた。企業はもうけることも大事だが、人に働く喜びを与えられることが大きい」、と大山泰弘会長(76)は話す。「人の幸せは四つ。愛され、褒められ、役に立ち、必要とされること。働くことで少なくとも三つ手に入るんだよ」と話す。

 極めつけは大山さんの次の言葉だ。「役に立たない人間なんているものか」 見事な言葉ではないか。その言葉に林緋紗子さんは見事に答えた。大山会長と林さん、そして林さんを支えた社員の皆さんへ、心からの拍手を送りたい。

 
 2009年2月12日発行 第0051号

 新聞は本当の事を書かない

 新聞の記事が無意味だとは言わない。しかし、そこに流される報道記事は最小限のニュースでしかない。それどころか、新聞記事を無批判に読み流して信じると危険ですらある。間違っていることもあるからだ。その例を今日12日の新聞で説明してみる。

 各紙はイスラエルの総選挙の事を報じている。どの記事も右派勢力が躍進してパレスチナ問題の和平が遠のいたという記事ばかりだ。和平を進めようとするオバマ政権に痛手と書き、パレスチナ人の間で悲観論が広がったと書く。

 しかしそれは不正確だ。イスラエルという国は例外を除いてすべての政党が対パレスチナ強硬派である。9割もの国民がイスラエルのガザ攻撃を支持している。そのような国にあっては、どの政党が政権を取ったところで基本的な対パレスチナ政策は変わらない。むしろ和平派といわれる政党が政権を取った時ほど強硬策をとる傾向がある。なぜならば宥和政策を取ると国民の支持を失うので、いきおい強硬策をとらざるを得ないからである。そもそも今度の選挙では、強硬派が伸張することは想定されていた。むしろオバマ政権がアフガン攻撃を本格化すればパレスチナ情勢も悪化する。イスラエルの選挙結果いかんにかかわらず、中東和平が好転する兆しはない。メディアはその事を書くべきなのだ。

 相変わらず、郵政民営化否定発言をした麻生首相への批判が続いている。しかし「あの時多くの国民は知らなかった」という麻生首相の発言は正しい。読者のあなたは正しく理解していたか。今正しく理解しているか。そんな中で森喜朗元首相が「民営化が正しいと思った議員は、小泉純一郎元首相だけだった」と発言した。これも正しい。間違っているとすれば「小泉元首相すら中味を知らなかった、関心がなかった」と付け加えなかった事ぐらいだ。
 
 2月11日の産経新聞「単刀直言」の中で亀井静香国民新党代表代行が次のように述べていた。その言葉こそ大きく報道されるべきだ。皆が内心そう思っている事だからだ。

 「・・・太郎ちゃんが首相として生き延びるには、小泉政治の罪状をざんげすればよかった。米国のサブプライム・ショックが象徴しているけれど、ネオコンや強欲資本主義は破綻した。小泉政治はネオコン政治のコピーでしょ。小泉に降伏し、チェンジできなかったのが麻生宰相の悲劇だ。郵政民営化も間違いだったのだから、グズグズ言っていないで見直すしかないんだよ」

Copyright ©2005-2010 www.amakiblog.com
人気blogランキング

2009年02月09日

天木直人のメールマガジン 要約 2月7日ー9日分

天木直人のメールマガジン 要約 2月7日―9日分

 2月7日発行 第0043号

 もはや私は朝日新聞に期待しない


 最近の朝日新聞の社説の体制化は目に余る。2月5日の日刊ゲンダイは、「赤っ恥!朝日新聞の迷走社説」と題して、「かんぽの宿」疑惑に関する朝日の社説の変節ぶりを糾弾していた。オリックスへの一括譲渡に「待った」をかけた鳩山総務相を「不当な政治介入だ」と徹底的に批判した(1月18日社説)のに、その後疑惑報道が相次いだとたん、1月31日の社説で「談合のような不正や不適切があれば話は別だ」と軌道修正した。
 朝日の社説の劣化はこれだけではない。甘利総務相と谷人事院総裁のバトルに見られる公務員改革についての2月4日の社説は「拙速では改革がゆがむ」という見出しの下に、麻生首相のわたり禁止の発言を批判し、「世間受けを狙った公務員たたき」だとか、「優秀な人材が集まらなくなる」だとか、まるで官僚が聞いたら泣いて喜ぶ公務員改革反対ぶりだ。
 1月28日の社説では、オバマ大統領のグアンタナモ収容所閉鎖発言を歓迎する一方で、
「釈放された拘束者がアルカイダ幹部となり爆弾テロにかかわるようになれば危険だ」、「この機会に反テロで国際的な連携を再構築していこう」、などと書いている。これは米国の言い分と同じだ。その米国に従属する外務官僚と同じ立場だ。 
 朝日新聞はもはやリベラル紙の雄ではない。エリート意識に固まった記者たちが幹部を占める、権力側に立つ新聞だ。

  2009年2月8日発行 第0044号

 質問主意書を正しく使って政治を変える

 2月7日の毎日新聞を読んで驚いた。政府はソマリア沖の海賊について実態を把握していないというのだ。これでどうして海上自衛隊の派遣を決定できたのか。この事は民主党の平岡秀夫衆院議員の質問主意書に対する政府答弁書で明らかになった。

 私は、もうずいぶん前のブログで、質問主意書は、使い方によっては野党議員の最強の武器となる、と書いた。そのメッセージが伝わったと見えて、それ以来質問主意書を使って政府の答弁を引き出す国会議員がてきめんに増えた。

 問題は政府の答えが不十分であることだ。そしてそれを質問した野党議員も、そんな不完全な政府答弁に怒る事なく、更に質問を繰り返すこともなく、終わってしまっている事だ。野党議員は厳しく追及すべきである。満足のいく答えを引き出すまで、何度も何度も、質問主意書を続けるべきだ。そしてそれを国民に知らせるべきだ。

 無所属議員よ。いっそのこと新党「質問主意書」党を立ち上げたらどうか。不勉強な議員のつまらない国会質問より、正しい質問主意書のほうがはるかに効果的であり、政府・官僚を震撼させる事となる。 国会議員一人でも、その意思と能力があれば、質問主意書を正しく使って政治を変えることができると思う。

 2009年2月8日発行 第0045号

 郵政民営化を否定した麻生発言の衝撃度

  麻生首相が5日の衆院予算委員会で郵政民営化を否定する発言をした。麻生首相の事だから軽率に発言したのだろう。また発言を修正して、腰砕けに終わる事になるだろう。

 しかし、今度ばかりは麻生首相に頑張ってもらいたい。小泉改革は間違いだ。郵政民営化は間違いだと、突っ張ってもらいたい。そうすれば今の政局に激震が走る。小泉改革を支持してきた大手メディアの横面をひっぱたく事になる。

 私は政権交代を望む。そしてこのままいけば民主党中心の政権交代が起きる。しかし民主党単独政権であれ、野党連立政権であれ、どのような政権が出来てもすぐに行き詰る。それは安全保障政策で小沢民主党が分裂するからだ。小沢民主党と福島社民党との矛盾も表面化するからだ。

 そして自民党だ。自民党は郵政民営化問題で間違いなく分裂する。小泉一派が怒り出す。

 このような政治状況であるからこそ、来年は再び総選挙があると言われている。衆参同日選挙だと言われている。政界再編が落ち着くまでには、さらに何度も総選挙を繰り返さなければならないとまで
言われている。そうであれば早く政界混乱が起きたほうがいい。もはや今のような混迷政局で何年も日数を費やしている余裕は今の日本にはない。

 麻生首相には小泉改革のシンボルである郵政民営化の是非を国民に問う形で解散・総選挙してもらいたい。そうすれば政局は一気に混乱する。政界再編が早まる。それでいいのだ。

  2009年2月9日発行 第0046号

 ヒラリークリントン国務長官の訪日がそんなにめでたい事か

  2月6日の東京新聞「本音のコラム」でノンフィクション作家吉田司が書いていた。 「・・・ブーツ・オン・ザ・グラウンドとか言われ自衛隊がイラクへ出兵したが、そのイラク戦争は間違っていた。ヒラリーは日本を間違った戦争に導いた同盟責任を謝罪してから入国すべきだろう。彼女の目的がアフガンへの
自衛隊再出兵命令なら、くそくらえだ・・・」

 そのとおりだ。

 しかし日本政府と外務官僚は在沖縄海兵隊のグアム移転に関する協定に署名し資金援助を約束する。パキスタン支援国際会議を日本で開催しますといって米国のテロとの戦いを助ける。ヒラリー国務長官は日本で真っ先に米軍横田基地にいく。日本の航空自衛隊を指令する場所だ。

 ヒラリー国務長官の訪日は何から何まで戦争がらみの訪日だ。日本がそのご機嫌をとって一方に負担するお土産ばかりだ。そんな訪日がめでたい事か。

 2009年2月9日発行 第0047号

 もう一歩踏み出す事の重要性

  2月9日の早朝のNHKニュース「おはよう日本」で日本のNGOグループが、イラクで癌におかされた女の子たちが書いた絵をあしらった包装紙でバレンタインチョコレートを販売しているというニュースを放映していた。

 それを見て衝撃を受けた。怒りを覚えた。癌で足を失った女の子が自分の姿を描いた絵が映し出された。笑顔のかわいい女の子だった。日本から贈られた義足をつけて歩けるようになったと喜んでいた。しかしやがてその子は癌で死んでいった。これは重大な事だ。これはとんでもなく悲惨なことだ。 このようなこどもたちがイラクに大勢いるという。それが米軍の使った劣化ウラン弾の犠牲者である事は明らかだ。

 チョコレートを販売するNGOはかわいそうなイラクの子供たちを助けようと善意の活動を行っているに違いない。そのことを報じたNHKのディレクターはきっとそのような活動をするNGOを評価し、その活動を全国の国民に知ってもらおうと番組で流したに違いない。そしてNGOもNHKのディレクターも劣化ウラン弾を使った米国を批判しているに違いない。

 しかし、今一歩の踏み込みがない。米国は劣化ウラン弾の使用を即時中断せよ、という言葉はない。罪もないイラクの子供たちにこのような苦しみを与えた米国に対する、ほとばしる怒りは感じられない。

 それを観た視聴者は、皆私のように驚きと悲しみと怒りをおぼえたはずだ。しかし皆私のように、それを見た後何も行動を取らないに違いない。それは決して何もしなくてよいと思っているからではない。何かしたほうがいいと思っても面倒なだけなのだ。他の誰かがやってくれるからいいと思って自分を納得させているのだ。あるいは何をしていいかわからないのだ。そうしてまた何事もなかったかのように日が過ぎていく。このテレビが流したニュースのことも忘れ去ってしまう。その間にも劣化ウラン弾は使われ続けていく。罪もない人々が犠牲になり、泣きながら、苦しみながら、死んでいく。

 
 2009年2月10日発行 第0048号

 拉致問題を解決困難にした政府と外務官僚の罪


  アジア記者クラブという有志の組織がある。本物の情報を得たい、真実を知りたいと思うフリーランスのジャーナリストやそれを支持する有志数名が集まって1992年にはじまった組織である。今では177名の会員を擁するまでになったという。
   その「アジア記者クラブ通信」の最新号(09年2月5日号)が私の手元に送られてきた。そこに元拉致被害者家族連絡会の副代表であった蓮池透氏の本年1月の講演録が掲載されていた。読み始めてすぐに引き込まれていった。一気に読了した。

 この蓮池透氏の証言こそ、拉致問題の真実を語る、日本で存在する唯一の、超一級の外交資料である。拉致問題についてはこれまでに、様々な立場から、様々な思惑で、語られ、書かれてきた。それらすべての正しさと誤りを、蓮池氏の講演は指摘してくれている。

 このメールマガジンでそのすべてを紹介する余裕はない。(興味のある方はアジア記者クラブに連絡し入手してもらいたい。連絡先は 電話兼ファックス03-6423-2452 メール apc@cup.comである)。

 一言で言えば拉致問題を解決困難にしてしまったのは日本政府と外務省の対応の間違いにあったという事である。すべての始まりであった小泉訪朝とその結果発表された「5人生存、8人死亡」のシナリオが北朝鮮と日本が事前に結託してつくりあげたもので、平壌宣言に署名した上で国交正常化に突っ走ろうとした。そのシナリオを世論の声に押されて政府・外務官僚が変更した時点で拉致問題は解決困難になってしまったのだ。政府・外務省の罪は深い。政府・外務省のいう事を垂れ流してきたメディアの責任は大きい。


 
筆者からのお知らせ。

私は「天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説」(http://premium.mag2.com/lineup/P0007564/)(日刊配信)の要約を、少し遅れて、ブログで配信することにしています。リアルタイムで詳細を読みたい方はご購読ください。登録初月は無料でご購読いただけます。購読の開始、中止はいつでも自由に、随時可能です。

Copyright ©2005-2010 www.amakiblog.com
人気blogランキング

2009年02月06日

天木直人のメールマガジン 要約 2月3日ー6日分

天木直人のメールマガジン 要約 2月3-6日分

2009年2月3日発行
 
甘利行革相と谷人事院総裁の対立が意味するもの

 公務員改革をめぐって繰り広げられている甘利明行革相と谷公士
人事院総裁の対立は、大袈裟に言えば日本の将来を左右する問題である。
 政治がこの問題を正しく解決できなければ、この国の官僚支配は永久に続くだろう。そしてこの国の将来に明るい希望はもたらされない。
しかしこの騒動の結末は、多くの国民にとって失望なものに終わるだろう。
谷人事院総裁は官僚組織を代表し、官僚特権を守るために必死で闘っている。いまの政治家に、それに勝てる能力と覚悟を持つものはいない。朝日などの大手メディアも官僚に味方している。
官僚支配を打ち砕けるのは、官僚に踏みにじられた弱い国民たちの目覚めしかない。その怒りが爆発して政治家を動かす時だけである。

 2009年2月4日発行 

 ドミニク・ドビルパン前仏首相の言葉


 なつかしい人を見つけた。2月3日の朝日新聞がドミニク・ドビルパン前仏首相のインタビューを掲載していた。私にとってのドビルパンはやはり米国のイラク戦争に反対した仏の外務大臣としてのドビルパンである。ラムズフェルド米国防長官から古いヨーロッパと皮肉られた時、「そうだ、フランスは古い国だから、あえて米国の戦争に反対する」と切り返したあのドビルパンである。
 その彼が朝日新聞のインタビューで彼らしい言葉を発していた。
 「・・・戦争が避けられないとはっきり悟ったのは、国連安保理の外相級会合を翌日に控えた03年1月19日だった。その日私はパウエル米国務長官と会い、彼自身が戦争は避けられないと考えていると知った。私が米国に警告を発しようと考えたのは、この日からだった・・・私は米国で育ち、米国に親愛と尊敬の念を抱いてきた。ただ、人生と歴史の中では『ノン』と言える時がなくてはならない。あの時フランスはその使命を担っていた・・・」
 「・・・今は前例のない規模の危機だ。文明の転換期だ。新しい世界秩序には、新しい理念が必要だ。 新たな理念とは何か。私は『正義』であるべきと考える。不正義は暴力の源、テロの背景となる。不安定を助長し、ストレスを高め、屈辱心を植えつける。苦しむ人々について知り、不正義の存在に気づくことが、変化につながる。不正義をただすことで、『身勝手な力が世界を支配する時代は終わった』と内外に示すことができる・・・」
 
見事な言葉だ。このような言葉を吐ける政治家が一人でもこの国にいるだろうか。

 2009年2月4日発行 

  イスラエルを公然と擁護する佐藤優

 どうやら佐藤氏は自らをイスラエルの代理人である事についてそれを公開する事に踏み切ったようだ。開き直ったな。
  週刊プレイボーイ2月16日号の自らの連載「セカイを見破る読書術」の中で
彼はこう書いている。
 1.ハマスは9・11を引き起こしたアルカイダとつながっているテロ組織だ。
 2.ガザ攻撃の発端はハマスがイスラエルとの停戦協定を破ってロケット弾による先制攻撃をした事が原因だ。
 3.死に体であるブッシュ政権がイスラエルを支援できないと見越して、ハマスはイスラエル国家を破壊しようとした。
 4・イスラエルは、「全世界に同情されながら滅亡するよりも、全世界を敵にまわしてでも戦い、生き残る」という事を国是とする国家である。問題の根源はイスラエル国家の消滅を画策するハマスである。

いずれも大きな嘘だ。イスラエルが繰り返している情報操作だ。週刊プレイボーイの読者が無知な若者だとたかをくくってこのような事を書いているとしたら許せない。

その佐藤氏はご丁寧にも、パレスチナ問題を理解する為の本としてモサド前長官の証言「暗闇に身を置いて」(光文社)を推薦している。何から何までイスラエルの代理人になりきっている。

 2009年2月5日発行 第0039号

 在沖縄海兵隊グアム移転協定の締結を急ぐ外務官僚


 私は1月28日のブログで、外務省が米政府との間で「在沖縄海兵隊のグアム移転協定」を締結し、今の通常国会で承認を求める方針を決定した、という新聞報道について書いた。
その報道の裏に隠された深刻な問題を見逃すな、と警鐘をならした。
これは事実上の新日米安保条約の締結であり、対米従属を永久に固定化してしまう条約づくりである、と。それを急ぐ外務官僚の悪知恵、暴走である、と。
 その後この協定の事は2月2日の各紙で一斉に取り上げられた。しかし、
それは中曽根外相が沖縄の普天間基地を訪問し、仲井真沖縄県知事と普天間基地の移転問題について話し合ったという文脈で言及されているだけである。
これでは国民は何もわからない。記者の不勉強なのか、意図的な情報操作なのか、いずれにしても不十分な記事だ。
はっきりしている事は、混迷する政局のドサクサにまぎれてこの重要な条約がつくられようとしている事だ。
民主党は政権交代に忙しい。政権交代のために意見の分かれる安全保障政策がらみの問題はすべて先送りだ。
 本来ならば日米軍事同盟関係に批判的な護憲政党は沈黙したままだ。日本共産党は
「蟹工船」ブームに便乗して国会質問では派遣切り問題ばかりを論じている。生き残りをかけて民主党に擦り寄る社民党は、安保政策にはもはや触れなくなってしまった。

事態は深刻である。

 2009年2月5日発行 

  鳩山由紀夫外相を待望する外務省


 「3万人の為の情報誌」と銘打って日本の政治・経済・社会情報を提供
する「選択」という月刊誌がある。その2月号に「鳩山由紀夫外相待望論
が外務省内で浮上」と題する、次のような記事があった。

 ・・・民主党政権に備えて人事をシフトしている外務省だが、民主党の
鳩山由紀夫幹事長を外相に望む声が省内に浮上している・・・
鳩山氏について外務省関係者は「民主党の大物のなかでは比較的外交全般
に明るいうえ、無茶なことは言わない。お坊ちゃんだけに御しやすいのも
ポイントだ」と語る・・・寺島実郎日本総合研究所会長や、自民党離党
がらみで加藤紘一元幹事長の名も囁かれるが、「民間の寺島氏には
知られたくない役所の暗部がある。外務省出身の加藤氏は外務官僚の
手の内を知り尽くしているからやりにくい」民主党関係者)・・・

 大いにありうる話だ。安倍晋太郎元外相などはもっとも歓迎された一人だ。最近では高村正彦などがそれにあたる。今の中曽根外相は外務省史上最も御しやすい外務大臣に違いない。100%振り付け通りに動いている。

日本の外交がここまで行き詰ったのは、もちろん外務官僚の無能さのためである。しかし、その外務官僚にまかせっきりにしている日本の政治家の無能、非力さに、より大きな責任がある。
      
2009年2月6日発行 

 フリーランスジャーナリストを分断させてはいけない


 読者の皆さんは、フリーランスジャーナリストたちが集まる
メディア研究会が、「田原総一郎ノンフクション賞」を創設した、
という新聞記事を読んだ事があるだろうか。1月16日の東京新聞と、
1月28日の朝日新聞がその事を報じていた。普通の国民にはおよそ関心のないその記事は、私にとっては驚きの記事であった。これから書く事は、私でしか書けない、メディア論にもつながるエピソードである。
あれはたしか昨年の暮れか今年の初めのことだったと記憶している。私のもとに見知らぬ人からメールが入った。その趣旨はこうだ。月刊現代の休刊に象徴されるように、最近はフリーランスのノンフィクション作家の発表の場である論壇雑誌が次々となくなりつつある。その事に危機感を抱いたフリーランスジャーナリストの有志が集まって、月刊現代を復活させたい、月刊現代と同じような雑誌を創設したい、ついてはその創刊号に、フリーランスのジャーナリストを応援する記事を寄稿して欲しいという依頼が私に届いた。発起人は佐藤優と魚住昭となっていた。

 私はフリーランスのジャーナリストを応援している。だからの寄稿依頼がメールで送られてきた時、私はそれを快諾し、「ジャーナリズムの未来はフリージャーナリストにかかっている」、という熱いメッセージを急いで書きあげて、1月7日にメールで
その原稿を送付した。

 その後で、新聞記事で、ノンフィクションライターの魚住昭氏、佐藤優氏、
宮崎学氏らが発起人となって、田原総一朗氏の名前を冠した、「田原総一朗ノンフィクション賞」を創設し、ノンフィクション界に新風を吹き込むという動きを知ったのである。その発起人は、私に寄稿依頼をしてきた時の発起人と同じである。
驚き、失望した。田原氏は私の言うフリージャーナリストの対極にいる人物だ。フリーランスよ、お前もか、という思いである。
フリーランスのジャーナリストたちは二つに大きく分断されようとしている。大手
メディアの記者と同じように、いやそれ以上に、権力にへつらい、メディア業界に迎合しようとする者たちと、その仲間入りを拒否し、経済的には苦しくても、世の中にちやほやされなくても、権力の悪を監視し、対決するという反骨のジャーナリストたちとに。
私が応援するのは後者であることはいうまでもない。

2009年2月6日発行

 西松建設と鹿島・キャノンの裏金疑惑

想定したとおり二つの疑惑は腰砕けで終わりそうだ。2月4日の東京新聞が、「裏金プールの西松子会社、小沢側に800万円献金」という大きな見出しの記事を一面トップに掲げたのには驚いた。しかしこの記事は完全に無視され、その後他者の後追い記事は続かない。
もっと失望したのは週刊現代2月7日号が、「キャノン御手洗会長、脱税コンサルタント社長とのただならぬ関係」と題すて掲載していた藤岡雅記者の記事が、次のような文章で締めくくられていたことだ。
 ・・・今回の捜査は単なる脱税事件として終わりそうなのだ。「特捜部
が力を入れていたにもかかわらず、事件が脱税だけで小さくまとまった
原因の一つは、鹿島が裏金の使途を決して明かさなかったことです。
鹿島は使途秘匿金として処理し、国税局からの制裁課税を受け入れた為、
その行方を(それ以上)追いかけにくかったのです。」(全国紙司法担当記者)。
  さらに気になるのは、検察側と御手洗会長との関係だ。樋渡利秋検事総長は、
昨年9月29日に日本経団連を訪ねて、御手洗会長に面会している。
企業の従業員が5月から始まる裁判員制度に参加しやすくするため、あらたに
有給休暇の創設などを訴えたのである。「検察側には、裁判員制度が無事
スタートできるように、経団連会長である御手洗会長を味方にしておきたかった
との計算が働いたのでしょう」(前出・司法記者)・・・

  私は司法官僚が躍起になって導入しようとしている裁判員制度に反対している。矛盾が露呈してきた裁判員制度の導入を、自分たちの面子のために強行しようとする検察・司法が、この週刊現代の記事のように、権力者の疑惑と裁判員制度を取引したとすれば、二重の意味で私には許せない不正義ということになる。


筆者からのお知らせ。

私は「天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説」(http://premium.mag2.com/lineup/P0007564/)(日刊配信)の要約を、少し遅れて、ブログで配信することにしていますが、リアルタイムで詳細を知りたい読者は試しにご購読いただき、私とともに新しいメディアづくりに参加してください。
登録初月は無料でご購読いただけます。購読の開始、中止はいつでも自由に、随時可能です。

Copyright ©2005-2010 www.amakiblog.com
人気blogランキング

2009年02月04日

 あたらしいメディアづくりへの期待

あたらしいメディアづくりへの期待

  メールマガジンを始めて一つの目標ができた。それは購読者から寄せられる情報を加えて新たな発信を行い、それがまた購読者からの新たな情報を呼ぶ、それらをメールマガジンの読者の間で公開し、共有する、という活動の繰り返しである。
 これを発展させていけば、私と購読者の間で、新しいメディアをつくれるのではないか、という期待である。
 メールマガジンを始めて一ヶ月が経った。購読者も900名近くになった。とりあえず1000名の購読者を目標に、その1000名が、一つの方向に向かって新しいメディアづくりの担い手になる。既存のメディアが決して伝えない真実を、力をあわせて追求していく、それがメールマガジンを始めた事がもたらしてくれた思わぬ成果であった。

 購読者からの声を、参考までにブログの読者にお届けしたい。

 読者1.

 当方が所属する会社は色々な産業分野の事業をやっております(基本はメーカーです)。        一言で申し上げれば現下の状況は「大変な事態」になっているという事です。未だ静かですが、パニックと言っても良い状況です(マスコミや政治家の暢気な分析、認識とは全く違います)
 しかもこの事態は未だ最悪の事態に至っていないような気がしています。                  この時期は今年度の落着き見込みを出し、次年度(21年度)の予算を策定するタイミングですが2月、3月が見通せない。 というか、余りにも恐ろしい事態が見込まれ、先行き不透明ということで数字を出せないでいるというのが実態ではないでしょうか。
  トヨタがバーンと悪いぞ!と言ってくれた為、大企業の経営幹部はホットして自社の悪化を恐々としながらも、それぞれ口にし始めたのですが、一社内ですと、それぞれの事業部門が先にばれるのを恐れて手の内を明かさない状況です。
  という事は極めて始末が悪いということです。今年度の落ち着き見込み作成がこんな事態ですから4月以降から始まる21年度の状況はまるで見えません。                              こうした中で、大企業よりも、中小、三ちゃん企業は、ここまで来ると却って強いのではないかという事態です。中小、三ちゃんは大企業が繁栄を謳歌している時も事業採算は苦しく、低賃金に堪えて生活する術を身に着けてきています。大企業に勤務する従業員はその辺の準備が全くなされていません。それなりの学校を出て英語能力があり、パソコンのスキルもあるということでエリートと称されている人達。会社の中枢といわれる経営企画だとか、法務、総務といった管理部門で社長直結という自負を持って 会社を動かしているんだという人たちが今回は危ない。
 船長は、難破沈没の危機にあって 乗客、部下の船員が生き残ることを最優先に取り組むという事を基本にしているはずです。しかし、いつの時からか責任ある幹部としての心構えが消えて行ってしまった。今の幹部に一人として部下、従業員の職場の確保を自己の責任であるということを思っている連中はいません。幹部という人たちは如何にも強大な権限を持ち、責任を持っているようですが、強大な権限だけを持ち、責任を持たない つまり無責任な状態になっています。  
この事を許してきている背景は何か。それは日本全体にはびこっているアメリカ流だと思います。元々アメリカは企業の幹部が従業員の職場の確保、生活の確保に責任を持つという考えが基本的にありません。此れは、良い悪いではなく アメリカの風土です。つまりある時からアメリカの風土を殆ど何も考えずに受け入れてしまったのでしょう。日本の風土には合いません。
 今回の事態は前回の日本の金融不況とは大きさが違います。今回の不況に耐えられない企業が多く出てきて、国家全体の力が相当弱まるだろうという懸念です。

読者2.

 私は山形県鶴岡市で中学校の社会科教師をしています。いつも天木さんの政治を見る視点に学ばせていただいておりますが、とくに「官僚」に関する記事で気づく事があります。それは、今の学校現場、とくに教師たちが極めて官僚的であり、保守的であるということです。天木さんのブログの「官僚」を教師に置き換えると、ほとんど学校で子どもたちに行われている事と同じだということです。「官僚」の方々はおそらく学校時代の優等生だと思うのですが、学校の教師たちもかつての優等生であり、その価値観で子どもたちに接している場合が多いようです。したがってどんなに問題があろうと旧態依然であり、変革するのは難しいという社会です。そしてそれを踏襲した優等生が「官僚」や「教師」として再生産されているという気がします。最近では保護者の意識も多様化し、かつてのように教師が殿様のように振舞うことはなくなってきましたが、「管理的」で「官僚的」であることはなかなか変わらないようです。
 私は、日本の政治が変わるには教育が変わらなければならないと思いますが、今の教育界は完全に逆コースに向かっています。教育現場にいるものの一人として、この流れにストップをかけていかなければならないと思っています。
 
 読者3.

 天木さんの情報発信により、日本の政治家及び官僚は「本当に日本のこと、国民のことを毎日考えているか、国民生活を重要視した上で国際貢献が出来るように考えているか?」と疑問が膨らんでしまいました。と言いますか、「疑問ではなく考えていない。」と思います。
 何故、政治家や官僚がこうなったのでしょうか?その原因を解明し、再発防止策を検討し実行に移す必要があると思います。 
 私は今まで、技術の仕事をしていましたので、何かトラブルが発生した場合は「生活を犠牲にして、原因究明、再発防止策検討、そして、その実行」を実現してきました。何故、今の日本の政治家、官僚は、口ばかりで、いろいろな問題の解決が出来ないのでしょうか?まずは、ここらあたりの原因分析が必要だと思います。

読者4.

 私は日頃から既存のマスメディア、特に全国紙の新聞記事に不満を持っておりました。
すでにインターネットであらかた目を通した記事を、翌日また読まされる・・・
 既視感を覚える新聞記事ってなに?という不満があります。
 だからなんなの?どういうことなの? これらの事実の意味は?
 という欲求不満です。
 すでにブログなど、インターネット上の数か所で見た記憶のある内容を、新しい視点もなく無難にまとめたような社説を読まされたり、腹が立つこともありました。 FACTAなどの情報誌を購入したりもしましたが、月一回の発行というタイムラグがあります。
 私は50代の女性です。子育てもほぼ終わり、母の介護をしながら、ゴルフを趣味とし、平凡な生活を営んでいる人間です。それでも、激変する世界の諸事情が、自分の日常にさまざまな影響を与えているのを肌で感じます。私のような人間でも、新聞やTVのニュースを胡散臭く感じるのです。庶民はマスメディアに携わっている人たちが考えているよりも、というかその人たちよりも、賢いかもしれませんよ、と言いたい気分です。
 
 読者5.

 自分に取って必要な情報は、自分に出来る範囲の負担をして得たいと思います。昔、石川啄木は貧乏しながらも新聞だけは全紙購入していたという話を聞いたことがあります。
 私の尊敬する北御門二郎という人(5年前に亡くなった方で、徴兵忌避者でした。晴耕雨読の生活をしながらトルストイの翻訳に生涯を捧げた方です。)は「損を承知で正しいことを言う人が増えると世の中は良くなる。」とよく言っておられました。
 
 読者6.


 20世紀を代表する政治哲学者、ハンナ・アーレントは、「暴力につい
て」(みすずライブラリー)所収のエッセイ「政治における嘘」で、ベ
トナム戦争におけるアメリカ政府の内幕を暴露した国防総省秘密報告書
(ペンタゴン・ペーパーズ)に描かれている政府、およびそのお抱えの
スペシャリストたちについてこう述べている。
-----
「・・・肝心なことは、かれらが嘘をついたのは自国のためではなく・・・自国の「イメージ」のためであったという点である・・・かれらもまた政治を広報の一種にすぎないと信じていた・・・国防総省秘密報告書をめぐる争点の中心が、錯覚、過失、誤算といった類のものではなく、隠匿、虚偽、意図的な嘘の役割といったもの になった主な原因は・・・諜報機関の驚くべき正確な事実の報告を一貫して無視して行われたという事実にある。
ここで決定的に重要なのは、嘘をつく政策が、敵ではなく・・主として国内向け、国内での宣伝のため・・・という点である・・・」

 オバマが平和主義者のイメージの下にイラクやアフガニスタンを抑え、なおかつイスラエルの意向にしたがい、軍事産業には手をつけず経済を立て直す(ほとんど曲芸だ)とす れば、ケネディと同じかそれ以上の、偽善と陰険さを発揮せざるを得ないのではないか。アメリカ国内でのイメージを守るために、日本経済を食い物にする可能性があることは言を待たない。

読者7.
 
 『ジェラルド・カーティス氏の投稿をどう解釈するか』について、私見を述べ
させていただきます。実は昨年の5月か6月に友人の勧めでカーティス氏のセミナーに参加した折、氏は「わたしはオバマ氏(当時は大統領候補)が当選すればアジア担当の責任者になる」と言っていました。
 今回の米政府の組閣名簿には氏の名前がなかったのでおそらくカーティス氏の
先走りだったのかもしれませんが、それはさておき今回の東京新聞の投稿記事は
米政府あるいはその周辺の人間による巧妙な世論誘導だと思います。洗脳と言ってもいいかもしれません。
 オバマ大統領は「イラクからの撤退→アフガン派兵増強」を明言していますが、
カーティス氏の投稿は正にこの路線を踏襲したものになっているからです。カーティス氏はそのセミナーにおいて福田首相(当時)や安倍元首相との良好な関係を匂わせるような発言もしており、天木さんの言われる『日米同盟関係の重要性を日本国民の頭に植え付ける、そういう使命を帯びた、日本政府、官僚のお雇い学者』であることは間違いないと確信を持った次第です。
 
 読者8.

テレビ局の地方分権化が重要なのではないかと思いつきましたので下記に述べます。
 2005年の衆議院選挙における世論形成にテレビは大きな貢献をしたと
多くの分析がされていますが、その要因の一つとして小泉政権が地デジを
認可したことが考えられます。
 テレビの民放キー局は、番組制作の多くを占有したり、系列ローカル局へ
制作した番組を小売することでスポンサーやローカル局から巨額の収入を
得ているとのことです。キー局が通信衛星CSを拒み、地デジを推進したのは、
このビジネスモデルを維持するためのようです。テレビの世界でも地方
分権が阻害されてきたと言って良いのかも知れません。そしてこの力関係
から、キー局統制によりローカル局も間接的に統制されてきたようです。
ちょうど、アメリカでも戦争への突入に伴ってテレビ局が寡占化されたの
にも通じます。
 新聞のローカル紙では、政権や小泉改革に疑問を呈す社説が
目立ってきたようですがテレビのローカル局もキー局依存を少なく
することにより自由な発想、権力批判等が活発になると考えます。
そしてテレビを見る側も、規模が大きくはないローカル局主体の番組が増えれば、能動的に見るようになると考えます。
 幸か不幸か、今、キー局は収益減です。国民経済も悪いです。
地デジ化を阻止し、テレビ局の地方分権化が進められればと思います。

Copyright ©2005-2010 www.amakiblog.com
人気blogランキング

2009年02月03日

天木直人のメールマガジン 要約 2月1日ー3日分

天木直人のメールマガジン 要約 2月1日―3日分


 2月1日メルマガ

 ジェラルド・カーティスの投稿にだまされるな

 2月1日の東京新聞(中日新聞)は、「時代を読む」というコラム
において、米コロンビア大学教授で日本の政治に詳しいジェラルド・
カーティス氏の「日本は人道的支援を」という投稿文を掲載していた。

 その趣旨はこうだ。

 彼の娘さんが1月14日のニューヨークタイムズ紙の記事をメールで
送ってきた。その記事は、少女らに読み書きを教えることに反対する
旧政権タリバンのメンバーが少女らの学校を攻撃したが、その危険に
屈することなく少女たちは通学を続けている。その中には日本政府の
援助でできた女学校もあった、という記事であった。

 そしてカーティスさんの娘さんは、「なぜ日本政府がこうした分野
で立派な貢献をしている事が報道されないのか。日本の安全保障政策
など(に関する)の月並みな記事よりずっと大切なのに」とメールに
書いてきた。私も同感だ、とカーティス氏は書く。

 その後で、カーティス氏は、「オバマ米大統領や北大西洋条約機構
(NATO)はアフガンてこ入れ強化を求めている。国際テロ組織アルカイダ
を粉砕し、アフガンを国際テロの温床とさせないための闘争で
日本は傍観者たりえない」、と日本の参加を求める。

 そしてここからがこの投稿の味噌であるのだが、だからといって、
日本の関与が軍事的なものである必要はない、と言って次のように
日本の更なる協力を訴えている。

 「・・・日本の国際協力機構(JICA)はアフガンで重要な役割を果たして
きたし、今後一層大きな役割を担う事が可能である。経済大国で、自衛以外
の武力行使をしないとする民主主義国家の日本にふさわしい貢献ができる
ように、日本政府は資金と人材を提供する事である・・・」

 このカーティス氏の投稿に騙されてはいけない。

人道支援を否定するものは誰もいない。憲法9条の下で日本の援助が
人道援助に限られるべきという意見は、護憲論者にも受け入れられやすい。
その事を、アフガンの現状と切り離して論ずる限りでは、まったくその通りだ。

 しかし、およそ援助の前提となるのは平和の回復である。国際社会が真っ先
になすべきは、平和の回復を一日も早く実現することである。まずその事に
国際社会の一致点を求めるべきである。

 カーティス氏の投稿の中で見逃せない箇所がある。それはタリバン政権
を絶対悪ととらえ、それと連携するアルカイダを国際テロ組織と断定し、
アフガンをその国際テロ組織の温床とさせない闘争は国際社会の一致した
闘争であると断言している事だ。だから日本もその責任から逃れられない
と日本を脅かしているところである。そこにはパレスチナの不正義が
反米テロの根底にあるという言及は微塵もない。

 もう一つこの投稿で見逃せないところは、イラクでの失敗を繰り返さない
ために、「オバマ大統領はアフガンにおける米国の軍事目標を『テロ攻撃
を企てる組織を軍事力で排除する』ことに限定し、軍事力でアフガンを
民主化したり、アフガンを米国の勢力下に置くような過ちを繰り返しては
いけない」、と言っているところである。

 実に巧妙な米国新政権の代弁である。軍事力で市民も巻き添えにして、
その国を破壊しておいて、あとはその国の政治にまかせる、破壊された
復興は日本など国際社会の援助で行なう、こんな虫のいい話があるだろうか。

 私はジェラルド・カーティス氏を一貫して懐疑的な目で見る一人である。
日本の政治に詳しい米人政治学者としてメディアに重宝され、まさしく日米同盟関係
の重要性を日本国民の頭に植え付ける、そういう使命を帯びた、日本政府、官僚の
お雇い学者に違いない。

 2月2日メルマガ

  尾辻秀久参院議員の代表質問を聞いて考えたこと


  私は勿論政権交代を望む。しかし、もはや政権交代が現実的に
なってきた今となっては、それ以外の事に関心が向く。政権を取った
後の民主党の直面する問題や、連立政権の姿、政界再編の姿などが
主たる関心事となりつつある。

  それよりも、何よりも、どのような新しい政権が出来ようとも、
今の日本の政治家に、日本を託す事のできるまともな政治家が何人いるのか。

  そういう思いのなかで、自民党参院議員尾辻秀久氏の1月30日
午前の参院代表質問を私はたまたまTVで聞いた。そして驚き、感動した。

  それは、彼が自民党の議員であるにもかかわらず、麻生首相に向かって、
「野に下るのは恥かしくない。恥ずべきは政権にあらんとして、いたずらに
迎合すること」と発言した事だけではない。

  その代表質問全体に、政治家としての質問のあるべき姿を感じたからだ。
そこに私は、麻生首相たたきに終始して、ただ解散・総選挙を迫るだけの
野党の代表質問には決して見られない、国会質問のあるべき姿を見つけた。

  それを詳しくここで紹介する余裕はない。ユーチューブなどで賛辞を
もって流されているから読者にはそれを参照することをお勧めする。

  ここでは「永田町異聞」という政治ブログの2月1日の中に見つけた
次のような文章を引用する事で、私の思いを読者に伝えたい。


・・・自民党の参院議員会長、尾辻秀久が代表質問で麻生首相に投げかけた
言葉は、ほぼ1年前、尾辻が同じ本会議場でおこなった真情あふれる追悼演説
を憶えている人には、ズシリと重い響きがあっただろう。

 「癌対策基本法」「自殺対策基本法」の成立を訴えて実現させ、一昨年、
胸腺ガンで亡くなった民主党の山本孝史議員へ捧げる文章は、長文ながら
間延びせず、端正でありながら行間に情がうねる。

 遺族が直立して見守るなか、尾辻は山本議員の演説を紹介した。山本議員
は2006年5月22日の参院本会議で、自ら「がん患者」であることを告白した
うえ、こう語っていた。

 「ガン患者は進行や再発の不安、先のことが考えられない辛さなどと
向き合あって一日一日を生きています。私は命を守るのが政治家の仕事だと
思ってきました。ガンも自殺もともに救える命がいっぱいあるのに次々と
失われているのは政治や行政の対策が遅れているからです。なにとぞ議場
の皆様のご協力とご理解をお願いいたします」

  尾辻は、山本のことを「最も手ごわい政策論争の相手であった」という。
厚労相時代、山本は「助太刀無用、一対一の真剣勝負」と質問通告して、
尾辻に挑んだ。このときのことを、尾辻は追悼演説で振り返った。

 「私が明らかに役所の用意した答弁を読みますと、先生は激しく反発
されました。私が思いを率直に述べますと、相槌を打ってくださいました。
自分の言葉で自分の考えを誠実に説明する大切さを教えていただきました」

 この日の追悼演説は、生前の山本が指名して尾辻がおこなった。与野党の
立場の違いから政治的に対立することもあったが、「癌対策基本法」
「自殺対策基本法」などの成立に向け、たがいに心が通い合う、党派を
超えた“戦友”だったのだろう。

 「先生は抗がん剤の副作用に耐えながら渾身の力をふりしぼられ、全ての
人の魂を揺さぶりました。議場は温かい拍手で包まれました。今、同じ議場
でその光景を思い浮かべながら一言一句を振り返るとき万感胸に迫るものが
あります」。

 尾辻はあふれる涙をハンカチでぬぐいながら、演説を続けた。
「先生、きょうは外は雪です。痩せておられましたから、寒くありませんか」。

 議場の席は半数ほどしか満たしていなかったが、その言葉にこもる、
切々として透明な魂の叫びと祈りは、故人を偲んで党派を超え、議場に
集まった議員の胸を打ち鳴らしたに違いない・・・

 果たして国会議員の中でこの尾辻秀久という自民党議員のような国会質問ができる
議員が何人いるのだろうか。

 
 2月3日

 ブッシュに無視された小泉純一郎


 私は1月のブログで3回にわけて「ブッシュと小泉の仲」と題して、
さんざんメディアが喧伝していたブッシュ・小泉の歴史的な緊密関係が、
実はつくりあげられた虚像であったことが証明された事を書いた。

 そのブログで私が強調したことは二つあった。

 一つは、私の問題提起がきっかけで読者から多くの関連情報が集まり、
それによって事実関係が明らかになり、私の推測の正しさが証明されたという
事である。

 もう一つは、私のブログの読者の中にジャーナリストがいるならば、
是非この事を調べて記事にして欲しいと呼びかけた事である。

 残念ながらジャーナリストへの呼びかけについては空振りに終わった。
どこのメディアも動かなかった。

 そう思っていたら、大橋巨泉が先週の週刊現代(2月7日号)のみずからの
連載「今週の遺言」の中で取り上げている事を知った。そのさわりの部分を以下のとおり、
そのまま引用する。

 「・・・やはり彼(ブッシュ大統領)は史上最低の大統領という烙印を
甘受しなければならないと思う。しかしここに一人、ブッシュ以上の惨めな
思いをしている政治家が居る。それは小泉純一郎日本国元首相である。
去る1月13日、ブッシュはホワイトハウスを去るに当たって、3人の
外国人政治家に、アメリカが文民に与える最高の勲章である「自由勲章」
を与えた。その3人とはコロンビアのアルバロ・ウリーベ大統領、
イギリスのトニー・ブレア前首相、そしてオーストラリアのジョン・ハワード
前首相である。3人とも強力なブッシュの協力者として知られ、当然の授章
と受けとめられている。
 だが待てよ。その中でもハワードと小泉は「ブッシュのポチ」と言われて
まで協力した首相ではなかったか。しかも小泉は、ハワードですら
やらなかったプレスリーの真似までしてブッシュに取り入っていた。
それなのに最後になって完全に無視されてしまった。
 ある時は憲法の理念を曲げ、またある時は『私に戦場がどこかと聞かれて
も解らない』とか、散々詭弁を使ってまでブッシュの後押しをした小泉さん、
その結果が今回の『無視』ですよ・・・もう二度と『国を売り兼ねない』
人には、首相の座について欲しくないと思うばかりである」

 大橋巨泉が私のブログを知らずにこれを書いたとしたら、私は彼の
ジャーナリスト感覚に敬意を表したい。もし私のブログが大橋巨泉のヒントに
なったとしたら、それはそれで嬉しい。

 2月3日分 その②

 日米関係重視に急傾斜する主要紙

 ここにきて、主要紙の論調が急速に日米関係重視に傾斜していると
感じるのは私だけだろうか。最近の新聞記事を紹介しながら、その事を
説明する。

 1月31日の産経新聞において中静敬一郎という論説副委員長が
「日米同盟と小沢プロブレム」という論説を書いていた。「日米両政府の責任者が、
まるでエールを交換しているかのように『日米同盟の強化』を謳いあげている、
という書き出しで始まるその論説は、日米双方ともその具体的な中味を説明しないまま
「日米同盟の強化」という言葉だけが踊っている、と書いている。

 その限りでは私もまったく同感だ。いや、もっと正確に言えば、
その内容は米国と日本では正反対である。つまり米国は日本から
取れるものはすべて取っておこうという意味で日本の重要性を強調し、
日本は米国から見捨てられてはいけないからといたずらに日米同盟の
重要性を強調する。そのためには対米協力は止むを得ないと国民に思い
込ませようとするのだ。 

 産経新聞のこの論説もまさしくその立場に立っている。昨秋実施された政府の
世論調査の数字(73%もの国民が米国に親しみを感じると答えた)を
持ち出し、多くの日本人が同盟関係をゆるがせにしてはいけないと
思っている証左だ、と言い、そのためにリスクとコストを共有してこそ
日米同盟が機能する、と主張する。

 産経新聞がそのような論説を書く事は想定内であるが、驚いたのは
朝日新聞だ。2月1日の一面でヒラリークリントン国務長官が最初の
訪問国に日本を選んだ事を大きく報道していた。これは米国の日本重視の
あらわれだ、と、まるで外務省広報誌のような報道をしていた。 そしてその
記事を詳しく読めば、さらに滑稽であることがわかる。極東を訪れる順番として
日本が先であったというだけなのに、「オバマ政権は中国重視との懸念が
出ていたが、初外遊先が日本となれば、こうした見方は覆りそうだ」と、
まるで子供だましのような論理を展開する。読者もなめられたものだ。

 その朝日新聞と対照的だったのは同じ2月1日の読売新聞である。やはり一面で、
しかもトップで、米中が首脳級で定期協議をするという記事をスクープしていた。
その記事の最大のポイントは、首脳レベルの米中定期協議の中味が、
経済と並んで安全保障を含めているというところだ。

 このニュースを報じた「朝ズバッ」で、みのもんたが「日本抜きで
安全保障政策を協議するという事は、これでいいんですか」と驚いた
のに対し、解説者が、「いや、日本も中国抜きで米国と安保政策を
話し合ってきたから、驚くほどのことではない」などと言っていた。

 しかし、これはみのもんたが正しい。中国より先に日本を訪問して
くれて安心した、などと朝日がノーテンキで報じている裏で、ついに
米中が日本抜きの首脳レベルで極東の安全保障政策を話し合う時代が
到来したのである。この意味は計り知れないほど大きい。
 その米国の変化に目をつむり、このまま対米従属を続けると日本は
限りなく主権国家としての矜持を失う事になる。

  

 

Copyright ©2005-2010 www.amakiblog.com
人気blogランキング