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2009年01月29日

 イラク情勢が混乱するのはこれからだ

 オバマ政権の誕生によって,日本のメディアの関心はイラクからアフガンへ移りつつある。あたかも米国のイラク攻撃は過去のものとなったかのように。

 しかし、それは大きな認識不足だ。イラク情勢は米軍が占領をやめたとたんに、待ってました、とばかり混乱する。だから米軍もそう簡単には撤兵できない。

 その事を象徴するような記事が1月29日の読売新聞にのっていた。1月31日に行なわれるイラク地方選挙は混乱が必至であるという。その理由はイラクの宿命ともいうべきシーア派、スンニ派、クルドの分裂、対立が今後ますます表面化するからだ。おまけに彼らはそれぞれ民兵組織を有している。

 「イラクを壊す事は米国にとっては朝飯前だが、イラクを安定化させる事は米国には絶対出来ない」
これは米国がイラクを攻撃しようとしていた2003年当時に、レバノンの国民が口を揃えて言い合っていた言葉である。それはまたアラブの人たちの共通の認識であった。

 見ているがいい。その言葉がこれから証明されることになる。オバマ政権はアフガンとイラクの双方で「テロとの戦い」を続けなければならなくなる。そしてアフガンにおける「テロとの戦い」は当然のことながらパキスタンを巻き込むことになる。

 おまけに、それらの戦いの元凶であるパレスチナ問題はますます混迷の度を深めていくだろう。

 中東情勢はオバマ大統領の登場によってもたらされた「チェンジ」の期待とは裏腹にこれから深刻になっていく。それを示す言葉が、米国傀儡政権の指導者から発せられるようになった。

 アフガンの米国傀儡であるカルザイ大統領は、誤爆という名のアフガン市民の殺戮に対し、「米軍機を叩き落したい」と語ったという(1月26日毎日新聞社説)。
 パレスチナ自治政府ファタハの米国傀儡であるアッバス議長は、「イスラエルは平和をほしがってはいない。そうでなければガザ攻撃などしなかったはずだ」と27日の記者会見で本音を漏らしたという(1月29日朝日新聞)。パレスチナ問題がいつまでたっても解決しないのは、イスラエルが、自分たちの存在を示すために常に戦争状態を保っているからだ、というのはアラブ大衆の共通の認識である。

  傀儡政権の指導者からこのような言葉が出るようではおしまいだ。何もわかっていない日本の落第政治家安倍晋三氏は、イラクを訪問しタラバニ大統領と会談したという報道が29日の各紙に出ていた。その会談で安倍氏は「今後はビジネス関係、とりわけ石油などエネルギーの分野で関係を強化したい」などと述べたと言う。

  とんだピントはずれだ。もっとも、そういう日が一日もはやく来る事を私はこころから願う。
  

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2009年01月28日

 在沖縄海兵隊移転を名目に米国との国際協定を急ぐ外務省の暴走

 今日のブログはこのテーマで決まりである。あまりにも重要な問題であるにもかかわらず、誰も本当の事を言わない、書かない。だから私が指摘する。

 きょう1月28日の読売、毎日に一段の小さな記事が出ていた。その内容は「外務省は27日、米政府との間で近く『在沖縄海兵隊のグアム移転協定』を締結し、通常国会で承認を求める方針を正式に決定した」という記事である。

 朝日新聞は2段の見出しで少し詳しく書いていた。・・・米軍再編計画に盛り込まれた沖縄駐留米海兵隊のグアム移転について、日本側の財政拠出の上限を28億ドル(訳2500億円)と明記し、米側に目的外使用を禁じる協定を日米間で結ぶ。2月上旬にも日米間で協定に署名し、今国会に承認案を提出する方針。外務省幹部は「グアム移転では日本が多年度にわたって財政支出する・・・ため協定を結ぶことにした・・・などと書いていた。それでも、これでは一般国民は何もわからない。

 これだけ重要な事柄が急に出てきて、かくも小さな扱いで済まされようとする。そうさせてはならない。この問題はこれから大きく新聞でとりあげられていかなければならない。その為にこのブログで問題提起をしておく。

 日米間の最大の懸案は、あの小泉首相が守屋次官を使って強引に推し進めた米軍再編に関する日本の対米協力を、どうやって進めていくかである。

 「負担の軽減と抑止力の維持」の双方を達成するという、およそ矛盾に満ちた小泉元首相のキャッチコピーの正体は、沖縄海兵隊の削減という目くらましの一方で、在日米軍の機能を強化することにあった。しかもその経費を日本が大きく負担する形で。

 その一つが沖縄の普天間基地移転であり、沖縄海兵隊のグアム移転である。米国はすべてがパッケージで合意されているから普天間基地移設の変更は1インチも変更できない、それを変更すれば海兵隊の削減も白紙に戻す、などと脅かし、常に日本政府に圧力をかけてきた。

 おまけに沖縄海兵隊のグアム移転も、日本のためではない。もともと沖縄に大量の海兵隊を置いておく必要性は米軍の戦略上からももはや無いのだ。日本に恩を売る振りをして、その経費を日本に押しつけようとするものなのだ。

 しかもその経費は1億とも3億ドルとも言われ、積算根拠や日米分担の割合など、一切が国民に知らされていない。

 この厄介な問題を、国際協定をつくって一挙に解決してしまおうとするのが今日の新聞報道の裏でおこなわれようとしている事なのである。

 これは単なる沖縄米軍グアム移転に関する国際協定ではない。あたらしい日米安保条約ともいうべき重要な条約である。それを在沖縄米海兵隊移転という、あたかも在日米軍が削減される結構な話であるかのような名前をつけてごまかし、一気に片付けてしまおうとするのが政府、外務省の意図なのである。

 しかも民主党が政権を取るまえに署名、国会承認を行なおうとする。政局が混乱し、国会がまともに機能しないうちに、このような重要な条約を急いで作ってしまおうとする。

 おそらく米国の強い希望によるのだろう。民主党政権ができることが確実になったと判断した米国は、民主党の対米政策に疑問を抱き、その前に協定を作ってしまえというわけだ。

 面倒な事ははやく片付けたいと思う政府、外務省も、米国と見事に利害が一致する。

 さて民主党はどう出るか。むしろ厄介な問題は自民党政権のうちに片付けておいたほうが楽だ、と考えてこれを黙認するのかもしれない。そうなればあっさりとこの重大な新日米安保条約は成立する事になる。

 民主党の護憲勢力はどうでるのか。共産党や社民党はどうでるのか。混迷する政局に、またあらたな問題が浮上してくるかもしれない。

 いや、この日米新安保条約がいきなり出てきた背景には、自民党生き残りのための深謀遠慮があるのかもしれない。民主党分断、野党分断の高等戦術かもしれない。政界再編、保守大連立の思惑があるのかもしれない。

 日本の政局の裏にはつねに米国の影がつきまとう。

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2009年01月27日

 メディアに対して能動的に取り組んで欲しい

 1月27日の日刊ゲンダイに、メディア論に関する興味深い記事を二つ見つけたので紹介したい。

 一つはオバマ大統領報道の正体についてである。日本人のオバマ支持率はライフネット生命保険の調査では89.7%だったという。これは米CNNが発表した米国人のオバマ支持率84.0%を上回るものだ。しかし、本当に盛り上がっているのかといえばそうではなかった、という。

 就任式に関する視聴率は、民放各局のいずれもが普段のニュース番組の視聴率に比べて微増した程度だったという。いずれも視聴率は5-6%という。一番高かったのがNHKの「おはよう日本」のニュースであるが、それも13.7%と2-3ポイントアップした程度。オバマ、オバマと騒いでいるのはテレビだけ、ということだ。

 もう一つの記事は書評欄に取り上げられていた「オルタナティブ・メディア(既存メディアに代わるもう一つのメディア)」(大月書店)という本についてである。

 本当の事を書かない大新聞やテレビに頼り切る事はやめて、自分たちでメディアをつくろう。そんな欧米社会の様々な取り組みを紹介した英国人ジャーナリスト、ミッチ・ウオルツの著書の翻訳版である。「自分自身の手で情報発信をはじめ、豊かなメディア社会をつくりだそう」と呼びかける一冊だという。

 この二つの記事が教えてくれるものは何か。それは我々は日々流されるニュースを受身になって信じるなという事だ。ニュースの裏に隠されている真実を自分の目で確かめ、自分の頭で考える必要があるということだ。

 新しいメディアをつくるのは理想ではあるけれど、そこまでいかなくてもニュースを少しばかり注意して読んで見る、少しばかり考えて読んでみる、そういう能動的な態度を心がければ随分違ってくる。

 私がブログで書き続けてきた事は、まさにその事である。私は自分の意見を押しつけない。読者がどのような意見を持とうが勝ってだ。しかし間違った情報に惑わされて、間違った判断をする事は避けたほうがよい。馬鹿を見るだけだ。

 そういう事に気づいただけで、すでに立派なメディア批評家になれる。一人でも多くの国民がそうなれば世の中は間違いなく良くなる。
 

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2009年01月26日

 世論調査の数字を冷静に読み解いて真実に迫る

 1月26日の各紙に出ていた世論調査の数字について考えてみる。

 各紙は米ギャラップ社の世論調査の数字を一斉に流していた。オバマ大統領就任直後の支持率についての数字である。
 どの見出しも、68%という数字はケネディ元大統領(72%)についで戦後2位の高さであると書きたてている。しかしアイゼンハワー68%、カーター66%の支持率とほぼ同じだ。因みにニクソン59%、クリントン58%であり、あのブッシュ大統領でさえ就任直後は57%だったという。わずか11%の違いだ。オバマ大統領就任式の熱狂報道を考えると、意外に低いと考えるべきではないか。支持者90%という日本国民は日本のメディアに煽られていないか。

 毎日新聞は、AFP通信を引用して、北大西洋条約機構(NATO)のデホープスヘッフェル事務総長が、アフガンの治安維持の為に国際治安支援部隊(ISAF)を、現在の5万人から、更に1万人の増派が必要であるとの見通しを示したと報じている。
 オバマ大統領が「テロとの戦い」の主戦場としてアフガンを重視する立場である事は、すでに報道されている通りだ。
 しかし欧州の世論は増派には慎重姿勢を見せている。20日付英フィナンシャル・タイムズ紙掲載の数字では、ドイツで60%、英国で57%、フランス、イタリアで53%が増派に反対している事が明らかになったという。
 日本国民が、オバマ大統領の要請に応えて対アフガン協力は当然だと考えるのであれば、欧州の世論と異なる反応を示すという事になる。

 「望ましい政権のあり方」に関する日経新聞の最新の世論調査が出ていた。それによると民主党支持率37%に対し自民党支持率が29%となっており、日経新聞の調査でも民主党が大きく逆転している。もはや民主党が総選挙で勝つ可能性は一つの流れになった感がする。私もそう思う。
  しかし望ましい政権のあり方となると話が違う。自民党支持者の58%が自民・民主の大連立を望むのはわかるとしても、民主党支持者の46%が大連立を望んでいる。民主党中心の政権を望む者(47%)とほぼ同じだ。無党派に至っては62%が大連立を望んでいる。国民全体では52%が自・民参加の大連立を望んでいるという。
 メディアで評判の悪い大連立構想は、国民の総意とは違うということだ。どう転んでも今の日本は保守二大政党化、保守多党化に進んでいくということだ。それがいいかどうかは別であるが。

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2009年01月25日

 オバマ大統領の誕生で対米従属外交が加速する

 オバマ大統領の誕生で日本の対米従属外交は加速していく。そしてその結果日本国民の生活はますます苦しくなっていく。

 こう書けば読者は驚くかもしれない。いぶかしく思うかもしれない。日本のメディアに登場する有識者のなかで、このような指摘をしている者はいまのところ見当たらない。

 しかし、見ているがいい。やがてその事があらゆるところで明らかになっていく。そして日本が苦境に立たされていく。

 なぜ私がそう考えるか、それを回避する正しい対米外交とは何か、それを声を大にして唱える有識者が出てくるか。それこそが日本国民が正しく理解しなければならないことである。

 私の考えについてはあらゆる例証をとらえてメールマガジンで展開していくつもりであるが、ここでは、読者が自分頭で考えるように、ヒントを提供する事にとどめたい。

 オバマ政権の最大の課題は、「金融危機の解決」と「米国外交の立て直し」である。これは皆が認めるところである。

 しかし金融危機の解決が容易ではない事は米国経済の実体を知っているものなら気づいている。1月25日の産経新聞は、オバマ大統領が打ち出した70兆円余にのぼる景気対策の規模や効果について、はやくも批判が噴出していると書いている。
 米国の金融危機は、もはや米国だけでは乗り切れないのだ。普通の事をしていては解決できないのだ。だから米国は自らの生き残りのために、詐術を弄し、法外な要求を他国に求めてくるに違いない。

 外交についてはもっと深刻だ。オバマ外交は決してブッシュ政権の「軍事力に任せた単独主義、先制攻撃主義」を否定するものではない。平和外交を進めるといったものではない。
 それどころか、「テロとの戦い」を徹底し、反米テロの本丸であるアル・カイダ壊滅に向けてアフガンへの増兵を行なうというものである。

 そのことが明らかになってきた。就任演説ではテロとの戦いの継続を宣言した。就任直前に起きたイスラエルのガザ虐殺に対しても、1月22日に行なわれた就任後初の外交演説において、「イスラエルの自衛権を常に支持する」と言い切った。

 つまりブッシュ政権がもたらした不始末の解決を、ブッシュ路線の否定ではなく責任を皆に求め、そのための協力をより強く国際社会に求めてくる。その最大の期待国が日本である事は言うまでもない。

 私からいわせればとんでもない責任転嫁だ。すべては米国の不始末で惹き起こされた経済危機であり、膨大な人命の喪失である。それを皆の責任で乗り切ろうとする。

 私は陰謀論者ではないが、あたかも何者かが世界を誤魔化すためにオバマという操り人形を送り出し、オバマ旋風を起こし、その熱狂のかげに隠れて危機を乗り切ろうと画策しているかの如くである。

 日本はいま政府も国民もオバマブームである。自民党も民主党も、オバマ政権との人脈作りを競っている。日本国民のオバマ大統領支持率はなんと90%であるという。米国民以上に支持しているのだ。そしてこの熱狂振りをメディアが煽っている。

  その結果何が起きるか。ブッシュ政権の時に行なわれた対日要求は、ブッシュ政権の評判の悪さもあり皆が反発した。ブッシュを叩いていればよかった。靴を投げつけられたブッシュを笑っていればよかった。

 ところがオバマ大統領の要求であれば、仕方がない、となる。日本もオバマ大統領と一緒に変革しなければならない、変革したい、となる。

  それを政府・官僚が利用して、オバマ大統領の米国との日米関係は今まで以上に重要だと言い出してくる。
 
  そのオバマ政権との間で、来年は日米安保条約締結50周年を迎える。これを機会に日米同盟をより強固で永続的なものにしなければならない、という議論が花盛りになる。あまりにも出来すぎたシナリオではないか。

  これは米国が周到に考えてきた日本占領の完成ということではないか。もちろん平和憲法は事実上なくなることになる。

  このような動きの危険性を正しく指摘する政治家や有識者がまったく出てこない。そのような識者はメディアには決して登場してこない。 

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2009年01月24日

読者へのおしらせ

 
 一ヶ月の試行期間を終えて、いよいよ2月1日から私の有料メールマガジンが本格的に始動します。

 それにともない、私の発信はそちらに全力注入します。その事によって購読いただいた読者への責任をより確かに果たそうと思います。

 毎日書き続けてきたこのブログは、有料メールマガジンで書いた私の配信の要約を、週に2回程度のペースでまとめて発表することを中心にします。その事によって従来の読者のニーズにも応えていけると思います。

 有料メールマガジンの読者からは、今までの通りコメントや関連情報を期待します。そしてそれを私の配信の更なる参考にして有料メールマガジンを絶えず向上、充実させていきたいと思っています。

 一つの連帯意識をもって世界と日本の真実を追求していこうと思っています。新しいメディアをつくる気構えで書いていこうと思っています。一人でも多くの読者の参加を期待します。

                                                天木直人

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2009年01月24日

 金日成に世襲反対を直言した男 宇都宮徳馬

  公務員改革の必要性が叫ばれ続けているのに、一向にそれが進まない。1月24日の東京新聞は、甘利明行革大臣が、谷公士人事院総裁との初のトップ会談に臨んで、内閣人事局への人事権の一本化を要請したが、谷公士人事院総裁は、「基本的には難しい」と一蹴した、と報じている。大臣がり官僚に一蹴されているのである。

 谷公士人事院総裁は、64年に東大法学部から郵政省に入省し、郵政次官に上り詰めた後、天下りポストを転々として、06年から人事院総裁を務めている。私より5年ほど官僚の先輩にあたる。仕事でわずかばかり接触した限りの印象では人格温厚で極めて優秀な官僚であった。

 しかし優秀な官僚はまた、官僚組織を守る事においても優秀である。その優秀な官僚OBが、キャリア官僚を代表して、組織防衛のため、政治家に抵抗しているのである。政治家によほどの覚悟と能力がなければ勝てるはずはない。真の公務員改革などできるはずはない。

 本来ならば政治家は官僚よりはるかに強い権限をもって官僚を指導・監督する立場にある。国民から選挙で選ばれたという事は、国民はその政治家に、「国民の利益を実現する政策をせよ」と、立法権、行政権を与えたという事である。国民から選ばれたという重みはここにある。

 だから官僚がどのような抵抗を試みようと、それが国民の利益に反するのであれば、政治家は即座にその官僚を更迭できるし、そうしなければならない。それほどの権限を政治家は国民から与えられているのである。

 それなのに何故政治家は公務員改革一つできないのか。それは政治家の多くが無能であるからだ。弱みを持っているからだ。そしてその無能と弱みを象徴するのが世襲議員である。

 私のところに読者から是非ブログで取り上げてほしいというメールが寄せられた。そのメールは発売中の週刊文春1月29日号の次のような記事を引用し、これではこの国の変革は望めない、その事を国民に知らせてくれ、というものだった。

 つまり世襲議員は親から子へ資産を移譲させるとき、それを親の政治資金管理団体から子供の政治資金管理団体へ、寄付という名目で移す形をとれば、非課税扱いになるというのである。これは合法的な脱税である。その脱税額をあわせたら、どれだけの派遣員の暮らしが守れるか。その事を書こうとしたフリーランスのジャーナリスト上杉隆氏に、「これだけは書かないでくれ」と世襲議員が頭を下げたという。

 世襲議員は圧倒的に自民党議員に多い。しかし野党議員にもいる。共産党の政治家も息子を選挙に立候補させようとしていたくらいだ。つまり政治家は皆国民に知られたくない弱みを持っているのだ。こんなことで官僚と流血覚悟の闘いができるはずはない。

 それで思い出すのがやはり同じ週刊文春の記事だ。その1月新春号(1月1日―8日号)で元衆議院議員の宇都宮徳馬という政治家のエピソードが書かれていた。

 宇都宮徳馬はかつて北朝鮮の金日成・国家主席と会談した時、「政治家は一代限りにすべきです」と面と向かっていったという。すでに息子の金正日に後を継がせようと決まっていた時に敢えてそう言ったというのだ。これに対して金日成は「本当の友人の直言はうれしいものだ」と応じたという。

 もちろん宇都宮徳馬は息子に議席を継がせる事はなかった。

 その週刊文春は次のような言葉で締めくくっている。

 「・・・異常なまでの世襲大国日本。だが結局はそれを正すのも許すのも、有権者、つまり国民の意思次第なのである・・・」

 今度の選挙でもまた大勢の世襲議員が当然のように名乗りをあげている。そしてそれらが当然のように当選して行く。

  

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2009年01月23日

 いまこそ日本の経営者はビル・トッテン氏の声に耳を傾けるべきだ

 経済悪化を示す数字が連日新聞を賑わせている。今日23日付の新聞に目を通すだけでもざっとこうだ。

 新日鉄過去最大の減産、君津高炉も休止へ
 ソニー営業赤字2600億円
 6大銀行 最終利益8割減
 08年貿易黒字8割減
 09年度マイナス2%成長

 冷静に考えればとてつもない危機だ。消費税増税などを議論している場合ではない。早急に何らかの手を打たないと日本経済はこれからもっと深刻になる。国民生活は大変なことになる。
 
 この日本の危機を1年前に警告し、自らの会社の社員と対応策を共有しようとした経営者がいた。ソフトウェア販売専門会社「アシスト」のビル・トッテン社長である。

 彼は69年に米国企業から日本に派遣され、日本が好きになって日本で起業した米国ビジネスマンである。米国流のやりかたでは日本はダメになる、対米従属から脱却しなくてはいけない、と日本人に向けて発言し続けてきた米国人である。

 そのトッテン氏が、その著書である「愛国者の流儀」(PHP)(08年3月発行)の中で次のように書いている。おりしも昨年末から日本では派遣切りが一大社会問題として急浮上してきた。雇用を守るための一つの方法としてワーキングシェアリングがにわかに論じられるようになった。この問題は、今後はますます深刻な問題として論じられていく事になろう。

 今こそ日本の経営者はビル・トッテン氏の次の言葉に耳を傾けるべきだと思う。


・・・幸いにも我々の会社(アシスト)は経費を大幅に削減する必要に迫られていない。しかし日本経済を含む世界経済が、近い将来に大きく衰退する強い可能性があると信じる。そうなればアシストといえども影響を免れない。この認識を社員に伝え、その場合アシストとしてどう対応すべきか、社員に問いかけ、社員間で活発な意見交換を期待し、最善の方法を皆で考えていこうと、要旨次のようなメールを社員全員に送った。
「 ・・・これまでアシストは決してリストラをしてきませんでした。つまり経費削減のために社員を解雇することはなかったということです。これは常に私のポリシーでしたし、これからも私のポリシーであり続けるでしょう。
   しかしこのポリシーが検証されることはありませんでした。なぜなら、アシストは生き残るため、または競争力を維持するために、劇的に経費を削減する必要に迫られることがこれまでなかったからです。私たちは幸運でした。
   私は、日本経済を含め世界の経済はごく近いうちに劇的に衰退する非常に大きな可能性があると確信しています。もしそうなったら、アシストの主な顧客である日本の大企業を含め世界の大企業の(需要)は劇的に縮小し、アシストの収益も劇的に縮小します。
その時、いまと同じ給料で今と同じ数の社員を雇用し続ける事は不可能になります。言い換えると全社員の給料を大幅に削減するか、または雇用する社員の数を大きく減らすことを余儀なくされるのです・・・
そうなった時、特定社員の雇用を犠牲にして、残りの社員の給料を守る事は不正直なことなので、アシストの唯一の倫理的で正直な選択肢は、全社員の給料を同じ割合ずつ削減することでしょう(ここでいる社員とは、役員も含みますし、株主も含みます)・・・しかし、少ない収入は、健康や幸福も少なくなることを必ず意味しない。もし私たちが賢明に計画し、準備すれば、私たちは今よりずっと少ない収入で、同じか、もしかするとより健康に幸福でいられるかもしれないのです・・・」

 このような考えを述べ、それを社員と共有し、ともに解決方法を求めようとした日本の経営者がその当時いたであろうか。今現れているだろうか。

 トッテン氏はさらにその書の最後でこう問いかけている。

 経済は、成長しなければいけないものだろうか。成長を唯一の目標とすることは、最終的に社会を機能不全にし、地球において人々が共存していく可能性を小さくする事にならないか。労働時間が短縮されたとしても、その事により家族と過ごす時間が増え、より健康になり、つまりは幸福な生き方、人間らしい生き方ができると、前向きに考えられないだろうか、と。

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