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2009年01月30日

 日本外交は、いま「あひるの水かき」中なのか

 その昔、私がまだ外務省に入ったばかりの頃、「外交はアヒルの水かきのようなものだ。外からは見えないけれど一生懸命水面下で脚を動かしている」という迷言をはいた幹部がいた。「外務省は何をやっているんだ」という批判に答えた言葉である。

 もちろんそれは嘘で、実際は何もやっていなかった。外交が行き詰まって、する仕事がなかった。暇をもてあましていた。とうの昔に亡くなったしまったその幹部が、どうだ、われながらいいごまかしのセリフを考えついただろう、と笑っていたことを懐かしく思い出す。

 なぜ私がいきなりこんな事を書いたかといえば、今の外務省があまりにも影が薄いからだ。戦後の日本外交でこれほど仕事をしていない時期があっただろうかと思う。

 たとえば日中関係だ。今日1月30日はあの中国毒入りギョーザ事件から丸一年がたったという。それを報じる記事は、どれも中国側の捜査が行き詰っている事を報じている。日本側に打つ手はないと報じている。そういえば東シナ海油田開発問題も打つ手はないままだ。

 ロシアとの関係は滞っているばかりか後退している。ロシア側が一方的にビザなし渡航の中断を求めてきた。ただでさえ凍結されている北方領土問題がさらに難しくなった。驚いたのは外務省幹部の無力感である。「ロシアの態度は硬く、見通しは非常に厳しい」と、茫然自失するばかりだという(30日毎日)。漁船拿捕についてはロシア側のなすがままだ。

 毎日のように報道されていた北朝鮮の拉致問題は、もはや忘れ去られたかのようだ。まったく動かなくなってしまった。北朝鮮の核問題など、はじめから日本の出る幕はない。

 国連外交はどうなっているのか。一月から安保理非常任理事国に選ばれたというのにイスラエルのガザ攻撃問題でまったく姿が見えなかった。それでもなお常任理事国入りを求めて国連改革を続けていくという。まともな思考ではない。

 財政困難な時期にもかかわらず経済援助予算の増額だけは外務省は毎年要求し続ける。しかし日本の支援で建設された建物や道路がイスラエルの攻撃で破壊されても、文句一つ言わない(1月27日産経)。日本の援助で建てた病院も、イスラエルの経済封鎖で医療器材を搬入できずに空のまま新築建物が雨ざらしになっている。日本の援助まで経済封鎖されてイスラエル政府に文句のひとつも言わないのだ。。

 結局日本外交は対米外交だけをやってればいいのか。ところがその対米外交がもっとも空洞化している。肝心の対米外交が、オバマ政権との人脈づくりに慌てふためいている。

 なぜこの体たらくなのか。それは政治の混迷のせいである。ただでさえ無能な政治家が、政局に追われて官僚を正しく使う余裕がないのだ。それでも官僚が有能ならばいい。有能な官僚が無能な政治家を動かしていればいい。しかし実はその官僚もまた無能なのである。利権確保ばかりは熱心でも、国民のための正しい政策がつくれない、実施できないのだ。

 無能な官僚たちを正しく使いこなせない無能な政治家たち。割を食わせられるのは国民である。

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