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2008年12月10日

シンポジウムという名の世論誘導


 すべてのシンポジウムがそうだという気はない。

 役に立つシンポジウムも中にはあるだろう。

 そのよしあしは参加者の顔ぶれを見ればわかる。

 真実を探求するものか、作為的な世論誘導なのかは、すぐわかる。

 12月10日の読売新聞は、9日に東京・大手町の経団連会館で開かれた「日本の国際安全保障活動」(ネットジャーナリスト協会主催、読売新聞社後援)の模様を大きく掲載していた。

 そこに紹介されていた主な出席者は田中明彦(東大教授)、岡本行夫(外交評論家)、塩川正十郎(元財務省)と、シーファー駐日大使ほか米国有志連合に参加した国の外交官とアフガン、パキスタン大使だ。つけたしで財界人が入っている。

 主催者であるネットジャーナリスト協会なるものの正体を私は知らない。しかしこのメンバーを見ただけでシンポジウムの中味は聞かなくても明らかだ。

 アフガン復興支援に日本の協力が期待される(シーファー米大使)。関係国はみな感謝している(パキスタン臨時代理大使)。ソマリア海賊被害は深刻だ(草刈日本郵船会長)。議論の遅れは政治的な問題(塩川元財務大臣)などなどの発言で埋め尽くされている。

 極めつけは外交評論家岡本行夫の、要旨次のごとき基調講演なるものだ。

 「・・・日本外交は対米協調が基軸だが、自ら座標軸を打ちたててこなかった・・・面倒な事から逃げるだけの姿勢ではどこからも信頼されない。特に安全保障では、戦争を総括してこなかったために、日本人は戦争や武器から遠ざかっていれば平和貢献だという意識を持ってしまった。武力行使はすべからく悪だとなってしまった。人命尊重主義とは聞こえがいいが、命は地球より重いという設定をして失敗したのが湾岸戦争であったはずだ・・・日本はインド洋から撤退すべきだという主張がある。それが日本にふさわしい振る舞いなのか。いい、悪いの判断ができなければ、日本は国際社会の根無し草になってしまう・・・」

 こんなのが基調講演なのか。カネを払って聞くべき講演か。

 武力行使はすべからく悪なのだ。ましてや米国の侵略戦争の後始末の為に武力行使をするなどは、子供でも悪い事だとわかる。

 財界人はこんなシンポジウムに付き合っている暇があるのなら、目の前で悲鳴をあげている日本の若者の雇用問題の解決に専念すべきだ。

 読売新聞社主の正力松太郎氏はかつて米国CIAと通じてメディアを世論誘導の具に使った事が米国機密文書の公開で国民の目の前で明らかにされた。

 今の読売人たちは、せめてその汚名を晴らすべく、対米従属の片棒を担ぐ事を止めたらどうか。

 いつまでたっても世論誘導に奔走していると、愚かな国民はだませても、そのうち良識ある国民から見捨てられることになる。

 左翼からではない。ふつうの国民だ。日本の将来をまじめに考える普通の国民から愛想をつかされる。

 

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