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2008年11月17日

沖縄密約をあっさり認めた前外務事務次官


 発売中の月刊文芸春秋12月号に、「死ぬまでに絶対読みたい本」という特集記事があって、「読書家」52人が推奨する本がリストアップされている。

 この種のアンケートを見ていつも思うのだが、読書家ではない私は、それら著名人、有識者らが勧めるそのほとんどを読んだ事がない。

 そして、根っから天邪鬼な私は、読んだことがない本であっても、人が絶対に読みたいなどと言うと、とたんに読む気にならないのだ。

 そんなムダ話をするために、このブログを書いているのではもちろんない。

 52人の読書家の中に谷内正太郎前外務事務次官の名前があった。

 その谷内前外務事務次官が、「死ぬまでに絶対読んでおけ」と勧めている本が、若泉敬氏(元京都産業大学教授)の「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」(文芸春秋社)という本である。

 この事は極めて重大な意味を持つ。

 明治の外務大臣陸奥宗光の著書の中の言葉を題名に使ったという若泉氏のこの著書は、いうまでもなく、佐藤首相の密使として沖縄密約にかかわった自らの行動を告白した衝撃の書である。

 しかも、その著書が刊行された後に沖縄県民に与えた衝撃を悔いて、「責任の重さを痛感して自決する」という遺書を書き残していた事まで、のちに明らかになっている。

 その若泉敬氏の著書を、谷内前外務事務次官は次のように絶賛しているのだ。

 ・・・「永い遅疑逡巡の末」書かれた本書は、もちろん単なる回顧録ではない。有事の核持込を示唆する秘密合意議事録について、最後まで「守秘義務」を守るか、真実を明らかにして「天下の法廷の証人台」に立つか。「二つの良心」の間で揺れた結果がこの本なのである。氏は、後者の道を選択した。重大な関心を払うであろう国会が著者を証人喚問した際は、包み隠さず真情を吐露するつもりであった。
   しかし、「愚者の楽園」と化した戦後日本は、本書に対し当惑ともつかぬ奇妙な沈黙をもって答え、国会からも沙汰はなかった・・・

  そう書いた後、谷内氏は外務省に入ったばかりの若かりし頃若泉宅に居候し、驥尾に付していた事を明らかにした上で、「若泉敬、死シテ朽チズ」と氏の言動を称えているのである。

 これは凄い告白だ。

 外務官僚のトップにあった者が、沖縄密約の存在を認めたのみならず、それしか策がなかったと、若泉氏の言動を称えているのだ。

 それを国会で証言する覚悟をした若泉氏の勇気ある決断を活かさなかった国民や国会を愚者と言っているのだ。

 そうであるならば、なぜ外務事務次官の時に、沖縄密約の存在を認め、国会で堂々とその政策の正しさを主張しなかったのか。

 沖縄密約など一切なかったとして、西山太吉氏の訴えは、今もなお政府、外務省、裁判所に一蹴されたままだ。

 沖縄密約漏洩事件でその半生を失った西山さんをここまで苦しめる理由は、もはやどこにもない。

 その事を前外務事務次官は文芸春秋12月号で認めたと言う事である。 

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2008年11月17日

金融サミットをどう評価すればいいのか


  経済の専門家でもない私が、金融サミットの評価についてこのブログで書く。

  しかも極めて限られた字数で書いてみる。

  なぜか。

  それは私自身が、世界がこの未曾有の金融危機をどう乗り越えていこうとしているのか、まったくわからないからだ。

  わからないから率直な思いを書く。

  そうすることによって、実は誰もわかっていないのではないか、という問題提起を敢えてしてみる。

  それが目的である。

  世界の指導者も、経済専門家も、メディアも、皆わからないくせに、わかったような振りをしているのではないか。

  いや、そうではないかもしれない。

  問題の深刻さがわかっているからこそ、どうしていいかわからないのかもしれない。

  あるいは、問題の解決策に気づいていても、覇権争いの為に、あるいは保身のために、本当の解決に手をつけようとしていないのではないか。

  そうだとすれば問題は深刻である。

  さらなる危機が待っていることになる。

  そしてその場合、一番苦しめられるのは弱者である。

  私はそれを憂う。

  私は今日の各紙の報道振りにすべて目を通してみた。

  しかし、そこには今度の金融サミットは大失敗だったと一刀両断したものはどこにもない。

  たしかに、「具体策なき処方箋」(毎日)、とか、「危機克服 具体策先送り」(日経)とか、「機軸通貨の議論なし」(読売)とか、の否定的な指摘はある。

  しかし、決して失敗だったと断定していない。

  首脳宣言がまとまった事を評価し、G-20という拡大サミットに未来の方向が出てきたといい、金融危機の回避のためにさらなる協調行動に期待する、といった、一見もっともらしい、その実何も中身がない言葉を並べている。

  そんな評価でいいのか。そんな悠長な事を言っていられる場合なのか。

  ここで冷静に考えて見よう。

  株価暴落で世界中がうろたえていたわずか一月ほど前、語られていたことは、米国金融資本主義が破綻した、あらたな枠組みを作らない限り100年に一度の危機を乗り切ることはできない、というものばかりであった。

  それが本当なら、今度の金融サミットは大失敗だったことになる。

  それどころか、今度の首脳宣言で合意され中の一つに、IMF,「世界銀行の役割を認め、それらへの資金基盤を強化する」という項目がある。

  今回の世界的金融危機が米国の行き過ぎた新自由主義、金融資本至上主義の結果もたらされたものであることは、もはや否定しようがない。

  その米国のワシントン・コンセンサス、すなわち「新自由主義」、「規制緩和」、「市場原理」、「民営化」、「自由貿易」、のイデオロギーを世界中に広める戦略の担い手であったのがIMF・世界銀行だった(11月15日東京新聞こちら特報部)のではなかったか。

  そこのところの議論が一切されず、改革の議論の端緒さえも見られなかった今回のサミットは大失敗ではなかったのか。

  これで金融危機が乗り切れるとすれば一ヶ月前のあの騒動は嘘であったということだ。

  果たして、世界金融体制はどう動いていくのだろう。

  オバマ新政権の後に開かれる次の金融サミットから、新しい世界経済体制構築の本格的な交渉が始まるのだろうか。

  

 

 

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