オバマ大統領誕生に思う その② 対米従属が更に進む事を憂う
これから書く事はオバマ次期大統領の責任ではない。もっぱら日本側の問題である。
私は日本の対米従属政策は、これからもっと進んでいくと思う。
なぜか。
ひとつは、日本の指導者たちが米国という国をまったく理解していないからである。米国有力者との真のパイプを有している者が誰ひとりとしていないからである。
日米外交の担い手は外務官僚である。ところがその外務官僚がまるで米国との間に関係を築けていないのだ。
麻生首相のブレーンの1人が前外務次官の谷内正太郎であるらしい。しかしその谷内前外務次官がおよそ米国との関係に弱い外交官なのである。
ともに米国研修を過ごした私は知っている。彼の対米国、対米語コンプレックスは相当なものであった。
その後彼はワシントン勤務、ロサンジェルス総領事などを歴任しているが、米国政府や米国要人との間に太いパイプを築いたという話は聞かない。
あわてて民主党関係者との構築を急いでいるという情けない状況がそれを物語っている。
11月6日の日経新聞に米大統領選挙の結果についての有識者の座談会があった。
座談会の出席者のひとりであった谷内前次官は、オバマ誕生の背景には四つのWがあると得意げに語っていた。WAR,WALL STREET,W・ブッシュ、WASHINGTON、であるという。
米国人が語っていることを聞きかじった受け売りだ。英語(米語)コンプレックスからくる英語(米語)の多用である。
そういえば谷内前外務次官といえば、かつて内閣官房副長官補の時、アーミテージ国防、国務副長官がSHOW THE FLAG という言葉を使って日本に迫ったという話を捏造して、イラク戦争に協力しなければ米国が怒りだすと日本の対米従属政策を導き出した張本人だ、と伝えられた事があった。
私は、いかにも谷内氏がやりそうな事だと思った。
しかし、米国との関係の希薄さは、外務官僚だけではない。
政治家も財界も学者も有識者も、いわゆる日本の指導者の中で米国との強い人的パイプを有している者はいない。
野党政治家や左翼主義者に至ってはなおさらそうだ。
このことから何が導きだされるか。
それは、米国に対して対等な立場にたって正論を語ることができない、という事である。
この事は、オバマ次期大統領が熱狂的な支持を受けて成立したこととあいまって、オバマ米国にますます異を唱える事ができないということを意味する。
更に言えば、日本には、ブッシュ政権の誤ったイラク攻撃に追従してしまったという負い目がある。
オバマ次期大統領の成立は、彼の資質もさることながら、ブッシュ政権8年間のアンチテーゼであった。そうであれば日本はオバマ政権に楯突く事ができないのだ。
さて、そろそろこのブログの結論を述べることとする。
オバマ次期大統領は、イラクからの撤退を開始する一方でアフガンでの「テロとの戦い」を強化すると伝えられている。
果たしてそうなるかどうかは今後のオバマ次期大統領の安保・外交姿勢を見てみないとわからない。
しかし、日本の政府・外務省は、その事を先取りして、アフガンへの協力を進めなければ日米関係がもたない、などと言い出すに違いない。
少なくともテロ給油を続けなければ米国からの圧力がかわせない、と言い出すに違いない。
そして、これに対する野党の反論が封じられてしまう。
オバマの米国に反対するのか、という言葉に、野党は、「いくらオバマでも、戦争に協力する事はできない」、と自信を持って言い返そうとしないのではないか。
私が対米従属が更に進むと憂う理由がそこにある。
いまこそ日本は憲法9条を掲げ、オバマ次期大統領に「テロとの戦い」の名の下に行なわれる戦争を止めるように求める必要がある。
オバマの人気を上回ってあまりあるものは「平和」である。
平和をすべての価値に最優先する憲法9条は、戦争に取り付かれた世界の指導者たちにとっては邪魔なものかもしれないけれど、戦争に苦しめられてきた世界の人々に対しては絶対的な価値を持っている。
それを正面に掲げて、日本とともに平和外交の先頭に立とうではないか、と言えば、オバマといえども、いや、オバマだからこそ、反論は出来ないのだ。
問題は、オバマがいかに平和を追求する政治家であっても、米国大統領として、そこまでの方向転換を直ちに行う事は無理があるという事である。
それを本気で行なえばたちどころに命を失うことになる。
せめて日本は、オバマ次期大統領が戦争協力を要請してきた時に、日本は平和外交を優先したいと言えるような国になってもらいたい、と願う。
本気でオバマ大統領にそう言える有力な政治家が現れることを私は切に願う。