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2008年08月01日

 小泉時代の終焉(その2)-小沢民主党の正念場

 小泉時代の終焉(その2)-小沢民主党の正念場


  改造内閣後の福田政権は果たして支持率を向上させる事が出来るだろうか。

  今度の改造内閣の顔ぶれはパフォーマンス好きの一般国民にとっては地味に見えるかもしれない。

  だから支持率は大して上がらないかもしれない。

  麻生幹事長は失言癖がある。問題発言をしないとも限らない。

  選挙対策責任者の古賀誠氏と麻生氏の対立関係もある。

  何よりも山積する内政・外交の難問がある。

  福田自民党にとっての正念場は続く。

  しかし、それにもかかわらず、私は今度の改造内閣は小沢民主党にとっては手ごわい相手だと考えている。

  むしろ正念場は小沢民主党の方かもしれない。

  なぜか。

  一つには改造内閣の顔ぶれだ。よく見ると強力な顔ぶれだ。浮ついた小泉パフォーマンスを排除した、本来の挙党一致内閣だ。

  小泉自民党とは違って平沼グループや国民新党などとも寄りを戻せるかもしれない。

 二つには政策面における手ごわさだ。

  改造後の新福田自民党は、一方において生活重視の政策を更に打ち出し、アジア重視の外交を続け、他方において麻生氏を前面に出してナショナリストの感情をなだめる。

  つまり民主党との違いをなくす一方で、民主党の弱点である左翼的な部分と対抗して幅広い国民の支持を求めていこうとするからだ。

  三つ目には民主党に自滅、分裂の脆弱さが常につきまとうからだ。

  自民党はあらゆる手段を講じて民主党の自滅を画策してくるだろう。民主党議員の醜聞一つで世論の動きは移ろう。

  その謀略を小沢民主党ははねつけられるか。

  その一方で小泉元首相の揺さぶりがある。

  自民党の中に居場所がなくなった小泉元首相が、このまま引き下がるとは思えない。メディアが小泉人気をあっさりと手放すとは思えない。次男を当選させなくてはならないという事情もある。

  小泉元首相は民主党に手を突っ込んで新党づくりに動き出すかもしれない。

  小沢民主党はその画策に耐えられるか。

  小沢民主党の悲しいところは、このような自民党や小泉元首相の手練手管に負けない政治家が、あまりにも少ない事だ。

  小沢一郎自身の国民的人気がいつまでたっても低い事だ。

  これからが小沢民主党の正念場である。文字通り解散・総選挙に向けて福田自民党と小沢民主党のガチンコ勝負である。

  国民にとっては最大の見せ場が明日から始まるということだ。
  

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2008年08月01日

小泉時代の終焉(その1)ー福田自民党政権の正念場

 小泉時代の終焉(その1)-福田自民党政権の正念場

  これから週末にかけての政治ニュースは福田改造内閣をめぐる政治評論で一色になるだろう。

  その前に私が先手を打って独断的解説をしておく。

  今度の内閣改造の最大の目玉は麻生太郎が幹事長となったことだ。

  およそ福田首相と肌色の異なる麻生氏。

  一年前の自民党総裁選では福田首相と一騎打ちの戦いをした麻生氏。

  福田政権ができた時、考えが違うと言って入閣を断った麻生氏。

  その麻生氏に福田首相は幹事長就任を頼んだ。その要請を麻生氏は今度は引き受けた。

  自民党生き残りのための見事な打算だ。政治ドラマだ。

  選挙に勝ったら次はお前だ、とでも福田さんは麻生氏に言ったのではないかと思いたくなる。

   次の総選挙は文字通り福田自民党の正念場である。

   選挙に負ければ福田首相は与党自民党最後の首相という汚名を背負う。

   自民党が下野すれば、70歳近くの麻生太郎の首相就任の可能性は完全になくなる。

   後のない二人の自民党政治家が、次期総選挙で勝つために、自分を殺して手を組んだのだ。

   この事は何を意味するか。ついに福田首相は小泉時代を終わらせたということだ。

   これこそが私が今度の内閣改造で最も注目した点である。

   かねてから私は、福田首相が小泉元首相を嫌っていると考えてきた。そう指摘してきた。

   その傍証はいくらでもあった。

   そもそも小泉政権時に官房長官を突然辞したのは、飯島勲を増長させた小泉への抗議だった。   
   田中真紀子が外相を更迭され涙を見せた時。小泉元首相は女の涙は最大の武器だと言った。それを聞いて「小泉首相に泣かされてみたい」などという気色悪い言葉を吐いて忠誠を尽くした川口順子参議院議員に対し、「環境大臣をやっていたのだから(勝負服の)赤ではなく、緑色の服を着たらどうか」などと福田首相が皮肉っていた。

   最近に至っては小泉元首相の福田おろしの言動に心底頭に来ていたに違いない。なにしろ内閣改造や解散・総選挙と言う首相の専権事項について、あれこれと無責任な発言を繰り返していた小泉氏だった。

   その小泉氏の子分だった飯島勲の福田批判も福田首相にとって許せなかったに違いない。

   支持率を回復するためには小泉人気を使えばよさそうなものだが、福田首相は決してそうしなかった。

  「(山口補選の)応援演説を頼んだらどうか」、とか「後期高齢者医療制度の説明は、(それを導入した)小泉元首相にしてもらったらどうか」などという周りの声を、福田首相は露骨に無視した。

   そして麻生太郎の幹事長要請だ。小泉とは相容れない麻生氏だ。小泉元首相の政策を批判を公然と行なう。しかも麻生氏には小泉的な大衆人気がある。

   小泉人気を拒絶し、麻生氏で自分にない人気を取ろうとしたのだ。

   小泉政治との決別は閣僚人事にも現れている。

    下馬評にあがっていた小池百合子を決して入閣させようとしなかった。

    それとは好対照に、小泉元首相を批判し、刺客を送られ、その刺客と戦って勝った野田聖子を入閣させた。

   見ているがいい。これからの政局で、自民党議員としての小泉純一郎の出番はなくなるだろう。

   福田首相は麻生氏とともに選挙に戦うのだ。自民党の大方の派閥の領袖もそれに協力する。

  彼らは、自分だけ好き勝手をして自民党を壊した小泉を憎んでいる。

  小泉人気に頼ることなく選挙を戦う覚悟をしたのだ。もはや小泉氏など相手にしないだろう。

  こうなれば自民党主要議員の中に友人を持たない小泉元首相の居場所はなくなる。

  それとともに武部や小泉チルドレンはもとより、中川秀直や小池百合子などの出番もなくなる。

  小泉政治、小泉劇場の終焉である。

   

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2008年08月01日

WTO交渉の決裂と日本の沈黙

 WTO交渉の決裂と日本の沈黙

 たとえば、悪事をあばいて批判してみたり、平和が一番と叫んだりする事は簡単である。

 私がこのブログで毎日行なっている事だ。

 あるいはその逆に、政府側に立って政策の正当性を主張したり、軍備なくしてどうして国が守れるのか、と居丈高になるのも簡単だ。よく見かける保守、反動ブログが好例だ。

 しかし、本当に難しい事は、白黒つけられない問題にどう答えを出すか、そしてその答えの正統性を、自信をもって不特定多数の人々にどう説得できるか、という事である。

 WTO交渉の決裂を見てそう思う。

 資源を持たない貿易立国の日本は自由貿易の最大の受益者である。

 そしてその通り、日本は戦後の世界自由貿易体制(GATT)の恩恵にあずかって、戦後復興と経済成長を成し遂げた。

 ところが、自由貿易体制は強者の論理である。

 世界の大多数はいわゆる開発途上国という弱者である。

 しかも、どのような国でも、つまり米国や欧州や日本といった西欧先進国でも、国内に開発途上産業、衰退産業という弱者を抱えている。

 強者の論理で、強者の利益だけでなく弱者の要求をどう満たすか。これこそが近年のWTO交渉の難しさであった。

   話は横道にそれるが、かつて私は1970年代の末にスイスのジュネーブにある国連日本政府代表部に勤務し、そこで連日行なわれる経済交渉会議に携わっていた事がある。

   当時ジュネーブの経済交渉といえば、開発途上国問題を扱うUNCTADと、先進工業国間の自由貿易を話し合うGATTの二つに大別されていた。

   UNCTADは、多数の弱者途上国と先進国が対立する労使交渉のような会議で、小田原評定だとGATTの担当者からはバカにされていた。

   それに引き換えGATTは、先進国主導の交渉だった。

   利害が激しくぶつかるかわりに、最後は結論がでる。

   規則に違反する経済活動を行なえば訴訟で白黒をつけられる合理性がある。

   必然的にGATTの交渉は真剣なものになるが、先進国は、そのプライドをかけて最後は交渉をまとめる、そういう不文律があった。

   それが変わり始めたのが私がジュネーブにいた70年代末であった。

   おりから起きた開発途上国の資源ナショナリズムなどにより、国際貿易において開発途上国の意見を無視できなくなったのだ。いわゆるGATTのUNCTAD化である。

   その時のGATT担当者が、GATTも堕落したものだと嘯いていたのを今でも私は思い出す。

   それから30年、いまやGATTはWTOと名前変え、多くの開発途上国を参加国とする世界的機構になって久しい。

   しかも開発途上国はもはやかつての開発途上国ではない。

   インド、中国、中東金融資本国、などと、成長著しい新興発展国としてサミットにまで招かれるように成長した。

   その一方で米国や欧州の先進国にとって、国内産業保護は、ますます重要な国内政治問題となりつつある。

   従来ならば先進国同士が国内産業保護について妥協すれば交渉はまとまった。 

   欧州と米国が妥協すれば、日本がはじき出されて終わりだった。

   今回の交渉もそういう結末で終わりそうだという報道もあった。

   ところが突如としてインドが米国に反撥し、中国がそれを支持した。

   この両国は、もはやかつてのインドや中国ではない。世界一、二位の人口を抱え、経済、技術力の向上を果たした自信に満ちた国だ。

   西欧先進国に追いつこうとするこれらの国にとって、国の経済発展を第一に優先する事に何のためらいもない。

   国民はそれを支持する。国民の支持を背景に堂々と自国の国益を主張できる国となった。

   だからWTOが決裂するのはやむを得ない。

   そしてこの事はWTOの将来に暗い影を投げる。

   世界的な自由貿易体制を目指すこれまでの方向から、新しい時代のブロック経済化時代に移行する前兆である。

   そこで日本である。

   どの新聞を見ても日本の存在感のなさを嘆いている。

   しかし、それは無理もない。

   日本は世界で最も低関税率を誇る産業、技術先進国であるにもかかわらず、その一方でコメを最優先する農業保護政策国であるからだ。

   おまけに日本は、米国やインドや中国のように、「国益優先で何が悪い」と開き直る強さがない。戦略がない。

   さらにいえば日本は、低価格の自国農産物を海外で売りさばくために開発途上国にまで関税削減を求める理不尽な米国に、何も言えない国なのだ。

   7月31日の読売新聞に次のような光景が描かれていた。

 ・・・ジュネーブのホテルの一室では、農林族と農林水産省や外務省の幹部が、「ありがとう」、「ご苦労さま」と声を掛け合い、がっちりと握手した・・・

   つまり日本は、自分達が悪者にならずに交渉が決裂した事で、結果的には農業を守れてよかったのだ。

  その一方で経済産業省や日本の産業界は、「輸入拡大という自由化のメリットを逃がした」、「長い目でみれば決裂は損失が大きい」などと言う。

  要するに、日本全体としてコンセンサスがないのだ。

 貿易自由化と農業保護という相反する政策を、いつまでたっても調整できないのだ。

  WTO交渉決裂を報じた日の各紙はすべてこの問題を社説で取り上げた。

  そしてその社説はすべて、貿易自由化を後戻りさせるな、農政改革に取り組め、というものだ。

  建前ではその通りだ。しかしわかっていてもそれが出来なかったのがこれまでの日本であった。

  その最大の理由は政治が国益をまとめ切れなかったからだ。

  政治家が選挙の票を優先して、政策を歪めて来たからだ。

  それを一言で言えば政治にリーダーシップがなかったからだ。

  最近の日本の政治でリーダーシップを発揮した首相は小泉元首相だと言われている。

  私もそう思う。

  しかし、小泉元首相のリーダーシップは、間違ったリーダーシップであった。

  日本を破壊し、米国に日本を売り渡し、アジアを敵に回した、おろかなリーダーシップであった。

  いまこそ正しいリーダーシップを持った政治家が現れなくてはならない。

  自分の私利私欲、気まぐれの小泉偽改革ではなく、国民のための真の改革ができる指導者が必要だ。

  果たしてそのような指導者があらわれるのか。

  WTOの交渉決裂と日本の沈黙を見て、つくづくそう思う。

  

 
   

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