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2008年06月10日

多田富雄東大名誉教授の言葉


 多田富雄東大名誉教授の言葉とナツメロ「異国の丘」

 
 多田富雄東大名誉教授の言葉とナツメロ「異国の丘」

 読者は多田富雄東大名誉教授(74)のことを知っているだろうか。

 世界的な免疫学者であると同時に「能」学者、文筆家という知の巨人が、ある日脳梗塞に倒れ、たちまちにして第一級の障害者になった。その人である。

 私が彼を知ったのは、後遺症と闘いながら、なんとか左手だけでパソコンを打ち、命の言葉を必死で紡いでいる姿をテレビで見たからであった。

 以来私は、彼の生き様を、感嘆と畏敬の念を持って眺めている一人である。

  その多田富雄氏が、10日の朝日新聞で日本の行く末を次のように憂いていた。

 「・・・戦後の復興期には、私たちも貧しかったが、少なくとも人間らしい健康な日常がありました。
   そして誰もが意見を持っていた。学生だって、時には反体制の運動に走るくらい元気がありました。
   ところが最近は、暮らしの原理ともいえる憲法を改正する国民投票法が強行採決されても、文句も出ないし、デモらしいデモも起こらない。
   昭和の日本には、社会の中心となる健全な中流が育っていました。日本はこの健全な中流に支えられていたのです。
   それが過剰な競争と能率主義、成果主義、市場原理主義で「格差」が広がり、もはや中流はろくに発言ができなくなった。
   一昨年4月から施行されたリハビリの日数制限、そして今年から始まった後期高齢者医療制度など、市場原理主義に基づく残酷な「棄民法」としかいいようがありません。
   日本はいつからこんな冷たい国になってしまったのでしょう。
   病にかかっているとしか見えません・・・」

 たまたまその日の夕にNHKの歌謡ショーがあり作曲家吉田正特集をやっていた。

 彼の出世作である「異国の丘」が流れた時、なぜか私は多田教授の言葉を思い出した。

 子守唄がわりに親からよく聞かされたなつかしい歌だ。

 戦前、戦後を生き抜いた日本人は、今度こそ平和で豊かな日本をつくろうと、歯を食いしばって頑張ったに違いない。

 その歌詞は次の通りだ。

 今日も暮れ行く異国の丘に、
 友よつらかろ、せつなかろ
 我慢だまってろ嵐が過ぎりゃ
 帰る日も来る、春も来る

 今日も昨日も異国の丘に
 重い雪空 日が薄い
 倒れちゃならない 祖国の土に
 たどり着くまで その日まで

  
  日本は、多くの犠牲者の上に戦後の復興を成し遂げた。

  高度成長を果たし、豊かな日本が実現するはずであった

  それがどうだろう。

  多田富雄氏の言うとおり、今日の日本は病んでいる。

  私たちの手で日本を蘇生させなければならない。

  政治家や官僚に期待するのではなく、我々の手で蘇生させるのだ。

  そうでなければ、苦しみながら戦後復興を成し遂げた日本国民に申し訳がたたない。

  将来の世代に、蘇生させた日本を残していかなければ無責任だ。

  

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2008年06月10日

福田さん、今度のサミットは気楽におやりなさい


 福田さん、今度のサミットは気楽におやりなさい

  福田首相が9日記者会見をし、環境サミットの成功に強い意欲を示した。

  それを聞いていて、そしてその後の記者の質問に対する福田首相の応答振りを聞いていて、私は、報道されている事とは反対に、福田首相は、サミットが終われば政権にこだわらないのではないか、解散・総選挙も含め政局は流動的に動くのではないか、という印象を持った。

  そう思う明確な根拠はない。しかし、一つだけあげるとすれば、サミットの議長を無事乗り切りたいとする福田首相の強い思いを感じたからだ。

  つまり、「サミットさへ無事に乗り切れば自分の責任は果たした」、「後は誰でもいいから日本の難局を乗り切れる人がやってくれればいい」、福田首相は、そう思っているのではないか。

 福田首相からは、いつまでも総理の座にしがみつきたい、という思いは伝わってこないのだ。

 それならば、私は福田首相に助言したい。

 「思う存分サミット議長を楽しめばいい。気楽にやればいい。どうせサミットは、もはや形骸化した首脳の顔見世でしかない。ましてや今年のサミットは・・・」

 あれは私が課長の時だったから1986年の東京サミットの時だったと思う。サミットが終わりかけていた時に、ホテルの控え室で外務次官がポロリと私に漏らした言葉が印象的だった。

 「やれやれ、やっと無事に終わる。サミットなんて、内容よりも無事に終わりさえすればいいのだ。次に日本が議長国になる時は、自分はとっくに辞めているからどうでもいいのだけれど・・・」

  そうなんですよ、福田さん。

  サミットなんて内容などはどうでもいいのです。

  特に今年のサミットは、まったくどうでもいい。

  私がそう思うのは10日の読売新聞の「欧州 ブッシュ離れ」という記事を読んだからだ。

  10日にスロベニアで開かれる米・欧州連合(EU)首脳会議を報じた読売新聞のその記事は、「洞爺湖サミットの焦点となる地球温暖化対策で米欧間の隔たりを埋める最後の機会となる首脳会議である」、と前置きした上で、EU側から聞こえてくる声は、「ブッシュ政権には、もはや主要政策で米議会を説得する力は残されていない。いくら交渉しても見返りは限定的」という冷ややかな情勢認識ばかりであるという。

  また米ジョン・ホプキンズ大学のデービッド・キャレオ教授は、「米欧はイラク戦争を巡る対立でお互いに痛手を負った。これを教訓に、欧州はブッシュ政権との直接対立避け、静かに次期政権誕生を待つ姿勢に転じた」と指摘しているという。

  欧州のブッシュ離れは着実に進んでいるのだう。そうだとすれば今度のサミットはブッシュの送別サミットでしかない。それ以上の何も期待できないという事だ。

  それは日本の責任ではない。めぐり合わせだ。日本だけが張り切ったところでどうにもならない。

  そうであればこんな気楽なものはない。

  福田さん、洞爺湖サミットを成功させなくてはならない、と張り切る必要はない。

  上手くいかなければどうしようと気を揉む必要はまったくない。

  会議はどんな内容になろうとも、「成功だ!」と言っていればいいのだ。誰から何といわれようとも、会議は成功した、と繰り返していればよい。

  気持ちよくサミット議長をつとめて、その後はきっぱりと政権を手放したらよい。それこそが福田首相の最大の功績になるのかも知れない。

  

  

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2008年06月10日

何のためのアフガン調査団か


 何のためのアフガン調査団か

  アフガニスタンへの陸上自衛隊派遣の可能性をさぐるため、外務・防衛両省などの合同調査団が、8日に日本を出発したという。

  10日の各紙はこの事実を小さく載せていただけであった。

  しかし、この調査団の派遣は税金の無駄遣いだ。

  政府のアフガン調査団派遣については、すでに6日の東京新聞と朝日新聞が、調査団派遣の適否について、それぞれ問題提起の記事を書いていた。

  すなわち、東京新聞は、実現の可能性もないのにサミットを意識して官邸(町村官房長官)が前のめりになっている、と書き、

  朝日新聞は、「法律もないのに調査団を出してどうするのか。拙速だ。安全な地域はNATOが離さない。危険な地域を押しつけられてはたまらない」という防衛省幹部の声をのせていた。

  自衛隊の海外派遣をめぐる論議は、国際貢献という錦の御旗を掲げてそれを積極的に進めようとする政府やそれを支持する保守・改憲論者と、憲法9条に反し認められない、とする平和・護憲論者の、安全保障政策をめぐるイデオロギー的な対立テーマであると思われがちだ。

  しかし実際は違う。もっと次元が低い問題であるのだ。

  米国の「テロとの戦い」に協力して以来、わが国を守るはずの自衛隊が、日本と関係のない外国領土で重装備をして活動する事が当然視されるようになった。

  その背景には、一方において、対米追従しか念頭にない政府、外務官僚の政治先行の思惑があり、他方において、防衛省格上げで張り切る防衛官僚の権限拡張の野心がある。

  ところが、両者ともに共通しているのは、自衛隊員が犠牲になる事だけは避けたい、という至上命題である。

  それはそうであろう。日本の領土や国民を守るために敵と戦うべきはずの自衛隊が、本来の専守防衛から大きく外れ、米国の戦争に巻き込まれて犠牲になる事は、いかに対米追従、組織拡大が重要だと言っても、受け入れる訳にはいかない。

  自衛隊員を犬死させる責任をとる政治家や官僚はいないのだ。

  自衛隊の海外活動を主たる任務に格上げしてみても、あるいは自衛隊派遣恒久法づくりを急いでみても、最後は安全な派遣場所探しに奔走する事になるのだ。

  ここにわが国の自衛隊海外派遣の最大の矛盾と滑稽さがある。

  今のアフガニスタンはイラク以上に危険地域だ。

  なにしろ、アフガニスタンで長年支援活動を続けてきたNGO「ペシャワール会」の中村哲医師が、陸上自衛隊が派遣されたら「日本人が攻撃対象になるのは確実で、会員の安全確保が難しくなる」と言って撤退宣言をしたのだ(8日各紙)。

  結論は見えている。陸上自衛隊をアフガニスタンへ派遣する事はありえない。

  その結論を出すためのアリバイづくりの調査団派遣は明らかな税金の無駄遣いだ。

  何よりも、アフガニスタンには大使以下外交官が常駐して情報を把握しているはずではないか。彼らを働かさないなら、もっと税金の無駄遣いになる。

  

  

  

 

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