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2008年05月05日

   連休に思う

 連休に思う

  世のサラリーマンにとって最大の休みの季節が終わろうとしている。やがてふたたび世の中が動き出す。ニュースも活発化する。

  働かざるもの食うべからず、という社会的モラルがある。私もそう考える一人だ。

  しかし、親が金持ちだったり、若くして大金を得たりと、何らかの事情で働かなくても一生遊んで暮らせる身分に自分が置かれたら、そんないいことはない、とも思う。

  そういう状況に置かれたら人間が駄目になる、と言う声が聞こえてきそうだ。しかし必ずしもそうではない。本人がしっかりしてれば、遊んで暮らすことと、立派に生きる事とは両立させられると思う。

  なぜ、私がいきなりこんな事を書くかといえば、連休の終わりになって決まって流されるUターンラッシュのニュースを見ながら、二、三日前に読んだある新聞記事を思い出したからだ。

  日経新聞の5月3日か4日の記事だったと思う。足立則夫という特別編集委員が「不機嫌な人」という随想で、次のような事を書いていた。

 ・・・雨の日、東京のビジネス街でタクシーに乗ったら、人のよさそうな個人タクシーの老ドライバーが嘆いた。「機嫌の悪いお客が多くて、いやになります」・・・
  
  足立編集委員の乗る前に、そのタクシーに若いビジネスマンの客が乗ったという。そしてその若者の態度について、その老ドライバーがこう話したという。

  「よく雨が降りますね」と声をかけても沈黙したまま。疲れているのかな、と思い、料金を受け取る時に「ありがとうございました。お仕事がんばってください」と言ってみた。返ってきたのは、「るっせーな」という捨てぜりふだったそうな。

  そして、足立編集委員は、ビジネス街を歩いても、不機嫌そうな男女が増えているような気がする、と次のように書いていた。

 ・・・現代人を不機嫌にするのは何なのか。社会の変化の波を今、もっとも強く受けるのは、職場・・・成果主義の弊害や、職場の同僚が面と向かって会話せず、電子メールによってやり取りする現象などによって、ギスギスした職場が増えている・・・

  私はこの分析が正しいかどうかわからない。

  しかし、数年前に突然外務省から辞職を言い渡され、不本意ながら職場に行く必要がなくなった私が、強がりをこめて思うのは、職場を離れて暮らす生活を始めてから人間性を回復したという事である。

  振り返ってみれば、私もまた外務官僚の頃は、すぐに不機嫌になる欠陥人間であった。その性格は今も変わらないとは思うが、それでも性格はおだやかになった気がする。

  今では私も世間並みの定年年齢を過ぎた。もう働かなくても許してもらえる年齢だ。かつては重い気分でUターンラッシュを経験していた私も、今では人事のようにそのニュースを眺める身分になった。

  そして思う。豊かな社会とは何か。それは若者が職場で人間性を失う事のない社会であり、十分に働いてきた年金生活者が安心して残りの人生を送れるような社会、これだと思う。

  何でもかんでも政治が悪いというつもりはない。しかし小泉改革以降の政治は、間違いなく不機嫌な国民を作り出していると思う。

  不機嫌な人たちは、タクシードライバーに八つ当たりをするのではなく、その怒りを連休明けに始まる貧困な今の政治と政治家にぶつけなければならない。

  

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