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2008年03月29日

イスラエルに急接近する中国


  イスラエルに急接近する中国


  読売新聞が連載している「中国疾走」の29日の記事のなかに、注目すべき記述を見つけた。イスラエルに急接近する中国の姿が、そこに描かれている。

  このところ中国のイスラエルからの武器購入が増えているという。いまや中国はイスラエルにとってロシアについで第二の武器輸出国であるという。

 そして、その狙いは、イスラエルを通じて米国のハイテク兵器の技術力を獲得することにあるという。

 イスラエルにとっても「中国の巨大な市場は大きな魅力」だ。北京五輪で、競技場や選手村の出入り口を管理する警備システムを受注したのも、イスラエル企業であるという。

 ついに中国は、イスラエルをして、「中国は中東和平の支援役」であり、「家族主義で教育熱心など、我々と価値観が似ている。欧米人とのビジネスよりやりやすい」とまで、言わしめるようになった。

 イスラエルと中国はまた、異民族弾圧でも共通している。イスラエルのパレスチナ弾圧に口を挟まないかわりに、中国のチベット弾圧には口を挟ませない、という了解がある。

 中国はまた、ユダヤロビーの米国に対する影響力を知っている。イスラエルへの急接近を通じて、米国の対中政策をコントロールしようとしている。

 その一方で、中国はまたイスラエルの仇敵であるイランとの関係も強化している。世界がイランへの経済制裁を強化する中で、中国はイランとの関係を強化している。テヘラン市営地下鉄建設に協力し、イランの石油、天然ガス利権を次つぎと手にし始めた。

 そして、イランをして、「よき友である中国の協力に感謝する」とまで言わしめている。

 見事な全方位外交だ。私はそのような中国の外交に決して好感は持たない。しかしこれこそが国益を最優先した現実主義の外交なのだ。

 かつて私が中東・アフリカ局の課長であった時、当時の外務省の幹部は、安倍晋太郎外相(当時)のために、「創造的外交」なるキャッチフレーズをでっち上げた。イラン、イラク戦争の最中に、どちらにもパイプを持った等距離外交であると喧伝した。イランと米国の関係が途絶えている中で、米国とイランのパイプ役を自認した。

 しかし、その実態は、日本食や果物などを手土産に、イランとイラクを訪問するだけのパフォーマンス外交でしかなかった。

 その外務省は、いまや対米従属外交に終始し、親イスラエル政策に一方的に傾斜してしまっている。身動きが取れないでいる。

 中東外交においても、日本外交は中国外交に圧倒されてしまっている。それを見事に示してくれた読売新聞の記事であった。

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