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2008年03月01日

中国ギョーザ問題の混迷と日本外交の不在

  中国ギョーザ問題の混迷と日本外交の不在

  2月28日に中国公安局省が突然の内外記者会見を開き、中国混入説を一方的に否定した。いたずらに中国を敵視、嫌悪する連中でなくとも、この中国側の強硬な態度には不快感を持たざるを得ないだろう。私もその一人だ。1日の各紙社説もいっせいにこの事を取り上げている。

  しかし、中国の態度を非難したところで、この問題の解決には何の役にも立たない。なぜか。それはギョーザ問題をめぐる日中の対応そのものが、国益を賭けた壮絶な外交ゲームであるからだ。

  中国の傲慢な態度を非難するのもいい。しかしそれよりも重要な事は、この問題の解決に向けて主導権をとれなかった日本外交の不在こそ問題にされるべきなのだ。

  考えてみるがいい。この問題は、事件発生の時点で、極めて深刻な日中間の外交問題となることは明らかであった。

  日本側にとっては国民の食の安全という譲れない問題だ。その一方で日本の食材の多くが中国産に依存し、中国食品なしでは日本の食品業界が成り立たなくなっているという現実がある。中国からの食材をストップすればいいという話ではない。

  中国側には、国際的大国の地位を獲得しよう懸命になっている時に、食品衛生面において、ずさん、危険な国、と非難される事は、何があっても避けなければならない、という絶対的な事情がある。

  おまけに日中双方には過去の歴史に関する感情的な対立が常に潜在的にある。

  だからこの問題は、事件発生の時点において、双方の利害に配慮した両国最高首脳間における高度の外交的決着が不可欠であったのだ。またそうしなければならなかった。

  つまり、真相究明を追及するあまりお互いの非を責め合う袋小路に入る愚を避け、むしろ、食の安全を保障する日中協力を再確認し、今後両国政府間の協力で二度とこのような問題を起こさない事で一致した、という形で、迅速、かつ前向きで力強い終結を図る外交努力をすべきであったのだ。

  それは決してごまかしではない。日中双方の立場を傷つける事無く、さらにまた食の不安を取り除く未来志向の解決である。更なる日中経済協力を進める、まさに外交力による危機管理なのである。

  なぜそのような外交を福田首相に進言できなかったのか。外務官僚の対応から見えるのは、日中関係を悪化させてはいけないという単純で保身的な配慮であり、面倒な仕事は厚生労働省や警察庁などの縦割り行政に任せればいいという指導力のなさであり、自らは外務次官を中国に派遣して、よくやっている、というジェスチャー外交、アリバイ作り外交に終始した。それしか知恵が働かないのだ。

  象徴的なのは中国側の発表に対する日本側の反応である。吉村警視庁長官は、「看過できない正確でない部分がある」と頬を紅潮させながら反論し、泉国家公安委員長は、「中国側からの情報提供、分析結果の提供がないなかで、突然会見し、考え方を公にすることは問題解決にならない」と批判した。

 しかし、その同じ日に、福田首相は「非常に前向きですね。中国も原因をしっかりと調査し、その責任をはっきりさせたいという気持ちは十分にもっている」と、中国側の発表をむしろ評価している(29日毎日)。驚くべき政治力のなさだ。外務官僚の上にのっかかっただけの事なかれ発言だ。

  そういえば日中ガス田協議もそうである。この問題が官僚の間の協議などでは決して解決しない問題である事は明らかなのに、外務次官が飛んで行って会議を重ねている振りをする。中国側が譲歩する事はありえないのに、協議は進んでいるかのような印象をメディアに与える。すべてはアリバイづくりである。

  因みに藪中外務次官はアリバイづくりの名人である。かつて、アジア局長時代に拉致問題で訪朝した時、北朝鮮の代表と面談出来ない時があった。このまま手ぶらで帰っては非難されると思った彼は、すれ違いざまに北朝鮮の代表の腕をつかみ一言、二言、しゃべるというアリバイをつくった。これを称して面談してきたと吹聴した。そういう報道が当時流された。

  アリバイづくりに奔走する外交では日本の国益は守れない。国家をあげて国益に邁進する中国とは最初から勝負にならないのである。


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