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2008年02月06日

  誰も言わない事を言う勇気

  誰も言わない事を言う勇気

  面白い記事を見つけた。2月4日の朝日新聞「私の視点」で民・民の天下りを廃止せよ、と主張している人がいた。神鋼電機会長の佐伯弘文という経営者である。
  面白いのはその当人が8年前に親会社神戸製鋼の役員から子会社の神鋼電機に天下った人であるということだ。その当人が民・民の天下りはやめろと言っているのである。「お前に言われたくない」という声が聞こえてきそうだ。そんな批判を承知の上で佐伯氏は言っているに違いない。
  その論旨は明快である。官から民への天下りの弊害は十分に言われてきたが、親会社から子会社への「民から民への天下り」の是非についてはまともな議論を聞いた事がない。しかし、ほとんどの民間企業で共通するこの天下りも、大きな弊害があると、次のように言うのだ。

 「・・・ (子会社に天下りする)当人は行く先の業界も現場も殆ど知らない。適切なリーダーシップなど取れるわけがない。子会社の従業員もトップや幹部は親会社から来る者と思い込みやる気を失っている。天下った当人に意欲があっても人事の都合で次が来る。天下り組は「老後の安住の場」と考えがちだ。そんな経営陣の言動が社員の情熱や愛社精神を失わせる・・・欧米諸国ではこうした天下りはあまり見かけない。株主はじめ利害関係者の目が厳しく、安直な人事は認められないからだという。残念ながら日本の株主総会で、天下り人事が議論されたという話は聞いた事がない。日本の企業社会は甘すぎるのである・・・自分の代で天下りは終えようと決め親会社と交渉した。改革も徹底した。幹部を内部から登用した。人は育てるものだ。彼らの目つきが変わったのを感じる・・・親子を対等の立場におき、子会社が真にやる気を起こす風土をつくること。日本中の子会社が活性化すれば日本経済が強くなるに違いない・・・」

 私は官から民への天下りほど、民・民天下りを悪く言うつもりはない。官僚の天下りのように税金の浪費や官業癒着の弊害はないからだ。民間企業の人事は民間企業の収益の範囲で自己責任で行われるものであるからだ。
 佐伯氏の「民・民天下り廃止」の提言に関して私が付け加えるとすれば、人間はある年齢に達したら現役を退いて若者に活躍の機会を譲るべきだという事である。
 どのように能力のある人であっても余人をもって代えがたい人はまれである。いや、人はたとえ能力があっても、一定の年齢になったら後進に道を譲らねばならない。若者を育てる意識を持たなくてはいけない。すべての肩書きを捨て、過去の権力を捨て、自分に正直になって、今までの人生でできなかった言動を自由に行う、公共善の実現に貢献する、そういう時期を人生の最後には持たなくてはいけないのではないか。若者を生かす人間が多いか、少ないかで、国の将来が決まると私は思っている。
 再び佐伯氏に戻ろう。私は佐伯氏とはもちろん一面識もない。彼の人となりも何も知らない。しかし彼は人の言わないことを言う人に違いない。それは日本の社会では勇気のいる事だ。その一点で私は佐伯氏を評価する。

 
 

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2008年02月06日

もうとまらない政界再編の動き

  もうとまらない政界再編の動き

  政治がまったく機能していない。なぜか。それは自民党と民主党の主要な政治家たちが、さまざまな思惑から、政権交代に向けての正面衝突のリスクを避け、政権側に身を置くための最善の生き残りに奔走し始めたからだ。その結果国民生活は置いてきぼりである。
  思っても見るが良い。参院選後の半年あまりの間、我々の生活にプラスになることが一つでも政治から生まれたことがあったか。薬害訴訟の和解であるとか、いくつかの良いことはあっただろう。しかしそれらは「解決して当たり前」、「放置されてきた悪が正されたに過ぎない」、という意味で、まったく後ろ向きな成果に過ぎない。年金にしても医療・介護にしても景気回復、格差是正にしても、国民が渇望している前向きの政策はまったく進んでいないのだ。その間にも日本が劣化し、国民の暮らしが追いつめられていく。
 振り返れば昨年夏の参院選直後は、これでやっと政治の何かが変わる、という期待を国民に抱かせた。ねじれ国会が自公政権の横暴を止め、安倍退陣劇は自民党の破綻を国民に見せつけた。テロ法問題やガソリン減税をめぐる福田自民党と小沢自民党の攻防は、やがてそれが解散・総選挙につながり、政権交代の実現の有無について、やっと選挙で白黒がつけられるのではないかと誰もが期待た。
  ところがどうだろう。いつのまにかすべてがウヤムヤに終わり、あたりまえのように解散・総選挙が遠のいた。いまや政治家たちは大連立、政権再編、新党結成の動きに公然と走り、雑誌や新聞もその事を書き始めた。おそらくこの流れは加速する事はあっても止まる事はないだろう。
  そのような様々な動きの中で、私が特に注目したのが、月刊現代3月号に出ている橋本大二郎と江田憲司の対談である。橋本大二郎は橋本龍太郎元首相の弟であり、江田憲司は通産官僚から橋本元総理の秘書官をへて国会議員になった男だ。その二人を講談社が引き合わせただけかもしれない。
  しかし、たとえそのような営業目的の対談であったとしても、その中で吐露されている二人の言葉は極めて意味深長だ。明らかにメッセージを送っている。
  二人とも、自民、民主の両党を否定し、もはや新党を立ち上げるしかない、しかし新党を立ち上げる事は容易ではない、誰か流れを作ってくれればそれに乗りたい、と誘いをかけているのだ。
  その中で橋本は、民主党を支えているのは連合であり、その連合を支えているのは自治労である。自治労がいかに知事としての自分の仕事に足かせになったか、と真っ向から自治労を批判している。これは民主党に対する痛烈な否定である。
  一方の江田は、次の総選挙の後では自民党も民主党も存在するのかどうかもわからないのに、誰一人として党を出て一緒にやろうとういう政治家はいない、と今の政治家を全否定している。
  それでいて二人は、「無所属ができることは新党を立ち上げるか、政界再編の中で触媒や接着力の役割を果たすしかないが、私には新党を立ち上げる資金力はない」(橋本)と言い、「政界に新風を吹き込む大きなチャンスです。是非御一緒させてください」(江田)と橋本にエールを送る。
  おそらくこの対談を、政界再編に走り出した政治家の多くが注目して読んでいるに違いない。平沼新党や東国原知事らの「せんたく」の動きなどと絡んで動き出すに違いない。
  それにしても、大連立と言い、政界再編といい、動き出している政治家はみな保守、日米同盟重視の政治家ばかりだ。護憲政党の中から、対抗する新たなリベラル政党の動きがまったく見えてこない。ここに日本の政治の深刻な限界がある。

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