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2008年01月23日

  ひきこもり

  ひきこもり

  私が官僚で一生を終わっていたならば、おそらくこのような記事を注意して読むような事はなかっただろうと思う。弱者の気持ちに気づかないままの人間であり続けたに違いない。いや今も何も変わっていないのかもしれない。現役を退いた人間のひまつぶしから目にとまっただけかもしれない。
  そんなことはどうでもいい。22日の東京新聞で読んだ次の記事に心が動かされた。ただそれだけである。
  福島保護観察所長である青木信人という人が、「こどもと大人のあいだ」というコラムで、もうすぐ40歳になるひとりの青年が、病院関係者や福祉職員など、多くの人々の支援で、「ひきこもり」から自立して新しいスタートを切ることになった事を祝していた。自らも「ひきこもり」になった経験のある人ならではの悲しくも暖かい文章であると私は感じた。ひきこもりになった人間を単に弱者と切り捨てては行けない、それは社会全体で向かい合っていく問題であると筆者はいいたいのであると私は読んだ。

 ・・・(受験失敗を契機に自宅から一歩も外に出ることができなくなった当時の自分は)いつまでもこの状態が続くだろうという不思議に安定した感覚に浸るようになった。社会を敵に回しても、親だけは自分を見捨てないだろうという甘えが全身を満たした。時間感覚の喪失の中で、私は社会に向けて自立する意欲を失っていった。
   ひきこもりを続ける若者たちの多くも、同じような感覚に陥ってしまっているのではないか。そして、その親たちも、子供が何歳になろうが、変わることのない親子関係の中で、時間感覚を見失ってしまうのだろう。
  しかし、当然のことだが、誰にも平等に時間は進む。十代の少年もやがて大人になる。働き盛りだった親たちも、必ず老いる。老いれば、子供を経済的にも精神的にも支えることができなくなってしまう。そうして訪れる絶望的な状況の中で、親殺し、子殺しといった惨事が時に発生する。氷山の一角にすぎないそうした惨事の陰には、抜け道のない絶望を抱えた無数の親子が存在していることを、私たちは再認識すべきだと思う。

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2008年01月23日

欧米から悪者扱いされる日本の調査捕鯨

  欧米から悪役扱いされる日本の調査捕鯨

  読者の皆さんにはあまり興味ないかもしれないが、私が外務省にいたときに個人的にかかわった仕事であったので少し書いてみた。
  19日の朝日新聞の「ニュースがわからん!」は国会議員の「文書通信滞在交通費」についてであった。23日のそれは「調査捕鯨船が抗議受けてるけど?」という記事だ。
  先日、豪州についで英国の反捕鯨活動家が日本の捕鯨船に乗り込んで抗議活動を行うという事件が起きた。この事について、「どっちが悪いの?」という質問に、次のように答えている。

 ・・・制止を阻止して乗り込んできた活動家の身柄を拘束するのは当然といえば当然。しかし欧米主要国に多い反捕鯨派の反撥を受けて欧米では日本は悪役扱いされている。
 国際捕鯨委員会(IWC)加盟78カ国のうち捕鯨支持は36カ国、反対派は42カ国とほぼ二分状態・・・87年以降販売目的の漁業としての商業捕鯨は一時停止したが調査捕鯨は認められている。しかし日本はどこの国にも属さない南極海で調査捕鯨を続けていることもあり批判は強い・・・商業捕鯨停止から20年が過ぎて日本国内の消費は細る反面、調査捕鯨による捕獲量は当初の4倍に増えた・・・  調査費用54億円の1割は国の補助金で、9割は鯨肉の販売収入だ。鯨肉を売るため、水産庁は新会社の設立を後押しして、学校給食などでの消費拡大に必死なんだ・・・(商業捕鯨が再開される見込みは)歩み寄りは望めない・・・

 どうだろう。これを読んでも捕鯨反対派と賛成派のどっちが正しいかさっぱりわからない。
 実は私は95年―97年に、豪州の日本大使館に勤務していた。その時政府代表の一人としてIWCの会議に参加したことがある。とはいっても主導権は日本の水産庁にあるので外務省はその方針に従うだけだ。水産庁は今も昔も徹底して商業捕鯨推進派である。
 推進派と反対派に対立は、もはや単に経済論、科学論にとどまらず、政治的、文化的、宗教的問題が絡んだ根強い対立になっている。たとえば鯨を絶滅の危険から救うために乱獲するなという立場と、鯨が増えすぎて海洋資源を食い荒らすから除去すべきという正反対の立場があり、鯨は高等動物であり殺して食するのは野蛮だという立場と、それでは牛や豚はどうか、豪州に至っては国のシンボルであるカンガルーまで食っているではないか、などという食文化的、感情的、対立までに発展している。
 さすがの私もこの問題については判断しかねる。今回の英国、豪州の抗議行動はとても容認できない。さりとて何故ここまで日本の国際的イメージを傷つけてまで捕鯨に固執するのかという気もする。朝日が書いているように、鯨肉の消費が細る一方で漁獲量が4倍にも増える理由はどこにあるのだろう。反捕鯨国は米・英・豪・独・仏など欧米主要国だ。欧米主要国のすべてを敵に回してここまで頑張る外交テーマがかつてあっただろうか。
  実は日本の捕鯨の最大の弱点は、調査捕鯨であると称して商業捕鯨を行っているという事実である。この事は外務省条約課長自身がこれを認めている。条約違反を続けなければならないほど捕鯨は国益なのか。朝日の記事は一言も教えてくれない。

 

 

 

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2008年01月23日

政治家の最大の責任は税金の適正な国民還元である

政治家の最大の責任は税金の適正な国民還元である

  胸に手を当てて冷静に考えてみるといい。昨今の大きな政治問題は、すべてといっていいほど金(カネ)にまつわる話だ。ガソリン減税はもとより、アフガン給油、年金、薬害訴訟、ナントカ還元水に象徴される政治家の使途不明金、一向に進まない天下り規制・行政改革、防衛装備調達疑惑、などなど、すべて政府予算をどう使うか、どう配分するか、という話である。
  そしてそのカネのほとんどが、一般税であれ、目的税であれ、社会・医療保険であれ、国民から徴収したものである。国民の所得を国が吸い上げる仕組みは、官僚が縦割り行政で考え出す、おそろしく複雑、巧妙なものだ。国民はその殆どを何も知らない。ウムを言わさず政府からまきあげられている。だからこそ国民は、そのカネが適正に使われているのか、政府・官僚によって無駄遣いされていないか、国民の間に公平に配分・還元されているのか、などについて、厳しく監視し、注文をつける権利があるのだ。
  しかし一般の国民にはそれはできない。だからこそ政治家を選び、その政治家に国会の予算・決算審議で追及を任せるのだ。すなわち政治家の最大の責任は、税金を適正・公平に国民へ還元する事なのである。
  残念ながら現実にはそれが十分になされていない。それは国会の審議が形骸化している事がある。自民党永久政権の下で、政府・官僚が国会審議による野党の追及を相手にしてこなかった事がある。しかし何よりも、政治家の中で、自らの生活より国民の生活を優先すると本気で考えている者がいない、と言う事ではないのか。
  22日の朝日新聞は「ニュースがわからん!」というコラムで、国会議員に支給される「文書通信交通滞在費」というものに焦点をあてた記事を見つけた。これを読んだ国会議員はさぞかし慌てた事だろう。最も触れられたくない事を書かれたからだ。
  国会議員には給与(歳費)として毎月130万円ほど支給される。それに加えて期末手当を月額に換算すれば約53万円というから、国会議員は、仕事をしても、しなくても、老人も若者も、どんな国会議員でも等しく毎月180万円以上の給与を受け取っていることになる。
  勿論これは給与に限ってである。政党各党には税金から政府助成金が支払われ、これが国会議員に政治活動費として配られる。そのほかにも国会議員には住居費や移動費に大きな優遇、特権が与えられている事は、すでに散々マスコミで報道されている通りである。
  ところが、これらに加えて、毎月100万円もの「文書通信交通滞在費」が給付されている。これは「公認」された使途不明金である。
  もちろんこれはその名の通り、建前では、政治活動に要する文書費、通信費、滞在費、交通費に使われるために支給されるものである。交通費や滞在費について既に特権が与えられているのに、それに加えて何故交通費、滞在費が二重に支払われるのか、という素朴な疑問はここでは置いておく。
  問題はこの「文書通信交通滞在費」が、議員本人に毎月直接支払われ、一切の領収書が要らない「第二」の給与であるということだ。つまり国会議員は毎月300万円近くの給与を受け取っていることになる。
 朝日新聞の記事が書いているとおり、年1200万円の「渡しきり」のカネは、民間企業でも常識はずれであり、「不明朗で不正の温床」(山田真哉公認会計士)との指摘が出ている。
 折からサブプライムローン問題で国中が更なる富の喪失に見舞われている。年金積み立て金が政府の運用で数十兆円失われたと言われる。個人と言えば、ゼロ金利と年金制度の変更で、嫌でも株式投資を迫られてきた。そしてその株で損をさせられているのだ。格差社会で「カネも将来もないから殺した」という犯罪が後を絶たない。自殺者は高止まりだ。
  国民生活のこの現実を見るとき、国会議員は率先して取り過ぎている給与の一部を返上すべきと考えないのだろうか。議員年金特権を返上すべきと考えないのだろうか。
  ところが、与党はもとより国民の政党を標榜している野党の政治家も、誰一人「文書通信交通滞在費」の不明朗さについて改めようとしない。ここに政治家の正体を見る思いがする。

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