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2007年11月15日

パレスチナの悲しい風景が目に浮かぶ

パレスチナの悲しい風景が目に浮かぶ

 久しぶりに良質の記事を読んだ。乾いたほこりと銃口と、紺碧の空と、地中海の風にそよぐオリーブの木々と、そして悲しみと憎しみに満ちた漆黒の瞳が、私のまぶたに浮かぶ。レバノンから離れて4年がたった今も当時の記憶が鮮やかによみがえって来る。
 11月14日の朝日新聞外交面に掲載されていた川上泰徳特派員のイスラエルからの「特派員メモ」からの抜粋である。その文章を一人でも多くのブログの読者に読んでもらいたいと思う。許可なく転載する事をお許し願いたい。

・・・「ドアが開いたら、前に進みなさい」「中央に立ち、両手を挙げなさい」・・・ガザからイスラエルに戻る際、エズレ検問所で身体検査を受ける・・・イスラエル人係官は前方2階の窓からスピーカーでパレスチナ人に指示する・・・装置の前で5、6人が順番を待つ。私の後ろに赤ん坊を抱いた若い母親。私の番になり、順番を母親に譲った。
  母親が中に入った。係官がマイクで怒鳴る。子供を離せという。ドアが開き、母親が赤ん坊を差し出した。赤ん坊を受けとると、とたんに火がついたように泣き出した。よし、よしと、足を突っ張る赤ん坊をあやした。
  母親の身体検査は手間取った。係官の鋭い声で、長い衣のポケットに入っていた紙くずを出したり、立ち位置を変え(させられている)。やっと終わった。ドアが開いた。
  母親は赤ん坊を受けとる時、私が外国人だと初めて気が付いたように目を見開いた。赤ん坊は泣き止んで私を見た。目が母親とそっくりだった。
  不愉快な検問所にいるのを忘れるような温かな重さが腕の中に残った・・・

  このような光景は毎日繰り返されているに違いない。そして川上特派員が感じたこのつかの間の平和の前にも、後にも、果てしのない弾圧と反抗の流血が続いている。あの時も、今も、パレスチナは世界から見捨てられたままである。耐えられない悲しさだ。

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