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2007年09月02日

豊下楢彦という国際政治学者ーその2-

豊下楢彦という国際政治学者―その2-

  8月31日のブログで、私は豊下楢彦という国際政治学者の事を書いた。その時、私は彼の事を、「国際政治学者として一般的にどのような評価を受けているか知らない」という突き放した紹介の仕方をした。それはその通りである。学者の世界の評価がどのようにして定まるのか私は知らない。
  しかし、学者、とくに社会学者の評価というものが、時流におもねったり、権力に追従して嘘を巧みに真実に見せかける作業にうつつを抜かすことではなく、真実に迫る努力をどこまで誠実に積み重ねているかということによって判断されるとすれば、私の豊下に対する評価は極めて高い。最も高いと言っていい。
  それよりもなによりも、彼はいつも私の考えを正確に代弁してくれている。人が人を評価する時は、結局はその考えにどこまで共鳴できるかと言う事であろう。私が豊下を評価するゆえんである。
  その豊下の言葉を9月2日の朝日新聞「耕論」に見つけた。「テロ特措法延長反対」を論ずる豊下は、次のように述べている。そっくり私の言葉にしたいと思うほどである。

「・・・テロ特措法を延長すべきかどうか。この議論を進める前に、そもそも『テロとの戦い』とは何なのか、問い直す必要があろう・・・仮にアフガニスタンが『テロとの戦い』の主戦場であると言うのなら、なぜ日本政府は、ビンラディンの影響力を根絶しないまま始められたイラク戦争を支持したのか・・・タリバーンの復活はパキスタンを拠点にしているとも言われる。それならばなぜ、『パキスタン問題』に正面から取り組んでこなかったのであろうか。核も、ミサイルもあり、テロリストが跋扈しているパキスタンの方が、かつてのフセインのイラクより、はるかに『脅威』なのではないか・・・『核の闇市場の問題』を放置したまま、なぜ日本政府はパキスタンの核保有を認知したのであろうか。
  『テロとの戦い』が叫ばれているが、では、その戦いに『勝つ』とはどういうことになるのか。具体的な展望は何一つ示されていない・・・軍事力だけでは勝てない事は、歴史的にみても明らかだ。だからこそ、安保理決議に基づいた国際治安支援部隊(ISAF)の参加国からも、戦争の意味自体について疑問が噴出しているのだ。
  米国のように、今なお『文明と野蛮の戦い』のようなとらえ方をしていれば、泥沼にはまり込むだけだ・・・テロ特措法が延長されなければ、日米関係が危機に陥ると見る人もいよう。しかし、これは日本にとってはチャンスでもある。日本外交の進路を、日米安保を最優先するか、安保理決議を重視するか、という二者択一に絞ることは不毛だ。
  日本自身が、日米関係の歴史を踏まえつつ、独自の建設的な外交戦略をもつことだ・・・今回の問題を、日本がどういう戦略を持つか、自分の頭で考えるチャンスだ、ととらえたい。

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2007年09月02日

護憲を叫ぶ左翼政党の課題

護憲を叫ぶ左翼政党の課題

 9月2日の毎日新聞「発言席」に大和総研チーフエコノミストの原田泰が政治批評を書いていた。新自由主義者と思える彼の考え方のすべてにかならずしも同意するものではないが、皮肉混じりに書いている原田の指摘を苦笑しながら納得して読んだ。
 たとえば「・・・金(財源)のないばらまき路線(小沢民主党)と、言葉ばかりの改革路線(小泉郵政改革)では大きな違いになりようがない・・・」とか、「・・・自民党は、建設会社、農協・・・などにカネを配り、それらの団体を集票マシンにして政権を維持してきたが・・・人々に直接ばらまき、その効果をアピールした(民主党)のほうが安上がりだ・・・」とか、更にまた「・・・官僚が、組織へのばらまきを推奨するのは当然だ。人々に直接配ったのでは天下り先が作れない・・・」と言った指摘はその通りだ。
 しかし私がこのブログで強調したいのは、原田の次の指摘だ。括弧の箇所は、いつものとおり私の補足解説である。
 「・・・(今度の選挙を見る限り護憲派も、改憲を唱える改革派も、国民の支持を得られなかった、と指摘した上で)
    従来は自民党と社会党の対立だった。社会党は日米同盟と資本主義に反対だから自民党でないと困る、と多くの(日本)人々は真剣に考えていた・・・(しかし今の自民、民主はどちらもそれを認めている。だから)どちらに投票しても大した違いはない(と国民は安心している。その結果)政治家の失言問題のような小さな事が政局になるのだ・・・」

  左翼政党はこの言葉を真剣に受けとめ、これからの戦略を考えるべきだ。どういう戦略をとるべきか。それが今日のブログである。

  原田は護憲と日米同盟反対を表裏一体としてとらえている。それが一般的な受けとめ方であろう。そして護憲も日米同盟反対も、日本では少数派だと原田は当然視している。確かに少なくとも今日まではそうだ。
  しかし、そのような国民の意識を変え、平和な日本を実現したいと、護憲政党が本気で考えているのなら、この二つを政策課題として分離し、戦略を見なおす努力をしなければならない。今までのように護憲や平和を叫ぶ事に終始するのではなく、日米軍事同盟の矛盾を国民に分からせる努力にシフトし、全力をかけてその作業に取り組まなければならないのだ。
  それは決して容易なことではない。しかしそれしかないと覚悟すべきなのだ。その為に勉強を重ね、人材を集めなければならないのだ。
  今度の参院選の自公敗北で改憲の動きは遠のいた。憲法解釈見直しの提言は事実上棚上げされる見通しであり(9月2日日経新聞)、衆参両院の憲法審査会は宙に浮いたままだ(9月2日読売)。安倍政権がこけたら改憲は当分の間話題にも上らないであろう。そんな政治状況の中で改憲反対、国民投票法粉砕を繰り返していては、ますます国民は離れていく。
  その一方で、平和国家日本を破壊する日米軍事同盟の深化が驚くほどのスピードで静かに進んでいる。佐藤正久の「駆けつけ警護」発言が放置され、戦車が公道を走り、迎撃ミサイルが公園に配備される時代になった。テロ特措法に基づいたアフガン支援の自衛隊補給艦がイラク戦争に参加している実態が米軍機関紙で明るみになった(9月1日赤旗)。「攻撃型空母の保有は許されない」とする88年の政府見解を平然と無視して、史上最大のヘリ空母「ひゅうが」が8月23日に進水した(8月24日各紙)。「ひゅうが」とは旧海軍戦艦の名前の復活なのだ。米軍再編への協力は国民を無視してどんどんと進められている。米軍の司令官が大量に日本に移り住みはじめた。米軍のグアム基地強化に支払われる莫大な予算というアメをちらつかせ、日本企業を取り込む受注説明会が開かれている。すべては「かけがえのない日米同盟」の所産なのだ。
   日米軍事同盟強化の流れを止めることは、改憲阻止を叫ぶよりもはるかに難しい。それは抽象的に平和を唱えたり、憲法9条の素晴らしさを繰り返す事とは違う。国際情勢を的確に把握し、戦争国家米国の外交の間違いを直視し、そしてそのような米国との同盟関係が、変化する国際政治の中でもはや時代遅れであり、わが国の国益に反する事であるということを、国民に理解させなければならない。しかしその難しい事を政治の場で行う事こそ、これからの護憲政党に求められている事なのである。
  そして今その千載一遇のチャンスが来ているのだ。「終わりのない戦争」に突入して自滅する米国と、その米国との軍事協力を進めて国力を疲弊させる政府の矛盾が、これからドンドンと明らかになってくる。さすがの国民も、その不合理に気づく時が早晩訪れる。
  それを見越してか、小沢民主党はテロ特措法延長反対に固執し解散総選挙を仕掛けるかのごとくだ。小沢民主党がどこまで本気かはわからない。しかしそのような小沢民主党の真意がどこにあろうとも、今こそ護憲政党は、日米軍事同盟の矛盾をついて安倍自公政権を解散・総選挙に追い込む動きを見せる時である。護憲政党は、政治家のカネや失言問題などではなく、安全保障問題で堂々と自公政権を解散・総選挙に追い込む覚悟をすべきだ。この問題でこそ小沢民主党と共闘をすべきなのである。

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