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2007年04月15日

タミフルの危険性を黙殺した厚労官僚

タミフルの危険性を黙殺した厚労官僚

 4月14日のブログで私は年金官僚の不正に関する週刊現代の告発記事を紹介した。今回はタミフル薬禍に関するやはり週刊誌の告発記事だ。4月20日号の週刊ポストの記事は必読の記事である。

 4月4日、厚労省はタミフル服用の副作用による「異常行動」が過去128人起きていた事を公表した。今年になって厚労省は前言をひるがえし長年否定して来たタミフルと異常行動の因果関係をめた。さらに3月20日には10代の患者にタミフル使用制限を打ち出した。そして今回の「異常行動」の公表である。

 国民の生命に関わる薬禍であると言うのに、政府はなぜかくも遅く、断片的な対応しか出来ないのか。これは国民の素朴な疑問であり、怒りの気持ちであろう。

 しかし4月20日の週刊ポストの記事は、タミフル問題をこれで終わりにしてはいけない事を我々に教えている。

 「薬害タミフル脳症被害者の会」代表である軒端晴彦氏は、17歳で長男を失った(タミフル服用後に交通事故で亡くしている)人であるが、その軒端晴彦氏は「家族は近所に知られたくないという理由から報告しないケースもあり、異常行動者はまだまだいると予想しています。行政はこうした事態が発覚して大問題になることをおそれ意図的に隠した疑いすらある」と週刊ポストに話している。

 さらに週刊ポストは厚労省が製薬会社や医療関係者から危険性の報告を受けていたにもかかわらず精査してこなかった疑惑を、関係者のつぎのような発言を引用して提起する。

販売以来、副作用の報告は、重症度に合わせて『15日報告』や『30日報告』で厚労省に上げています」(中外製薬広報部)。

私は05年11月に日本小児科学会で(タミフルの副作用症例を)発表し、対策を講じるよう要望しました。ところが国の研究班は同じ時期に『インフルエンザ脳症ガイド』を作成し、タミフルの危険性には一切触れなかった・・・(このままでは医療現場が混乱すると危惧したので)私はタミフルと異常行動の因果関係を示す意見書を当時の川崎二郎厚労相に加え、同省の健康局長や医療食品局長、結核感染症課長らのエリート官僚に送りましたが・・・ことごとく幹部医師に黙殺された・・・(医療ビジランスセンターの浜六郎医師)。

何故黙殺され続けたのか。「厚労省は既に国策としてタミフルの備蓄を進めており、危険があるために販売禁止となれば責任問題になる。政策の間違いを認めたくなかった」と週刊ポストは厚労省関係者の言葉として紹介している。更にまたその厚労省関係者は、「研究班の医師や関係学会の医師は、中外製薬から寄付金をもらっていた可能性があるので、議論したくなかったのでしょう」と話している。実際のところ、厚労省のインフルエンザ研究班に名を連ねる医師である横田俊平横浜市立大学教授や森島恒雄・岡山大学教授には1000万円、600万円が渡っていたし、06年の調査会に参考人として出席した五十嵐隆・東大教授にも300万円が寄付されていた事が明らかになっている。明らかな「利益相反」である。

タミフル服用と異常行動の因果関係を渋々認める辻哲夫厚労事務次官の記者会見時の表情を、読者は記憶されているであろうか。奇しくも彼は厚労省の審議官時代の04年10月22日に、年金掛け金の「監修料問題」が発覚した時、「顔から火がでるほど恥ずかしい。国民の信頼回復に努めてまいりたい」と弁明した官僚である。心にもない弁解を国民の前に平然と繰り返すことのできる厚かましさを持ちうる者が官僚社会で立身出世するのだ。

このまま行けばタミフル問題もまたやがてメディアから消えさってしまうことだろう。官僚の不作為の責任はまたしても放置される事になる。いつかはその悪循環を断ち切らねばならない。

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2007年04月15日

経済支援は真の平和が達成されてからの話だ

経済支援は真の平和が達成されてからの話だ

 NHK記者を経て「週刊こどもニュース」のキャスターで人気を集めた池上彰という人がフリージャーナリストとなって活躍している。その池上氏が4月20日号の週刊ポストで日本政府の「平和と繁栄の回廊」構想を絶賛している。その要旨は次の通りである。

自爆テロは、マルクスがかつて「プロレタリアートには鎖しか失うものがない」と書いたように、愛する人や財産を失った人、失業に苦しむ若者たちのように、「絶望しか失うものがない」人たちが起こすものである。その解消には「失っては困るもの」をたくさん作り出すことだ。日本には「金持ち喧嘩せず」ということばがあるではないか。

その意味で日本政府が「平和と繁栄の回廊」と名づけた開発援助は素晴らしい。これはパレスチナ自治区(ヨルダン川西岸)を一大農業産地として開発する計画で、イスラエル企業も技術参加してパレスチナ人に職場を与え、生産物や加工品はヨルダンを通じて湾岸諸国に輸出してヨルダンにも利益が落ちる。

この計画を具体化するため外務省は3月14日に麻生外相、ペレス・イスラエル首相、エラカート・PLO交渉局長、カスラウィ・ヨルダン国王特別顧問による「4者協議」を東京で開いた。この機会を利用して中東和平についての取り組みの話し合いも行われた。日本が中東和平にイニシアテブをとろうとしているのだ。

おりしもパレスチナでは対立する二つの派(穏健派のファタハと過激派のハマス)がようやく妥協して連立政権が誕生した。ブッシュ政権はハマスが参加する連立政権にいい顔をしていないが、ここでは日本政府が独自の立場をとった。ヨルダン渓谷に住む人々が「対立すれば自分たちの富が失われる」と考えるようになれば対立や紛争を自分たちで解決しようという意欲や行動も生まれるだろう。武器を輸出したり軍隊を派遣したりするのではなく「繁栄」を輸出する日本の発想を誇らしく思う。

 私が批判するのは権力者の悪だ。だから池上さんのようなフリージャーナリストの評論を糾弾するのは本意ではない。ましてや池上さんはテレビなどから受ける印象では好感の持てる人だ。批判するには忍びない。

 しかしこの解説は到底認めがたい。本気でそう思っているのであればパレスチナ問題の現状がまるで分かっていないということだ。分かっていてこの解説を書いているのであれば、池上さんが日本政府の広報を請け負った御用ジャーナリストに堕してしまったということだ。いずれにしても中東問題に疎い日本人の読者をミスリードすることだけは許されない。

 確かに自爆テロは絶望からくる破壊行為である。しかし繁栄という「失うもの」を与えれば自爆テロがなくなると考えるのは大きな間違いだ。自爆テロに走る者たちの原因は様々である。経済的貧困から自爆テロに走る者もいるだろう。原理主義の狂信に取り付かれて自爆テロに走る者もいる。しかし自爆テロの本質は米国とイスラエルによる不正義とそれをひとごとのように傍観し続ける国際社会に対する「怒り」と「恨み」である。人間をそこまで追い詰める米国とイスラエルの絶対的暴力を国際社会が抑止しない限り、どんな策を講じても自爆テロはなくならない。

 日本の中東和平に関するイニシアティブは決して金をばら撒く事ではない。その前に、公正で長続きするパレスチナの和平を達成しなければならない。経済復興で平和は達成できない。平和があるからこそ経済復興が可能なのだ。これは日本政府の援助政策の基本原則であった。それを政治が捻じ曲げてしまった。金という餌で自己宣伝し、弱者に影響力を与えようとするようになった。

 東京で開かれた「4者協議」について3月28日の朝日新聞「私の視点」に、イスラム政治思想研究所長(英国)アッザム・タミミ氏の次のような寄稿があった。この意見こそ外務省は耳を傾けるべきだ。

「平和と繁栄の回廊」構想に関する4者協議と称する会議は、時間と税金の無駄遣い以外の何物でもない。参加した代表は中東紛争の現実の諸問題にほとんど無関係の人たちだ。イスラエルを代表するとされるペレス副首相、パレスチナ代表のエレカット交渉局長とも、和平交渉が失敗に終わった過去の時代の人たちである。ヨルダンは、域内の関係国では最も影響力が低い国であり、パレスチナの人々に選ばれた政府(ハマス)に最も敵対的である・・・06年1月にパレスチナの人々はハマスに信任を与えた。日本が和平促進のイニシアティブを追求しようとするなら、こうした動きを無視できないはずだ。注ぎ込まれた時間と税金が、民主的な選択をしたパレスチナ人に対する国際社会の制裁を止めるために使われれば、もっと建設的なものになっただろう。日本は米国とイスラエルの友人らに、「占領が続く限り、中東に平和も安定も訪れない」ということを説得したほうがいい。日本政府は、紛争の両当事者を交渉させ、長期的な停戦によって暴力を終結させることが出来る立場にいるのだから・・・

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