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2007年04月02日

閑話休題 盛り上がらない地方選挙と世の中を変える方法

閑話休題
盛り上がらない地方選挙と世の中を変える方法

 都知事選挙が一向に盛り上がらない。なぜか。私に言わせれば既存政党のいずれを選ぶかはもとより、無党派層というわけの分からない票を狙った選挙さえもが、政治に関係なく毎日を賢明に働いている一般市民、国民にとって胡散臭いからだ。

 それに比べ私が提案した「質問主意書」新党に対する読者からの反応の大きさに驚いた。自画自賛するつもりはないが、ひょっとしたら私の考えはあながち的外れではないのかも知れないと思い出した。悪乗りの続きとして、同じようなことを考えている人たちを最近知ったので紹介したい。

 一つはベンジャミン・フルフオード氏である。カナダ人のフリージャーナリストである彼は、外国人であるにもかかわらず(というよりも外国人であるからこそ)、日本の権力構造の闇を精力的に取材、糾弾して、日本は変わらなければならないと警鐘を乱打している人物である。その彼と最近対談する機会があった(財界展望―ZAITEN 4月号)。その中で彼はこう主張していた。すなわち日本を変えるのは簡単だ。自民党の政治家や財界、官僚、ヤクザ、宗教団体など既成勢力の中から、何人かのトップクラスの有志があらわれて、「このままでは日本は米国に滅ぼされてしまう」と立ち上がることだと。

 もちろんこのフルフォード氏の考えは現実的ではない。既存勢力の中に身を置いて、おいしい思いをしている連中が、そのぬるま湯から出て世の為に行動を起こすとは考えられないからだ。しかしこのフルフォード氏の指摘はまさに真理をついている。つまり反体制のイデオロギー政党や、社会の負け組みがいくら政治の場で大声を出し、政治の外で騒いでも、今の日本の権力体制を崩すことは出来ない。既存の護憲政党が弱者のためにいくら正義をかざしても大衆の心を揺さぶることはできない。体制の側から変革の動きが出てこないと世の中を変えられないのだ。もし体制の中枢にいる権力者、支配者の中で、このままでは日本は駄目になる、国民のために本気で日本を変えなければならない、その為には犠牲を払っても良いと考える人たち(それは同じ権力者でも小泉前首相のように、自分のために改革と言う言葉を弄んだ卑しい政治家や、石原のような弱者を頭から無視する傲慢な人間とは対極的な人物である)が、たとえ少数でも各界の指導者の中から出てくるようになると、確かに国民を動かすきっかけになるかもしれない。

 もう一つの考えは、月刊現代5月号に掲載されている内田樹氏の「7%の勇者が日本を救う」という考え方である。「下流志向」(講談社)という著書を出版して日本のモラルの低下を分析した彼は、日本を救う為にすべての国民にモラルの向上を説いてみてもはじまらないという。そして、国民の中で能力とやる気のある一定数の無私の人間が、劣化する日本を食い止める「雪かき仕事」を引き受けることで日本は救われる、その数は人口の7%もあればいいというのである。しかもこの7%の国民は付和雷同するような大衆ではなく、個の確立した、群れない国民達だというのだ。

 この考えの背景にあるのは、自分も含めほとんどの国民は決して聖人でも完全な善人でもない。それどころか嘘もつき小悪を重ねる。そういう欠陥だらけの人間が寄り合って暮らす社会には必ず不都合が積もっていくが、それにまかせて積もらせてしまったら社会はつぶれる。誰かが少々の自己規制と自己犠牲をはらって雪かきをしなくてはならない。全員が立派になる必要はない。人口の7%でいいというのである。

 本来は国民のためにそれを行うべき立場にある政治家や官僚が臆面もなく巨悪を重ねている現状を見ると、この考えは日本をこれ以上悪化させない為の最善の方策ではないかと思う。

 そしてそれを政治の世界につなげていく考え方が、私の言う「質問主意書」新党の考え方なのだ。人口の7%というと800万人ぐらいだが、私はそんなにいなくてもいいと思っている。100万人で全国比例区の国会議員を参議院で一人送り込める。もし300万人ぐらいの国民が、世の中の巨悪をやっつけよう、弱いものを救おう、と無私の気持ちを持って、新党に賛同するようになれば、3人ぐらいの国会議員を送り込めるのだ。これで十分である。この国会議員は300万人の真の代表であるから、能力も、やる気もあり、何よりも無私の正義感を少しばかり持つ。6年間で十分だ。その間に政治の世界で大暴れする覚悟を持てばいい。最初は質問主意書でもいいが、数人ぐらいになれば国会質問をし、キャスチングボートさえ握れるかもしれない。

 自民党といい民主党といい、政権をとろうとするから質の悪い政治家を数多く当選させなければならないのだ。そのためには利権や不透明な金が必要になってくる。そうして当選させた政治家のほとんどが役に立たない数合わせの政治家だ。こんな馬鹿げた政治を変えなければならない。しかし今の選挙制度ではすぐには国会議員を削減したり選挙法を変えるわけにはいかない。

 だから「質問主意書」新党をつくるのだ。そしてとりあえずその有用性を国民に実証して見せるのだ。そのうちに人口の7%いや3%程度の国民が気づくようになると、キャスチングボートを持てる政党に育つかもしれないのだ。その他の雪かきをしない国民がどの政党に入れようが気にしない。なぜならばそれは「雪かき」政党だからだ。人のために雪かきをしようと思うような人は常に少数だ。しかしその少数の国民が、大方の国民の小悪の雪かきをし、今の権力者の巨悪に立ち向かっていくのだ。役目を果たしたらとっとと政治からおさらばする。次の者にバトンタッチして自分の本来の生活に戻る。皆が交代で6年間だけ政治家を務めればいいだけの話だ。政治なんて所詮必要悪だという心意気で、政治に寄生する連中を日本から一掃していく。腐った官僚を完全にコントロールする。こういう政党が出来ない限り、どの政党が政権をとっても、誰が当選しても、何もかわらない。まったく新しい政治を作り出すしかないのである。

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2007年04月02日

イラク副大統領発言の豹変の裏側

イラク副大統領発言の豹変の裏側

 少し前のことになるが気にかかっていた事があるので遅ればせながら指摘してみる。

 今から一週間ほど前に外務省が多数のイラク人を日本に招待し、イラク安定のために日本政府が貢献している事をアピールしたことがあった。何かあるとすぐに東京に招待し、セミナーや国際会議を主催して「外交」をやっている振りをする。これは金にまかせて外務省が行うもっとも安易な「まがいもの外交」であるが、それを批判するのがこのブログの目的ではない。

 招待客の一人として訪日したタリク・ハシミというイラクの副大統領の一人が、3月23日毎日新聞の単独インタビューに応じた。その内容が24日の毎日新聞に報道された。その記事は、「米軍、来秋までに撤退を」と言う見出しで、彼の発言を次のように紹介していた。

「(駐留米軍の撤退について)個人的には1年か1年半でイラク治安部隊の再編成、訓練が完了すると思う。その後は(米軍主導の)多国籍軍は必要ない」

 実は私はこのニュースを新幹線のなかで流れるテロップで読んだ。そして「これは米国やそれに追随する日本にとっては都合の悪い発言だなあ。わざわざ日本に招待しておいてこんな事を日本で発言されてはたまらないだろうな。米国にも怒りやしないか」と思って読んだ。

 ところが翌日の新聞各紙は、24日に行われた日本人記者クラブでの記者会見で、ハシミ副大統領が次のように発言したと一斉に報じた。

「(米英など多国籍軍の撤退時期に関し)今の段階で一年先か二年先か分からない。治安の空白をつくってはならず、イラク軍立て直しが先決」と述べ、米国で強まる早期撤退論に釘をさした」

 わずか一日で180度違う発言をしたハシミ副大統領に何が起こったのか。毎日新聞の単独インタビュー記事が誤報であったのか。それともハシミ副大統領の頭がイラク情勢そのもののように混乱しているのか。

 私はこう推測している。毎日新聞のインタビュー記事を読んだ外務省が慌ててハシミ副大統領に連絡をして発言の軌道修正を求めるように圧力をかけたに違いないと。おりから日本政府はイラク特措法の2年延長を決定しようとしていた矢先であった。米国においても上下議院の早期撤退決議の動きに対してブッシュ大統領は拒否権も辞さずとして米軍駐留の長期化の構えを見せている。そのブッシュ大統領を後ろから撃つようような真似を日本がしたら大変だ。ブッシュ大統領から怒鳴られる。だからなんとしてでも多国籍軍の長期駐留の必要性をハシミ副大統領に言わせなければならない、そう考えて外務省がハシミ副大統領に慌てて伝えたに違いない。

 おりからクルド自治政府閣僚のディルシャド・ミラン氏は3月29日の朝日新聞紙上で次のようにイラクの現状を述べている。

 「三年前なら可能だったが、敵意と相互不信はすでに、解決から程遠い水準に達している」、「唯一の道は連邦制だ。いまやシーア派はスンニ地区に住めないし、スンニ派はシーア派地区に入れない。つまり連邦制への過程はすでに非公式に始まっている。これが現実だ」、「宗派抗争の本質はどちらが首都を奪還するかの戦いだ」、「連邦制での中央政府の役割は、各自治政府間の調整と外交などに限定される。トルコがイラクのクルド地区に介入したら、中央政府が防衛の義務を負う。クルドにとって独立より、連邦制でイラクの枠内にいた方が政治的利益は大きい」、「多数派となるシーア派の主力も連邦制推進の立場だ。一方スンニ派に選択権はない。抵抗したら完全な敗者となるだけだ」

 凡庸な百人の日本の専門家の分析よりも、おそらくこれが現実のイラク情勢である。このようなイラク情勢を前にして、日本がとるべき貢献策など皆無だ。ましてや自衛隊をバクダッドへ派遣し続けることが国際貢献だなどといっているのは、現実を無視したブッシュ政権追従以外の何物でもない。しかもそのブッシュ政権の対イラク政策そのものが完全に行き詰まっているというのに。

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