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2005年12月28日

【バックナンバー】2005-12-28

いたく自らを恥じる

 27日のコラムで私はこう書いた。「米軍再編問題は、政権を倒すか、それとも住民が泣き寝入りするかどちらかしかない。そして住民が泣き寝入りさせられることしか選択はない」と。
 これに対しすかさず読者の一人から次のようなメールをいただいた。
 「本当にそうなのでしょうか。私は辺野古での基地反対の座り込み活動を報告しているHPを毎日応援する気持ちで見ています。地元以外の人たちも多数参加・見学に来ているようです。この方たちの真剣な運動が泣き寝入りに終わってしまうようなことは、とても我慢できません。辺野古沿岸案を白紙撤回することができたら、今後の様々な市民活動にとってどんなに励みになるでしょうか。座り込みのテントまで行きたいところですが、小さな子供がいるし、沖縄は遠い。何かしたくてもできなくてうずうずしています。署名活動・意見広告・その他影響力のある意見表明の仕方を考えられないでしょうか。政治については全く素人です。稚拙な文章ですみません」
 このメールを読んだ時、私はいたく自らを恥じた。住民が泣き寝入りさせられることになると決め手かかっている自分を恥じた。人からのメールでこれほど反省したことはない。基地反対に体を張って戦っている住民に土下座をして謝りたい。前言を撤回し、私も、基地住民の人たちやそそれを支援するこのメールの差出人の人たちと一緒に、あきらめずに最後まで戦いことを約束する。
 しかしこれだけは繰り返して強調しておきたい。その戦いに勝つことは、革命を起こすことと同じぐらい大変なことであると。なぜならば、辺野古基地を撤回させることは基地問題の見直しを日米政府に迫ることである。そしてそれは日米関係を軍事協力中心から、非軍事的友好協力関係に方向転換することだ。
 それは戦後60年の日本の外交を方向転換することだ。日米軍事同盟を最優先させている小泉政権を倒すことだ。それは同時に小泉首相を支えている政治家や財界、有識者や、さらには日米軍事同盟のどこが悪いと単純に思い込んでいる国民を相手に戦うことであるからだ。
 彼らには権力がある。資金力がある。様々な影響力がある。しかし我々には道理がある。正義がある。なによりも住民の権利がある。国民が国民に犠牲を強いることは出来ないのだ。
 戦争国家になってしまった今の米国と軍事協力を進めることが如何に日本の将来にとって禍根を残すことになるかは自明のことだ。これを愚直に国民に訴えていくことしかない。しかしこれほど強力な主張はない。誰も反論できない主張だ。
 本来ならば我々の戦いを率先していくのは野党の政治家の義務であるはずだ。しかし今の政治家に国民を率いて日米関係を変えようと本気で体を張って戦う政治家はいない。だからこそ私が初夢で夢想した「百万人の党」の実現が必要なのだ。
 28日の朝日新聞によると名護市を訪れた山崎拓前副総裁が地元住民関係者にこう述べたという。
 「住民の集団移転やその補償も含めて真剣に検討したい」
 つまり税金を使って金はいくらでも出すから米軍基地に住居を譲ってやってくれということだ。米軍に移転を求めるのではなく、我々国民に移転してくれと迫っているのだ。小泉首相の頭はもっと単純だ。「米国の言っていることだから受け入れるしかないだろう」である。
 日米軍事同盟を是とする限りいかなる代案も真の解決にはならない。その場しのぎの対応策でしかない。そしてとどまるところを知らない米国の要求はあらたな負担を我々に迫ってくる。
 私は思う。日本国民が直面する究極の選択は、このまま日米軍事同盟の加速化を黙認していくのか、それとも米国にこれ以上日本国民は軍事協力できないと釘をさすのか、どちらかの選択である。日米軍事同盟関係に手をつけずにいくら護憲を叫んでも意味はない。しかしもし米軍基地を縮小、撤廃させることが出来れば、憲法改悪の必要性と正当性はたちどころに霧消する。

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2005年12月27日

【バックナンバー】2005-12-27

年末の新聞が象徴する今の日本

 27日の新聞各紙に目を通しながらつくずく思うのであるが、ひょっとしてこの国は制御できない国になってしまったのではないのか。国というもの、国民というものの一体感が全くなくなって、それぞれが自分の生活を守ることで精一杯な国になってしまったのではないか。
 それならそれでもいい。しかしそこに巨大な不平等、不公正が立ちはだかっているのだ。一握りの国民による一般国民の搾取が公然と行われ、固定化しつつあるのだ。それこそがこれからの日本の最大の問題であると思う。
 各紙が防衛施設庁の官製談合を取り上げていた。成田国際空港発注工事の談合と同じ官製談合であると書いている。これらの事件はとっくの昔に報じられてきた話しだ。一向に責任者の処罰というものがない。本当の責任者はいつも不問に付されて終わってしまう。犯罪がそのまま見過ごされているのだ。
 NHKの元プロデユーサーによる詐欺事件の公判で磯野被告は「裏金をつくることが仕事の一つだった。上司から言われていた。逮捕前には、タイかフィリピン、香港に半年ほど逃げろ、金はすべて私的に使ったことにしろといわれた」と述べたという。この種の証言や告発を我々はこの一年どれほど聞かされたことだろう。警察の裏金に始まってどれだけの裏金疑惑がこれまでに報道されてきたことか。いずれも真の責任者の究明と処罰はないままに忘れ去られようとしている。
 麻生外相が松沢神奈川県知事を訪ね、キャンプ座間への司令部移転案の受け入れを求めた際、こう言ったという。「(今回視察して)住宅などに密接して基地があることがわかった。首長の意見を交渉に役立てたい」。はじめて基地が住宅の近くに存在していることを知ったというのだ。そういえばかつての同僚の外務官僚が米軍基地問題を担当させられていたとき、一度も沖縄をおとずれることなく仕事をしていたことを記者に指摘され恥をかいたというエピソードがあった。こんな連中に基地問題の解決などできるはずはない。因みに彼らの親分である小泉首相は陳情に駆けつけた横須賀市会議員の一人に「米海軍には原子力空母しかない。いけいれは仕方がない。理解してもらうしかない」と述べたらしい。親分がこう言ってはじめからやる気がないのである。米側とどう交渉するつもりなのか。米軍再編問題は、政権を倒すか、それとも住民が泣き寝入りするかどちらかしかない。そして住民が泣き寝入りさせられることしか選択はない。
 中川政調会長の次男である中川俊直氏(35)が来年5月の広島市長選挙に出馬するらしい。テレビ東京政治部記者を経て中川政調会長の秘書をつとめてきたという。典型的な癒着構造だ。東広島市は衆院広島4区で中川政調会長の地盤。どんな人間でも当選だろう。そしていずれ国政選挙にでるのだろう。今の政治家を眺めてみるが良い。世襲によるこの国の政治の簒奪がどんどんと進んでいる。
 伊藤元国土庁長官の政治団体が5900万円の寄附を裏金処理していたという記事が大きく載っている。医師会の政治献金からはじまっておよそ政治家の裏金疑惑が報じられない日はない。しかしどれもこれも捕まったという話しは聞かない。裏金は犯罪ではないのか。それだったらいちいちニュースにするな。犯罪である疑いがあるが証拠がつかめないから不問に付されるのか。それなら証拠を探して白黒をつけろ。
 北朝鮮との拉致交渉から帰ってきた外務官僚の斎木審議官が拉致被害者の家族を訪れ報告をしたという。その際、「拉致のことばかりいうなら交渉をやる意味がない」と批判した北朝鮮の局長に、「あなた方がそういうなら我々も意味がない」といって大使館に引き上げたことを明らかにしたという。それに対して北朝鮮が歩み寄ってきたので交渉を再開したという。こんなことをメディアを通じて一斉に宣伝して何の意味があるのか。もう国民の目を欺くことはいい加減にやめたほうがいい。そもそも拉致問題は解決済みだとふざけたことを繰り返す北朝鮮に無理やり頼み込んで交渉をしてもらっているのは日本側である。しかも解決するめどが全く立たないまま何回無駄な話し合いを続けてきたことか。そもそも拉致問題の解決なしには国交正常化交渉はないというが、何をもって拉致問題が解決したというつもりか。拉致被害にあったと認定されている何百人全員の安否を確認し生存者全員を帰国させることが拉致問題の解決ならば北朝鮮はそれに応じることは100%ない。これは日本政府も知っているはずだ。もし北朝鮮が少しでもあたらしい譲歩をすることをもって前進であると強調し、あとは継続審議にして国交正常化を進めるシナリオであれば、それは詐欺だ。拉致被害者家族への壮大な裏切りである。一体どっちなんだ。
 官僚という権力の中枢に身を置いてきた自分が、突然んその組織を離れ一般市民の中に飛び込んだとき、真っ先に感じたのは、国家権力の強さとその埒外にある人間の無力さである。同じ人間でありながら、そして同じ程度の能力しかない人間が、権力を持つことによってここまで好き勝手が出来る、国民のためになる事を何一つしない、出来ないくせに責任を一切取ることなく報酬を貰い続ける、その一方で権力を持たないものがここまで無視され、搾取される日本、そしてこの不平等、不公平、不正な状態について、メディアがまったく取り上げない。あたかも権力者と友達関係になって国民を騙す役割の一端を担う、こんな権力者のおごりが小泉首相の5年間で一気に進んでしまった感がする。
 この国が制御できない国になりつつあると私が思うゆえんである。

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2005年12月25日

【バックナンバー】2005-12-25

国民の嫌中意識を煽り立てる内閣府調査

 25日の各紙はいっせいに内閣府発表の世論調査を載せている。日本国民の中国、韓国に対する感情が悪化しているというのだ。
 これは靖国参拝に固執して中国、韓国との関係を悪化させた小泉首相を、それでも国民は支持しているのだと強調したいための小泉首相援護射撃の世論調査である。25日のサンデープロジェクトでも田原がわざわざこの結果を引用して、「靖国参拝を国民が支持している証拠だ」と持ち上げていた。
 年末のネタ枯れを見越してこのような世論調査を政府が流す。それを各紙が一斉に報じる。
 しかしそれが本当に小泉援護になのか。こんな世論調査の結果で靖国神社参拝が正当化されることにはならない。嫌中感情は高まっても、より強い嫌日感情が中国で広がっている。こんなことが好ましいはずはない。この世論調査の結果は、小泉外交の失敗を如実に示しているといえるのだ。

 三つの記事

 25日の新聞に載っていた朝日新聞の三つの記事が、小泉政権が来年早々に直面する真の難題を浮かび上がらせていた。
 一つは米国家安全保障会議の上級アジア部長を先週辞めたばかりのマイケル・グリーンが、日米安保条約6条で書かれている極東条項を変えて、日本の基地から発進する米軍の作戦行動範囲を世界に拡大すべきだ、とインタビューに答えたという記事である。
 二つは、普天間飛行場を名護市の辺野古崎へ移転するという中間報告の合意に沖縄県議会が全会一致で反対した事に関連し、「小泉首相はどのようにして沖縄県民を説得するつもりなのか」、と問いかける社説である。
 三つ目は、迎撃ミサイルを日米共同で開発することにつき06年度予算で予算化された事が、武器輸出三原則に違反し、憲法の禁ずる集団的自衛権の行使にあたらないのか、という記事である。
 いずれも、米軍再編へ協力することが、戦後60年の日本の平和国家のありかたを根本的に変えてしまうという深刻な問題を浮かび上がらせている。
 構造改革の問題はごまかすことが出来る。増税の問題もまだ先のことだ。憲法改正論議もしばらく時間がかかる。韓国、中国との関係も息の長い外交問題だ。
 しかしこの在日米軍再編への協力は来年の3月で全てが決まる。しかも基地住民の生活と安全が規定される。住民が泣き寝入りをさせられるのか、小泉首相が米国との約束を守れなくなるのか、そのどちらかが3月に決まる。
 来年9月の任期切れを待たずして小泉首相の危機は来年3月に訪れるかもしれない。そのことを一番知っているのは小泉首相自身である。
 

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2005年12月21日

【バックナンバー】2005-12-21

どう考えてもおかしい

  こんな事は私のコラムで書くことではないと思うけれど、どう考えてもおかしいと思うので、一言言っておく。
  今度の耐震偽造事件が発覚した直後、私はこのコラムで、ひょっとしたらこの問題は小泉政権の命取りに発展するのではないかと書いた。その理由として、本気ですべての建造物を調べれば耐震基準に満たない構造物(つまり基準の30%が危なくて80%なら良いというわけにはいかない。一部を退去させたり取り壊しをしておいて、その他のより危険が少ない、しかし基準に満たない構造物を放置するわけには行かないだろう)は限りなく続出してくるのではないか、その場合、日本の建築行政がイカサマだったのではないか、という根本的問題にぶち当たること、さらには、この業界の常として政官業の癒着が間違いなく存在し、しかも関与した政治家が政権政党の関係者であったら、責任は逃れられないだろう、などと思ったからだ。更にいえばこの問題の犠牲になった住民の数が広がり怒りが高まると収拾がつかなくなるだろうと考えたからである。
 その後の事態の進展はこの予想通りに展開になりつつある。連立政権の責任も指摘されて入る。
 ところがである。マスコミも国民も野党も住民も、大騒ぎをする割には政府の責任を追及する声が皆無である。どうしても解せないのが、政権の責任を追及する立場にある野党第一党の民主党が馬渕何某という一人の代議士に任せっぱなしで、しかもその代議士が一人で心身困憊して、身の危険をおかしてまで追及しようとしているのに、政治が動かない。馬渕議員にしてもそれまでまったく知られていない議員がこれで有名になったとばかり張り切っている。
 何故前原、志井、福島といった野党党首が先頭にたって野党をあげて政府を追及しないのか。それともこの問題は、姉歯や小嶋や内河やら何とか建設やらといった民間の関係者を悪者にしてそれで終わる話なのか。
 私は興味深く見ている。真相究明までに膨大な作業が必要となるこの一大偽造事件が、はたしてどんな形で終結するのだろうかと。その間にもこの国が直面している諸問題は津波のように押し寄せてくる。もはや政治家や官僚らには満足な解決は不可能である。そしてそれでもなんとなく国民は我慢してこの日本が動いていく。
 すべてが一過性のニュースになりそして消えてはまたあらたなニュースが作り出されていく。
 この悪質な耐震偽造問題に対するこの国の首相の唯一のコメントが「罰金50万円では軽すぎますよねえ、法律のことですから・・・」というのでは、あまりにも情けない。日本の現状をこのひと言が象徴している。

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2005年12月20日

【バックナンバー】2005-12-20

猛スピードで突き進む在日米軍再編

  20日の日経新聞だけに載っていたのだが、政府は在日米軍再編を促すための推進関連法案を来年4月を目処に国会提出するという。そこには基地受け入れを認める自治体へ特別交付金を与える一方で、普天間基地移設予定地の使用権限を知事から国に移すという内容が盛られるという。文字通り飴と鞭を使った強制的な米軍再編の実施の法案だ。前原民主党が相手ではこの法案はすんなり通ってしまうだろう。
  いまマスコミは耐震偽造問題の強制捜査でもちきりだ。しかしこれは目くらましだ。強制捜査と言っても結論がでるまでに途方もない時間が掛かる。この大騒ぎの間に世論は問題の本質をすっかり忘れ、小泉政権の深刻な失政がかき消されようとしている。偽造問題さえも民間関係者だけが悪者になって偽造だか詐欺という小さな悪で終わってしまう。
 そういえば19日の朝日新聞が、在米再編の中間報告に合意した大野、町村元両大臣が出席した10月末の2プラス会議で、普天間の県外移設について殆ど突っ込んだ話しをしなかったことを大野元防衛庁長官がポロリと白状し、町村元外務大臣がそんなことはない、記憶まちがいじゃないか、と否定したという記事がでていただ。これはほとんどメディアがフォローしていないが、きわめて深刻な記事だ。国会での事実究明が待たれる。
 おそらく大野大臣が正しいのだろう。日本は日本の安全保障政策について米国の前でまともに意見を言っていないのだ。言えないのだ。国民に説明をする以前の問題として米軍再編に関する日本の態度はないに等しい。米国の要望に従うだけのなのだ。
 住民の反対が強いと報道されている。首長の全員が反対していると報道されている。ならば住民も、首長も、国民も、メディアも、これらの問題を大きく取り上げなければ嘘だ。
 護憲、平和主義者が憲法改悪を訴え続けている。しかしこんな法律が通るようであれば改憲反対の叫びは空しい。私はつくづく思う。日本の将来は来年の春に決まるのだと。このことに気づいている国民がどれほどいるというのか。国民を啓発できる野党の政治家がいるというのか。

 註: 私が昨日書いた記事で、ブローバックという言葉を間違って使っていたという貴重な助言を読者から頂いた。ご指摘の通りブローバックのもともとの意味はテロリストからの予期せぬ反撃という意味である。チャーマーズジョンソンの著書も読んでいる。しかし私は敢えて、その予期せぬ反撃という米国軍事作戦側が敵に対して使う言葉を、世界の良心の思わぬ反撃という意味で使ったのであるが、誤解を生じるとしたら、弁解と共に撤回させていただきます。

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2005年12月19日

【バックナンバー】2005-12-19

なぜアメリカは戦うのか

 昨日(18)日、NHKテレビが「なぜアメリカは戦うのか」という米国製の特集番組を流していた。実によく出来た記録映画だった。アイゼンハワー大統領が1961年の退任演説で述べた、「米国はやがて軍・産複合体の深刻さに向かい合うことになる」という言葉が、メインテーマのように繰り返し流されていたこの番組が訴えようとしたことは、もはや米国と言う国が、米国民の知らないところで、戦争から逃れられない国になっている、それを視聴者に訴えることだ。
 戦争はよくないと皆が感じながら、ほとんど何も知らされないままに、あるいはだまされながら、「自由を守るために戦わねばならない」と漠然と信じ込まされている米国民。
 政府の誤りや、情報操作の危険性を知って糾弾し続ける米国の良識派には一縷の救いを感じるが、彼らとて、圧倒的な権力と動かない国民の前に沈黙させられる。
 莫大な予算をめぐって戦争に群がる米国産業の競争はすさまじいばかりだ。しかしより深刻なのは末端の労働者が弾薬工場などに働いてその日の生活費を稼がざるを得ないという米国経済の実態だ。
 アイゼンハワーが軍産複合体のスピーチの中で言っていたごとく「この国には300万人の労働者が軍需産業で生活をしている」。今ならどれぐらいの数になるのだろうか。入隊している息子のことを思いながら「爆弾で息子が殺されないか心配だ」と言いつつせっせと爆弾を作っている女労働者の、なんとやりきれない映像であったことか。母親が病死して独りになった高卒の男の子が、「これで生活が安定する」といって、不安げな様子で入隊を志願する、その希望と不安を抱きかかえた青年の表情が米国の病んだ姿を照射する。
 その一方で、「テロの危険がある以上あらゆる手段を使って敵を攻撃するのは当たり前のことだ」と笑顔で話すネオコンたち。かれら一握りの連中の後ろには、おそらくそれを操っている巨大なビジネスと金融資本が存在しているのであろう。もはや米国の大統領そのものが操り人形なのだ。大統領一人では何も出来ないほど米国の軍・産複合体は巨大になってしまったに違いない。
 今ブッシュ大統領はイラク戦争の三つの後遺症に攻められている。1.嘘の情報に基づいて起こした戦争2.CIAを使った国際的規模のテロ容疑者の拷問3.テロと戦うための国家的秘密通信傍受、の三つだ。いずれも民主主義の根幹に違反する国際的犯罪行為である。米国以外の国がこの一つでも行っていれば直ちに糾弾されるに違いない。
  ブッシュ大統領がまともな神経を持っていれば「もう辞めさせてくれ」と叫びたくもなるだろう。しかし米国の大統領は辞めたくても辞めさせてもらえないのだ。巨大な利権と陰謀の操り人形に過ぎないのだ。
  もしそうだとすれば小泉首相如きが米国に楯突くことなど出来っこない。
  このように考えると、どうしても、諦めと無力感に襲われてしまう。ここまでの悪が明るみになっていると言うのに何も出来ないのだ。もはや人類は、世界は,行き着くところまで行かないと目が覚めないのか。
  唯一つ、希望があるとすれば人間を信じることだろうか。世界の良識ある人間は気づいている。なんとかしなければならないと思っている。米国の国民こそ、もっともその事に気づいているに違いない。市民の良識の抵抗、米国の軍事用語ではブローバックと言うそうだが、市民の予期せぬ反撃、おそらくこれしかないのだろうか。このブローバックを引き起こす歴史的人物とは果たして誰なのか。いや、それは一人のカリスマ的な人物ではないのかもしれない。目に見えない不特定多数の良心がどこからともなく集まってひとつの大きな流れになることかもしれない。

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2005年12月17日

【バックナンバー】2005-12-17

セグウェイを乗り回す小泉首相

 おそらく心ある国民の多くは同じ思いであろうからあらためてここで騒ぎたてるつもりはない。しかしあまりにも異様なこの国の指導者とその指導者の宣伝に終始するこの国のメディアの癒着を確認するために一言書きとどめることにする。
 11月中旬にブッシュ大統領が訪日した時にプレゼントされたという電動二輪車セグウェイを、一月遅れにやおら持ち出した小泉首相は、16日に官邸に出勤する時乗り回し、これをテレビも新聞もいっせいに報道した。
 なんでこんなことが一大ニュースになるのだろうか。今日本の首相がなすべきことは山ほどあるというのに。 常に国民に話題を提供し続けなければ忘れ去られ、生命線である支持率低下が低下する。それをおそれる小泉首相の側近が仕掛けた芝居であることは誰にでも容易に想像がつくが、それにしても、このような恥ずかしい醜態を平気で演じる小泉首相あっての芝居だ。まともな政治家なら「馬鹿なまねをさせるな」と断るところだろうが、すべての公務そっちのけで嬉々として乗り回すところに小泉首相の真骨頂がある。腹立たしいよりも哀れだ。
 そういえば小泉首相の言動をめぐる最近の報道は政策に関するものは殆どなく、小泉首相の宣伝となるような瑣末、矮小なものばかりだ。官邸に若い女性を招き、イチゴを食べて「甘い、甘い」と饒舌になる小泉首相を報じるのはいつもの通りであるとしても、先の東アジアサミットで会談も出来ない仲となった小泉首相と温家宝首相が、署名のペンを貸し借りするところの写真が一斉に新聞に掲載された。なんでこんなことが記事になるのか。こんなことしか記事に出来なくなった現在の日中関係とその原因をこそ新聞は報じるべきなのだ。
 政治がらみの話といったら、小泉首相の後継者の話ばかりだ。しかもどの後継者候補もダメダ、ダメダというものばかりだ。そんなことはない。この国の首相なんて誰がやっても同じだ。ポストが人を創るのだ。誰も相手にしなかった小泉首相が5年半も首相でいられるのだ。
 12月11日の毎日新聞で岩見隆夫が「近聞遠見」の中でいい事を書いていた。「普通トップリーダーというものは辞めるということを慎重の上にも慎重に使うものだが小泉首相は連発している。何度辞任発言を聞いたか数え切れない程だ。この裏にはどんな計算があるのか」
それは話題づくりを繰り返して常に自分に世間の関心を引きとどめていこうと言うことだ。最近では民主党との大連立構想というのもある。ご丁寧に自分で言い出して、自分で繰り返している。
  もうそろそろいいだろう。残りの任期を、自分の行った政策のまとめに静かに費やすべきだ。人の注目しないところで地道に勉強をし、引継ぎ事項を自分の手で取りまとめる労をとるべきだ。それは面白くないことかもしれない。目立たないことかもしれない。何よりも頭を使うことだ。しかしそれを行うことが国民の為に奉仕する政治家の務めだ。自分のことばかり考えるな。

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2005年12月15日

【バックナンバー】2005-12-15

日本政府はもっと米国と対等な関係を築くべきだ

  これはニューズウイーク(日本語版)副編集長であるジェームズ・ワグナー氏の言葉である。
12月21日号の論評の中で、同氏は、日本が米国産牛肉輸入再開で米国に屈したことは大きな間違いであったと次のように述べている。

「・・・アメリカの議員たちは裕福な利益団体(牛肉生産者)への献身を恥ずかしげもなく露呈し・・・対日関係という国益を軽視した。米国政府の態度はまるでいじめ。友好同盟国との交渉にしては不適切なものだった・・・一方の日本は、対米関係のために国内の食品の安全性を保つシステムを犠牲にしてしまった・・・なぜ日本は降伏したのか。日本は現在、アメリカとの防衛関係を強化することを最優先にしている。その妨げになるものは、食品の安全も含め、すべて後回しになる・・・日本がアメリカとパートナーシップを結ぶのは賛成だ。しかし・・・一方的なパートナーシップなどありえない。アメリカにとっても日本との関係は重要だ。日本政府はそのことを過小評価する必要はない・・・これ(日米間の主従的関係)は両国にとって不健全な関係だ。日本政府は、米政府のおごった態度を許してはいけない。もっと対等な関係を築くべきだ」

誰が読んでもあたりまえの意見だ。そのあたりまえの意見を日本人が公言すれば組織から外されるところに今の日本の不健全性がある。米国人を通じてしか対米批判が出来ないところに日本の対米従属の本質があるのだ。

三代世襲は世界の笑いもの

少し前の新聞記事になるが、韓国の連合ニュースが、北朝鮮の金正日総書記が朝鮮労働党や軍の側近に後継者問題に一切言及しないよう指示した、と報じたことがあった。その理由として、世襲統治が自分の息子まで続けば三代世襲となり国際的イメージを悪化させるからだという。指示の徹底に向けて違反者には最高終身刑まで下せと命じたという。
このニュースは日本で殆ど報じられることはなかった。あれだけ何でも面白おかしく報じる日本の報道番組も、知ってか知らずか殆ど無視をしていた。そういえば小泉も安倍も鳩山も三代、四代世襲である。それを知って「三代世襲は世界の笑いもの」と日本の政治家にあてつけているとすれば、金正日総書記も相当な役者だ。この点については議論の余地なく彼は正しい。

言葉は人をあらわす

 実に不快な記事を見つけた。15日の産経新聞に、埼玉県の上田清司知事が14日の県議会の本会議で、「(PRのために埼玉産米を女優の菊川怜さんに贈呈したことについて)効くか効かないかわからないが・・・餌付けしています・・・」と発言したと報じられていた。
このような発言が口をついて出てくるような上田という知事は、そのことだけで彼の品性を露呈してしまった。指摘を受けてその不適切さを認め議事録削除を求めたというが、取材に答えている次の言葉がいっそう不快感を強くさせる。
「・・・発言したことは覚えていない。本当なら失礼な話・・・お米を贈っておけば、埼玉のために何かやってくれるかな、という下心があったからかもしれない・・・」
いっそ議事録に永久にこの餌付け発言を残しておくべきだ。

近衛文麿の評価

15日の産経新聞「正論」で鳥居民という研究史家が興味深い記事を寄せている。彼は公家政治家近衛文麿の歴史的評価の低さについて、近衛の命日(12月16日)に因んで一言弁護している。
戦前、戦後の混迷期の一時期に首相を務めた近衛文麿は、日中事変の拡大、三国同盟の締結、日米交渉の失敗と日本を敗北のふちに陥れ、戦局が悪化すると終戦工作に走り、敗れると早速「憲法改正」に乗りだし、最後はマッカーサーに裏切られて戦犯に指名され、東京裁判に出廷し抗弁することなく服毒自殺をするという、およそ不名誉な政治家とされている。
私の知識はその程度だ。しかし、鳥居が書いている近衛は、吉田茂の老獪さと比べて、あまりにも愚直であったということなのではないか。いつの世も歴史の評価はさまざまな角度からなされなければならないということである。それにしても史実を学ぶことは、正しい認識をするために不可欠であるということだ。
「・・・政治家の北岡伸一氏はコラムニストの田勢康弘氏との対談の中で『近衛文麿はしょうがないです』と言い、田勢氏もそれに同意している・・・粕谷一希氏が吉田茂に向かって、『近衛文麿公は(最後の将軍)徳川慶喜と似ていないだろうか』と問うたのに対し、吉田は『慶喜公は立派な方で比較にもならない』とにべもなかった・・・吉田はアメリカとの戦争を回避しようとした時、また、アメリカとの戦争を一日も早く終わらせようとした時、いずれの場合も彼は近衛の協力者として行動した・・・吉田と近衛がやったことは、いずれの場合も陸軍を敵とするものだった。近衛はアメリカとの戦争の回避を主張して、陸軍大臣、東条英機と対立した揚句、内閣総辞職に追い込まれたのだし、吉田は戦争終結工作をして陸軍に捕らえられることになった。
だが、近衛と吉田は、(本当は)陸軍と対立、衝突したのではなかった。二回とも内大臣、木戸幸一の反対に直面したのである。内大臣は天皇に『常侍輔弼』(全面的に従い責任を負う)の責任を負っていた。
吉田茂は、憲兵に捉えられた話を雄弁に語っているがなぜ捕らえられたかについては語っていない。なぜ吉田は戦争終結のための努力の一部始終を語らなかったのか。彼が徳川慶喜を褒めて、近衛を『比較にもならない』と言い切ったのは、近衛が話題となってその後の会話が続くのを避けようとしてのことだったと私は思っている・・・一連の内幕が天皇批判の材料に使われるのを恐れたからこそ、近衛とともにやったことを自分の口から語るのを避けたのだ・・・敗戦の後、誰もが天皇を是が非でも守り抜こうとした。そのためにこそ、死を選んだのが近衛である。近衛は、『しようがない』人物では決してなかった。明日がその文麿公の60年忌となる・・・」
我々にとって重要なことは少しでも多くの史実を知る努力をすることである。

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2005年12月14日

【バックナンバー】2005-12-14

イラクはどうなっているのか

  あす15日、イラクで最後の選挙が行われるというのに、日本の報道はやけに静かだ。国内問題で耐震偽造や少女殺害など報道することに事欠かないからかもしれない。しかしそれに加え、イラク情勢を正しく理解している日本人の記者がいないことに原因があると思う。政界も官界もメディアも中東の事を知っている者がいないからだと思う。だからこそ自衛隊のイラク派遣という馬鹿げた政策が今日まで放置されてきたのだ。
 イラクはこれからが本当の混乱期に入る。二年余り続いた米国のお粗末なシナリオは今度の国民議会選挙で政治日程としては終わりになる。その後はもう選挙もなにもない。イラク人の政府ができるのだ。米国の干渉は道理がたたなくなるのだ。
 しかし現実はどうか。選挙そのものはどんな手段を使っても終わらせるであろう。これでイラクに始めて民主的な国家が出来たと宣伝されるであろう。
しかし現実をごまかすことは出来ない。誰がその国の指導者になるかで大もめになる。それに乗じてテロが頻発する。しかしその時もはや米国は軍事占領を続ける大義を持たない。なぜならばイラク人が自らの手で民主国家をつくったからだ。軍事占領はイラクが自らの手で自前の国をつくるまでだと主張してきたからだ。もし治安がよくなるまでとどまる責任があるなどと米国が言い出せばその時こそ米国は本当の泥沼にはまるのだ。
 14日の読売新聞は、米国のブッシュ政権が、今度の国民選挙が「政治的プロセスの終点ではない」、「今度の選挙も完全なものにはならない」、「米国の独立戦争も終戦後8年間も無秩序と変動に時期が続いた」などと強調し、駐留の長期化に布石を打ち始めたと書いている。その一方で、ブッシュ政権自身が今度の戦争の誤りを認める発言を始めた事を指摘している。民主党も撤退時期を明示するようブッシュ大統領に迫っている。
 ブッシュ政権はどうしていいかわからないのだ。それにしてもここまで馬鹿な戦争に追従してしまった小泉首相の責任を誰も本気で追求しようとしない日本の国民は、要するに中東のことなど何もわかっていないのだ。何をしていいかわからない米国の深刻な状況について、何もわからないままどこまでもついていこうとしている小泉首相を許している国民は、結局何もわかっていないのだ。

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2005年12月13日

【バックナンバー】2005-12-13

日本の消費者を見誤った米国政府

 米国産牛肉の輸入が2年ぶりに再開されるという。2年前と現状は何一つ変っていないのに、日本政府からしてみれば2年間も引き延ばしたのだから国民も諦めるだろうということだ。米国からしてみれば2年間も待ってやったのだから、いい加減にしろということだ。その間に何も変っていない。政府や専門家はなんら新しい科学的な立証を出来ずじまいのままだ。米国はといえば何一つまともな改善策をとっていない。はじめからとる気はないのだ。
 しかし、しかしである。13日の朝日新聞に、極めて興味深い記事を見つけた。つまり米国産の牛肉を輸入したところで、そして吉野家などがそれを使って牛丼を再開したところで、消費者がそれを敬遠したらどうなるのか。売れなければ輸入再開をしたところで意味はない。消費者の口を強制的に開けさせることはできないのだ。
 朝日新聞が10月末に行った世論調査によれば、再開されても食べたくないとする人が67%に達し1年前よりもむしろ増えているという。全米肉牛生産者協会の関係者は、「米国産の安全性を信頼している3割の人を対象に売り込みを図る」と強弁しているらしいが、食品業者としてはあるまじき発言である。こんなことを日本の食品業者がひと言でも言ったらどうなるか。米国は日本を見下しているのだ。米国政府は日本政府はいつも最後は譲歩すると内心せせら笑っている。 しかし彼らは日本の消費者を見くびったと後になってホゾを噛むことになるのではないか。
 実はこの牛肉問題輸入再開問題に対する日米両政府の対応と消費者(国民)の対応の違いには、これからの日米関係を占う大きな問題が隠されているのだ。すなわち米国は、あるときは直接に圧力をかけて、そしてそれが日本国民の反発を招くと知って、使い勝手の良い政治家や官僚、御用学者、財界人などを利用して、日本を搾取してきた。しかし日本国民がそのことに気づき、みずから自己主張したらどうなるのか。
 たとえば日本政府が勝手に決めた米軍基地の再編成にしても、住民が受け入れないといえばどうなるのか。もし住民が本気で反対すれば政府は住民を投獄したり、強制移転をさせようとするかも知れないが、もはやそんなことを国民が黙って許す時代ではない。政権は吹っ飛ぶことになる。
もし国民が郵貯や簡保に預けている350兆円の預貯金を、全部引き上げると言えばどうなるか。銀行に預けている資金をみんな引き上げるといえばどうなるか。自分の金は自分で管理、運用すると言って政府や銀行に勝手に使わせないようにすればどうなるか。米国の書いた日本金融搾取のシナリオはたちどころに崩壊する。それよりも郵貯、簡保にあるとされている国民の350兆円の資金の大半が、流用や米国債の購入でとっくに使われてなくなっていることに気づかされるかもしれない。取り付け騒ぎがパニックのように起きるかもしれない。
実はこの事が、彼らが一番恐れていることに違いない。真実がばれることだ。日本政府や米国は、国民が覚醒しないように必死になって情報操作をし、情報隠しを行い、国民を暗愚の状態に置こうとしてきた。たとえば米国産牛肉の輸入再開にしても、「牛丼が食べられるのを心待ちにしている」などという軽薄な市民の声を垂れ流す一方で、危ないと警鐘を乱打する人たちの言動をそれとわからせないように極力封じてきた。
すべてがそうである。国民が啓蒙、自立すれば権力者はたちどころに力を失う。歴史はすべて権力者の大衆操作とそれに抗う良識ある大衆の、絶え間ざるせめぎ合いなのである。

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2005年12月12日

【バックナンバー】2005-12-12

イカサマ人事を笑い飛ばそう

  これは私にしか書けない事だから、書きたくないけれど書かしてもらう。
  11日の読売新聞「顔」欄に、人権担当大使になった斎賀富美子(62)の紹介があった。もう彼女も62歳になったのかとつくづくその写真に見入った。ノンキャリの彼女がノルウエー大使にまでさせてもらうのだから権力に擦り寄るかなりの才覚を持ち合わせていることは読者の皆様も容易に推測できると思う。それだけの人物である。それが初代人権大使になった。
  「えっ、という感じでしたがお受けした。今まで培った人脈を生かし、国連人権委員会や人権高等弁務官事務所などに積極的に協力を要請していく」だと。
  しかしそのあとの記事を読んで苦笑せざるを得なかった。ノルウェー大使を兼務したままだという。ノルウェーに在住したままだという。こんなふざけた人事があるというのか。人権担当大使とは片手まで出来る仕事なのか。ノルウェー大使はよほど暇なポストなのだろう。実はそうなのだ。何にも仕事のないポストなのだ。どちらも仕事がないのだ。
   かつて北朝鮮問題担当大使というポストがあった。年に一回あるかどうかの日朝交渉を、タダそれだけを担当する大使であった。一年の大部分を出勤せずに百何十万円の給与をもらい続けたポストである。
   人権担当大使はもう少し仕事があるのだろうか。「拉致問題に向けて国際世論を喚起する」のが仕事という。拉致問題には報道を通じてしか接してこなかったという。拉致家族への冒涜である。

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2005年12月09日

【バックナンバー】2005-12-09

やっぱり皆そう思っているのだ

  12月8日の朝日新聞夕刊に「経済気象台」というコラムがある。そこで『昴』というペンネームの、おそらく経済専門家と思われるコラムニストが、痛烈な日・米批判をしている。さすがに実名で書くことは出来ないのだろう。しかし皆そう思っているのだ。こういう意見を実名で書いて評価されるような日本にならなくては、日本は変われない。

 「日本がいやらしい金持ち国になっていくのが気掛かりだ。国連安保理の常任理事国のイスほしさに、日本の国連分担金が多すぎると言い出した。しかも(自らも)分担金を滞納がちなくせに国連を改革しなければ分担金を減らすと国連を脅かしている米国と組んで、分担率の引き下げをもくろむ・・・国連でも不人気な米国の尻馬に乗り、常任理事国入りの後押しをしてもらうというのは心の貧しい外交だ・・・折も折、ロンドンで開かれたG7は、世界的な金利上昇が開発途上国の経済に与える悪影響を懸念する声明を出した。いかにも途上国経済を心配しているようなのだが、実際には、米国だけが一歩高く抜け出た今の金利水準を維持しておきたいというのが米国の本音だ。米国の対外債務は膨らむばかり。日本、中国などの海外資金が米国の赤字国債の54%を保有しており、米国の財政赤字の埋め合わせをしているのである・・・他の国の金利が上がると、米国への資金流入が減り、ブッシュ政権は苦境に陥る。それを防ぐのを『心地よい円安』などと称し、日本は世界経済の危機招来に手を貸している・・・黙々と国連の面倒も見、世界の尊敬を勝ち取る方が国益にかなうのに、高い志を次々に放棄していく今の政治、外交の堕落は、情けない、の一語に尽きる。」

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2005年12月08日

【バックナンバー】2005-12-08

戦争を防ぐ方法

 講演などでよく聞かれることがある。「どうして戦争がなくならないのか、戦争を起こさないようにするにはどうすればよいのか」と。
勿論私に明確な回答があるはずはない。しかし私は思う。一人でも多くの人が、「戦争は決して起こしてはならない」とその気になることが一番重要なことだと。
おそらくこの世の中には「戦争を起こして何が悪い」と考える人もいるだろう。それどころか「戦争で飯を食っている」人もいるだろう。こういう人たちには何を言っても無意味である。しかしやはりそういう人は少数だ。それにそんなことは正面から人前で言えることではない。
大多数の人は漠然と、「戦争は勿論好ましくないが、それでも戦争はなくならないし、攻撃されたら防戦する必要がある。戦争は仕方がない」と考えているのではないか。このような人が「それでもやはり戦争は絶対に起こしてはならない」と思うようになれば世の中は随分変るだろう。 
問題はそのためにどうすればいいのかということだ。私は思う。我々一人一人が、それぞれのやり方で戦争の悲惨さを実感として感じること、その為の意思を持つこと、想像力を持つ努力をすることであると。
12月7日の毎日新聞、「記者の目」で、苅田伸宏(盛岡支局)という若い記者が、南方戦没者遺骨収集の継続を訴えている。彼は今年の10月にパプアニューギニアやフィリピンなどでの戦没者の遺骨収集事業に取材同行し、みずから収集作業に加わった。「・・・掘り始めて2時間。『アタマ、アタマ』と村人が日本語で叫び、スコップを持つ手を止めた。約1メートルの深さで頭蓋骨に当たった。慎重に掘っていくと全体が現れた。遺骨は指先で押すだけでぼろりと崩れてしまう。肋骨は土に返っていた。マラリア蚊を避ける長袖服を汗だくにした私たちは、遺骨の最期を想像し、黙り込んだ・・・」
彼は遺骨収集の困難さを認めた上で、それでも政府は遺骨収集をこのまま終わらせてはいけないと訴える。そして遺骨収集にボランテアで参加した団体代表の次の言葉を引用して、遺骨の収集は、戦争体験と不戦の誓いを次の世代に伝える作業になると言う。
「・・・現地から帰った若者は顔つきまで違ってくる。戦争や歴史について真剣に考えるようになる。現場を見れば戦争はすべきでないということが分かる・・・」
この若い毎日新聞の記者は次の言葉でこの記事を締めくくっている。
「美しい海に囲まれ、子どもたちが無邪気に走り回るパプアニューギニアの地面の下に、まだおびただしい数の人骨が埋まっている。小泉純一郎首相が靖国神社への参拝を続け、『英霊の追悼に誠をささげる』のならば、何故この現実を放置できるのか。収集は諸外国に対する日本の責任でもある。」
年齢には関係がない。戦争体験の有無も関係ない。個人の実感と想像力が、この若者に戦争反対の意思を持たせたのだ。

歴史を知らないと嘘が見抜けない

 8日の東京新聞、「本音のコラム」で作家の半藤一利氏がおもしろい表現を使っていいことを書いている。
歴史を知ったところで何の利益もない。一円の得にもならない。しかし歴史を知らないと虚実を見破る眼力が失われてしまうと。
 そして彼は明らかに小泉首相のことを指してこう言っている。
「・・・自分勝手な解釈で織田信長に擬する政治家がいる、都合のいい部分を歴史から切り取ったりして、正当性の主張とする学者がいる・・・」
 まったくその通りなのである。歴史を学ぶには、まず客観的に、そしてその全体像をできるだけ知ろうとする謙虚で膨大な努力が必要なのだ。それを行わずして自分が知っているだけの歴史の一部を、あたかも歴史の全てであるかのように都合よく利用する連中のなんと多いことか。
半藤氏は言う。「・・・騙されないためにも歴史に対する活眼を身につけておかねばならない。さもないとまたこの国があらぬ方向へすっ飛んでいてしまう恐れがある・・・」
その通りであると思う。

欧州における米軍再編の加速が意味するもの

 8日の各紙は、米政府が欧州における駐留米軍の再編を加速させていることを報じている。冷戦時代の自由主義陣営の拠点であったドイツからの部隊撤退を進める一方で、新に東欧諸国に軍事拠点を移し、中東や中央アジアのテロ組織掃討などの対応能力を強化する米国である。
 これを証明するかのように6日、ルーマニアを訪問中のライス国務長官はルーマニアの外相と米軍基地使用の合意書に署名した。冷戦時の敵陣であるワルシャワ条約機構に加盟していた東欧諸国に米国が軍事拠点を設ける初めてのケースである。来年3月にもブルガリアにも軍事拠点を設けるという(読売新聞)。
 米軍は既に9・11米同時爆破事件以降、中央アジアのウズベキスタンとキルギスに軍事拠点を構えた。中東ではとっくにサウジアラビアに巨大な軍事拠点を築き、やがてイラクに第二国防総省ともいうべき軍事拠点を造るシナリオを有しているとも言われている。
 おりしも米国はテロ容疑者のCIA秘密収容所(ブラックサイト)をアフガン、ヨルダン、エジプト、タイ、キューバ(グアンタナモ)に加えて、ポーランド、ルーマニアにも設置していたと報道された。ライス国務長官は、国家機密を盾に真実の確認を拒否しているが、欧州訪問の直前にポーランドとルーマニアの施設を急遽撤去したと米ABCは伝えた。同時に又ABCは拘束者たちをヨルダン、シリア、モロッコ、エジプトなどに移送した可能性を指摘している(東京新聞)。
一連のこれらの米軍の動きは何を意味するのか。要するに米国の軍事戦略が完全に変化しつつあるという事だ。もはや国家として米国に脅威を与える国がなくなった事を知っている米国が、反米武装抵抗組織の壊滅に照準を合わせ、戦時国際法の枠外で、非人道的な手段を用いてまでも強硬に、「テロとの戦い」を推し進めることを決意したという事だ。その為には、弱小国や非民主的な国に米軍基地を集中させ、文句を言わせない形でテロ弾圧を推し進めようとしているのだ。米国も卑劣な国になったものだ。
そんな米国を、「過去も現在も未来も」変らぬ最重要国だと公言し、「世界の平和に貢献する日米同盟」の為に在日米軍の再編を丸呑みする政府と官僚は、国際情勢を直視しようとしない度し難い無能者の集まりだ。ここまで国民の利益を損ねて、何の責任も取らずに済むとは、彼らにとって日本は天国に違いない。

いよいよ米国産の牛肉輸入が再開される

 大騒ぎを繰り返した挙句、根本的な問題は何一つ解決していないのに、疑惑の米国産牛肉の輸入再開が12日にも正式決定されるという。いよいよ年内にも日本の消費者に届くらしい。壮大な政治決着だ(7日朝日新聞)。
 牛肉輸入再開が近づいたからであろう。二つの興味深い記事が最近の新聞に見られる。
その一つは12月7日の東京新聞に掲載されていた共同通信の世論調査である。米国産牛肉を「食べたいとは思わない」とする人が75.22%に上るという。その理由として62.5%の人が「安全性に不安が残る」と答えている。国民の拒絶感は一向に弱まっていないのである。
 その一方で同じく8日の東京新聞が、これも共同通信の調査で明らかにされたことであるとして、食品安全委員会・プリオン専門調査会の12人の専門委員のうち、半数近くが諮問の仕方や米国での輸入条件遵守の実効性について、疑問や不安を抱いたまま、輸入再開を容認する結論を出していたことを報じている。もっと早くこの事実を報道すべきだったと思う。
かつてのエイズ薬禍や最近のアスベスト問題、そして耐震強度偽造事件、すべてに共通するこの国の病弊である。見て見ぬ振りをする、おかしいと思っていても自分からは言い出さない、 被害が出ればその対応すればよい・・・本当に無責任な国になってしまったものだ。

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2005年12月07日

【バックナンバー】2005-12-07

奥田経団連会長の助言に従った小泉首相

 日本経団連の奥田会長が12月5日の記者会見で、小泉首相が10月17日に平服で靖国神社を参拝したことに関して、「小泉さんにとっては、あの場面では最良の選択をした。最も評価される行動をとったと思う」と述べた。このことを6日の新聞で読んで、「おやっ」と思った。中国との経済関係を進めたい経済界の代表として総理の靖国参拝を自粛して欲しいとかつて奥田会長は言っていたはずだからだ。
 その疑問が12月8日の日刊ゲンダイを読んで解けた。今年の9月末、奥田会長が胡錦涛主席と極秘会談をしていたことが暴露された時、奥田会長は「靖国神社参拝は話題に上らなかった」と話していたが、実際は胡主席から参拝自粛を小泉首相に働きかけるよう求められていたのだ。
 奥田会長は帰国後、すぐに小泉首相と面会しそのメッセージを伝えたが、小泉首相はにべもなく「ノー」と突っぱねたらしい。その為、「参拝するならレベルダウンすべきだ。羽織袴ではなく平服で」などと進言したという。
 「奥田さんの面子は立った。『小泉さんにとっては、あの場面では最良の選択』とヨイショしたのはそのためです」(財界事情通)。
  どこまでもふざけた二人だ。

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2005年12月06日

【バックナンバー】2005-12-06

ジャーナリストはどのように情報を得るのか

  ジャーナリストは事実を伝えるのが職務だ。権力者の不正を暴くのが使命だ。しかしその情報をどのようにして得るのか。それがジャーナリストの最大の課題であり、またジャーナリストの力量である。
  たとえば6日の朝日新聞に星浩という編集委員が、「政態、拝見」というコラムで次のような情報を我々に提供してくれている。
 「・・・11月16日の日米首脳会談。日本外交の関係者によると、そこで一瞬、座が静まる場面があったという。(ブッシュ)大統領が北朝鮮の金正日総書記に触れた時だ。『北朝鮮の人権はあまりにひどい。私が金正日を暴君といったことを北朝鮮は批判しているが、私は暴君を暴君と呼んだまでだ』。暴君という言葉が刺激的だという首相側の判断で、この部分は公表されなかった・・・」
 政府が報道関係者にいっせいに公表するいわゆるブリーフィングというものには、本当に重要な情報は含まれていない。従って首脳会談直後のどの新聞にもこのような情報は載っていなかった。政府にとって都合の良い情報や宣伝したい、場合によっては誇張までして発表するのだ。記者はそれをいっせいに報じる。他社に遅れをとってはならないからだ。
 しかしながら本当に貴重な情報は、このように内部の関係者が特定の記者に漏らす話だ。首脳会談から日にちがたってほとぼりが冷めた時に、こういう形で断片的に出てくるのだ。
 そこで次の2点が問題となる。まず漏らす側のほうであるが、もったいぶって漏らすその陰で、「お前にだけは話すから、これをうまく報じてくれ」という思惑がある場合もある。もうひとつの場合は完全な告発で、政府にとって都合の悪い情報をあえて特定の記者に漏らして世論に知らせようとする。この場合は漏らした人物は誰かという犯人探しが行われまた記者のほうも情報源を守ろうとする。
 そこで情報を受け取る側のジャーナリストのモラルが問われる。かつて田原総一郎はテレビの前で「私は官僚から聞いてすべて知っているのだ」などと自慢げに口走っていたことがあった。これなどは私がもっとも軽蔑するジャーナリストの典型だ。このように自らの人脈と影響力を誇示しマスコミ界で幅を利かせようとする連中は、当然のことながら権力と相互依存関係に堕してしまう。権力を本気で批判する言動が出来るはずはない。批判する不利をして、陰で権力者に、「あの程度でいいでしょう。あれくらいは言わせてよ」などと一杯やっているのだ。
 もっとも権力を批判ばかりしているジャーナリストであれば権力側から取材拒否に合い、仲間からもはずされて仕事にならないであろう。情報を直接とれなくなるのはつらい。だからどうしてもある程度は権力側におもねる必要がある。ここがジャーナリストのジレンマであり気の毒なところだ。私は、田原やその他多くのマスコミで重鎮されているジャーナリストを好まない。彼らはマスコミの世界で有名になり、従って金も名誉も手にしようと考える連中だからだ。そもそもその心がけそのものがジャーナリスト失格だからだ。私がこよなく魅力を感じるのは、そのようなジレンマに苦しみながら、ぎりぎりのところで日夜取材を続けている名もない報道関係者である。願わくば彼らがそのうち組織の中で偉くなっていって初心を忘れていくことがないようにと思うばかりである。
 ところでこの記事を書いた星浩編集委員はどんな気持ちでこの記事を書いたのだろうと思う。
 私は拉致問題の解決が一向に進まない最大の理由は、小泉首相が金正日と一番最初の時点で裏取引をした事にあると確信している。すなわち経済協力と引き換えに国交正常化を行うと約束したのだ。これは自分の手柄の為であって、金正日体制がいかに独裁体制であろうとも、強制連行を含めた過去の日本の行為についての認識や反省を感じていなくても(靖国参拝にこだわる小泉首相が過去を反省しているはずはない)、そして拉致疑惑の納得いく解明が出来なくても、国交正常化をする約束をしてしまったのだ。だから何としてでも金正日との関係を絶つことはできない。ピョンヤン宣言を反故にすることは出来ないのだ。
 小泉首相はかつてブッシュ大統領と首脳会談をした時、金正日を好意的に見てくれと説得して一蹴されている。そして今度のブッシュ大統領の発言である。誰が見てもブッシュ大統領の発言が正しい。このタイミングでブッシュ大統領がこのような発言をしたということは、今後の日本外交にとっても極めて貴重な情報である。それを敢えて公表しなかったのは何故か。あくまでも任期が切れるまでに国交正常化を進めたい、そのためには金正日との関係を悪化させたくない、ただそれだけである。
 経済制裁に無関心なのも、拉致家族の叫びに一切耳を貸そうとしないのも、裏で膨大な経済支援を約束したのも、すべて日本国民のため、いや日朝双方の国民の為ではなく、自分の功名心の為だけなのだ。
 星浩編集委員もそのことは百も承知であろう。しかし小泉首相を批判することは決してしない。せいぜい「板ばさみの首相に残された時間は少ない」と暗に批判する程度だ。立場上それも仕方ないとは思うけれど・・・

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2005年12月05日

【バックナンバー】2005-12-05

自衛隊をイラクに送り込むための壮大な虚構

   読者の皆さんは既にお気づきだと思うが、「メディアを創る」において、私は自分の考えを自分の言葉で書くことを極力避け、メディアで使われている他人の言葉や文章を紹介する形で自分の考えを伝えることに心がけている。それは私の考えが自分ひとりの考えではないということを確認しつつ、見知らぬ人たちとの意見の共有を通して、真実を追究し、嘘を暴いていきたいと思うからである。本日の記事もそれである。
   既に決定事項になっているのだが、サマワへの自衛隊派遣がまたしても延長される。いくらなんでもこれが最後の延長になるのであろうが、それにしてもよくもコレだけのイカサマが続けられてきたかと思う。嘘を平然と語り続けて恬として恥じない小泉首相や、そのお膳立てをし続ける外務官僚、「命令に従うまでだ」と思考停止をしてきた自衛隊員もそうであるが、その嘘を正面から批判しないメディア、そしてこのイカサマに怒りをぶつけない国民も、「嘘の共犯者」であるに違いない。
   そんな中で、5日の東京新聞の「イラク派遣の真実―再延長」は、かなり真剣なメディアからの政策批判である。まもなく決定される自衛隊派遣延長の決定に対する、精一杯の抵抗であろう。私はその記事を書いた記者とそれを掲載した東京新聞に敬意を表したい。

 「・・・イラクから帰国した陸自幹部は『万が一にも襲撃され、撤退か否か政治に決断を迫るような事態を引き起こさないことが、一番の任務だ』と断言する。
    サマワ宿営地の隊舎は、迫撃砲の直撃に耐えられる万全の防御態勢。壁や屋根が厚く、砲弾の爆発音さえ聞こえない。試行錯誤を繰り返し、完成までに一年以上を要した。
 『視察に来る多国籍軍の将校がーなぜ、ここまでするのかーとけげんそうな顔をする』と別の陸自幹部は明かす。『居続けることこそが重要だから』と話せるはずもない
・・・自衛隊の復興支援活動のうち給水活動は既に終わり、施設復旧と医療指導は際限がない。『第一走者だった自衛隊のバトンは外務省に移りつつある』と陸自幹部は指摘する・・・イラクに投じる無償援助のうち、サマワを州都とするムサンナ州で使うのは2億ドル。イラク18州の中で2%強の人口に過ぎない過疎のムサンナ州に、無償分の13%がつぎ込まれる・・・『費用対効果は悪いが、自衛隊が安全に作業できる地域を探しサマワに決まった。そこで全力を尽くすしかない』と外務省中東二課の幹部・・・外務省の顔が見えないと国会から批判の声が上がると、政府は今年5月、ムサンナ州に大型発電所を建設すると発