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2005年02月23日

【バックナンバー】2005-02-23

今日からしばし日本を離れる事になるので28日までメディア裏読みは休ませていただく。日本は物凄い勢いで悪い方向へ転落しつつあるような気がするので、この次にメディアの裏読みを書くときは、何がテーマになるか予想もつかない。しかし日本のメディアからしばし遠ざかるのもいい事かもしれない。ここ数日間でメディア裏読みに書くつもりで機会を逸したテーマについてまとめてショート裏読みを書かせていただく。28日以降にまたお会いしましょう。


 ◇◆ 選挙後のイラク ◆◇
 
どういう移行政府ができるのかあやしい。21日の日経夕刊に、アラウィ首相続投断念という記事がでていた。自ら率いた政党連合の得票が14%と伸び悩みクルドの政党にまで負けてしまったため続投を断念したらしい。首相になれなければ厳重な警護が解かれる。「米国の協力者」として何度も暗殺未遂を経験したアラウィ首相にとって、ただの移行政府の一員だと恐怖過ぎると率直に述べたという。ところがレバノンからのニュースだと欧州訪問のブッシュ大統領がアラウィの続投を表明して欧州の了解を取り付けようとしているらしい。アラウィもそれではとまた色気を出し始めたようだ。何のための選挙か。米国はどこまでもイラクを自分のものにしたいらしい。


 ◇◆ 人相が悪すぎる ◆◇

 日米安保協議の後の共同記者会見の写真を新聞で見るにつけ、ライス国務長官とラムズフェルド国防長官の人相の悪さに不快感を覚える。それに比べ町村大臣、大野長官ののんきな顔よ。これではどうみても米国の無理な要求を押し付けられるのはやむを得まい。あらゆる公開情報を総合的に勘案すれば、米国は日本をバラバラにしつつあるようだ。どうかんがえても平和国家日本を軍事国家に変えようとしている米国のあらたな安保政策を、その真意もわからない日本の閣僚が、人相の悪い彼らに睨まれて震え上がったわけでもないだろうが、ゆるぎない日米同盟が出来たと追従している構図だ。それを耐え切れない思いで見つめる心ある国民との分裂が、これから徐々に深刻になっていくであろう。初めは抽象的な宣言でスタートし、次第に米国の具体的な米軍再編の要求が露骨に提示されていく。国論がますます分裂していく。米国という国は邪悪な国だと思う。しかしその米国をここまで増長させたのは歴代の政府と官僚なのだ。彼らはこれからますます国民を苦しめることになる。ここまで米国の要求に従ってきたのであるからもうどうにも断ることは出来ないのだ。その責任は重い。


 ◇◆ 国家権力につぶされるホリエモン ◆◇

 ホリエモンは愚かだ。彼は国家権力を見くびっていた。フジの日枝会長はただの年寄りだ。時代遅れの頭でとてもこれからの時代について行けない。多くの日本の経営者がそうだ。しかし彼らは政府に泣きつくことができる。とくにフジ・サンケイグループは自民党保守派と友達だ。財界総理を気取る経団連の奥田までがしゃしゃり出てきたではないか。政治家は官僚に命じる。総務省や法務省の役人は競って政治家の御用聞きに走る。法律を変えてまでライブドアのフジグループ買収を阻止する。それでもだめなら堀江の過去を洗って場合によっては逮捕するぞと脅かす事が出来る。いくら堀江がこれまで自分の力で成金になったとしても、そして今度のフジグループ乗っ取りを資金的に可能であるとしても、国家権力につぶされてはどうにもならない。起死回生の唯一の道は国民を味方につけることだ。それしかない。しかしあの物言いでは国民の支持を得られないのではないか。そこが彼の最大の問題だ。
しかし、それでも私は堀江を応援する。彼はこの国のどうしようもない政官財の支配体制に完全と挑んでいるからだ。あらゆる彼の欠陥をその一事で補って余りあると私は考える。


 ◇◆ イスラエルよりもパレスチナの味方をしたくなる ◆◇

 22日付朝日新聞夕刊の「ぴーぷる」という小さな囲み記事に、「国境なき医師団日本」の内科医鉄谷耕平さん(29)の言葉が載っていた。「負傷したイスラエル兵とパレスチナ住民が倒れていた時、平等に診られるだろうか・・・」

理念ではなく体験的に、私はこの言葉に共感できるのだ。昼間も夜もイスラエル軍ヘリによる攻撃がある。検問所では(イスラエル兵は)救急車を止め、患者や付き添いの荷物を路上にひっくり返して調べた。紛争の現実を目の前にして、思いは「被害者」側に傾いた。「医者は人種や宗教を超えて中立を貫く。当たり前のことに自信が持てなくなった」ここまで若い善意の医者をして悩ませるイスラエル、少しは自らのしていることを考えたらどうか。


 ◇◆ ゆるい国会職員 ◆◇

 こういうおもしろい見出しの記事が22日付の産経新聞に載っていた。「構造改革」の聖域に一つに国会職員の待遇があるという記事だ。ただでさえ問題視されている国家公務員の待遇の、更にその上前をはねるほどの優遇が国会職員には与えられているという記事だ。給与も身分保障も仕事のなさも。その理由の一つとして国会職員に対する国民の関心がないことがあげられる。そりゃそうだろう。国会そのものが国民にとって無意味な存在になりつつある。その国会を運営する職員なんてもっと不必要なのだ。その国会議員が公務員の中でもっとも優遇されているという。壮大なパラドックスだ。


 ◇◆ 自衛隊を守る豪州の軍隊 ◆◇

 22日夕のNHKニュースはサマワの自衛隊を豪州の軍隊が守ることになったと大喜びで伝えていた。22日の夕刊各紙もこれを大きく報道している。小泉首相は「ありがたいことだ」と話している。ハワード豪首相が話していた。小泉とブレアに頼まれたからだと。愚かな豪州国民よ。英国は今でも豪州を下に見ているようだ。豪州はそれに甘んじているようだ。確か第二次世界大戦の時であったかと思う。トルコのガリポリというところで英・豪軍がトルコ軍と戦った。英国は将校を送り込み豪州軍を前線に立てる。真っ先に死ぬのは豪州兵だ。こんども英国は自国軍だけで日本軍を守ることは英国民のプライドが許さないということなのだろう。それにしても豪州という国は哀れな国である。かつて白豪主義の塊であった豪州人はこんな役回りを文句の一つも言わずに受け入れているのであろうか。問題は日本の小泉首相である。自衛隊である。いくらなんでも恥ずかしくないのか。そんなことならはじめから自衛隊など出すな。きっと米・英・豪のアングロサクソン連合は蔭で囁きあっていることであろう。「日本人はどうしようもない奴らだ。しかし一応奴らを立てておいてやろう」と。


 ◇◆ その男凶暴につき ◆◇

 小泉首相が22日の閣僚懇談会で怒鳴ったらしい。22日の朝日新聞夕刊に小泉首相「何事だ」という見出しの記事が出ていた。私も朝のテレビで見ていたが、事故を起こした男性が警察官に襲い掛かりパトカーを強奪しようとした時、警官は一瞬逃げたのだ。そのことを小泉首相は「警官は取り押さえる為にいるのに何事か。どういう訓練をしているのだ」と怒鳴ったらしい。小泉という男は国会答弁を見ていても分かるように、すぐにぶち切れる男のようだ。別れた妻にも暴力を振るっていたという噂まで流れている。大臣でも官僚でも自分の言う事に反対するとすぐにクビをきるぞというらしい。要するに自己中心的な男なのか。こんなつまらない人間に首相を5年もされてはたまらない。私は本気でそう思っている。

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2005年02月22日

【バックナンバー】2005-02-22

◇◆ アニマル浜口の子を思う心 ◆◇

 アニマル浜口というと、アテネ五輪の女子柔道を思い出す。娘の浜口京子が準決勝で敗れた時、観客席から身を乗り出して大声で判定に抗議した父親兼コーチの彼だ。正直言ってやりすぎだと思った。いくら判定に納得がいかないからといってあそこまで文句を言うのはスポーツ精神に反すると思った。

 そんな私の印象を2月21日の日経新聞夕刊の記事が一変させた。ひと・ビジネス欄の「人間発見」というインタビュー記事で語る彼の言葉に心打たれた。

「・・・もう判定は変わらないだろうとわかっていた。だが観客席から身を乗り出して『おかしいだろう。納得できない。問題じゃないか』と大声で叫びました。実は負けてマットの上でぼうぜんとしている京子と目が合ったんです。その時に思わず叫ばずにはいられなくなった。父娘の魂の交流でしょうか。あそこで判定に異議をつけなければ、後々京子に『お父さん、あの時なぜ叫んでくれなかったの』と責められそうな気がした。周囲には迷惑だったかもしれないが・・・娘が勝つのはもちろん嬉しいですが、負けた時ほど、いじらしい、抱きしめてやりたいという心情になるのが不思議でした・・・」

 世間はこれを「親ばか」という。しかし「親ばか」で何が悪い。「親がわが子を可愛がらなくて、誰がお前を可愛がってくれるのか」とアニマル浜口は言っているのだ。その率直さに私は感動した。


 ◇◆ 内部告発者は救われないのか ◆◇

 2月20日の日経新聞だけが報じていた。30年も前に、「トナミ運輸」の会社員串岡弘昭さん(58)が、大手運輸会社が運賃を水増しするヤミカルテルを結んでいる事に気付き同社幹部にやめるよう直訴した事件があった。会社に無視されたため新聞社に情報を提供。その結果、待っていたのは左遷人事であった。研修所への異動を命じられ、29歳から一人部屋に「隔離」され草刈や雑用をする生活。責任ある仕事は与えられず、昇格もなかった。串岡さんはこの処遇は内部告発への報復人事であると02年1月に損害賠償の訴えを起こしたが、会社側は「会社を公然と批判したりする社員の昇格など検討しないのは当然」と突っぱねた。この訴訟の判決が23日、富山地裁(永野圧彦裁判長)で言い渡されるのだ。

 30年もの間飼い殺しのような閑職に追いやってきた「トナミ運輸」は酷い会社だ。しかし串岡さんを助けなかったのは「トナミ運輸」だけではない。「公正取引委員会に申し入れしたが、それでもヤミカルテルは続くので、次に東京地検特捜部に訴えました。私も事情聴取された。でも、あと一歩のところで捜査が止まりました。ロッキード事件の捜査で忙しいというのが理由でした・・・」(2月18日付日刊ゲンダイ)。

 「・・・途中、和解してはどうか、と裁判長に勧められたこともありました。でも拒否をした。内部告発の正当性を判例として証明したかったんです。裁判に勝って、月20万円ほどの給料でも文句を言わず、耐えて支えてくれた家族に報いたかった・・・」(同紙)。

 2月14日号のアエラに「NOといえるサラリーマン」と題して、良心に逆らわずに、正しいことをしたいとして告発に踏み切った人の特集記事がある。この串岡さんのほかに、裏金疑惑を告発した愛知県警の巡査部長、仙波敏郎さん(55)、日経新聞社の鶴田卓彦社長の不正を告発した元部長の大塚将司さん(54)らである。いずれも報復人事にあっている。組織が裏切り者の個人を徹底的にいじめる姿がある。

 今年4月に公益通報者保護法が施行されるという。しかしこれは職場の不正に気付いた人はまず社内組織に通報しろというものだ。「内部告発させない」といっているようなものだ。もうそろそろ告発者が守られる時ではないか。23日に下される判決に注目しよう。

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2005年02月21日

【バックナンバー】2005-02-21

◇◆  西武鉄道前社長の自殺のかげで ◆◇
 
20日の各紙は西武鉄道の前社長である小柳皓正(64)氏の自殺を一斉に報じた。自宅の2階で、かもいにネクタイをかけ、パジャマ姿で首をつっていたという。便箋二枚の遺書には家族への感謝の気持ちなどがつづられていたという(20日読売新聞)。株の名義偽装問題で検察から問い詰められていた小柳前社長は堤義明元会長をかばい疲れたに違いない。やりきれなく悲しい自殺だ。

 我々はこのような犠牲者をこれまでにも嫌と言うほど見てきた。元首相の犯罪をかばって自殺した秘書や、会社や組織を守って身代わりに命を絶つ多くの企業人の「命の幕引き」を。今回の小柳氏の自殺を「またか」で終わらせてよいのだろうか。

 私がこの自殺ですぐに思い出したのが、2月14日号の週刊誌アエラの記事である。「堤支えるヤメ検弁護士」と見出しをつけたその記事は、堤義明という巨悪が金に目のくらんだ元検察幹部に守られて犯罪から逃げ延びようとする姿を批判している。しかしその記事が本当に批判しているのは「ヤメ検」と言う名の検察官僚たちだ。

 アエラの記事を読むと心が寒くなる。堤義明元会長はその資金力にまかせて「ヤメ検」をかき集め東京地検特捜部に挑もうとしている。かつて金丸信元自民党副総裁の脱税などを追及した元東京地検特捜部長の石川達紘弁護士は、「・・・内々に打診があった段階で、正式に決まったわけではありません。もし弁護が必要な事態になったら、引き受けるかもしれませんが・・・」と語っているという。元検事総長の前田宏弁護士は打診を否定するが、「・・・大型事件のたびに、企業側に後輩のヤメ検を紹介してきた」(元高検検事長)と言われている。特捜の手の内を知り尽くした検察幹部OBが、同じ釜の飯を食った部下がまだ現場の検察に残る間に、弁護士になって特捜部に睨みをきかせるのだ。

この期に及んでもなんとか自らの逮捕を避けようとする堤義明。それは醜悪である。しかし、検察在籍時には正義を振りかざした検察官僚が、辞めた途端に立場を豹変し、疑惑企業側に重宝される「役得」に目がくらんで、その経験を悪用する、これはもっと醜悪である。

小柳元社長の自殺を知っても、なお堤義明氏は責任を逃げようとするのか。「ヤメ検」たちはそれでも堤氏を弁護しようとするのだろうか。人は皆いつかは死ぬ。自分に恥じない生を生きる事こそなによりも尊いと思う。


 ◇◆ いつから日本は世界の安全保障に責任を持つようになったのか ◆◇
 
日米両政府が19日、ワシントンで安全保障協議委員会(2プラス2)を行った。そして在日米軍基地再編の基本理念となる「共通戦略目標」なるものを合意したという。その解説が20日、21日の各紙のトップニュースとして流されている。氾濫する軍事用語にごまかされることなく、その本質を見抜かなくてはいけない。

 「共通戦略目標」という名のあらたな宣言の本音は米国の「テロとの戦い」への全面協力である。これをあからさまに打ち出すのはさすがに憚られるのだろう。小泉首相は官僚に振付けられた「世界の中の日米同盟」という言葉を持ち出す(20日付東京新聞)。しかしちょっと待って欲しい。日本の憲法はいつから日本が世界の平和に責任を負わなければならないと求めるようになったのか。百歩譲って日本が世界の平和に貢献するとして、日本の憲法はそれを軍事力で行うことを認めたというのか。「共同戦略目標」で示されている一連の対米協力はあきらかな憲法違反であり、日米安保条約の性格を一変するものだ。もし小泉政権が、この宣言のとおり日米軍事同盟の強化がこれからの日本の安全保障政策であると考えるのであれば、何故正々堂々と憲法を改正し、日米安保条約を変更してこれを行わないのか。共同宣言という行政担当者の宣言で、憲法を超えた政策を公約する事はあまりにも越権である。

この憲法違反を隠すために、北朝鮮問題と台湾問題を特記した。これでは中国と北朝鮮に喧嘩を売っているようなものだ。たしかに現在北朝鮮との間では拉致問題がある。中国との間では靖国神社参拝問題がある。しかしこれらの問題は日本の中国、朝鮮侵略という過去の問題と不可分な問題である。日本の戦争責任問題と一体となって外交的に解決が急がれるこれらの二国間問題を日米軍事同盟の中で取り上げようとする事こそ誤りなのである。何故日本は冷戦が終焉して久しい今日においてこれら隣国との関係を発展させようとしないのか。

そもそも「テロとの戦い」とは何か。これは反米イスラム組織を根絶しようとする米国の一方的な戦いである。日本には関係ない話だ。それどころか日本がこれら組織に敵視される事はあり得ないことであった。米国に協力することによって安全な日本が反米テロの危険にさらされることになったのだ。守ってくれる筈の米国によって、逆に日本の安全保障が損なわれているのだ。

こうして考えると「共通戦略目標」は、米国による、米国の為の、米国の安全保障政策であることがわかる。それは平和憲法を持つ日本の本来の安全保障政策とは正反対の目標である。

おりしも20日朝のフジテレビの番組において、戦争おたくといわれている石破前防衛庁長官をはじめいつものタカ派強硬論者が、北朝鮮の核脅威に対抗すべきだと一斉に気勢を上げていた。民主党の前原誠一影の防衛長官が常連として加わり自民党防衛族も顔負けの安保政策を唱えていた。今すぐにでも内閣に入って防衛大臣になりたいかのようだ。

おりしもライブドアのニッポン放送買収問題に政府が介入し始めた。ホリエモンがフジサンケイグループを乗っ取ると、このような番組がスポーツ、娯楽になる。産経新聞が経済紙になる。だから政府はボリエモンの買収を阻止したいのではないか。そんな気がしてならない。

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2005年02月17日

【バックナンバー】2005-02-17

◇◆ 明らかな嘘を繰り返す政府とそれを許す国会 ◆◇
 
17日付の朝日新聞が国会の論戦のなさを嘆いてみせる。しかし嘆いて見せるだけで本気で怒る気配はない。なぜいつもこうなのか。どう考えてももっと厳しく政府の責任を追及すべきだ。そして国会で相手にされない野党第一党、民主党の不甲斐なさを嘆くべきだ。

 検察庁の調査活動費の実態解明を求める民主党議員の質問に対して、南野法務大臣は「適正に執行されている」と五回も同じ答弁を繰り返した。しかしこれは嘘を隠蔽する法務官僚の作文を読み上げているだけだ。2月18日号の週刊朝日に魚住昭元共同通信記者と三井環元大阪公安部長の緊急対談が掲載されている。その中で魚住氏は次のように話している。

・・・検察の元高官に三井さんの事件についてちょっと話してみたんです。「あれは客観的にみると、口封じ逮捕ですよ」って。そうしたら「君、馬鹿なことをいうんじゃない」って言うんですよ。「あれっ、この人はいまだに検察に義理立てしているのかな」と思ったんです。そしたら「あれは客観的に見なくても口封じ逮捕だよ。決まってるじゃないか」って言うんです(笑い)・・・これまでいろいろな検察の関係者に話を聞きましたけど、個人的に話を聞けばみんなそう言います・・・それなのに今回の裁判のようにまったく違う結論がでてしまうところに今の検察庁と裁判所の関係の異常さが出ている・・・僕がすごく怖いなと思っているのは、警察の裏金疑惑は国会などで取り上げられるけれども、検察のほうは国会で殆ど取り上げられない。政治家たちも検察に睨まれる事をすごくおそれている・・・

ここまで公開資料で明らかになっているのである。どうして民主党は自らの手で調べ、証拠をつきつけて、南野大臣の答弁の嘘を追及できないのか。

 おりしも17日の各紙は、日本歯科医師連盟から自民党旧橋本派に渡った1億円裏献金疑惑に関連して、滝川被告が16日の第4回公判で、「裏金処理は橋本元首相や青木参院議員会長にも報告した」と証言した事を報じている。小泉首相や自民党は国会答弁で明らかな嘘をついていることが明らかになったではないか。これでも証人喚問要求を実現できず、小泉首相の答弁拒否に手も足も出ないとすれば、民主党は野党の責任を果たすことにならない。国会が不毛になるのも無理はない。シーケンの逮捕事件で大騒ぎをし皆でよってたかって弱いものいじめをしている間に、巨悪が逃げていくのである。

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2005年02月16日

【バックナンバー】2005-02-16

◇◆ レバノン前首相の暗殺と米国の不正義 ◆◇
 
14日の夕方レバノンの友人から電話があった。「悲しいニュースだ。ハリーリ前首相が暗殺された」。電話口で話すその声は暗く、重かった。テレビをつけてみた。まだどこもニュースを流していない。そのうちCNNが流した。夜になって日本のテレビも流し始めた。間違いなくハリーリ前首相は死んだのだ。

 なぜ私がこのニュースに衝撃を受けたか。それは一年余り前までレバノンに大使として勤務していた私が、当時の首相だったハリーリ氏と親しかったと言うだけではない。彼ほどの大物政治家でさえ、権力の不正義に前にあっさりと命を奪われる国際政治の非情さをあらためて見せつけられたからだ。

 日本の新聞の中で16日付の読売新聞だけがこの暗殺の首謀者がレバノンの隣国シリアであることを仄めかす記事を書いている。レバノンの政治を少しでも知っているものは誰でもシリアがレバノンを不法に支配している事を知っている。しかしそれを公言することはタブー視されてきた。レバノンの内戦に乗じて国際平和軍として介入してきたシリアは、シリアの撤退を叫ぶレバノンの政治家、軍人、宗教指導者などあらゆる者をことごとく暗殺してきた。内戦が1990年に終わって10年以上もたつというのに、このシリアのレバノン支配は終わるどころか広く、深く、巧妙にレバノンの隅々に浸透している。その結果レバノンに残った指導者たちは誰もシリアに面と向かって物を言わなくなった。そんな中で国民的支持を得てシリアに抵抗していた大物政治家の一人がハリーリ前首相であったのだ。

 かつて私はハリーリ首相に聞いたことがある。「あなたのような大金持ちが、なぜ生命の危険をおかしてまで抵抗を続けるのですか。外国に移り住んでいくらでも優雅な生活が出来るはずなのに・・・」。この愚かな私の質問に彼は答えずに笑うだけだった。彼は今ならこう答えるに違いない。「レバノンの復興を誰にも邪魔させるわけにはいかないのだ」と。

 シリアはいつものように自らの責任を一切否定している。それどころかハリーリ前首相がサウディアラビアのファハド国王に可愛がられていたという周知の事実を利用して、サウディアラビア王制の腐敗に反抗するイスラム過激組織の仕業に仕立て上げようとしている。これに対し国際テロ組織アルカイーダ系のグループは直ちに関与を否定する声明を出した(16日付産経新聞)。

 シリアのレバノン支配は到底容認できない国際法違反である。なぜそれが許されてきたのか。ここに米国の中東政策の不正義がある。シリアのアサド大統領はイラクのサダムフセイン大統領に優るとも劣らない国民弾圧の独裁指導者だ。しかしサダムフセインを攻撃した米国が何故シリアのアサド体制の非道を許すのか。それはシリアがパレスチナ過激組織などの反米、反イスラエル抵抗組織を押さえつける力があるからだ。米国にとって利用できる悪だからだ。

 そのシリアも、イラクが米国の手に落ちそのイラクに米国の軍事基地をおいて中東全体の民主化を進めようとする米国にとって、もはや用済みになりつつある。今度はシリアやサウディアラビアの反米過激組織を一掃していくであろう。そして最後の反米国家、反イスラエル国家であるイランに照準を当てていく事になるであろう。

 アラブ全体が、民主化のためには米国の軍事力による介入でさえも受け入れることになるのか、それとも中東全体が本格的な対立と混乱に突入していくのか、それはアラーの神しかわからない。

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2005年02月15日

【バックナンバー】2005-02-15

◇◆ 米国の世界戦略と日本の勘違い ◆◇

 日米関係さえ良好に維持していれば日本は安泰だ、だから何があっても米国との関係を損ねてはいけない。これが戦後の日本外交の一貫した基本方針であった。そして小泉首相になってからの米国追従ぶりは、みずから嘲笑気味に語るように、「尻尾がちぎれんばかりに」絶対的に米国の言いなりになっている。
 しかし小泉首相は、そして外務官僚は、米国の本心をどこまで知っているのか。米国の国益重視の政策についてどこまで十分な情報を持ち、冷徹な分析を行っているのか。

 元NHKの米国総局長やハーバード大学客員教授を歴任し、現在はハドソン研究所の主席研究員という肩書きの日高義樹という専門家がいる。その彼が再選後のブッシュ政権の戦略について最近立て続けに発信している。「2005年、ブッシュは何をやるのか」(徳間書店)、「アメリカ世界戦略図」(別冊宝島)がそれである。その彼が2月26日号の週刊現代で、「ブッシュは日米安保を骨抜きにする」と、彼の持論を展開している。そこで語られているのは我々がさんざん聞かされ、そのつもりにさせられてきた、「米国は日本を守ってくれるから、米国に従うしかない」という政府の認識とは、まるで異なる米国の正体である。
 以下その主要点を列記する。

1. ブッシュが目指すものはポスト冷戦後の新たな国際秩序であり、それは「アメリカ一人勝ち」の舞台づくりである。「独立戦争」、「南北戦争」、「ファシズムとの戦い」、「共産主義との戦い」、そして「テロとの戦い」に見られるごとく、米国は常に敵と「戦う国」であり、アメリカ国民は戦う指導者を尊敬する。
   ブッシュ政権の軍事優先一国主義の現れの一つが、国防総省の機能強化だ。従来は国務省(外交戦略)、国防総省(軍事)、CIA(情報・工作)の三権分立体制をとってきた。しかし今後はすべての役割を国防総省が握る事になる。日本に対する配慮を多少なりとも心がけてくれた国務省の地盤沈下で、アメリカの日本に対する態度は従来のものとは全く異なるものになる。

2. 中東におけるブッシュの敵は反米テロ、パレスチナ過激派である。そのためシリア、サウディアラビア、イランを次の標的とし、そのためイラクに第2のペンタゴンともいうべき軍事基地をつくって中東全体を睨む。

3. 6カ国協議が不調に終わったら、経済封鎖、軍事攻撃の順で北朝鮮を制圧する。アメリカの抑止力に中国は身動きが取れない。中台戦争はアメリカが抑止する

4. アメリカと一心同体のイギリスは欧州の要。アメリカは東欧を従属させドイツ・フランスと決別する。

5. ブッシュ大統領の世界戦略の一つは世界の石油を意のままにすることである。カスピ海の石油をめぐりロシアはアメリカの「朋友」となる。

6. ブッシュの「本音」は日米安保体制を通じた日本封じ込めだ。ブッシュ大統領は大統領選挙の直後、世界戦略についてイギリス、スウェーデン、フィリピン、タイの首脳と意見交換したが安保条約を結んでいる日本の小泉首相とは突っ込んだ意見交換などしなかった。日本の首相が誰であれ問題ではないのだ。2月2日に行われたブッシュの一般教書演説には「日本」という単語がただの一度も登場しなかった。日本の経済力は必要としているがアメリカに対抗する政治力は日本に求めていない。

7. 米国の極東戦略にとって今後もっとも重要になるのはグアム島だ。原潜も、海軍の特殊部隊「シールズ」も、第7艦隊も、沖縄の海兵隊も、テロとの戦いに備えてグアムに結集する。それでも自由に使える日本の米軍基地は返さない。緊急事態が起きたときの最前線基地として自由に使えるし、ゴルフ場や住宅もある。日本の安全保障や極東の安定の為ではなく、アメリカの利益の為に存続させる。

8. ブッシュ政権のエバンス商務長官は、「貿易赤字が増えたらドルを刷って渡せばよいだけのことだ」と発言している。アメリカがおそれているのは中国人民元と日本円を中心としたアジア経済圏だ。それを押さえ、二つの国に稼がせてアメリカに投資させる。日本と中国がアメリカと貿易を続ける限りアメリカは超然と出来る。フランスとドイツの凋落によりユーロはアメリカの脅威にはならない。
 
 このようなアメリカの戦略が思い通りに実現するかどうかは世界情勢の推移にかかっている。しかし少なくともこれが米国の正体であることは知っておく必要がある。この米国の正体を知った上で小泉首相や外務官僚が無条件の米国追従を繰り返しているとすれば売国的である。もしこの米国の正体に気付くことなく「米国は日本にとって最良の同盟国だ」と信じているのならとんだお人好しだ。

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2005年02月14日

【バックナンバー】2005-02-14

◇◆ 敢えてホリエモンを応援する ◆◇

 近鉄バッファローズの球団買収に名乗りを上げて一躍有名になったライブドアの堀江貴文社長は、その後もつぎつぎと話題を振りまいてきたが、今度はニッポン放送株を電撃的に買収しフジサンケイグループを支配する動きに出た。さすがにこの挑発的行動にはフジテレビの日枝久会長も激怒したらしい。猛反撃にあって堀江社長も窮地に立たされている。

 若干31,2歳の若者がITビジネスで巨万の富を手にしたのであるから、やっかみも手伝って彼に対する世間の風当たりは厳しいものがある。ましてや、「人の心はお金で買える」などと言うものだからますます反感を買う。

 しかし私はそんなIT小僧(2月15日付日刊ゲンダイ)のホリエモンに、敢えてエールを送りたいのである。私は彼と個人的な誼はまったくない。彼の人となりは何も知らない。彼の言動にすべて賛成というわけでもない。それどころか反発を覚えることもある。しかしそれらの欠点を補ってあまりある大きな魅力を私は彼に感じるのである。それは自分の力をだけを頼んで日本の淀んだ体制に挑戦し、それを変革しようとするエネルギーである。

 彼がメディアで喋ったり書いたりしていることを注意して吟味すると、そこには日本を再生させる重要なポイントがあることに気付くはずだ。それは「誰もがおかしいと思いながら、敢えて声に出さない、行動に移さない萎縮した風潮」を打ち破る意志力であり、「本当はとうの昔に終わっている役に立たない権威」に対して「王様は裸」だと平然と言い放つ勇気である。

 例えば彼はその著書「稼ぐが勝ち」(光文社)の中で拝金主義を公言する。もちろん彼は金より重要なものが人生にはあることを知っているはずだ。それを敢えて「人の心も金で買える」と偽悪者ぶるのは、表向きは「金なんて」とすました顔をしている官僚や政治家が、天下りや横領などではした金をごまかし、不正な政治資金を使ってもとぼける、その薄汚さを痛罵しているのだ。「お前らだって金がほしいのだろう。だったらごまかさずに汗水流して自分の手で稼いでみろよ」と言っているのだ。

彼はまた、日本の経済がいつまで立っても立ち直れないのは、ポストに胡坐をかいた旧態依然とした会社人のせいであることを見抜いている。たとえば今回のニッポン放送の株の買占めについて、2月21日号のアエラで彼はこう語っているのだ。
「・・・日本の企業は外国企業に乗っ取られることばかり考えるけれど、では乗っ取られないようにどうするか。株主利益を重視し、株価を高めておく事です・・・ニッポン放送は・・・音楽業界やプロ野球球団などのスポーツ、それにエンタテイメント雑誌もある。(それを十分に生かしていない)うちがやればもっと業績が伸ばせます・・・僕の強みは、株主や消費者がうちのよさを理解してくれて、バックアップしてくれているという自信です」

彼のその言葉をただ「生意気だ」、「非礼だ」といって退けるのはたやすい。しかし、彼の言うとおり多くの疲れ果てた企業人から向上心や改善の気力が失われてはいないか。

彼の指摘の中で、個人も社会も一定の時期が来たらリセットしなければ停滞して行き詰まるというのがある。そこのところを彼はIT用語を使って次のようにうまく表現している、「・・・昔のパソコンは定期的にリセットしないとすぐにかたまってしまっていたでしょう。しかし最近のパソコンはあまりリセットしなくてもよくなった。これはメモリ管理やガベージコレクションといったデータ上のゴミがたまるのをうまく処理するシステムが出来てきたおかげです・・・しかしリセットしなくても済むような仕組みができたせいで、今度は逆にリセット力そのものが弱くなってしまったのです。ほんとうに社会が回らなくなってリセットしなければならない時期が来ても、いつまでもソフトランディングでごまかしている状態になってしまった・・・銀行も、政府も、官僚も、プロ野球界だってそうですよね。しかし、さすがにごまかしがきかない状況になってきました。旧来の社会システムの弊害が目に見えて明らかになってきたからです。だから僕は、もう一回大きなリセットが必要なのかもしれないと考えています・・・」

今の政治にこそホリエモンのような政治家が現れて欲しいと思う。資金力も、若さも、発想も、能力も、そして集票力も、今のどの政治家にも負けない堀江貴文に、今までにない政党を作って今度は政治をかき回してもらいたいと思う。

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2005年02月13日

【バックナンバー】2005-02-13

◇◆ 破れたり、小泉訪朝外交! ◆◇

 北朝鮮外務省は10日、核問題を巡る6カ国協議への参加を無期限中断するとの声明を発した。そして米国の敵視政策に対抗するために核兵器を製造したと明言した。11日の各紙はいずれも一面トップの大見出しでこのニュースを報じ、その後もメディアがこの問題を報じ、論じ続けている。

北朝鮮のこの声明は衝撃的である。この声明を一番詳しく翻訳して紹介していたのは11日付産経新聞であった。これをよく読むと米国に対する挑戦状ではないかと思えるほど過激である。ブッシュ大統領の就任演説や年頭教書、ライス国務長官の発言などを引用し、「・・・米国が平和共存政策へ政策転換するのであれば核問題も解決されうると提案していたにもかかわらず、第二期ブッシュ政権になってもわが国を敵視し、それにも飽きたらずわが国を暴圧政権と決めつけ圧殺しようとしている。もはや6カ国協議を行う名分さえなくなったので6カ国協議への参加を無期限、中断する・・・」と明言したのだ。しかも「・・・自衛のために核兵器をつくった・・・」と核武装をはじめて公式に認めた。

米国が困難な選択を迫られることは間違いない。核兵器がテロに渡ることを最もおそれている米国は、イランと北朝鮮の核武装化を何があっても阻止したいと考えている。しかしイラクにてこずる第二期ブッシュ政権はこれらの国に直ちに強硬手段をとるわけにはいかない。とりあえず6カ国会議に引き戻すべく関係国の協力を呼びかけるしかない。しかし、平静を装ってはいるが、「自由と民主主義の全世界への拡大」を掲げて始動した第二期ブッシュ政権は顔に泥を塗られたのだ。北朝鮮の対応如何では米国の出方は硬化することはありうる。情勢はまったく不明である。

 はっきりしている事は日本の外交が北朝鮮の外交の前に屈したということだ。北朝鮮外務省の声明はその殆どが米国向けのメッセージであるが日本についてもわずかに触れている。その日本に関する部分こそ日本外交の敗北を象徴している。「・・・米国に追従してわが共和国に対する敵視政策に執拗にしがみついている。すべて解決した『拉致問題』に言いがかりをつけ、偽遺骨問題まででっち上げて朝日平壌宣言を白紙化し国交正常化を行わないという日本と、どうして一同に会して会談できようか・・・」

このような声明を前にして、今日本は国を挙げての大論争が続いている。感情的にならずに冷静に対応すべきだと言うのはその通りだ。しかし冷静な対応すら誰も確たる考えを述べていない。日頃は相手の政策を批判しあう与党も野党もこの問題については対立した論争にならない。どうしていいのか誰もわからないのだ。

私は敢えて次の点を強調しておきたい。
まず指摘したいのは、2年半続いた小泉訪朝外交の嘘が今度こそ白日の下にさらされたということだ。北朝鮮が日朝平壌宣言に完全に違反していることは宣言文を読めば誰が見ても明らかだ。それにもかかわらず小泉首相が金正日総書記に文句を言わないのは言えないからだ。金正日総書記と裏取引をした小泉首相には「対話と圧力」というしか発する言葉がないのだ。小泉首相の意向に従うしかなかった外務官僚は外交を行う能力をとうに放棄しているのだ。小泉首相を弁護する塩川正十郎元衆議院議員に至っては、12日のテレビで「サッカーに負けたから腹いせにあんな声明を出したと思う」とやけくそ気味に語って皆からたしなめられていた。もう我々は日本外交の責任者を総交替して一から出直さなくてはならない時期に来ているということだ。

我々がなすべきことはなにか。それは核の放棄を北朝鮮に求める事ではない。拉致された日本国民の返還であることを北朝鮮に求めることなのだ。これほど人権を無視したものはない。これほど平和を脅かすものはない。このことを我々は世界に訴えるべきだ。国連の場に提起して世界の理解と協力を得ながら拉致被害者を救済する事だ。勿論その前提として日本は過去の誤りを謝罪し正当な補償のもとに国交正常化を実現する用意があることを明言しなければならない。拉致被害者の救済を求めるということは、言い換えれば日本は平和を愛し人命を尊重する国であることを北朝鮮や世界に示すことである。核兵器問題をことさらに取り上げて北朝鮮をいたずらに追い込む事ではない。この認識が小泉首相には決定的に欠けているのだ。

6カ国協議とは何か。あれは北朝鮮に核放棄を求める米国が中国を巻き込んで北朝鮮に圧力をかける場である。北朝鮮が望むのであれば日本は6カ国協議から外されたって構わないではないか。そもそも核問題について日本は何の影響力もない。すべて米国に任せるしかないのだ。そのかわり拉致問題だけは日本は北朝鮮に譲れない。核問題における6カ国協議の結果はどうであれ、拉致問題は日本と北朝鮮の問題であり両国間で話し合う問題だと公言すべきなのだ。

それにしても核兵器を独占し世界を軍事力で支配しようとする米国や、核大国の中国やロシアに北朝鮮の核廃棄を求める説得力がどこまであるというのか。日本こそ世界の核廃棄に向けて米国の率先した核廃棄を求めるべきではないか。そう発言して初めて日本は北朝鮮に対しても強い立場に立てるのではないのか。

最後にどうしても指摘しておきたいことがある。北朝鮮の脅威論が騒がれる中で日本の安全保障政策が急速に危険な方向に進んでいることである。2月19日にはワシントンで二年ぶりに日米両国の外務・防衛担当大臣による日米安保協議委員会(2プラス2)が開かれ、そこで米軍基地再編の基本方針となる「共通戦略目標」が共同声明として発表されると報じられている(12日読売新聞、13日産経新聞)。また米海軍のクラーク作戦部長は10日米上院軍事委員会の公聴会で、横須賀基地を母港とする空母キティホークを退役させた後は原子力空母の配備が必要になると発言したと報じられている(12日付産経新聞ほか)。国内では北朝鮮の脅威に対抗するために日本も核武装をすべきだなどという意見まで出始めた。北朝鮮声明をめぐる大騒動の中で、平和な日本が崩れつつある。引き返す事が出来ないほど軍事国家米国の言うなりの国になりつつある。今一度冷静に日本の将来を考える時だ。

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2005年02月10日

【バックナンバー】2005-02-10

◇◆ イスラエルとパレスチナの首脳会談に思う ◆◇

  2月9日の新聞各紙は一面トップでイスラエルのシャロン首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長が暴力停止で合意したことを大きく報じている。このこと自体はむろん歓迎すべきだ。イラク情勢の混迷も、つまるところは中東情勢の行き詰まりに起因する。だからこそこの中東問題の解決に、米国も日本もそして世界ももっと本腰を入れるべきだと私も主張してきた。

しかし、アラファト前議長を徹底的に排除したブッシュ大統領とシャロン首相が、アッバス議長になってから手のひらを返したように友好的な態度をとり始めたその真意こそ重要だ。アラファト前議長を二年以上も軟禁して病死に追い込んだシャロン首相が、アッバス議長になったとたんイスラエルの自分の農場に招待したというその態度の豹変はおかしくないか。アラファト前議長との一切の会談を拒否したブッシュ大統領も二期目に入ってからは中東和平の進展を大きな外交目標に掲げ始めたことを額面どおり受け取ってよいのか。

日本の中東専門家は、前途は楽観できないとしつつもこの停戦合意を評価する。新聞の論調も、「停戦合意を中東和平の新たな出発点に」(9日付日経新聞)、「天の時に人の和を」(9日付朝日新聞)、「和平実現へ不退転の覚悟で」(10日付毎日新聞)、と一応この停戦合意を中東和平の第一歩であると期待しているかのようだ。

 だが、私は楽観的になれない。それはハマスがこの停戦合意を拒否しているからではない。アッバス議長がパレスチナの悲願をシャロン首相に未だ何も迫っていないからだ。シャロン首相が今までの強硬な対パレスチナ政策を変更する兆しをまったく見せていないからだ。ライス国務長官やブッシュ大統領が、その前向きな言葉の羅列とは裏腹に、シャロン首相に譲歩を求める本当の圧力を、今のところ全く見せていないからだ。そして真の和平の動きが訪れるかどうかは、米国がイスラエルに圧力をかけるのかにかかっている。そしてより重要な事は、たとえ米国が圧力をかけたとしてその時イスラエル政府、国民が米国の言う事を聞くのかどうかであるのだ。ここのところを明確に指摘する記事は今のところ見当たらない。

 国際司法裁判所の勧告的意見を無視しシャロン首相はコンクリートの分離壁をパレスチナ自治区に建設することをやめようとはしていない。度重なる国連決議の要求にもかかわらずパレスチナの難民は未だにイスラエルへの帰還権を認められていない。事実上の占領ともいえるヨルダン西岸(パレスチナ自治区)へのイスラエル人の入植政策は進む一方である。このようなイスラエルの不法行為を放置しながら、「過激派の臨終の言葉をまだ聞いていない」(モファズ・イスラエル国防相)(9日付朝日新聞夕刊)という表現でパレスチナの暴力停止をすべての前提にするようなイスラエルの態度は、ハマスでなくとも受け入れることは出来ないであろう。そしてそのようなイスラエルの違法な行為を、ブッシュ大統領は歴代の米国大統領のタブーを犯してまで明確に支持してきたのだ。いくら大統領に再選されたからと言ってブッシュ大統領が政策を急変させるであろうか。アラファト議長に代わって親日派のアッバス議長になったからと言って、米国の政策が変わると思えるか。現実はむしろ逆ではないのか。すなわち言う事を聞くアッバス議長になったとたん、パレスチナの武装抵抗を、和平交渉の名の下に、根こそぎ排除するつもりではないのか。

 この私の素朴な疑問に対し、9日付の毎日新聞夕刊に掲載されていたイスラエルの民間機関研究員メナヘム・クレイン氏の言葉は、一つの回答を与えてくれた。しかもそれは私のかすかな期待を裏切るどころか、イスラエルは和平を望まないと言う驚くべき悲観的論で、私に回答してくれたのだ。私はクレイン氏とは、昨年11月にオランダのハーグで開かれた中東和平に関するNGOの会合で偶然言葉を交わしたことがあった。彼は毎日新聞のインタビューに、「今度の停戦合意は遠からず問題を表面化させることになる」と答えている。そしてその理由として、イスラエルはエルサレムの東西分割と第三次中東紛争で占領した領土の返還を求める国連決議242を決して認めないからだという。だからシャロン首相はパレスチナ独立国家を認める最終合意までは決して進まないというのだ。オランダで聞いた言葉通りだ。

要するにイスラエルは自らの隣国に主権国家パレスチナの独立を認めるつもりは毛頭ないのだ。この点を指摘したのは10日付けの読売新聞の論評であった。その論評は言う。

「・・・和平が進めば、イスラエルは、1947年の建国と1967年の第三次中東戦争で得たものを、一部なりとも還さなくてはならず、(これには)消極的だ・・・イスラエルが難民化したパレスチナ人に自由な帰郷を認めていれば、1967年戦争の後占領地から撤退していれば、流血は激減していたはずだ・・・イスラエルを抑え、問題の根源に向き合わせることが可能なのは、年間30億ドルに上る軍事援助でイスラエルを支える米国だけだ。日本を含む国際社会が出来ることは、米国にその役割を果たすよう働きかけていく事だ」

全く同感である。何故外務省はこのような当たり前の外交を米国に対して申し入れないのか。何故小泉首相はブッシュ大統領にそう求めないのか。そういうことを政府に求める新聞論調がほとんど見当たらないのが不思議だ。本音を言わない風潮はすべてのところに及んでいるような気がする。

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2005年02月09日

【バックナンバー】2005-02-09

◇◆ 我々は基地問題をどこまで知っているのか ◆◇

 次の書き出しで始まる沖縄の地元紙、琉球新報の金城潤という記者の書いた文章に私は感銘を受けた。2月8日付の毎日新聞夕刊の記事だ。琉球新報と毎日新聞は、毎年半年間、交流の一環として記者を交換しているという。96年から3年間、宜野湾市に住み基地周辺の住民を取材して歩いた金城記者は、本土の基地周辺の住民が「負担軽減」をどう考えているか知りたかったので交換計画に応募したという。立派な心構えだ。そしてその記事も立派であった。

 「基地から飛び立った大型軍用機が、腹に響く鈍いエンジン音を残していく。周辺に広がる住宅密集地。目の前にいる人の声も聞こえない。厚木基地がある神奈川県大和市に私は初めて通った。そこには普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市で私が暮らし、体験したのと同じ日常があった・・・」

 私は生まれてこの方、米軍基地の周辺を訪れた事がない。どんなに新聞で在日米軍の基地縮小について読んでみても自分の事として捕らえた事はなかった。日本人の多くはそうであろう。しかしこの金城記者の記事は私にあらためてこの国がかかえている基地問題を考えさせてくれた。そして「基地と共存」することは不可能であることを知らせてくれた。

 金城記者は書いている。大和市がまとめた昨年の騒音のデータだ。電話のベルに相当する音量の70デシベルが5秒以上続いた騒音は2万1318回測定されたという。一日平均71回だ。毎月の最高値は100デシベルでこれは電車が通過するガード下の音を超えるという。金城記者は、大和市の住民の一人である太田善夫さん(42)の次の言葉を紹介し宜野湾市を思い出したと言う。

「基地関連の収入を得ている人もいるから、基地を100%は否定しない・・・だが、ビルすれすれに飛ぶ飛行機に恐怖を覚える・・・住民の環境権を阻害しているのだから解消して欲しい・・・それが当然ではないでしょうか」
 金城記者は、そのあと宜野湾市の実態を次のように書く。
「・・・(琉球新報の)支局の真上が米軍ヘリの演習ルートだった。毎日午前7時にヘリが飛び、目覚まし代わりの騒音と共存するしかなかった・・・昨年8月に米軍ヘリが墜落した沖縄国際大と普天間飛行場を挟んで反対側に普天間第二小学校がある・・・騒音による授業中断がたびたびある。一回中断すると児童の集中力を再び先生に向かせるまで10分必要と、ある先生に聞いた・・・基地に近いというだけで子供たちの学習時間さえ保障されないのだ・・・」

 そして金城記者は、大和市や宜野湾市の住民の声を次のように伝える。「・・・負担軽減といっても、県内や国内に移るなら意味がない。求めているのは基地の閉鎖だ」、「厚木の夜間離着陸訓練を三宅島に移そうとした時、三宅島の猛反対にあった。大和の騒音がなくなっても日本のどこかに移る。そんなことを望む人はいないでしょう」、「飛行機が落ちないと、日本全体の問題にならないのかねえ」
  そうして金城記者はこう締めくくっている。
「沖縄の『負担軽減』は、あらたな沖縄や厚木を生みだすことにつながりかねない。厚木基地周辺の人の話を聞いて、今思う。『基地と周辺住民の共存は不可能だ』という実態こそ、沖縄が発信し続けるべきことではないか」

  私はこの記事を読んで、そして取材を重ねてこのような記事を書いた見知らぬ金城記者の姿を思い浮かべながら、あらためて日本の基地問題に思いを馳せた。そしてこの国の政府の政治家や官僚の基地問題に取り組む基本的姿勢を考えた。国民より米国政府に顔を向け続けている姿勢に。

 小泉首相は果たしてどこまでこのような住民の悲鳴を念頭において、あのような発言を発したというのか。昨年10月に、「受け入れ先が見つかれば沖縄の本土移転も検討する」というあの無責任な発言の事だ。
私が小泉首相に限りない反感を覚えるのは、物事の本質も知らずに、そして知ろうともせずに、ワンフレーズで格好のいいことばかりを言い放つ為政者の傲慢さだ。「サダムフセインが悪いのだから米国に攻撃されても仕方が無いだろう」と言って、あっさりと米国の戦争犯罪を支持して恬淡としている、あの開き直った人間性だ。そこには弱者の苦しみに思いを馳せるかけらも無い。そのことだけで彼にこの国を指導する資格は無いとつくづく思う。

そして最後にもう一つ付け加えたい。最初から答えがわかるおざなりな質問をして満足している官邸記者(8日付東京新聞夕刊)と、この金城記者の、ジャーナリズム魂のはるかな違いについて私は目がくらむ思いにかられた事を。

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